タイトル通りで登場するキャラのが分かると思います。
覚醒する凶刃はあの彼女です。
では、始まります。
ナザリック陣営
ニューク兎丸はルプスレギナと激闘を繰り広げていた。戦況はニューク兎丸に軍配が上がる。
ギャグ百連発を言いながら戦う姿は違和感しか無いが強さは本物である。最初はルプスレギナもガンガン押していたが少しずつ弱まっていく。
「うぬぬ……なかなか潰れないっす!!」
「どーしたどーした、こんなものかあ!!」
剛なる槍捌きが振るわれる。この勝負はニューク兎丸の勝利かと思われた。しかし忘れてはいけない。
この戦いはギルド対決である。1対1の戦いではない。
「隙ありですわ」
ソリュシャンがアサシンのスキルを生かしてニューク兎丸の背後に近づいていたのだ。酸を分泌してジュワジュワと溶かす。
「な、なにぃぃぃ背中がああああああ!? は、何かギャグが思いつきそうだ!!」
こんな状況でも何か一発ギャグを考えようとした彼は恐いもの知らずかもしれない。さすがは芸人である。
「ソリュシャン、ナイスアシストっす!!」
隙を逃がさず巨大な聖杖を振るって攻撃する。ミシシ……っと嫌な音を聞かせながら相手を大きく吹き飛ばしたのであった。
ニューク兎丸脱落。
「やったっす!!」
ルプスレギナは嫌な音が聞こえたのに凶悪な笑顔を浮かべる。これで終わりなのだがユリから外道と言われる困った子であるルプスレギナは他に何かできないかと考える。
殺さなければいいから、他は何をしても良いと思っているのだ。そこが彼女の悪いところである。
「それも良いかもしれませが駄目よルプー。次のターゲットを探すわよ」
「えー……少しくらいいいじゃないっすか!!」
「私も我慢しているのだから駄目よ」
「何を我慢しているのかしら?」
ここで女性の声が聞こえた。その声の主はヘルバである。第4陣であるヘルバ、八咫チームが出陣したのだ。
「貴女方は……!!」
「おっ……新しいターゲットが来たっすね」
ルプスレギナは巨大な聖杖を構えるがソリュシャンは撤退をしようとする。
「ここは撤退するわよ。私たち2人では彼女たちには敵わないわ」
「ええー。戦うすっよ!!」
ルプスレギナはヘルバたちとあまり対話したことが無いから底の知れなさが分からないのだ。しかしソリュシャンは理解している。
2人からは得体の知れない何かを感じ取っているのだ。ここで戦うには人数が足りないだろう。だから撤退を選ぶのだ。
「大丈夫っすよ!!」
しかしルプスレギナは戦う気がマンマンである。そして警告も聞かずに突撃するのであった。
「死ねえっす!!」
「元気の良い子犬ね」
ヘルバは自分の持つ白い杖で簡単に防ぐ。
「んなに!?」
「でも私たちは先に進むから……退いてもらうわ」
軽く横に薙ぎ払うとルプスレギナは軽く呻いて、吹き飛ばされた。それだけでも威力は強力であった。
「やっぱり規格外ですわ」
ルプスレギナ脱落。
ソリュシャンは1人では勝てないと判断して地下へと撤退していく。
「ふむ、撤退したか」
「彼女は戦況を見る目はあるわね。私たちも早く進みましょうか」
「そうだな。……それにしてもメンバー全員でダンジョンに挑戦とは久しぶりに心が湧き上がるな」
「貴方は管理者として働いていたからね」
「情報屋として活動していた時が懐かしく思う」
2人は冷静にナザリック地下大墳墓へと足を進めた。
side変更
.hackers陣営
第3陣であるぴろし3、なつめ、寺島良子、マーロー、月長石は順調に第1階層から第3階層に進んでいたがここで転移トラップにひっかかる。
ひっかかったのはぴろし3となつめの凸凹コンビである。彼らはナザリックの女性陣ですら恐怖する黒棺に転移してしまったのだ。
なつめは気絶しそうになり、ぴろし3でさえ一瞬おののいた。
(助けてカイトさああああん!!)
