どんなんかは物語をどうぞ!!
では、始まります。
ガルデニア、レイチェルチーム
ジャングルの一角にてガルデニアとレイチェルは周囲を超警戒していた。その理由は足元に刺さっている矢が原因である。
その矢は急にガルデニアたちに向かって放たれてきたのだ。間違いなく敵の攻撃だ。次はどこから狙ってくるか分からない。だからガルデニアとレイチェルは背中を合わせて周囲を超警戒しているのだ。
「絶対に警戒をおこたったらアカンで」
「分かっている」
神経を研ぎ澄まし、いつでも反応できるようにしている。
その瞬間に新たな矢が飛んでくる。その矢をレイチェルは剣で叩き落とす。飛んできた方向は3時の方向だ。最初に飛んできたのは7時の方向だった。どうやら敵は移動しながら狙っているようだ。
「まあ、遠くから攻撃するならずっと1ヶ所にはいないわな」
「次の狙ってきた方向に走るぞ」
「了解やで」
2人は更に周囲を警戒する。
一方、彼女たちから離れた所でアウラは舌打ちしていた。超精密な弓矢の攻撃を避けられたからだ。やはり簡単には倒させてくれない。
「駄目か~」
アウラは今、自慢のペット2体を側に待機させていた。2回目の矢が避けられるとなると次も避けられるかもしれない。
「ちょっと戦法を変えるか。フェンは突撃、クアドラシルは口開いて」
フェンはガルデニアたちの元へと走り、クアドラシルは大きく口を開いた。そしてアウラは何の躊躇いもなく口の中に入った。
「クアドラシル、擬態して」
クアドラシルは口を閉じたら透明になった。もうその場にカメレオンのような怪物はいない。
「次の作戦はフェンで攪乱させて、見えなくなったアタシからの弓矢攻撃だ!!」
ガルデニアたちに突撃したフェンは口を大きく開き、鋭い牙を見せつける。
いきなりの突撃に驚かず冷静に自慢の槍で受け止めた。
「ガルデニア!?」
「大丈夫だ。レイチェルは矢に警戒しろ」
ガルデニアとフェンはお互いに引かずに競り合いをしている。この魔獣はただの魔獣ではなく、アウラのお気に入りだ。だから其処らにいた魔獣とは一線を超えている。
ナザリック内を進みながら倒した魔獣より強い。
「グルルル!!」
「・・・強いが、私にとって獣に過ぎん」
槍を回転させながら押し飛ばし、突く。
ズグンっと強く突き刺したがフェンは無理矢理襲いかかる。
「・・・どうやらこの魔獣はタフではあるな。だが神槍ヴォータンはたえられまい」
持っている槍は神槍ヴォータン。普段は刃の部分には鞘を付けているが、強者相手なら鞘から解放される。
フェンは強き魔獣として判断して神槍ヴォータンを解放したのだ。
今回のために調製させられているが、一突きで大ダメージだ。ユグドラシルに例えるならワールドアイテム並だ。
「次の突きはただではすまないぞ魔獣よ」
神槍ヴォータンを構えてフェンが突撃にするのに待ち受ける。
「グガアアア!!」
「来い魔獣!!」
ガルデニアとフェンが交差するように攻撃を繰り出す。一瞬の攻防だ。
フェンが鋭い爪で切り裂くのを神槍ヴォータンで受けとめる。次に鋭い牙を剥き出した大口を開く。その瞬間を見逃さないガルデニアは恐れなく、神槍ヴォータンをフェンの大口の中へと刺突した。
「グギャアア!?」
「・・・油断したな」
フェンは痙攣しながら倒れたが、ガルデニアは背中に痛みを感じた。
フェンにやられた傷ではない。その正体は矢であった。
「ガルデニア!?」
「大丈夫だ。背中の矢を抜いてくれ」
「ちと痛いかもしれんが我慢しいや」
回復アイテムを使いながら、矢を抜く。
痛いが刺さりっぱなしよりマシだろう。抜いた矢をバキリと折って、飛んできた方向に走り出す。
