今回はタイトル通りでエンデュランス対マーレです。
どんな戦いになったかは物語をどうぞ!!
補足として、魔法とかは独自設定が入ってます。
エンデュランスチーム
第6階層のジャングルにて大砂が上空へと舞い上がる。そのまま触手のように枝分かれをしてある人物に襲いかかる。その人物とはエンデュランスだ。
「砂を手足のように操るのか」
襲いかかる砂はマーレの魔法だ。『アース・サージ』と言われる砂を操る魔法。まるで砂を手足のように操ると例えたが、まさにそうだ。
「簡単には倒させてくれないみたいだ」
砂の触手が勢いよく襲いかかるが鋭い斬撃で斬り払う。
「・・・次は真後ろから来るか」
エンデュランスの背後から砂の波に乗ったマーレが追いかけて来る。彼の目からは容赦なく叩き潰すと見て分かってしまう。外見とは裏腹に中身は容赦の無い存在だ。
「このまま砂で捕まえる」
「悪いけど捕まらないよ」
枝分かれした砂の触手を刀剣で切り裂く。しかし所詮は砂なので斬っても斬ってもキリがない。
「次は手の形・・・」
砂の形状が手の形へと変化する。確かに捕獲しやすい形状だろう。
グネグネと襲いかかるが全て切り裂く。
「・・・中々、不利な状況だ」
砂の魔法から防戦一方。本体のマーレには近づけない状況である。
砂の魔法とは侮れない。考えてみれば矛に盾にもなるからだ。それに操る砂の上に乗れば乗り物にもなる。応用性がとても高い。
「次はこうだ」
マーレが杖をクイっと振るうと砂は複数の槍のように鋭くなり、突撃してくる。避けると砂の槍は簡単に太い樹木を貫通した。
これを見て、どう攻略するか考えていると前から砂の波が迫っていた。
「なるほど、遠回りさせた砂か。挟み撃ちってわけだね」
真横に跳んで更に避けると、ドシャアっと砂同士が衝突する音が聞こえた。
衝突音から予想するに相当な圧だろう。
「さて、どうやってマーレに近づくかな?」
エンデュランスは木々の枝を足場に華麗に跳び移るのであった。
「逃がさない」
逆にマーレはどうやってエンデュランスを捕まえようかと考える。状況的にはマーレが狩りをしている側なので有利な状況である。
そして何かを思い付いたのか、急に空へと急上昇したのだ。
空中に留まり、砂を波紋のように広げる。そして砂の波紋から無数の腕が生えて、地上にいるエンデュランスに襲いかかるのであった。
「捕まえるなら広範囲で、手数が多い方が良いよね」
1つの獲物を捕まえるなら大勢と言うのは常套手段。無数の砂の腕がグネグネとエンデュランスを追いかける。
四方八方から砂の手が迫る。全て切り裂くつもりだが、間に合わないこともある。
「しまった・・・」
砂の手が足を掴む。骨まで握り潰そうとしているのか凄い握力である。急いで切り払う。
「少し痛めたかな」
それでも休憩している暇は無い。次から次へと襲いかかってくるのだ。 足を止めたら最後だろう。
マーレは上空から安全に狩りをしている。エンデュランスは捕まるまいと逃げる。このままではジリ貧だ。
「どうやら覚悟を決めるしかないかな」
勝つには接近しなければならない。無事には接近出来ないから覚悟を決めるしかないのだ。
エンデュランスは襲ってくる砂の手に向かって逆走。全てを切り裂き、マーレのいる上空へと高く飛び上がった。
「チャンス」
空中なら避けることは出来ない。そう思ってマーレは砂をかき集めて大きすぎる手へと変形させた。
「これなら避けられない」
大きすぎる砂の手はエンデュランスを蟻のように潰そうとする。
「こっちは大きすぎる斬撃をあげるよ」
刀剣を真横に一閃。力の限り、腕も一緒に飛ばすくらいの気持ちで刀剣を振るった。
大きすぎる斬撃が翔び、大きすぎる砂の手を真っ二つに切断。
「そんな!?」
「今だ!!」
まさかの攻撃にマーレは動揺。その隙を逃すつもりは無いエンデュランスはさらに飛び上がり、マーレの元まで到達した。
「うわわ!?」
「散れ」
「・・・まだです」
一瞬の最中にマーレは『パワー・オブ・ガイア』を発動。
この時をもってマーレは本当にやる気をだした。どんな生物も最後の最後に覚醒するものだ。
マーレの目の奥には容赦なく狩ろうとする黒い光が見えた。
「はああ!!」
「これは・・・」
『パワー・オブ・ガイア』で剛力となって魔法の杖であるシャドウ・オブ・ユグドラシルを強く振るう。
ガキィィィィィィィン!!
