今回はついにフォーサイトの出番です!!
彼らの運命はどうなる!?
では、始まりますよ。
カイト、アルシェチーム
カイトはアルシェと言うフォーサイトのメンバーを助けてから一緒に同行していた。
彼女は転移トラップにかかり、仲間とはぐれてしまったのだ。出会って理由を聞いて無視なんて出来ないカイトはアルシェの仲間を探すのを決意。まずは闘技場に向かうことに決めている。
闘技場という目印ならブラックローズも向かっているし、もしかしたらフォーサイトのメンバーも向かっている可能性がある。
「カイトさん。闘技場が本当にこんな所にあるんですか?」
「あるよ。確認してあるからね。本当なら今頃、闘技場に到着してたはずなんだけど大きな砂の波に巻き込まれて大変だったんだ」
「え、あの砂の波に巻き込まれたんですか!?」
「うん」
あの砂の波に巻き込まれて無事なところを見て驚く。アルシェに拘わらずフォーサイトのメンバーなら全滅していただろう。
「す、凄いですねカイトさんは」
「そうかな?」
アルシェたちワーカーにとって本当凄いのだ。
それに不謹慎かもしれないが、カイトが砂の波に巻き込まれて助かったのがアルシェである。もし、カイトが砂の波に巻き込まれて無かったらアルシェは助かって無かったかもしれないからだ。
「それにカイトさんはとても強いです。私や仲間が敵わない凶悪なモンスターを簡単に倒してしまいますし」
「そんなことないよ。アルシェだってボクを援護してくれたじゃないか」
「いえ、私の魔法なんて・・・」
「なんて・・・って言葉を使っちゃ駄目だよアルシェ。自分が頑張って修得した魔法には誇りを持たないといけないよ」
励ますようにアルシェの頭を優しく撫でるカイト。撫でられたアルシェは頬を赤くしてしまう。ナザリック内にいる状況でも嬉しいものは嬉しいのだ。
それにカイトと一緒にいるととても安心するのだ。
「・・・アルシェ。悪いかもしれないけど、もう少し離れてくれないかな?」
「あ、すみません」
今の状況を説明するとアルシェはカイトの腕にギュッと抱き付いているのだ。不安だからの行動だと理解しているが、この状況だと敵からの急な対応が難しいのだ。
「・・・えーと」
アルシェも意味を理解しているのだが、どうも不安と無意識ですぐにカイトの腕に抱き付いてしまう。
これには何を言っても無駄なので先にカイトが折れる。もし、敵が襲ってきても彼女を守って戦うしかない。
「不安なんだね。大丈夫だよアルシェ。君の仲間だって大丈夫さ。ボクが必ずどうにかするよ」
「カイトさん」
心がとても安心する。出会ったばかりなのにカイトと一緒にいれば大丈夫だと思わせてくれるのだ。
地獄のようなナザリック大墳墓も何とかなりそうな気がすると思ってしまう。
そしてドキドキしてしまうのは乙女として仕方ないかもしれない。
「そう言えばアルシェの仲間の特徴は?」
「はい。フォーサイトは私を含めて4人です」
リーダーのヘッケランにイミーナ、ロバーデイクの特徴を丁寧に伝えていく。彼女の説明は分かりやすく彼らを発見すればすぐに分かるだろう。
「これでも私たちは実力者なんですが、ここでは手も足も出ません」
「でもここまで来れたじゃないか」
「運が良いだけです。何者かは分かりませんが多くの強力なモンスターを倒してくれたおかげで来れたと言ってもいいです」
その何者かはカイトたちのことである。カイトやなつめ、ガルデニアたちが怒涛の如くモンスターを倒しては進んでいたからだ。
「そう言えばカイトさんはどうしてこの大墳墓にいるんですか?」
(ギルド対決とは言えない雰囲気・・・)
アルシェたちワーカーは帝国のある貴族から調査依頼をされたからナザリック大墳墓にいる。
カイトたちはアインズたちと親善試合という名目でギルド対決をしている。
全くもって目的が違うのだ。本当のことを説明しづらいカイトは誤魔化すしかなかった。
「・・・ボクたち独自に調査しているんだ」
「独自にですか?」
「うん。仲間たちとこの大墳墓をみつけたんだ。未知の場所だから仲間たち全員で今調査してるよ」
「仲間たちと全員で?」
「うん。まあ、今ははぐれてしまったんだけどね(笑)」
笑って場を和ませようとする。アルシェも「私もです」って言いながら控えめに笑うのであった。
「あの、仲間たちってことはカイトさんはチームを組んでいるんですね」
「そうだよ。.hackersってチームなんだ」
「ドットハッカーズ?」
何処かで聞いたことのあるチームと思った瞬間、すぐに閃いた。何処かなんて言えないくらい有名なチームなのだ。
「ドットハッカーズってまさか・・・王都リ・エスティーゼに起こった災厄を漆黒と一緒に退けたドットハッカーズですか!?」
「災厄って・・・ウィルスバグのことかな」
「じゃあ、カイトさんって『蒼炎』のカイトさんですか!?」
「うん。そう呼ばれてるね」
急にアワアワしだすアルシェ。どこから見ても超有名人に気付いた人にしか見えない。
「す、凄い。まさかあの『蒼炎』のカイトさんだなんて!!」