その先にアウラがいるはずだから。
「あ、ヤバ。ガルデニアたちがこっちに来た」
クアドレシルの口の中から観察しているアウラ。恐らくまともに戦えば不利なのは彼女自身だ。だからこそ擬態の能力を使う。
「口閉じてクアドラシル。そして他のペットたちで襲撃!!」
またもガルデニアたちを囲むように多くの魔物が襲撃してきた。さすがに多くて時間稼ぎになるし、狙いの的にもなってしまう。
「ここは私が片づける。レイチェルは先に行け!!」
「了解やで!!」
ガルデニアが魔物を倒している間にレイチェルは矢が飛んできた方向へと走り出していた。魔物の親玉であるアウラはビーストマスター。ならば彼女を倒せば魔物は大人しくなるだろう。
「どこやアウラ!!」
矢の飛んできた方向に走ると開けた地に出たが何もいない。周囲を隈なく見渡すが、やはり何も見つからない。既に移動してしまったかと考えたが実際は違う。
アウラはクアドラシルの口の中にいて、擬態能力で見えないだけだ。
(もう既に死角にいるようなものだけど、さらに死角である背後に!!)
少しだけ開いた口の中から様子を見る。擬態能力があるとはいえ、口の中までは透明になれないし、音も消せない。完全な遮断能力ではない。
(よし、ここなら!!)
少しだけ開いた口の中から矢が飛び出し、レイチェルの背中を討つ。
「うがっ!?」
いきなりの背中に矢。訳の分からない状況に焦ってしまう。急いで真後ろを見るが何もいない。
「どこや!!」
(そのまま音を立てずに移動するよクアドラシル)
ガルデニアは他の魔物たちで時間を稼いでいる。今ならレイチェル1人だけだから、このまま狩るチャンス。
それにまだ擬態能力には気付いていない。
(これはアカン。どこから矢がくるか分からん)
全方位の矢を避けるために木を背中にする。これなら背後からの矢は来ないはずである。
(なるほど。木を背中・・・確かにあれなら矢が来る方向はさらに予測できるわね。でも、そんなの関係無いね)
アウラはクアドラシルをレイチェルの背後へと移動させる。そうなれば見えるのは木しか見えない。しかし彼女にとってそれで構わないのだ。
クアドレシルが口を開き、中からアウラが出る。今ならレイチェルは背後の注意は減っている。だからこそ堂々と姿を現せるのだ。
ニヤリと凶悪な笑顔になり、強く弓矢を引く。ギリギリと弓矢の弦が引き締まる。引き締まれば引き締まる程に弓矢の威力は大幅に上がる。
「アハハ。くらいな」
凶悪な矢が一直線に放たれ、レイチェルの背中を守る木ごと貫いてレイチェルをも貫く。
「うがあ!?」と呻き声が聞こえてきた。確実に手応えを感じるアウラは更にニヤリと笑う。
「やったかな?」
クアドラシルが口をバクンと閉じる。そして確実に倒したかレイチェルを見る。
(普通に倒れてるけど・・・油断はできないわ。レイチェルはどこか抜け目ないからね)
その抜け目ないと評価されているレイチェルは倒れながら現在の状況を計算していた。矢が飛んできた状況に微かな気配に音。
推測できる材料から得られる答えは1つだ。おそらく敵は透明化でもしているのだと。そして案外近くにいる。
(さーって、どうするかなあ。痛ててて・・・もう嫌やわ)
背中に刺さる矢がとても痛い。考えている時間も少ないから早く必勝法を考えなければならない。
ピタピタと血が滴り落ちる。その赤い血を見て思いついたのだ。
(これしかあらへんなあ・・・)
ヨロヨロと立ち上がるレイチェルは剣を構える。
(あ、立ち上がった。まだ浅かったか・・・ならばもう一度狙い撃ちするまで!!)
