今回は砂嵐三十郎VSコキュートスです!!
どんな戦いになるかは物語をどうぞ!!
では始まります!!
砂嵐三十郎チーム
「さて、勝負するかコキュートス」
「アア。コノ時ヲ楽シミニシテイタゾ砂嵐三十郎」
2人が静かに己の武器を構える。そして名乗りをあげた。
「.hackers所属。砂嵐三十郎」
「ナザリック地下大墳墓ノ第5階層守護者コキュートス」
お互いの剣がぶつかり合った。
「おおおおおおおおおおおおお!!」
「ハアアアアアアアアアアアア!!」
激しい剣気が周囲に広まる。ビリビリと感じる剣圧とも言えるだろう。並みの者では意識を保つことすらできない。
「剛琉!!」
「ムウウ!!」
下段と上段を合わせた地属性の斬撃が振るわれる。その斬撃は力強く重い。
「ヌウウウウウウ!!」
「よくぞ耐えたな!!」
「今度ハ此方ノ番ダ!!」
コキュートスが4本の腕に持つ武器を構え流れるように振るう。
「ハアアアアアアアアア!!」
「くっ!?」
ガキンガキンガキン!!
剣の打ち合いは続く。やはりコキュートスには手数があるゆえ有利となっている。しかし砂嵐三十郎も負けていない。自慢の刀で全て打ち払っているからだ。
「おおお!!」
「ムウン!!」
砂嵐三十郎の頬から血がタラリと垂れて、コキュートスは胸元にピシリと傷が付いた。
「ヤハリ砂嵐三十郎ハ強イ」
「その言葉。そのままそっくり返すぜ」
お互いに軽く笑って剣の打ち合いを続ける。
「ピアーシング・アイシクル」
氷弾が穿つように放たれた。氷弾の軌道を読み、刀で全て一刀両断する。
その隙にコキュートスは間合いを詰めてハルバードを振るう。
「食らうか!!」
「マダマダ!!」
手数はコキュートスが有利だが、刀を振るう速さは砂嵐三十郎が少し上といったところだ。
威力はコキュートスにやや軍配がある。
(一撃一撃が重い)
(速イ……一瞬足リトモ気ガ抜ケンナ)
ここでコキュートスのスキル「アイス・ピラー」が発動。氷柱が砂嵐三十郎を囲むように突起する。
「逃ゲ場ハ無イゾ」
「これは!?」
「ドオオオ!!」
力強く剣が横一閃に振るわれる。
ガキィンと防いだが、そのままミシミシと軋めさせながら真横に斬り飛ばされる。
「ぐああ!?」
「マダマダ行クゾ!!」
「……来な!!」
コキュートスは走りだし、そのまま砂嵐三十郎に斬りかかる。迎え撃つ砂嵐三十郎は刀を力強く速く振るう。
ガキィンと剣の打ち合う金属音がまた広がる。
「おおおおおおおおおおおおお!!」
砂嵐三十郎は力の限り刀を振るって4本の武器を払う。
「今だ!!」
「ムオオ!?」
「牙烈火!!」
刀身が燃え上がる。炎の刀は燃やし尽くしながら左斜め下から振るわれた。
「グオオオオオ!?」
「このまま畳み掛けさせてもらう」
「我ハ負ケヌゾ!!」
コキュートスは斬られて尚、腕を動かす。その手にもつ刀は砂嵐三十郎を斬り裂いた。
「ぐあああ!?」
「ハアアアアアアア!!」
次の一撃が振るわれる前に間合いを取る。ギリギリ避けられた。次も斬られていたら負けていただろう。
「やっぱり強いな……」
「砂嵐三十郎コソ」
「ふう……はあ」
砂嵐三十郎は己の傷を確認する。中々深いキズだ。回復アイテムでも使わない限り、戦闘は保たないだろう。
回復したいところだがコキュートスがその隙を逃さない。ならば砂嵐三十郎は覚悟を決める。
(次の一撃で決めるしかねえな)
「ヌウ?」
砂嵐三十郎が刀を鞘に入れ、抜刀の構えをとる。彼からは剣気がバチバチと発せられている。
その姿を見たコキュートスは理解する。どうやらこちらも最高の一撃を出さねばならないと。
「ムオオオオオオオオオオオオ!!」
コキュートスは雄叫びをあげ、闘気を発する。
「アチャラナータ!!」
明王撃の準備を始めた。
砂嵐三十郎も最高の一撃を出そうと精神を統一させる。
「刃よ更に燃え上がれ」
「三毒を斬り払え、倶利伽羅剣」
お互い準備完了。
「煌火!!」
「不動明王撃!!」
大きな爆発音と共に第5階層は衝撃波に飲まれる。煙により何も見えないが徐々に晴れてくると状況が分かる。
砂嵐三十郎は血だらけのボロボロで倒れている。そしてコキュートスはボトリと腕を落とし、身体には大きな斬り傷が酷く刻まれていた。
「ムウ……腕ガ」
「コ、コキュートス。お前さんの勝ちだぜ」
砂嵐三十郎、脱落。コキュートスの勝利。
「良イ勝負デアッタゾ」
コキュートスもボロボロだが、気を奮い立たせる。もうすぐ次の挑戦者が来ると感じているのだ。
