今回はハムスケと砂嵐三十朗だ!!
どんな勝負かは物語をどうぞ!!
では、始まります。
ワーカー陣営
天武のリーダーであるエルヤーは獣と戦っていた。その獣の名前はハムスケ。アインズのペットである。
実はオスでなくメスという事実にアインズを驚かせた経歴を持つが、ここでは語らない。
「う、腕がああああああ!?」
エルヤーの絶叫が響く。ハムスケがエルヤーと戦い、腕を吹き飛ばしたからだ。まさかの事態にエルヤーは信じられない顔をした。
「早く治癒を寄越せ!!」
エルヤーは人柄や性格に難がありすぎるが、弱い剣士ではない。ただナザリック地下大墳墓が規格外なのだ。
地下に進むにつれ、モンスターは凶悪になっていく。
それでもエルヤーは進んだ。そしてハムスケと遭遇したのだ。
戦況はエルヤーの負けが決定した。腕を吹き飛ばされ、戦う意志も吹き飛ばされた。
「早く治癒をしろ!!」
「もう終わりにするでござるか?」
「く、くそ!!」
「うむむ。それがしは手加減が苦手でござるよ」
エルヤーは奴隷のエルフになんとか近付いて痛みと怒りの剣幕で蹴り飛ばす。
「さっさと治癒をしろって言ってるだろぉぉぉ!!」
それでもエルフたちは何もしない。彼女たちは、もしかしたらと思っているのだ。
エルヤーから使い捨ての道具のように扱われてきた。もう嫌だと思っているが逆らえない。しかし、この状況ならやっと解放されるかもしれない。ナザリック地下大墳墓という地獄のような空間でもエルヤーから解放されるならマシだと考えているのだ。
楽になれると思っている。
「早くしろおぉぉぉ!!」
これでもか、と蹴り続ける。
エルヤーは助かりたい。エルフである彼女たちも助かりたい。どちらも同じく助かりたいのだ。
「うーん……それがしは蚊帳の外でござるな」
ハムスケは.hackersにこんな奴らがいたかどうか悩む。しかし今回のギルド対決にいるので深くは考えなかった。
実際は侵入者なのだがハムスケは分からない。
「それにしても弱いでござるな。カイト殿の仲間は全員強者かと思ってたでござるよ」
的外れな感想である。
そんな中でこの状況を打破する人物が現れる。その誰かとは砂嵐三十郎であった。
「こいつはどういう状況だ?」
「おお、砂嵐三十郎殿!!」
砂嵐三十郎はすぐさまエルヤーとエルフたちの間に入る。
「どういう状況か分からないが止めろ」
「お、お前は!?」
「そもそもお前さん腕が千切れてるじゃないか。見せろ。すぐに治療する」
飛ばされた腕を持ってきて、回復アイテムを使う。すると腕が元どおりになる。
「これで大丈夫だ」
「腕が治った……」
「最初は違和感があると思うが、直に無くなる」
腕が治ったことを確認するとエルヤーはまたもエルフたちに手を出す。
「おい止めろ!!」
「こっちの問題だ。横槍は入れるな!!」
そんなことをしている場合ではないが、怒りと恐怖でエルヤーは周囲の状況が分からなくなっついた。
「使えない亜人め。大枚はたいて買ったのに……もういらん!!」
最後に殴ろうとしたが砂嵐三十郎に止められる。振るわれる拳を強く掴む。
「止めろと言っている」
「……こいつらは奴隷だ。命令を聞けなきゃ何の価値も無い」
奴隷と聞いて砂嵐三十郎は少し顔が歪んだ。
「そうだ。お前にやる。治療した礼だ。早くここから脱出するぞ。そいつらを壁でも何にでも使え」
「お前さん……」
「なん……ぐが!?」
砂嵐三十郎の鉄拳がエルヤーの顔にめり込む。殴られたエルヤーは倒れて気絶した。
「お前さんは剣士でもなんでもない。ただの小悪党だ」
「おお。一撃でござる」
「ハムスケ、もう少し待ってくれるか」
「分かったでござる」
傷ついたエルフたちにも回復アイテムを使う。彼女たちはどうやらとても悪い扱いを受けてきたのだ。砂嵐三十郎は見過ごせなかった。
「もう大丈夫だ。お前さんたちは自由だぜ」
エルヤーから言質をとっている。彼女たちは砂嵐三十郎が所有権を持った。ならば自由にさせるのが一番だろう。
「ここにいても不味いだろうから外に出た方が良いだろう」
数分後に顔文字囚人が現れる。
「(^_^)v」
「彼女たちを頼む」
顔文字囚人はエルヤーを担いでエルフたちと脱出する。