「これは驚いたのである。こうもゴキちゃんがいるとは」
なつめは何とかパニックにならないように自分を静めようとする。ぴろし3は不屈の精神なのでもう慣れた。
「趣向を凝らしたグラフィックだと思えば感慨深いものがある。ここを作った者とはどんなイメージで作ったか語り合いたいであるな」
美しくは無いが、何かの強い思いを込めた空間だとは分かる。実際には黒棺は嫌がらせのなにものでも無いイメージから作られた空間である。
「あわわわわ」
「さっさと進むぞなつめよ!!」
錯乱状態のなつめを掴んでドシドシ進むのであった。すると前方から話し声が聞こえてきた。
その声の主はヘビーマッシャーのリーダーであるグリンガムだ。彼は仲間と共にナザリック地下大墳墓に侵入して調査をしていた。
彼らは第1階層にて低級アンデッド軍団と戦って勝利し、デストラップにも犠牲者を出さずに辛くも攻略していた。それでもナザリックの猛威に死に物狂いである。
その猛威にも理由がある。それはカイトたちを倒すためにナザリックがフルで起動しているからだ。そんなことを知らないグリンガムは必死である。
それでも何とか調査していたが7体ものエルダーリッチと遭遇した瞬間に断念した。すぐさま撤退するが強制転送の罠にかかってメンバーは散り散りになってしまったのだ。
その中でグリンガムと盗賊のスキルを持つ仲間1人は黒棺に転移したのだ。
「誰だ?」
(助けてカイトさん……(泣))
ぴろし3はハテナマーク。なつめは黒棺にいるという現実から逃避中。
何を話しているか聞こうと足を進める。すると何かの交渉をしているようだ。
どうやら無事にナザリック大墳墓から脱出するように交渉しているらしい。しかしグリンガムは間違いを犯した。ここで普通に逃がしてくれと言えば良かったのだが彼は何か差し出せれば差し出すと言ったのだ。
今は親善試合。恐怖公もアインズから殺しはご法度と聞いている。だからギブアップを言えば逃がすつもりだったのだ。しかし何か差し出すと聞いて少し摘み食いをしようと決めたのだ。
「眷属たちの摘み食いになってもらいますぞ。なに……殺しはしませんよ。少し齧る程度です」
「う、うわあああああああああああ!?」
おぞましい黒の恐怖が蠢く。グリンガムは恐怖で叫ぶ。
「ゴキちゃんが動き出したぞ」
「だ、誰だ!?」
グリンガムの背後にぴろし3が急接近していた。まさかの黄金戦士に二重に驚く。
前からはゴキブリ、後ろは濃い黄金戦士であった。しかしここでぴろし3が居て助かったのは間違い無い。
「やあやあ、初めて会うな。我こそは蒼き曇天のイーグルマンのぴろし3!!」
「これはこれはご丁寧に。我輩、この地をアインズ様より賜る者、恐怖公と申します。お見知りおきを」
「うむ。よろしく頼むぞ。ついでに隣で現実逃避をしているのがなつめだ」
なつめは遠い目をしている。女性にとってこの空間は地獄である。
「しかし、ここは趣向の変わった空間であるな。違う感性から見れば悪くないかもしれん」
「ほほう。ここが悪くないと!!」
「芸術とは時におぞましいものですら惹くものにするからな」
「貴方とは少し話が出来そうですな」
平常運転のぴろし3は普通に感想を言うのであった。そんな中、いつの間にかグリンガムたちはぴろし3の背中に隠れていた。
有数のワーカーチームのリーダーがかた無しである。だが仕方ない。ゴキブリは弱い存在であり、強い存在なのだ。飛んだら戦闘力は10倍になる。
「ハッハッハッハ。確かに話ができそうである。しかーし、我々は先に進まないといけないのである!!」