また狙撃しようとしたが先に動いたのはレイチェルだ。いきなり剣を大げさに振りかざす。これにはアウラは「ヤケになったか?」と小さく呟く。
だが剣を大げさに振りかざしているのは意味がある。そもそも重要なのは剣に付いた血である。剣に付いた血は周囲にピタピタと飛び散り、点々と張り付いた。
「そこかあああああ!!」
剣でザグリとクアドラシルを突き刺すと悲鳴を聞こえた。
「キュギャアアアアア!?」
「見つかったあああああああああ!?」
アウラは急いで緊急脱出。そして周囲に飛び散った血を見て全てを把握した。これには舌打ちしてしまう。
「見つかったんなら仕方ないね。でも状況はまだアタシの方が有利!!」
『影縫いの矢』を発動。レイチェルの影に矢が刺さった瞬間に身動きが取れなくなる。その隙を逃がさずに鞭にへと持ち変えて強力な一撃を食らわせた。
切り盛りされながら吹き飛ぶが、レイチェルも負けていない。やられながらも剣を回転させながら投げ飛ばした。回転する剣はそのままアウラの脇腹を斬り裂いた。
「痛あっ!?」
斬り裂いたが傷は浅く、決定打ではないのでまだだ。しかし視界には写るようにはなった。見えないよりかは全然マシだ。
予備の剣を持ち直して突撃するが、矢がどんどんと放たれてきた。全て斬り払うが手数が多い。
「やるじゃん。ならこれはどうかな。超広範囲!!」
弓矢を真上へと放つ。
「レインアロー!!」
光の矢の雨を降らすスキル。強力で広範囲、更に矢の数は数えきれないくらい多い。レインと言うだけあって雨のようだ。
「リウリボルバー!!」
独楽のように高速回転し連続斬りして『レインアロー』を弾き飛ばすがやはり矢が多い。
「ア、アカンわ!?」
「これで決着だ!!」
強く引いた弓矢を放ち、一直線にレイチェルへと貫いた。
「うう・・・でも、アンタを確実に倒すの隙はできたで」
「何を・・・うあっ!?」
アウラの視界からレイチェルが消えた。正確にはアウラの視界からレイチェルが消えたのでは無く、アウラ自身の視線が強制的に変更されたと言うのが正しい。
正解はアウラが真横にある武器によって凄い勢いで吹き飛ばされたのだ。その武器とは神槍ヴォータンだ。
「うぐぐ・・・何、が!?」
「私を忘れてたか?」
「ガ、ガルデニア!?」
予想していたよりも早くアウラの自慢のペットたちを倒したらしい。もう少し時間を稼げるかと思っていたのだ。
でも少しは苦戦したのか生傷が見られる。でも決め手となるような大ダメージはなさそうだ。
「ったくガルデニアはやっぱ強いわね!!」
「神槍ヴォータンを食らってもまだ動けるか・・・でも次の一撃で終わりだな」
「・・・ならアタシも決めてやる!!」
ふらつきながらも自慢の鞭を乱舞の如く振るって結界を発生させる。並みの者が触れれば塵となる鞭の乱舞だ。
レイチェルは「削岩機?」と呟いたは全然違う。だが結果的にはそうなる運命は変わらない。
「このまま塵にしてやるよ!!」
「ふむ。これは私も触れればボロボロになるな。枯れた花のようになってしまう」
カチャリと神槍ヴォータンを構える。その構えはどこからどう見ても槍投げの構え。
どんな結界も一点集中の貫通攻撃なら崩せる可能性はある。ガルデニアをその可能性を信じ、神槍ヴォータンを神速の如く投げ飛ばした。
「貫け神槍ヴォータン!!」
「貫かれてたまるかああああああ!!」
神槍ヴォータンが鞭の乱舞結界と衝突した。その結果、勝利したのは神槍ヴォータンだ。
鞭の乱舞結界を貫き、そのままアウラも貫いた。
「う、嘘ぉ!?」
「私の勝ちだ」
ガルデニアの1人勝ち。
アウラ、レイチェル脱落。ガルデニアはそのまま闘技場へと出発した。
「良いところ全部ガルデニアに持ってかれた!!」
「そんなつもりは無い」