刀剣と魔法の杖がぶつかり、衝撃波がビリビリと響く。
「うあああああ!!」
可愛らしい雄叫びとは逆にマーレの剛力は桁違いであった。その威力に押し負け、地上へと真っ逆さまに落ちる。
「まだです」
落ちるエンデュランスを追うようにマーレも落ちる。拳を握りしめて、狙うは顔面。
「さらにまだまだ」
『アース・サージ』はまだ解除されていない。無数の砂の拳も形成させる。
「終わりです」
「ボクだって負けないよ」
『閻魔大車輪』を発動。
無数の円陣を組むようにして斬撃を飛ばして砂の手を全て斬り裂いた。そして向かってくる拳を刀剣で受け止める。
「うああああ!!」
それでもマーレは無理やり地面へと殴り落した。強化された拳は強く重い。とんでもない勢いでエンデュランスは地面へと落下した。
砂煙が舞ってモウモウとジャングルも覆う。その中で腕からポタポタと血を垂らすがマーレの目先は土煙の先である。斬られた腕の傷は気にしてられない。
まだエンデュランスを倒していないと確信があるからだ。殴り落したくらいじゃ倒せない。
「まだ・・・」
「うん。まだだよ」
フラリと現れる。落下したせいか身体の至る所にキズがついている。それでも弱い覇気なんて発していない。歴戦の強者の覇気を醸し出している。
刀剣を利き手でしっかりと握っているので戦う気はまだまだある。お互いに油断できない状況だ。
「・・・トワイン・プラント」
マーレの操るツタが無数にエンデュランスに絡みつこうと襲い掛かる。砂の次はツタかとヤレヤレ思ってしまう。
シュルシュルシュルシュルシュル。ツタが螺旋状に複雑に絡もうとするが全て切断。刀剣を振るう速さはまだ鋭い。
(・・・なかなか捕まえられない。どうにかして捕まえないと)
マーレはツタを操りながら確実にエンデュランスを捕まえる策を考える。このままだと勝てないからだ。時間稼ぎはできるが、勝利への道は無い。
それに魔法も攻略されて接近されたらマズイ。一応接近戦になっても戦えるがエンデュランスには不利だからだ。
(・・・・・砂とツタの合わせ技で捕まえるしかないかなあ)
魔法の杖を地面にトンっと叩く。
「ん?」
「い、行きます!!」
もう一度『トワイン・プラント』を発動。無数のツタが2人を囲むように伸びていき、ツタのジャングルジムが完成した。
そのジャングルジムへ身軽に飛び乗る。まるで野生動物のようにピョンピョンと飛び跳ねた。
普段のマーレならそんなアグレッシブに動かないが今回は動かないと思って戦闘スタイルを変えたのだ。
「とても身軽だね。でもこんなツタは斬ってしまえば・・・ん?」
周囲のツタを一振りで切断したがすぐにツタ同士が繋がって元に戻る。どうやらマーレをどうにかしないとツタは無限に生えてくるようだ。
『アース・サージ』による砂の手もそうだったが斬っても斬っても無駄だから攻撃は最小限に控えるべきだろう。
ピョンピョン跳ねるマーレをよく観察して目で追う。彼は攪乱させるために動いている。そしてツタによる攻撃。さらに急な接近攻撃。
「早い・・・」
「ツタよ。縛れ、貫け、絡め」
ツタがうねるようにエンデュランスへ絡みつく。斬りはらい、切断する。「さっきから斬ってばかりだ」と呟くが実際にそうなのだから仕方なし。
ツタが何かの動物のようにも見えてきてしまう。そして向こうはどうにか捕まえようとしているのだから、ついに捕まってしまう。
「しまった!?」
ツタが地面の下から生えて足に絡みつく。そして腕、胴体、首へと絡みついた。
「やっと捕まえた・・・」
「捕まってしまったか」
捕まっても薔薇の花びらの舞う余裕はどこから出すのを見てマーレはエンデュランスの謎の余裕を不思議がる。薔薇が舞うエフェクトは本当に謎である。
このまま縛っていれば時間稼ぎはできるが次のターゲットを探さないといけないので決着をつけるつもりだ。そもそも敵が目の前にいるならトドメをささないわけない。
杖を強く握りしめて、狙うは後頭部。彼の眼には何の躊躇いも無い目をしている。
「これで終わりです」
ツタをバネにしてエンデュランスへと飛び跳ねようとした瞬間に異変が起こる。
「ええ!?」
まさか、エンデュランスが自然発火したとは信じられない。だが理由はある。それはエンデュランスが密かに自分の身体に貼った『粋竜演舞の召還符』が原因である。
これはもしツタに捕まってしまった時の保険に貼った符である。できれば使いたくなかった保険だ。何せ自分自身が燃えるのだから熱くて熱くて嫌になる。
「斬っても意味無いなら燃やすしかないからね」
「エンデュランスさんって符術士でもあったんだ・・・」
「違うよ。斬刀士だ・・・でも昔は呪癒士ではあったかな」
「呪癒士?」
「昔の話さ」
ツタが燃え上がり、脆くなった時を見て脱出する。少しの火傷くらい気にしない。そのままマーレへと突撃した。
「うわっ!?」
「このまま決着だ」
「・・・させないよ」
マーレに向かって突撃していると2人を囲むように砂が盛り上がる。これはマーレが杖で地面を叩いた時に仕込んだ『アース・サージ』である。
考えた策はいくつもある。それがその1つである。
「逃がさない」
マーレの操る砂がドーム状に形成し、自分たちごと飲み込む。これは逃げ場を作らないためだ。そして本当に決着の時でもある。
砂のドームの中は暗闇で何も見えない。だからマーレは目を瞑ってから目を開く。そうすれば少しは目が慣れるからだ。そして目の先にいるエンデュランスは案の定、暗闇で見えていない。
(今がチャンス。このまま決める!!)