「そうですか。彼らのようにギブアップはしませんか?」
「しない。行くぞなつめ!!」
「…………」
現実逃避中のなつめである。
「ファバクドォォォォンだぁぁぁぁ!!!!」
「うおおおおおおおおお!?」
巨大な火球が黒棺にいるゴギブリたちに降り注ぐ。害虫は火炎駆除である。
そして巻き込まれるグリンガムたち。細かいことは気にしないぴろし3であった。
「ファバクドーン!! ファバクローム!! ウルカヌス・ルフ!!」
剛炎が黒棺を包み込む。これには恐怖公もマズイと焦り、切り札であるシルバーゴーレム・コックローチを出撃させる。
「銀色のゴキちゃんが来たな」
「…………」
なつめはまだ現実逃避中。グリンガムたちはこんがり焼けた。
「なつめはまだか。仕方ないであるな~」
ぴろし3はここでなつめを覚醒させる。
「おいなつめ。アイツはトライエッジとやらを持っているそうだぞ?」
「…………!!」
ピクリと反応してなつめはその場から消えた。
恐怖公は驚く。気が付いたら切り札であるシルバーゴーレム・コックローチが撃破されていたからだ。倒したのはなつめである。
今の彼女は覚醒している。何に覚醒しているかと言うと『エッジ・マニア』であるカオティックPKにだ。鋭い眼光が恐怖公を捉える。
「ぬおおっ!?」
紫電刃ではなく凶刃が振るわれた。なつめはそのまま黒棺から抜け出して爆走するのであった。
「うんうん元気であるな。あと一応こいつらはナザリックから出してあげるか」
「( ・∀・)=b」
顔文字の囚人が登場。グリンガムたちを担いでナザリックの外へと走っていった。
グリンガム及び仲間の盗賊脱落。同じく恐怖公も脱落。多すぎるゴキブリは火炎駆除された。
「さて、私も進むか。ハーッハッハッハ!!」
その後。
「黒棺に誰かが送られたって情報があるから行くですぅ。ついでにおやつもいただこうっと」
エントマはおやつ感覚で黒棺に向かう。誰が相手でも戦うつもりだが、できれば相手にしたくない奴もいる。その存在がぴろし3である。
「分かんないけどアイツは規格外なんですよねぇ」
だがぴろし3は人の考えを斜めで超えてくる。エントマが黒棺に到着すると聞きたくない笑い声が聞こえてきた。
「ハーハッハッハッ!!」
ぴろし3は黒棺からドドン!!と登場した。黒い空間からは目立つくらい黄金の鎧がこれでもかとピカーン!!と光る。
「うむうむ。早く第6階層の夜空を見たいものだ。ってエントマではないか!!」
「うげっ……気付かれたですぅ」
正直、逃げようかと思ったが見つかったならば戦うしかない。
(それにしても傷1つ無い。どうやら恐怖公は頑張ったけど時間稼ぎしかできなかったみたいね)
恐怖公はこの異世界では強者にあたるが、ぴろし3と比べれば厳しい。だから彼は時間を稼ぐ方法で戦ったのだ。その選択は間違いでは無い。
素で少し会話を楽しんだのもあったが。
「それにしてもエントマが私のもとへ来るとは……やはりあつーい愛のボディプレスが忘れられなかったか!!」
「忘れたい過去ですぅ!!」
忘れたいが忘れられない一撃である。
「ねえねえ、なつめは?」
せめての逃げ道であるなつめを探す。しかし、ぴろし3の隣にはいない。
「なつめなら覚醒して次の階層に向かったぞ。今のやつは少々危険人物になっておる」
「覚醒って何ですかぁ!?」
知らない方が良いだろう。
「ふむふむ。それにしても、もう一度あつーい愛のボディプレスがほしいのだな。うむうむ。くれてやろう」
「いらないですぅ!!」
「YAHAAAAAAA!!」
「くるなですぅぅ!?」
追いかけっこが始まる。