彼女たちは砂嵐三十郎に心から感謝したのだ。
天武脱落。
「待たせたなハムスケ」
「では、勝負でござる!!」
途中でイザコザがあったが解決した。
砂嵐三十郎はハムスケを見る。愛くるしい外見だが、心は侍なのだ。そんな彼女に手加減は失礼だろう。
刀の柄を掴み、抜刀の構えをとる。
「行くでござる!!」
ハムスケも攻撃の体勢に入り、毛が逆立つ。相手が格上だと分かっても逃げない。戦うのみだ。
勝負は一瞬だろうと予測する。
そして勝負が始まった。
「火麟!!」
「武技、斬撃!!」
勝負は一瞬で決まった。ハムスケがバタンキューという擬音でも聞こえそうな感じで倒れたのだ。
「峰打ちだ」
刀を鞘に戻して砂嵐三十郎は奥へと進む。
side変更
.hackers陣営
ガルデニア・レイチェルチーム
「まさか転移のトラップがあるとはびっくりするわ~」
「迷路に転移トラップか。難度の高いダンジョンだな」
第2陣のガルデニアチームは転移のトラップによりバラバラにされていた。砂嵐三十郎とエンデュランスがどこかに飛ばされたのだ。痛い一撃である。
ガルデニアとレイチェルは慎重になりながら先へと進む。迷路を抜け出して第3階層へと到着すると崩壊した空間が見えた。すぐに理解する。
ここはオルカ、バルムンク対シャルティアが戦った空間だ。激戦だったのが分かる。
「守護者のシャルティアがいない。どうやらオルカとバルムンクは勝ったようだな」
「さっすがフィアナの末裔やで。それに三蒼騎士の名を持つ剣士や!!」
戦果はバルムンクの1人勝ちであるが、まだ途中経過の報告が放送されていないので分からないのであった。
彼女たちはこのままカイトたちが向かった第4階層へと進んだ。
その数十分後にフォーサイトのヘッケランたちが第3階層に何とか到達していた。そして崩壊した惨状を見ておののく。
「これは何があったんだ?」
「何かの激戦のあとね」
イミーナは周囲の状況を見て冷静に分析する。何か巨大な魔法でも発動した形跡に剣が振るわれた痕跡。そして血の跡。
「もしかして天武かヘビーマッシャーが何かと戦ったのかしら?」
「にしてはとんでもない奴と戦ったんじゃねえか?」
ヘッケランの言葉にみんなが頷く。広い第3階層をボロボロにするような戦いだ。それに天武たちがここまでの激戦を繰り広げたとは考えにくい。
「迷路のせいで天武とヘビーマッシャーとははぐれたけど順調に進んだのかな?」
「アルシェの言う通りかもしれませんね。我々はこのまま奥に進みましょう」
フォーサイトのヘッケランたちはより慎重となって第4階層へと進む。そして第4階層のモンスターたちの残骸を見て、またもおののく。
モンスターたちの残骸が奥へ進むように倒れているからだ。これも天武やヘビーマッシャーがやったのかと予想するが違う。
実際はカイトやガルデニアたちが倒して進んだ結果による死屍累々の跡である。
「こいつは……俺たちも負けてられないな」
実はワーカーたちの中でさらなる地獄へと歩んでいるのに彼らはまだ気付かない。
side変更
ナザリック陣営
アインズはハムスケがいつの間にか脱落していたことを聞いて「やっぱり」と口に出していた。
アルベドはシャルティアが頭をナデナデされたのが余程羨ましいのか、自分もアピールしようと頭を差し出している。これにはとりあえず無視をしている。
さすがに家族であるアルベドには申し訳ないが、したらしたで恐いからだ。彼女はどこか暴走しそうな危険性があると予想している。
(アルベドを疑うつもりは無いけど……何かある気がするんだよなあ)
深すぎる愛ゆえとはまだ気付かない。
そして一方、オルカとシャルティアは戦いから脱落しているので悠々と食事に酒を飲み食いしながら仲間たちを応援していた。
「コキュートス。必ず1人は潰すでありんす!!」
「負けるなよ、カイトにバルムンク!!」
「そろそろセバスも動いてもらうか」
「分かりましたアインズ様」
まだまだ戦いは続く。そして侵入者もまだ奇跡的に気付いていない。
side変更
スレイン法国にて。
「カイレ様は順調に回復し、第八席次のセドラン、第九席次のエドガール・ククフ・ボ-マルシェは彼女のおかげで蘇生しました」
