.hack//OverLord   作:ヨツバ

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5話目です。
ついにアインズ様が活躍!!
そしてカイトチームだけじゃなくて他のチームの視点もあります。
では、始まります。


魔物の村 カルネ村にて

馬車のガラガラという音を聞きながら街道を歩くアインズ改め冒険者モモンであるオレはンフィーレアの依頼を受けた。

さらに「漆黒の剣」のメンバーを雇ってもいる。せっかく向こうから声を掛けてくれたのを無下に出来ないのもある。だから雇った。

オレとナーベだけでも十分だがここでの冒険者の実力を見るのも悪くないしな。銀(シルバー)プレートとはどれほどかも気になる。

 

 

「モモンさん。この辺りで休憩しましょう」

 

「分かりました」

 

 

休憩中に現在の自分の状態を確認する。鎧を纏った状態だと魔法は使えない。もしもの場合は本気を出すしかない。

 

 

「この薮蚊は……」

 

「ナーベ」

 

 

ナーベがルクルットの好意を踏み潰している。やはり人間に対してカルマ値がなあ……。

せっかくの友好関係が壊れないか不安なところだ。そしてルクルットが「恋人関係なのか」という質問でアタフタして余計なことを少し口走ったのにも不安だ。

 

 

「すみませんモモンさん。他人の詮索はご法度だというのに」

 

「いえいえ、今後気をつけてくれれば水に流しますよ」

 

「おいルクルット、お前は……」

 

「……動いたな」

 

 

どうやらモンスターが出現したようだ。目をやるとゴブリンとオーガが見えた。さっそく戦闘開始だ。

 

 

「ハアァァ!!」

 

 

オーガを一刀両断。次々とオーガを紙を切るかのように一太刀で屠る。これなら脅威ではなく、楽勝だ。

 

 

「す、凄い。モモンさんもアダマンタイト級に匹敵する。こっちも負けてられないな!!」

 

 

「漆黒の剣」は良いパーティだ。互いの能力を知り、連携が取れている。

それでもオレのかつての仲間ほどではないな。懐かしく思う。オレもユグドラシルでは皆で冒険したな。

 

 

「さあかかってこい!!」

 

 

モンスター退治はそれほど時間はかからなかった。無双ゲームさながらの勢いで退治した。

疲れは無いが「漆黒の剣」のメンバーは一息つきたいくらいに疲れている。彼らの実力はだいたい分かった。はっきり言ってオレより弱い。だが成長の余地はいくらでもある。彼らならもっと上を目指せるな。

 

 

「それにしても凄いですねモモンさん。まさかアレほどとは」

 

「モモン氏はかの王国戦士長に匹敵する強さであるな」

 

「上には上がいるってことですね」

 

「ホントホント。彼らみたいにね」

 

 

ルクルットが少し気になることを言った。彼らとは他の冒険者チームの誰かと比べているのだろうか。気になる。

 

 

「ではモンスター退治は終わりましたから、どこかで夜を明かす準備をしましょう」

 

 

夕暮れ、黄昏なんても言う。星空も美しかったが黄昏も美しい。眺めながらテントを張る。

アンデッドだから睡眠は必要無い。それに食事もだ。だから今ニニャとダインが作っている食事をどうにかしなければならない。

そして悩んだ状況はすぐに来る。焚き火を中心に食事が始まった。手にはシチューのような食べ物がある。

 

 

(どうしよう。食べたらだだ漏れだよな……宗教的な理由で誤魔化せるかな)

 

「何か苦手な物があった? 何なら食べさせてあげよっか……口移しで!!」

 

 

バキリとスプーンをナーベが折った。あれは恐いな。

 

 

「まったくルクルット。もう止めとけ。そんなんだから上手くいかないんだよ」

 

「あ、ペテル。気にしてることを言ったな!!」

 

「ブラックローズさんの時だっていきなり告白したのに迷惑かけただろうが。そして今度はナーベさんに迷惑をかけるな」

 

「う……でもホントに惚れたんだから仕方ないだろ!! カイトさんだって諦めないことが大事だって言ってたし!!」

 

「そういう意味で言ったんじゃないと思いますよ」

 

「ニニャの言う通りである」

 

「ニニャとダインまでかよ……」

 

 

ルクルットは3人から注意され少しだけ落ち込んだようだ。うん、本当に少しだけ。陽気で口も性格も軽い感じだから注意は意味無いと思うけど。

それにしても知らない人の名前が出てきたな。カイトにブラックローズって誰だ?