このまま接近して自慢の魔法の杖で殴り掛かる。これで決着がつく。どんな相手も急所を突けば勝てるのだ。
魔法の杖がエンデュランスの後頭部に差し掛かった瞬間にマーレは確かに聞いた。エンデュランスの声を聴いたのだ。そして自分の感覚とても遅くなっているのに気付いた。
「・・・たぶん、ボクじゃなかったら勝てたかもね。でもボクにコレを使わせたのだから凄いと思うよ」
憑神空間の発動。エンデュランスの切り札。
時の流れが異なる不思議な異空間であり、憑神に適合した者以外の存在には認知できない。
そのため、ターゲットを見つけては何者にも縛られることも、存在を知られる事もなく相手を一方的に攻撃できる空間なのだ。
言いようによっては自分しか認知できない世界に相手を閉じ込めたようなものである。何をしようとも相手は絶対に気付かない。気付くのはカイトや同じ碑文使いの者だけだ。
「マーレ・・・君は強いね。でもボクの方が強い。それだけのことさ」
まるで電脳世界のような空間でマーレは動けずにいた。寧ろ、自分がどうなったかすら分からない状況である。
おそらくマーレはまだ自分がエンデュランスに攻撃しようと思っているところだろう。
「終わりだよマーレ」
電脳空間の中でゆっくりとエンデュランスはマーレに近づいて刀剣を振るった。その瞬間に勝敗が決定したのだ。
エンデュランスの勝利であり、マーレの脱落だ。勝利のモーションとして薔薇の花びらが舞った。
side変更
アインズチーム
エンデュランスとマーレの戦いを見ていたアインズは不思議がっていた。それはマーレがどうやって負けたかを気にしているからだ。
頑張って戦ったことに関しては褒めるしかない。しかしどうやって負けたか分からないのだ。何せ、砂ドーム状で2人は隔離されていたためモニター越しでは分からない。
(うーむ。どうやってマーレは負けたんだろう?)
最初は順調に攻めていたのだが急に負けていた。これは戦局としては痛い部分だ。なぜなら敵がどうやって仲間を倒したか分からないなんて不利すぎるし対策もたてないからだ。
「それにしてもエンデュランスさんって強かったんですね」
「おう、そうだぜ。エンデュランスはこれでも前は無敗の宮皇って呼ばれてたからな」
「無敗の宮皇ですかオルカさん?」
紅魔宮と言うバトルアリーナで負け無しのプレイヤーであったのだ。実際は碑文の力を使っていたチートだったが。
それでもエンデュランスは碑文の力を使わずとも強力なプレイヤーであることには変わりない。それはマーレとの戦いを見ていたから分かるのだ。
「なるほど・・・無敗の宮皇か」
まさかの情報を聞いてしまった。ユグドラシルの世界で例えるならエンデュランスもワールドチャンピオン級かもしれないと位置づけしたのだ。
バトルアリーナ、闘技場でチャンピオンや1位になるには並みの者では到達できない。そもそも世界中のプレイヤーがいるゲームの中で1位なんて難しすぎる。
アインズである鈴木透もユグドラシルで1位なんて夢のまた夢だ。仲間であるギルメンと一緒に頑張っても難しいだろう。その難しさを前作とはいえ到達した者の強さは計り知れないだろう。
「ガチプレイヤーなのかな」
正解。おそらく.hackersの中でも1、2を争うプレイヤーだ。
ただでさえ、なつめがカオティックPKと知って驚きなのにエンデュランスがバトルアリーナのチャンピオンとは更に驚きだ。やはり.hackersには強者揃いである。
ナザリックも負けていないが、何だかんだで.hackers側もまさかの一面があるということだろう。
「まさかマーレが負けるとは・・・私が出ましょうか?」
「いや、アルベドはまだ出なくて良い」
どんなスキルを持っているか分からない相手に無策で突撃しても意味は無いからだ。戦いとは難しいもの。
「まさかの強者の登場だな。だがこちらも負けていないさ」
戦局はまだ分からない。
読んでくれてありがとうございます。
エンデュランス対マーレはエンデュランスの勝利でした。
最初からは憑神の力を使えば良かったんじゃね?っとか思っちゃダメですよ。
一応切り札なので。
マーレの魔法である『アース・サージ』は独自に考えた物です。原作ではナザリックを隠したくらいしか使ってないので他に使い道を考えました。
次回もゆっくりとお待ちください。
エンデュランス 「ボクの勝ち」
マーレ 「な、何があったの?」
アインズ 「本当に何があった?」
エンデュランス 「ナイショ」