.hack//OverLord   作:ヨツバ

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連続4話更新です。
まだ早く投稿できます・・・まだ(たぶん)。

では始まります。



城塞都市 エ・ランテルにて

エ・ランテルという城塞都市にてボクたちはまず冒険者登録をした。首には冒険者のランクを示す銅(カッパ―)のプレートが目立つ。

何か冒険者として始まりを感じる。気分としてはThe Worldを始めた時と少し同じだ。まあ……アウラやスケィスに出会うなんて凄いことが起きたけどね。

この異世界じゃ、いきなりトンデモない奴に出会うってのは無いよね(汗)。

 

 

「それよりも今は情報収集だ」

 

 

ペテルたち「漆黒の剣」と別れてから今ボクは情報収集をしている。片手にこの世界のお菓子を持ちながら。

ここで何でお菓子を持っているかだけど、お金や文字の問題が解決しているからだ。このエ・ランテルに着いて、露店の文字を見たらちゃんと文字が読めたんだ。

全く知らない文字だというのに読めたのには助かる。それにお金だけど、The Worldの通貨はあってもこの世界の硬貨は勿論無い。何か仕事でもして稼ぐかと考えてたけどThe Worldの通貨がこの世界の通貨にいつのまにか変化していたんだ。

理由は分からないけど、たぶんアウラのおかげかもしれない。アウラも力を貸してくれるって言ってたからね。

 

 

(これには本当に助かるよアウラ)

 

 

情報収集は別行動で行っている。ミストラルはきっと情報収集のついでに露店で値切ってるかもしれないね(笑)。ブラックローズは何か問題とか起こしてないといいな(汗)。

ブラックローズって基本的に喧嘩腰な態度で相手に接することが多いからなあ。こういう場所だと騒ぎが起きるイベントとかありそう……。

 

 

「あ、このお菓子美味しい。何てお菓子だろ?」

 

 

見た目はクレープもどきだ。でも甘くて美味しいや。

 

 

「それはクリィプっていうお菓子なんですよ」

 

 

ボクの疑問を答えてくれた人がいた。最近聞いたことのある声だと思って振り向いてみると「漆黒の剣」のメンバーであるニニャがいた。

 

 

「昨日振りですカイトさん」

 

「ニニャ。もしかしてキミも買い物?」

 

「はい、そうなんですよ。実は明日からもモンスター討伐に行くんで、その為の買出しです」

 

「そうなんだ。じゃあ冒険者組合で依頼を取るんだね」

 

「いや、今回は違います。今回はエ・ランテル周辺に出没するモンスター退治で、仕留めたモンスターの強さに応じて町から組合を通して報酬を受け取るんですよ」

 

 

なるほど。ドロップアイテムを手に入れるようなものか。

 

 

「それで、もし良ければカイトさんたちも一緒に行きませんか?」

 

「もちろん!! ……と言いたいけど実はボクたちも依頼を1つ受け持ってるんだ」

 

 

そう。冒険者登録をしたと同時にさっそく依頼を受けたんだ。何事も体験が必要だ。

銅(カッパー)の受けられる依頼だと難しいものは全く無いらしいけどね。それに依頼は基本的にモンスター退治ばかりだった。調査とかアイテム回収とか無いのかなって思ったけど。

 

 

「そうなんですか?」

 

「うん。こっちもモンスター退治なんだけど……エ・ランテルから西の方の森で狼型のモンスターが群れを成しているから退治してくれっていう依頼」

 

「それじゃあ仕方ないですね。無理を言ってスミマセンでした」

 

「こっちこそゴメンね。せっかく誘ってくれたのに」

 

「いえいえ。無理を言ったのはこっちなんですから」

 

「じゃあお詫びに何かおごるよ。そろそろお昼だし」

 

 

お腹も空いたし何か食べたい。お菓子だけじゃ足らないや。それにしてもこの姿でお腹が空くって不思議だ。今までPCとして動いていたからリアルでお腹が空くと異世界でもリアルなんだなって思うよ。

 

 

「そんな悪いですよ。それに僕だけなんてペテルたちにも悪いです」

 

「じゃあ皆で食べようよ。ブラックローズたちもそろそろ戻ってくる時間だし」

 

「お~いカイト!!」

 

 

噂をすれば何とやら。アイテムをたくさん持ったミストラルとブラックローズが帰ってきた。

やっぱりミストラルは露店で値切ってアイテムを買ったのかな。

 

 

「どうしたのカイト……ってニニャじゃない。昨日振りね。で、どうしたの?」

 

「これから皆でご飯を食べようと思ってね」

 

「ならアタシも構わないわ」

 

「私も賛成~。じゃあ行こっかニニャちゃん(^-^)/」

 

「え、ちょ、ちょっと待ってくださいよ」

 

 

この後ペテルたちと再会して皆で食事をした。このエ・ランテルじゃ美味しい食事所は知らないからペテルたちにオススメを教えてもらった。

さっそく食べたけど美味い美味い。異世界でも美味しいのは共通だ。

 

 

「あの、カイトさん。実は相談がありまして……」

 

「ペテル、カイトさんたちは依頼を受け持ってますから僕たちの同行は無理ですよ」

 

「え、そうなの?」

 

「そうなんだ。せっかく誘われたけどゴメン」

 

「そういうことなら仕方ありませんよ」

 

 

また誘われるとは思わなかったよ。残念だ。もし依頼を受けてなかったら彼らと一緒に冒険ができたのに残念だ。

なら今度はこっちから誘ってみるのも良いかもしれない。彼らとは良い冒険ができそうだ。

 

 

「それにしてもミストラル氏は大量のアイテムを買い込んだであるな。しかも全て値切って安く済ませるなんて感服するである」

 

「店主が勘弁してくれって言ってからが値切りの本番だよヾ(@°▽°@)ノ」

 

 

ミストラルに値切られた店主はかわいそうだ。今頃、店主は泣いてるか自棄酒でもしてるんじゃないか?