 

 

「あの、カイトとブラックローズって誰ですか?」

 

「ああ、実はモモンさんたちに会う前にも私たちはモンスター討伐をしていて、その時に助けてもらった人たちなんですよ」

 

「モモン氏の強さはアダマンタイト級であるがカイト氏たちもアダマンタイト級であった」

 

「そうなんですよ。それにミストラルさんって言うマジックキャスターもいて希少な補助系魔法を使うんです!!」

 

 

話を聞いているとカイトという冒険者はオレと同じように言われたアダマンタイト級の実力者らしい。3人1組で行動しているカイト、ブラックローズ、ミストラル。

彼らの言うアダマンタイト級の実力を知っておきたいから、出来れば会ってみたい。冒険者の最高ランクか、どれほどのものか……。

 

 

「でもカイトさんたちもモモンさんたちと同じで旅の人みたいでエ・ランテルに来たのも最近なんです。冒険者登録もしたばかりでモモンさんたちと同じ銅(カッパー)のプレートです」

 

「でも実力本当に凄いんです。剣技なんか速すぎて見えないんですよ!!」

 

「そうそう。ブラックローズちゃんは細腕なのにデカイ大剣を軽々と振るうしな」

 

 

そのカイトっていう冒険者たちは「漆黒の剣」からの支持は好評価だ。

 

 

(それにしてもオレと同じくらいの強さなら、まさかユグドラシルプレイヤーか?)

 

 

この世界に他のユグドラシルプレイヤーがいるなら行動方針がいろいろと変わってくる。ナザリック地下大墳墓という拠点がまるまるこっちの世界に転移しているなら他のギルドの拠点だって転移しているかもしれない。

もしそのギルドが上位プレイヤーだらけだったらさすがにマズイ。

 

 

「そのカイトさんたちって何かギルドとかに所属しているんですか?」

 

「大きなギルドがどうか分かりませんがあるチームに所属していることは確かですよ。名前はドットハッカーズって名前です。そしてリーダーがカイトさんなんですよ」

 

「ドットハッカーズ?」

 

 

もし、ユグドラシルプレイヤーだと仮定してもユグドラシルで聞いた事の無いギルド名だ。もしかしたら下位かもしれない。ならば知らなくてもおかしくない。

 

 

「出身とかは何処か言っていませんでしたか?」

 

「出身ですか……それは聞いていないですね」

 

「そうですか」

 

 

カイトにドットハッカーズ。知らないはずなのだが、どこか頭に引っ掛かる。

 

 

(オレは知っているのか……でも分からない。どこかで聞いたことがあるような無いような。ええい分からないなら悩んでも仕方ない)

 

 

分からないなら会えば分かるかもしれない。そう思ってペテルたちに件のカイトたちに会えるか話してみる。

 

 

「そうですね。エ・ランテルの冒険者組合に行けば会えますよきっと。カイトさんたちも今頃依頼を行っていますから、もしかしたらちょうど私たちの依頼が終わるのと同時かもしれません」

 

「そうですか。ならば冒険者組合で待ってみます。貴方がたから同じような実力者と言われると興味もありますし話してみたいですね」

 

「きっと話してくれますよ。カイトさんたちは友好的でしたから」

 

 

ドットハッカーズのカイトか。一体何者なんだろう。

 

 

 

side変更

 

 

 

.hackers陣営。

オルカ、バルムンクチーム。

森を抜けるとそこには頑丈そうな柵で囲まれた村があった。なかなかの出来であり、知性の低いモンスターなら時間稼ぎくらいはできるだろう。

村としてモンスターから守る考えとして正解だ。人の知恵というものは侮れない。

だけど、オレの目には異様な光景が見えた。人間の村かと思ったらゴブリンがゾロゾロと出てきたからだ。

 

 

「何だこれは?」

 

「さあな。ゴブリンの村だったというオチだろう」

 

 

バルムンクが予想していたオチを先に言ってくれた。そしていつのまにかゴブリンたちに囲まれた。

 

 

「あんたら何者だ?」

 