「ボクってそんなに有名になっているのか」
「なってますよ!!」
.hackersと漆黒は冒険者やワーカーにとても有名になっている。だから当然の反応だ。
特にカイトとアインズであるモモンは英雄として憧れている。様々な者たちから目指す目標とも言われているくらいだ。
特に男性陣からはカイトとモモンが憧れており、女性陣からはブラックローズやガルデニア、ナーベが憧れの対象になっている。
「憧れのカイトさん・・・」
一度は会ってみたい憧れの人がいる。しかも腕まで組んでしまってドキドキと心が熱い。
「さあ行こうアルシェ」
「はい!!」
カイトとアルシェは闘技場を目指す。
side変更
フォーサイト陣営
ヘッケランたちははぐれたアルシェを探していた。凶悪な魔獣の巣窟となっている第6階層を慎重に探し回っている。
気持ちとしては早く見つけたいが焦れば全滅するのは自分たちだ。
だから無事を祈るしかないのだ。
「無事でいてくれよアルシェ」
「神に祈りましょう。アルシェを守ってくれるように」
「そうね・・・って後ろ!!」
イミーナは素早く弓矢を構えてヘッケランの後ろに迫っていたモンスターに矢を放った。
矢はモンスターの頭を貫き、絶命させた。
「助かったぜイミーナ」
「気を抜いたらアルシェを見つける前にアタシたちが死ぬわよ」
矢をもう一度手にとって周囲を確認する。もうモンスターはいない。しかし、どんな未知のモンスターがいるか分からないので警戒は解くことはできない。
「極限状態になりますが今は冷静に」
「分かっているロバーデイク。今頃アルシェはもっとヤバイんだ。俺らが早く見つけてやらないとな」
自分の剣を握り、勇気を奮い立たせる。
ここは危険すぎる。もし攻略するならアダマンタイト級の冒険者チームが必要と判断している。しかし的外れな分析だろう。ナザリック大墳墓はアダマンタイト級でも攻略は不可能だ。
本当に攻略するならカイトやアインズのように有り得ない実力者や特異な能力を持った者しかいないだろう。
「あれは・・・?」
ここでヘッケランたちはある建造物を発見した。それは闘技場である。ジャングル内に闘技場とは驚きだ。そして深まる謎。
「こんな所に闘技場だと?」
「でも、もしかしたら此処にアルシェがいるかもしれません。転移トラップの転移先が此処の可能性があります」
「ロバーデイクのいう通りだ。可能性はある。慎重に急いで調べるぞ」
ヘッケランたちは闘技場へと入場していった。
そして、その数十分後にブラックローズたちが闘技場に到着する。
「ふい~やっと闘技場に着いたわ。ここまで面倒なモンスターばっかりだったから時間が掛かったわよ」
「そうだね~(・・;)」
闘技場の周囲を確認するとカイトたちは居ない。どうやら自分たちが最初に到着したと考える。
すると誰かが此方に近付いてくるのを察知。武器を構えて警戒する。
「ブラックローズにミストラルか」
「ガルデニア!!」
次に到着したのはガルデニア。生傷を見て心配するミストラルは回復魔法で癒す。
「レイチェルは?」
「レイチェルはアウラとの戦いでリタイヤしてしまった」
「そっか~(;o;)」
「だがアウラは倒したぞ」
第6階層守護者であるアウラとマーレは倒した。あとは闘技場を乗り越えれは第6階層は攻略である。
「あとはカイトだけだね」
「そうね。早くしなさいよカイト」
まだ来ぬカイトを待つブラックローズたち。しかしここで闘技場から声が聞こえた。
「今声が聞こえたな」
「ええ。誰か先に闘技場に入ったみたいね。カイトをじゃないと思うけど・・・無視できないわよね」
ブラックローズたちも闘技場に入場する。
そして十数分後にカオティックPKに覚醒したなつめも入場。
「ここが闘技場だね」
「・・・本当に闘技場があった。って、カイトさん。闘技場から何か声が聞こえてきました!!」
「うん。ここで仲間と待ち合わせてたんだけど・・・先に入ったのかな。もしくはアルシェの仲間かも」
カイトとアルシェも闘技場に入場。
「来るなですうぅぅぅぅ!!」
「アーハッハッハッハ!!」
更に十数分後にぴろし3たちも突入した。
side変更
闘技場内
最初に闘技場に入場したのはフォーサイトのメンバーたち。
「ここは闘技場か?」
「そうみたいね。でも帝国にある闘技場より遥かに大きわね」
「それにしてもこんな所に闘技場とは・・・やはり誰かが作ったのか」
闘技場の作りは見事なものであった。それは凄腕の職人が何百人もいないと作れないほどだろう。そんな感想がヘッケランたちである。
慎重に闘技場を調べていると急に声が聞こえた。その声は心の底から悪寒を引き出すおぞましさだ。
「よくぞここまで来たな蒼炎の勇者たちよ!!」
「だ、誰だ!?」
「我が名は・・・・・・・アインズ・ウール・ゴウン!!」
「ア、アインズ・ウール・ゴウン?」
アインズは闘技場に来た者たちをすっかりカイトたちだと思っていた。しかし目の前にいるのはカイトたちで無く、知らない者であった。
(誰だあいつら!?)