side変更
ナザリック陣営
アインズとアルベドはある女性の豹変っぷりに驚いていた。
その女性とはなつめである。今の彼女はいつものポワポワした感じではなく、鋭すぎる威圧感を醸し出しながら爆走しているのだ。
「な、なつめ……なのかしら?」
同盟関係とはいえ、アルベドはまだカイトたちを敵視している。マシにはなった方だが黒い感情は燻っているのだ。
しかし、その中でもなつめとは意外にも少しだけ仲が良かったりする。なぜならなつめはアルベドの恋を応援しているからだ。話の分かる下等な人間だと最初は感じながら徐々に恋バナに花を咲かせたのだ。
.hackersの中で唯一のマシ人間だと思われている。
「これは……」
そのなつめの豹変っぷりには予想外過ぎた。
「彼女に何が起こったのだ?」
「ああ、アインズさんは知らなかったよな。なつめはPKなんだ。まあ俺も最近まで知らなかったんだが」
「そうなんですか?」
「おうとも」
普段の人柄からは信じられなかったがPKということでアルベドは少しだけなつめの評価を上げた。
「しかもカオティックPKつーんだから驚きだぜ」
「カオティックPKなんですか!?」
「おう。しかもカオティックPKの中でも序列は圧倒的で1位らしいぜ」
「おお……(汗)」
「つーか、カオティックPKも知ってるのか」
「はい。ユグドラシルでもPKはありますし、カオティックPKも歴史として刻まれてるんですよ」
元々、アインズのギルドはPKギルドである。The WorldならばアインズもカオティックPKだっただろう。
「アインズ樣カオティックPKとは何なのですか?」
「カオティックPKとはPKの中でもさらに極悪なPKのことだ。ユグドラシルの歴史には最悪のPKとして語られている」
カオティックPKとはPKの中でも選りすぐりのPKである。極悪非道の恐怖で一般PCをどん底に落とす存在である。
中でも、なつめは全てのカオティックPKを凌駕するカオティックPKなのだ。
「歴史には『エッジ・マニア』と言われるカオティックPKが最凶のPKと刻まれている。しかし、その正体がなつめさんとは驚きだ」
「なつめが最凶のPK……ですか」
最凶のPKと言われてまた妙な方向で評価をするアルベド。なつめが人間でなければもっと仲良くなれたかもしれないと一瞬思ったが首を振る。
「ユグドラシルの歴史に刻まれる有名なカオティックPKは複数いる」
そのカオティックPKたちには二つ名がある。
『強欲』、『凶眼使い』、『炎の魔女』、『拷鉄魔法少女』、『園芸家』、『毒手拳』、『不死身胴』、『狂おしき』、『音なし』、『七つの海』、『邪骨兄弟』、『闇に佇む』、『無敵爆弾娘』、『剣妖』。
どのカオティックPKも凶悪であるが、その中でも群を抜いていたのが『エッジ・マニア』である。
PKギルドであるアインズもユグドラシルの歴史に刻まれていたカオティックPKを知っていたのだ。
他のギルメンですらリスペクトしていたが特に『エッジ・マニア』は人気であった。その正体が.hackersのなつめとは誰も予想できなかっただろう。
ナザリック地下大墳墓にアインズですらリスペクトしたカオティックPKが放たれた。
読んでくれてありがとうございます。
感想があればドンドンください。
さて、今回はなつめがカオティックPKに覚醒します。彼女がナザリック地下大墳墓でどう暴れるかはゆっくりと期待していてください。
とりあえずナザリック内に跋扈するモンスターたちは恐怖します。
なつめ 「トライエッジほしいなあ・・・」
アルベド「ほんのちょっと見直したわ」