「ただの旅の者だ」

 

「武装を解除してもらいたい。こっちとしてはできれば穏便に済ませたいんですよ。あんたら2人からバリバリと強え感じがするからな」

 

 

どうやら会話が成立できるモンスターのようだ。もし会話ができなかったら即、戦闘開始だ。大剣の柄から手を離す。

それにしても、まさか最初に訪れた集落がモンスターの村とは予想外であった。そう思った矢先に女の子の声が聞こえた。

 

 

「どうしたのゴブリンさんたち?」

 

「あ、姐さん!!」

 

「んお?」

 

「え、天使様に緑のモンスター!?」

 

「「あっはっはっはっはっはっはっはっは!!」」

 

 

人間の女性が居たことでモンスターの村ではなさそうだ。ゴブリンとも普通に話をしているから、ただの捕まった可哀想な女の子でもない。

もしかしたらモンスターと人間が共存している村かもしれない。異世界ならありがちなことだ。

それにしても……。

 

 

「おいおいバルムンク。お前が天使だってよ(笑)」

 

「オルカだって緑のモンスターって言われているぞ。くく……はっはっはっは!!」

 

「え、ええ?」

 

 

女の子はオレらが急に笑ったのに戸惑っている。それは当たり前かもしれない。理由が分からないのに他人がいきなり笑えば動揺する。

まずは説明しないとな。オレらが天使でも緑のモンスターでも無いことを。それにしてもバルムンクが天使か(笑)

 

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

「構わんさ。誰だって間違いはあるからな」

 

 

オレの緑色に関しては適当にある秘境部族の伝統的な紋様みたいなもんだと説明し、バルムンクの羽はレア装備と説明した。

バルムンクに関しては本当のことだからな。「ザワン・シン討伐」イベントで手に入れたレア装備だ。

今思うとオレじゃなくてバルムンクだからこそ似合う装備だ。オレが装備したら羽の生えた緑のマッチョだ。

 

 

「ところでオレたちは旅の者なんだがここらの地理を教えてくれないか?」

 

「は、はい」

 

 

情報収集の時間だ。

ここはカルネ村。トブの大森林の南方の外れにある辺境の小村。

人口は120人ほどで産業は森の恵みと農作物が主らしい。そしてなぜゴブリンと共存しているかはアインズというマジックキャスターのおかげらしい。

このカルネ村はスレイン法国の襲撃によって滅亡の危機に瀕した時にアインズに救われた。そしてその時にあるアイテムを貰ったのがゴブリンを呼ぶものであった。

だからこのカルネ村はゴブリンと共存している。

 

 

(そのアインズって野郎が気になるな。話を聞くととんでもない魔法を使ったらしいが……この世界の強者か。レベルで例えるなら100は到達してるのか)

 

 

他にもこのカルネ村から北にバハルス帝国とリ・エスティーゼ王国があり、南にはエ・ランテル城塞都市とスレイン法国があるのも教えてもらえた。

次に向かうのは北か南か。 なんとなくだがリ・エスティーゼ王国なんて良いかもしれない。

 

 

「ここで一泊させてもらて構わないか」

 

「それは構いませんけど」

 

「それはありがたい。オレはオルカだ。こっちはバルムンク」

 

「よろしく頼む」

 

「はい。私はエンリです!!」

 

 

今日1日だけこの村でお世話になる。

ならば一宿一飯の恩に報わないとならない。何か手伝えることはないかと聞いたらお客様としてそんなことはさせられないと言われた。

だが何もしないのは性に合わないのがオレだ。

 

 

「うーん……なら、トブの大森林で薬草を採取してもらっても良いですか?」

 

 

採集イベントの開始だ。

 

 

トブの大森林にさっそく出発だ。森には「森の賢王」とよばれる魔獣がいるから気をつけてほしいと言われた。

 

 

「森の賢王か……」

 

 

 

side変更

 

 

 

ナザリック陣営。

アタシはアウラ・ベラ・フィオーラ。ナザリック第6階層「ジャングル」の守護者でビーストテイマーだ。

今、アタシは敬愛する主人であるアインズ様から受けた命令を実行している。その命令とはトブ大森林での緊急避難場所を建設するよう命じられた他、森林や魔獣についての調査だ。