カイトたちかと思ったら知らない野郎どもだった。一瞬呆けたがすぐさま状況を確認する。目の前にいる彼らはどう見ても知らない。
このことから推測できるのはただ1つ。それは彼らの正体が侵入者であることだ。何故、「こんな時に侵入者が!?」と思ったが冷静に頭を整理するとある事を思い出す。
(あ、あの時のアレか・・・すっかり忘れていた)
アインズの言う『アレ』とはアルベドとデミウルゴスから提案された魔導国の建国についてである。ナザリック地下大墳墓を異世界で隠し続けるのは不可能である。
ならば、そのうち見つかるのを待つより堂々と異世界に現れた方が良い。それに大きな力を持つ者としての一角になれば動きやすいのだ。
(まさか今日だったとはな)
「アインズ様。彼ら侵入者のようです。ここで消しますか?」
「いや、ここは私に任せてくれ」
その手始めは目に前にいる侵入者だ。実はアインズが帝国のある人物を利用してワザと侵入させるように仕向けたのだ。
そして神聖なるナザリック地下大墳墓に侵入させたという罪で帝国を脅すのだ。脅しによって帝国と関係を持ち、建国のため利用する。
強大な力を持つアインズたちにこそ出来るゴリ押し建国作戦だ。
(カイトさんたちとギルド対決するというウキウキで忘れてた・・・何か恥ずかしい)
骨の手で額を抑える。どうしようかと考えるが、焦っていては主として威厳が無い。ここは魔王ロールで通すしかないと判断。
「・・・まさか我が神聖なるナザリックに害虫が侵入するとはな」
相手を凍らすような声で答える。
「・・・我々はフォーサイト。リーダーのヘッケランと言います。貴方はこの大墳墓の主とお見受けします」
ヘッケランが丁寧に自己紹介をする。ここで対応を間違えたら終わりだと理解しているからだ。
「我々はここの調査のために来ました。そのことが貴方の不快にさせたのならば深く謝罪いたします」
「ああ。不快だな」
絶対零度とも言える言葉。
「申し訳ありません。不快ならば今すぐにでも消えましょう」
「さっさと消すか」
「え・・・?」
どこか話が一方的。そもそも会話にすらなっていない。
「どうした。害虫を消すのがそんなに変なことか?」
「我々は害虫ではありません!!」
「害虫だよ。お前たちは自分の住処に入って来た嫌悪する害虫を優しく外に出すのか?」
そんなことはしないだろう。常識的に、一般的な人間の理性で考えても自分の家に害虫が入れば退治するのが当たり前。
しないのはよっぽどの博愛主義者か聖人だけかもしれない。
「しかし、ここは闘技場だ。害虫を自慢の駒を使って駆除するのも一興かもな」
「お、お待ちください。我々は・・・」
ここでヘッケランは生き残るために嘘をつこうとした。
アインズの仲間と知り合いだと言う嘘をだ。もしかしたら何とかなるかもしれない。しかし、その嘘は怒りを出す最悪の言葉。
言おうとしたが、言えなかった。現実はそれで良かったのだ。言えなかった理由は闘技場の入口である。
「カイト居るのー!?」
「闘技場にIN!!」
「誰か居るが・・・カイトでは無いぞ」
ヘッケランの知らない者たちが現れたからだ。彼女たちはブラックローズ、ミストラル、ガルデニア。
今アインズたちとギルド対決をしている者たちだ。知らないヘッケランたちはまさかの登場に驚きを隠せない。
(誰だ・・・ワーカーなのか。でも今回の編成チームに彼女たちは居なかったぞ!?)
(もしかしたら帝国側がアタシたちに内緒で用意したチームかもよ)
(保険ってことか)
勘違いな予想をしているヘッケランたちとは別にブラックローズたちはすぐさま彼らのことを理解する。
それは『侵入者』であること。そしてギルド対決中に侵入してしまった哀れなワーカーであることだ。
(アインズさん。どうすんのコレ?)