まだ倒れるわけにはいかないと思い、残りの腕で武器を強く握る。
「マダ戦エルゾオォォォォ!!」
雄叫びは第5階層に響く。
side変更
マーロー、寺島良子チーム
凍える凍河なのに熱いと感じる。そう思ったのはマーローである。彼の目の前には傷だらけで片腕を失って3本のみとなったコキュートスがいるのだ。
体力的にも戦力的にも有利なはずなのに今のコキュートスを見ると関係無く感じるのだ。
「……ったく、砂嵐三十郎は敵を弱めるどころか闘争本能を刺激させやがったな」
今のコキュートスからは熱い闘気を発せられている。普通ならば戦いにて疲弊しているはずなのだが、コキュートスの場合は生粋の武人であるため戦えば戦うほど闘気が膨れ上がる。
しかも砂嵐三十郎との戦いの後だ。戦いの猛りは収まらず、いつでも全力を出せる。
「コオォォォォ!!」
「戦る気マンマンじゃねえか」
「マーロー、寺島良子カ。ココカラ先ハ通サンゾ」
「はん。通させてもらうぜ」
剣を抜いて戦闘態勢に入る。
「寺島はオレの援護を頼む。正直、二人同時に突っ込んでも勝てねえ」
「分かりましたマーローさん」
寺島良子が数歩下がって魔法の準備をする。後方から魔法を放ち、前衛から剣で斬る。シンプルな戦い方だ。
「砂嵐三十郎トノ戦イデ腕一本失ッタガ、闘争本能ハ増スバカリダ!!」
足を動かし、突進するように走ってくる。3本の腕には業物を掴んで薙ぎ払うように振った。
ガキィンっと剣と剣がぶつかり、火花が飛び散る。
「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「ぐおっ……チキショウ。なんつー力だよ!?」
剣撃の余波で真横に飛ばされた。腕は衝撃により痺れている。
「マーローさん!!」
援護するように闇魔法の「ファアンゾット」を発動する。コキュートスの足元から暗黒の結晶が隆起して襲う。
目的はマーローを追撃させないためだ。ダメージを与えつつ、コキュートスの行く手を防ぐ。
「ムウウ。コレデ我ノ行ク手ヲ防ゲルト思ウナ!!」
己の武器で闇の結晶を砕き、勢いを弱めずに突撃する。負けまいとマーローは体勢を立て直して剣を振るう。
ガキンッ!!と剣圧が周囲にビリビリ響く。お互いに腕が痺れ始めるが激闘の中でそんなことを考える暇は無い。お互いに雄叫びをあげながら剣を振りかぶる。
「うおらああああああ!!」
「オオオオオオオオオ!!」
「バクリボルバー!!」
「ムウ。マタ炎ノ剣カ!!」
「お前の傷から見て砂嵐三十郎はどうやら炎の剣で攻めたみたいだからな」
剣に炎を纏って戦いに臨む。逆にコキュートスは冷気を纏いて戦いに臨む。
「私も援護します!!」
寺島良子が炎の魔法である「オラバクローム」を発動。炎の竜巻がコキュートスを飲み込む。
「よし、ナイスアシストだ寺島良子!!」
「ムウ……炎ノ竜巻カ!!」
剛炎が渦巻く中でコキュートスは「フロスト・オーラ」を発動する。剛炎の中で絶対零度の冷気が出れば膨張して爆発するのは当たり前だ。
第5階層にてまた蒸気爆発が起こって水蒸気が充満する。その中を突っ切ってハルバードを真横に振るうコキュートス。
身体は傷だらけだが精神は全快であり、まだまだ戦える姿を強制的に理解させられる。
「クラエエエエエエエエ!!」
「ぐおおお!?」
「きゃああ!?」
マーローと寺島良子をハルバードで斬り飛ばす。その威力は計り知れない。
そこらの下級モンスターならば剣圧だけで吹き飛ぶかもしれないだろう。耐えられるのはマーローたちが強者だからだ。
「負けません。アンバッシャー!!」
「バクススパイラル!!」
「来ルガイイ!!」
2人の協力な技をコキュートスは3本の腕で受け止める。未だに衰えない闘気を溢れ出し、立ち向かう。
ドグギャガアン!!っとなんとも言えない金属音が鳴り響く。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「チキショウがっ!?」
「申し訳ありませんカイトさん……」
コキュートスの剛剣により2人が斬り飛ばされる。
マーロー、寺島良子脱落。
「ヌウ……ヤハリ無傷ハ無理ダナ」
ドサリと何かが落ちる。それはコキュートスの片腕であった。さらに上半身には大きな傷跡もある。
言わずもがな、マーローたちの残した一撃である。彼らもただで負けるつもりはないのだ。コキュートスは.hackersのメンバーはやはり強者ばかりと思っている。