でも狙われたが最後だから仕方なし。ミストラルに値切りで勝つ人なんていないと思う。ミストラルはアイテムコレクターだからその執念は並じゃない。

 

 

「魔法も凄くて値切りも凄いんですね」

 

「まあね~(*^▽^*)」

 

 

ブイブイとミストラルがVサインをしている。

 

 

「でもニニャちゃんだって凄いよ。タレント持ちって言うんでしょ(ノ*゚▽゚)ノ」

 

 

タレント(生まれながらの異能)。人間が稀に生まれながらに持っている特殊な力の事だ。

ニニャは魔法を通常の倍の速度で習得できるタレントって教えてもらった。ある意味経験値を2倍貰えてるみたいなものかな。

タレントとは違うけどイクシードみたいなものかな。

 

 

「僕なんてまだまだですよ。カイトさんたちみたいに強くないですし」

 

「大丈夫。ニニャたちも強くなるよ」

 

「そうですかね?」

 

「そうだよ。誰だって強くなる可能性はあるんだ。ボクだって最初から強かったわけじゃないからね」

 

 

赤子がいきなり戦えるというわけじゃない。どんなものでも始まりは0からの出発なんだ。

1から少しずつ進んでいって強くなるんだ。

 

 

「目標でも試練でも夢でも諦めないことが大切なんだ。どんな絶望な状況でも諦めない。希望を持ち、進むんだ。急ぐ気持ちもあるかもしれない。でも歩くような速さでも構わないんだ」

 

「諦めないこと……」

 

「うん。そして1人じゃできないことがあっても信じられる仲間がいるなら頼ること。仲間は掛け替えの無い存在だ。ボクだって何度も助けられたからね」

 

「仲間を頼ること……」

 

 

ペテルたちが黒の短剣を出して見ている。黒の短剣はペテルたち「漆黒の剣」の目標の印だ。

彼らの目標は13英雄と呼ばれる内の1人。黒騎士が持っていたと言われた漆黒の剣を見つけることだと教えてくれた。

 

 

「諦めなければきっと見つかるよ。その漆黒の剣は」

 

「カイトさん」

 

「漆黒の剣か~。私も欲しくなっちゃたな~((o(^-^)o))」

 

 

アイテムコレクターとしての性なのかな。ミストラルの目が☆になって輝いているよ(笑)。

 

 

「えー、ちょっとミストラルさん!!」

 

「まったくミストラルは変わらないわよね」

 

「アハハハハ」

 

 

この異世界に来てから楽しい食事と会話だった。明日は冒険者としての初めての依頼をこなす。

ボク自身がさっき言ったけど仲間と力を合わせればどんな困難も前に進めるはずだ。それはThe Worldで証明されている。明日は頑張ろう。

 

 

 

side変更

 

 

 

ナザリック陣営。

モモンガという名前からアインズ・ウール・ゴウンと変更したオレは冒険者として更にモモンと名前を作った。

ナザリック全体にこの世界での行動指針を伝えた後、オレは情報網の構築と冒険者モモンとしての名前を広げるためにエ・ランテルという城塞都市に訪れていた。

さすがにガイコツの姿ではマズイからフルプレートの姿だ。これなら怪しまれることも無いはずだ。そして護衛という名の相棒はナーベラル・ガンマ。

彼女も優秀な部下だがカルマ値が厄介だ。ナーベラルは人間のことをゴミとしか思っていない。これでは問題の1つや2つ起きても不思議ではないな。それはオレがフォローしていくしかない。

 

 

「ナーベラル。ここでは私のことはアインズではなく、モモンと呼べ。分かったな」

 

「はいモモンさぁーーん」

 

 

……少し不安だが大丈夫だろう。それにしても冒険者としての依頼はモンスター退治ばかりで詰まらない。だがそれでも異世界の冒険なんて少しワクワクするな。

 

 

「ではさっそくクエストを受けにいくぞナーベ」

 

「はい、モモン様!!」

 

「モモンさんだ」

 

「はい、モモンさぁーーん」

 

 

不安だな……。不安であるし金も無い。

冒険者組合で依頼を受けようとしたが文字が読めないという大きな壁にいきなりぶつかった。さすがのオレでも言葉の壁はレベルではどうにもならない。

リアルでも言葉の壁は高いからね。……文字が読めないのがこんなにもピンチになるなんてマズイぞ。ナーベラルに幻滅されてしまう!!

適当に依頼書を取って受付にたたきつけたがまさかのミスリルの仕事であった。だけどオレは口八丁だけで誘導を成功する。

上手くいって良かった~。冷や汗を精神的にかいてしまう。物理的には汗をかけないからね。

 

 

「これで依頼を受けられる」

 

「あの、でしたら私たちの仕事を手伝いませんか?」

 

「ん?」

 

 

ここでオレは「漆黒の剣」という冒険者たちと出会う。そしてその後すぐにンフィーレア・バレアレという薬屋から依頼を受けた。

ンフィーレアがなぜ冒険者に登録したばかりのオレに名指しの依頼をしたのか疑問があるが今が金が必要だ。タレントとしてはなかなかの能力だ。少しは警戒しとくべきだろうな。

慎重になりながら依頼をこなそう。




読んでくれてありがとうございます。
感想などお待ちしております。

アインズ様も少しずつ動き始めました。カイトたちとそろそろ会合するかも?

あとご都合主義は何でもアリだね。

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