(・・・取りあえずオレに合わせてくれませんか。こいつらはちょっと攻撃して気を失わせます)
(良いけど。でもアタシたちは空気的にアインズさんの敵だからワザとらしくすることはできないからね)
(はい。そこは戦いながらこちらでどうにかします)
メッセージ会話で状況を簡単に説明。
「さらに侵入者か・・・今日は厄日だな。アルベドよ、デスナイトを出せ」
「はいアインズ様」
デスナイトが5体も闘技場に現れる。デスナイトを見た瞬間にフォーサイトの面々は更なる驚きを出す。
「く・・・戦うしかない!!」
強力なモンスターが襲いかかってくる。どのモンスターも凶暴だ。フォーサイトのメンバーは決死の覚悟で挑む。
「油断するな。決死の覚悟で挑め!!」
ヘッケランの言葉と共に戦いが始まる。目の前の敵はデスナイトが5体だ。状況は絶望的だが生きてナザリック地下大墳墓から脱出してみせる。
「イミーナは援護射撃。ロバーデイクは神聖魔法で攻撃。俺は撹乱させながら攻撃する!!」
相手は伝説と言われるデスナイト。正直に言って勝ち目は0に等しい。だが死ぬわけにはいかない。
「そこのアンタたち。俺らに力を貸してくれ!!」
「いいわよ」
そもそも力を合わせても絶望的な状況はあまり変わらない。しかし人数は多い方が良いに決まっている。それがヘッケランの感想だ。
デスナイト5体に対して此方は合計で6人。それでも足りないだろう。この異世界の冒険者にとっては。
「頑張るぞお(^^)ノ」
ヘッケランたちにとっては絶望的な相手。だがブラックローズたちにとっては普通に戦える相手だ。無論、油断なんてしないで全力で戦う。
「ミストラルさんは魔法で援護をお願いします。ブラックローズさんとガルデニアさんは俺と一緒に前に!!」
「了解(^-^ゞ」
「分かった」
「アタシは何時でも準備万端よ」
デスナイトとの戦いが始まる。
「ラプボーブ~ラプコープ」
「仲間全体への防御上昇と攻撃上昇魔法ですか!?」
ミストラルがいつも通り援護魔法を発動したらロバーデイクに驚かれた。それは援護魔法というものが貴重な魔法の1つだからだ。さらに仲間全体となれば尚更である。
「何を驚いてんの。余所見しない!!」
「お、おう!!」
既にブラックローズとガルデニアはデスナイトに突撃していた。それを見て一瞬無謀と思ってしまい、声を掛けようかとしたが意味は無し。
「はあああああ!!」
「突貫!!」
ブラックローズは自慢の大剣でデスナイトを真っ二つに切断。ガルデニアはデスナイトの体の上半分を突き飛ばした。
これでデスナイトは残り3体になった。
「え!?」
驚くヘッケランたち。
ここで彼女たちの攻撃は止まない。
「骨破砕!!」
「刺々舞!!」
追撃し、さらに2体のデスナイトをコナゴナにして倒した。
「お、おい。嘘だろ・・・」
「オルレイザス^_^)/☆」
そしてミストラルが最後の1体であるデスナイトに向けて光の魔法を放つ。アンデット族には光の魔法は相性が最悪で食らえばひとたまりもない。
光の閃光はデスナイトを貫き、消滅させた。
(うむ。デスナイト5体じゃ足らないか。壁モンスターとしては中々使えるが相手がブラックローズさんたちみたいに上級者には厳しいな)
「次来なさい!!」
「これは現実か?」
ヘッケランたちは目の前で起きた現実に驚いていた。デスナイトは確かに伝説のモンスター。その伝説モンスターをブラックローズたちは軽々と倒したのだ。これには本当に驚くしかない。
(これは・・・もしかしたら!!)
先程まで絶望しかなかったが、今は希望の光が見えた。そして更に希望が見えたのだ。
「みんな!!」
「ア、アルシェ!!」
はぐれたアルシェとの再会。フォーサイトが全員集合した。そしてカイトも合流。
「ゴメン。待たせちゃったね!!」
蒼炎を纏って登場である。しかしフォーサイトと言うイレギュラーはまだ解決していない。
読んでくれてありがとうございました。
感想など待っています。
さて、カイトと遭遇したアルシェはもう安全です。
そして憧れのカイトと出会って乙女全快となってます。カイトよ・・・いつのまに
そしてヘッケランたちもブラックローズたちと合流して死亡フラグを回避!!
あぶねえよヘッケラン・・・(汗)
カイト 「もう安全だよ」
アルシェ 「はいカイトさん!!」←乙女なアルシェ
ヘッケラン 「何か助かりそう」
ブラックローズ「死にはしないわよ」