一歩間違えていたら負けていたのはコキュートスの方だったのかもしれない。
「……ソレニ、マダ気ハ抜ケヌ!!」
まるで忍びのように現れたのは月長石だ。
「……参る!!」
「来イ月長石!!」
お互いに身体はボロボロであり、勝負は長くはないだろう。それは2人とも理解していた。
コキュートスも月長石も短期決戦で、一撃で決めるつもりである。
「ウオオオオオオオオ!!」
「獄炎双竜刃!!」
刀剣と双剣が交差し、お互いに斬撃を食らう。
「……無念」
「良イ勝負デアッタゾ」
コキュートス、月長石脱落。
第5階層の激闘は引き分けにて終了した。いや、正確ではないだろう。
コキュートスがボロボロになりながらの激闘であった。
side変更
アインズチーム
砂嵐三十郎たちやコキュートスはアインズの待つ玉座に戻る。戻ったら戻ったでアインズは驚いてしまう。特にコキュートスと砂嵐三十郎の容態は血だらけ、ボロボロ。
早く回復するように急いで言う。しかし、2人は名誉の傷だと言わんばかり満足している。お互いに闘争本能が収まっていないので痛みは感じていないのだ。
「早く回復するのだコキュートスに砂嵐三十郎さん!!」
「分カリマシタ、アインズ様」
「そうだな。このままだと死ぬかもしれないな」
ボロボロだというのに笑ってしまう彼らには呆れてしまう。根っから武人ゆえなのか分からないが、激闘の後の余韻は良いものだと聞いたことがある。
彼らが感じるものは、そのようなものなのかもしれない。アインズは少しだけ分からないが、カイトと戦えば分かるかもしれないと思った。
「取りあえず回復しろ。……しかし良くぞ戦ったなコキュートス。私はとても評価するぞ!!」
「有リ難キオ言葉デス!!」
闘いの後のハイテンションな気持ちは分かるが主として、同盟の仲間として早く傷を癒してほしいものだと思ってしまう。
「スマヌガ、腕ヲクッツケテクレ」
「はいよ」
「まずは血だらけの砂嵐三十郎から回復しろよ」
マーローが的確にツッコム。確かに出血量の多い砂嵐三十郎が最も早く回復すべき1人だろう。ボロボロなのに何故笑っているかが不思議である。
「ユリ、一旦彼らの回復の方は任せたぞ」
「はいアインズ様」
モニターに視線を戻す。見るモニターは第6階層のジャングルである。
カイトたちは今、第6階層のジャングルに向かっているのだ。ジャングルにはアウラとマーレがいる。
「アウラが言うには待ち受けているんじゃなく、こっちから攻撃しに行くと言っていたな」
ジャングルは彼女たちのテリトリーだからきっと上手く活用して戦うだろう。おそらく獲物を狩るように戦うはずだ。
これは闘いが楽しみである。
「フフフ、カイトさん。爆走もそろそろ終わりですよ」
「ではアインズ様。そろそろ私たちも動きますか?」
「そうだなアルベドよ。私たちは一旦闘技場で出迎えるとしようか」
よくラスボスというのは最後の間で待っているが途中で出番があったりする。アインズは同じように考えてキリの良い場所である闘技場で待ち受けるかと考える。
(うん。ラスボスっぽくて良いかも)
「では戦闘の準備をします」
「待て、本気の戦闘は第8階層だ。最終防衛ラインでな。闘技場では時間稼ぎの嫌がらせだ。時間稼ぎのモンスターを用意しろ」
「はっ、アインズ様!!」
アルベドはモンスターを選定する。
そして入れ替わりにパンドラズ・アクターがアインズの前に現れる。
「来たかパンドラズ・アクター」
「はいアインズ様!!」
「これから戦いの打ち合わせを行う」
「ハッ!!」
ビシィ!!っと敬礼。
「…………んう」
いつ見ても恥ずかしいと思ってしまう。
アインズが打ち合わせをしている一方で、奇跡的に見つかっていないフォーサイトたちは第5階層を順調に進んでいた。
彼らも「寒い」の一言だが、そんな言葉では片づけられないだろう。早く抜けないと凍死してしまうからだ。
そんな中でヘッケランとイミーナは紫電一閃という言葉が似合う現象を見てしまった。何か紫電のようなものが一瞬で通り過ぎていったのだ。
「なんか……とらいえっじ?とか言ってた気がする」
読んでくれてありがとうございます。
さて、砂嵐三十郎VSコキュートスの戦いはどうだったでしょうか。
私のイメージではボロボロになりながらも戦うって感じです。
そしてマーローたちもその後に加わり、コキュートスは連戦で頑張りましたよ。
次回は第6階層の話となります。
ではまた!!
コキュートス 「連戦ハ疲レタ」
砂嵐三十郎 「お互いにお疲れさんだな」