「負けたし、悔しい!!」
負けたアウラはジタバタしながら悔しがっている。その姿を見ると案外元気である。逆にレイチェルはボロボロながらもガルデニアに良いところを持ってかれた不満があるのか文句を言える元気はあった。
「2人とも元気だな」
確かに負けた2人はボロボロなのだが、まだ戦えそうな感じに呆れるしかない。
ガルデニアも「ヤレヤレ」と言うしかなかった。
side変更
アインズチーム
「ハッハー!!」
「どうしたシャルティア?」
「ざまーみろ!!」
なぜかシャルティアはアウラが負けたことに関して笑っていた。もちろんギルド同士の戦いで悔しい結果なら笑えないが、個人的にはそうでもなかった。
「シャルティアもアウラも討伐数は1人ってとこだな。同点じゃん」
「はん、こちとら蒼海のオルカっつーカイトの右腕を倒してるんだから私の方がある意味上!!」
酒で少し酔っているのか分からないがテンションが高い。オルカは「こんな奴だっけ?」と呟いたが、酒の力が入れば大抵どんな奴でもテンションは高くなるものだ。
しかも彼女に関しては酒癖が悪いことは周知の事実である。デミウルゴスやコキュートスも彼女と酒の相手をするのは「面倒だ」と言わせるほどである。その「面倒」と相手をしているオルカもそろそろ疲れてきた頃である。
(そろそろ誰か交代してくんねえかな)
「今回の一番活躍は私で決まりでありんすね!!」
「いや、コキュートスだろ」
シャルティアも頑張っているが今のところ大金星はコキュートスだ。
「なんにゃとおおお!!」
「もう呂律が回ってねえぞ。おいアインズさーん!!」
「あ、オルカさん。そのままシャルティアを頼みます」
「オレに任せるなよ!?」
悪酔いしているシャルティアをアインズはオルカに強制的に任せて、モニターをじっくりと見る。
アウラが負けてしまったのは正直悔しいが、彼女も頑張って戦った。帰ってきたらたくさん褒めてやろうと考えている。
アウラもマーレもまだ子供だから悔しいはずだ。ここは主であるアインズがフォローするのが役目である。
「戻ってきたらうんと褒めてやらないとな」
「あの子たちもきっと喜びますわアインズ様」
アルベドも賛同するのであった。
「さて、2人が負けてしまったからな。そろそろ私たちの出番だ。アルベドよ。闘技場に向かうぞ」
「はっアインズ様!!」
アインズはどんな魔王ロールをしようかと考えながらモニターを見る。写るのはカイトとエンデュランスだ。
どうやら2人は合流して闘技場に向かっているようだ。おそらく闘技場に速くて集まるメンバーはカイト、エンデュランス、ガルデニア、ブラックローズ、ミストラルの5人だろうと予測。
「まあ、嫌がらせの魔獣をもっと増やしておくか・・・って、ん?」
アインズはモニターをもう一度見るとカイトとエンデュランスが闘技場から逆の方向に走っていた。これにはどういうことか分からない。
まさか他のメンバーと合流かと思ったが、合流なら闘技場でするから違う。ならばなぜか分からない。見ようによってはカイトがエンデュランスを追っているようにも見える。
「って、あれは・・・ねこじゃらし?」
ナザリックに自生しているはずのない植物を発見。そしてねこじゃらし畑をモニターでいっぱいに確認したのだ。そして一瞬だけ写った猫の獣人のような存在。
読んでくれてありがとうございます。
感想を待っています!!
はい、今回活躍したのはレイチェルでした。彼女にも出番が無いと悲しいですからね。
そして良いところはガルデニアが持っていきました。
アウラも狩人?として上手く活躍できるうように書きました。どうだったでしょうか?
さて、最後にねこじゃらし・・・そして猫の獣人。
もう分かりますね。「彼女」ですよ。
ではまた次回!!