「そうか……ならば良し。漆黒聖典の代わりはそうそういないからな」
スレイン法国の最強部隊である漆黒聖典はあるヴァンパイアとの交戦で痛手を受けていた。その戦いは不幸な交戦であったが被害を最小限にするべく撤退したのだ。
被害は最小限と言っても重傷者1名、死亡者2名という状況だ。しかもその3人はスレイン法国にとって重要な人物でもある。
漆黒聖典の隊長は自分が不甲斐無いと思うしかなかった。まさかの強力なヴァンパイアと遭遇して敗北するとは第一席次として情けない。次こそは負けないと誓うのであった。
「しかし早く回復して良かった。彼女……いや、彼女たちをスレイン法国に引き入れたの正解であったな」
「だな。特に彼の強さはそなたに次ぐ強さだ」
スレイン法国の神官たちは漆黒聖典の隊長に次ぐ強さを持つ人物たちを嬉々として話す。
漆黒聖典の隊長も神官が言う彼らのことを思い浮かべる。確かに彼らは強い。最初は自分と同じく神人かと思ったが本人たちは違うと言っていた。
(それに天使もいる。ニグンは彼女のことをとても崇拝していたな)
「……しかし彼らは7つめの聖典。特殊部隊の中の特殊部隊だ。あまり表に出すのもどうかと考えるな」
「仕方ないでしょう。彼らを隠し続けるのは不可能。彼らも表立って目だっていないが……堂々と街中を歩く始末」
「彼らは今スレイン法国に所属していますが……実際は旅の者たち。我が国に縛り付けるのは不可能です」
漆黒聖典の隊長は初めて彼らに出会ったことを思い出す。最初は旅の者として出会ったのだ。その後に実力を知った。
「私はこれで失礼します」
神官たちがいる部屋から出て廊下を歩いていると誰かがカチャカチャとルビクキューで遊んでいる。
十代前半にも見えるほどの幼い少女だ。長めの髪は片側が白銀、片側が漆黒の二色に分かれている。瞳もそれぞれ色が違う。
彼女は秘匿された漆黒聖典の中でも更に秘匿された存在である番外席次である。
「報告ご苦労様。八番と九番は無事か?」
「ええ。無事ですよ。彼女のおかげで蘇生できました」
「たしか彼女は呪癒士だったか呪紋使いだったか?」
「はい。彼女の蘇生魔法には助かりました」
番外席次はルビクキューをカチャカチャと遊ぶ。
「そういえば結婚はするのか?」
「いきなり何ですか?」
「神官どもは隊長の血を残すために子作りをしようと言っているそうじゃないか」
ため息を吐く漆黒聖典の隊長。神人として国からは積極的に子供を作れと急かされているのだ。それに関しては少し悩みの種となっている。
「相手がいませんよ」
「神官どもの話を小耳に挟んだが……あの新たな特殊部隊の女性の誰かから選ぶとか言っていたぞ」
「何てことを……彼女たちは反対しますよ」
「だろうな。それにアイツはぶっきらぼうで冷たいから……もし選ぶとしても天使か性格の明るい大剣士か」
「天使に詰め寄ったら銀色の騎士が襲い掛かってきます」
「かもな」
軽く笑う番外席次。そしてヤレヤレと言った漆黒聖典の隊長であった。
「私は結婚しろと言われればするぞ。もしかしたら銀色の騎士を含め、彼らは私より強い可能性はあるからな」
「それは言いすぎですよ」
「私は特に儚げな彼が良いと少し思っている」
「私は最初彼が女性かと思いましたよ」
儚げな呪紋使いの少年を思い浮かべる。彼の召喚する精霊は規格外である。
「あれが精霊かどうか分からないけどな」
「彼自身も驚いていましたね。何で?って顔をしていましたよ」
漆黒聖典の隊長と番外席次は廊下を歩いていく。
読んでくれてありがとうございます。
ハムスケと砂嵐三十朗の勝負は一瞬でした。
でも実際に戦ったらこうじゃないかなって思います。
そしてエルヤー・・・扱いが不遇かもしれませんが、彼もこんな感じです。
あと、エルフたちはたぶん・・その後は砂嵐三十朗にベッタリだと思います。
砂嵐三十朗 「お前さんたち、故郷に戻っても良いんだぞ?」
エルフたち 「ここで良いです」←砂嵐三十朗を進んで世話する
そして今まで触れなかったスレイン法国。
ここで一応、触れときました。法国に所属した新たな聖典とは一体!?
後々語るつもりです。