この仕事はまさしく自分自身に向いている。実際にいくつか緊急避難場所を建設する箇所の目星はつけた。あとは報告して建設に入るだけ。

 

 

「ふんふ~ん」

 

 

森林や魔獣についての調査のある程度完了だ。だがトブの大森林はなんだかんだで広い。まだ見ぬ魔獣がいるかもしれないから調査は終わらない。

 

 

「アイツを剥いだら良い毛皮が取れそうだな~。アインズ様に許可もらえるかな?」

 

 

ある洞窟で寝ていた巨大なハムスターを頭に思い浮かべる。正確にはそのハムスターの毛皮だけど。

この森にはドリアードやナーガにオーガといくつかいたが。やはり目を惹かれたのがハムスターの毛皮だった。

 

 

「今のところ、脅威になりそうな魔獣はいないね。それはそれで詰まらないなー。ビーストテイマーとして調教も何もできないし」

 

 

木から木へと飛び移る。身軽さなら弟にだって負けないしニセチチ吸血鬼だって負けないね。

その途中でアタシは2人の冒険者らしき人間を見つけた。

 

 

「あの人間たちは……」

 

 

見ていると薬草を採取している。それよりもあの人間達の姿がちょっとだけ気になる。

1人は純白の翼を生やした剣士。もう1人は緑色の肌をした大剣士だ。この世界で初めて実際に目にした人間だ。

 

 

「そういえばアインズ様も冒険者として動いていたな……この世界の冒険者ってどれくらい強いんだろう?」

 

 

この世界の人間の強さを確かめておくのも敵情視察になるだろう。我が敬愛する主のために視察するためにビーストテイマーの力を発揮する。

本音としては気分転換に冒険者をオモチャとして遊ぶという気持ちがあるのかもしれないけどね。

まずはザコクラスの魔獣をけしかけてみる。これくらいで手こずっているようならこの世界の冒険者たちは遊び相手にもならないね。

お遊び開始。

 

 

「へえ~」

 

 

魔獣をけしかけてからたった10分経過。冒険者たち2人はいとも簡単にザコクラスの魔獣を斬り伏せていた。

だから少しずつ魔獣のレベルを上げてけしかけていった。

 

 

「ガノスラッシュ!!」

 

「壱刹・双月!!」

 

「流影閃!!」

 

「虎乱襲!!」

 

「「はあああああああああああああああ!!」」

 

(……さっきから少しずつレベルを上げて強化させて襲わせてるけど全然平気そう。この世界の人間にもマシなヤツがいるじゃない)

 

 

思い切って高レベル魔獣を召喚して襲わせた。さすがに腕や脚の1本が食い千切られると思ったが予想が外れた。

冒険者2人は大剣と片手剣で力の限り一刀両断した。

 

 

(マジ……? なかなかの高レベル魔獣なんだけど)

 

 

予想していた実力よりも上だったのがびっくりだよ。でも……遊びにはなったかな。じゃあ最後にもう1匹高レベルを。

 

 

「それにしてもおかしいな。モンスターが出るってのは聞いてたがこんな次から次へと出るもんなのか」

 

「そうだな……まるで何者かにけしかけられてる感じだ」

 

 

ウゲ……バレた。

 

 

「アッチか!!」

 

 

純白の翼の生えた剣士がアタシのいる方向に顔を向けた。

ちょっとマジ? けっこう離れてるのに何で分かったのよ!?

ここでアタシが出て仕留めても良いけど勝手に動くのはアインズ様に叱られる。仕方ないけどここは引こう。

次ぎ会ったらもっと遊んであげよう。

 

 

「逃げるか……この蒼天のバルムンクから逃げられると思うな!!」

 

 

ゲ、羽が生えてるからやっぱり飛べるんだ。しかも速!? 飛行系の魔獣をけしかけて時間稼ぎ!!

結果を言えば逃げられました。

 

 

「あんなこと言っておきながら逃がしたのかよ(笑)」

 

「……言うなオルカ。邪魔が無ければ捕まえていた」

 

「そーかいそーかい(笑)。じゃあ、薬草も採ったしさっさと帰るか」




読んでくれてありがとうございます。
感想などあればください!!

今回はカイトたち以外の仲間の行動は?
ということでオルカとバルムンクは何してるかの視点になりました。

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