今回で本当に決着です。そしてVOL.3も終了ですね。
VOL.3が一番長かった気がします。
では、物語をどうぞ。
ギルド対決決着へ
データドレインの影響によりヘルバの張った隔離結界は破壊された。バラバラと崩れる中、アルベドたちやブラックローズたちはカイトとアインズの元に急いで向かう。
「アインズ様あああああああ!!」
「カイト無事よね!?」
「んアインズ様!?」
「これは・・・」
ブラックローズたちが見た光景はカイトが黒いチムチムを両手でガッチリと抑えながら倒れている姿であった。
「アインズ様は何処に!?」
「落ち着いてくださいアルベド様。よくあの黒い丸い物体を見てください」
「あの黒いのを?」
パンドラズに言われて冷静に黒くて丸い物体を見た瞬間にアルベドは信じられなかった。
「アインズ様!?」
「はい。恐らくカイト様の攻撃を受けてあの姿になってしまったのでしょう。・・・とても可愛ら、じゃなかった。あの姿では危険です。今すぐ助けに行きましょう!!」
「そうね。とても可愛ら、じゃなくて助けに行くわよ!!」
アインズが黒いチムチムになったのは理由がある。それはデータドレインを受けたからだ。改竄されてレベル0となってしまっている。今の姿では雑魚モンスターにすら勝てない。
(何だこの姿はああああ!?)
本人も驚きで何も出来ない。データドレインを受けるとこの姿になるとは恐れてしまう。受けた自分だから分かるのだ。今の自分はもう何も出来ない。
(これがデータドレインか。でもカイトさんも超位魔法をくらっているから只じゃすまないはず)
アインズの予想は正解で、カイトはまともに動けない。高火力過ぎる魔法を食らったのだから当然だ。
(体が上手く動かない。何とかアインズさんにデータドレインを放ったけどこれじゃあ・・・)
立ち上がるのも難しく、魔力も切れてるので回復魔法も使えない。
ここはもう這ってでも第8階層を突発するしかないのだ。運が良いのかゴールまで近くである。しかし制限時間も残りわずか。
「何とかゴールまで・・・」
「カイト!!」
ブラックローズたちとアルベドたちが近付く。まだ動けるブラックローズたちにゴールまで行ってもらうのが一番だがアルベドたちが許してくれるはずもない。
「ブラックローズにミストラル、ヘルバはアルベドたちを足止めして!!」
「そのつもりよ。早くゴールしなさい!!」
カイトを邪魔させまいとブラックローズたちはアルベドたちの前に出る。
「アルベドにパンドラズ・アクター、ナーベラルよ。早く蹴散らしてカイトさんを止めるのだ。私も出来る限りの事をしよう!!」
「お任せくださいアインズ様!!」
アインズは何とかカイトの両手でから脱け出してゴールまで這うカイトの背中にチムチムアタックを仕掛ける。ただ体当たりをしてるだけで普通は効かないが今のカイトに充分に効くのだ。
何せボロボロの身体に鞭を打っているようなもので、今のカイトの状況を例えるなら、全身大火傷なのに背なかで子供が跳び跳ねてるようなものである。これはキツい以外の何物でもない。這う力さえ取られる。
「地味に効くよアインズさん・・・」
「これしか出来ないんですけどね」
残り時間僅か。
「ヘルバにミストラルは大丈夫?」
「私はそろそろ魔力切れ~(´Д`)」
「私は平気よ」
「アルベド様にナーベラル様は平気ですかぁ!? ちなみに私は我慢してますが限界一歩手前でぇす」
「私はまだ大丈夫よ。あの女と決着はまだついてないしね」
「私もそろそろ限界です。あと、魔法を1、2放てるかどうかです」
お互いに満身創痍手前。アルベドとヘルバは平気だが残りは一回でも交戦したら次は動けない。
「残り時間は少ない。ならばカイトさ止めればこちらの勝利なのだから強引に突破するわよ。タイムアップを狙う」
「アルベド様の考えが良いでしょう」
アルベドたちが今すぐにでも突撃しようとする姿を見て構える。
今の戦いの流れは微妙にナザリック側にある。だが、どの世界でも時の運があるものだ。
この状況を変えたのはカイトたちでもアインズたちでも無い。流れを変えたのは二人の戦士であった。
「せえぇぇい!!」
多きな声と共に剣がアルベドに飛んでくる。だがアルベドに効くはずもなく弾かれる。
「届かないものだな・・・」
「バルムンク!?」
ボロボロの身体でも何とか第8階層に辿り着いて最期の力で剣を飛ばしたのだ。不発に終わる結果となったが流れは変化した。
「今ね」
「おのれ!?」
ヘルバはアルベドの一瞬の隙をついて攻撃をする。いきなりのスタートだがブラックローズたちもパンドラズに攻撃をする。先手を取れただけでも充分だ。
「先手を取られたか。しかしまだ巻き返せる!!」
アルベドの言う通り一瞬の隙くらい巻き返せる。しかし次の男の登場で流れは完全に変わる。
「YAHAAAAAAAAAAAAA!!」
黄金戦士のぴろし3の登場であった。
「何!?」
「ぴろし3!!」
トンデモ黄金戦士ぴろし3はもうゴールしか見えていない。全力で走りきる。
「させるか黄金戦士め!!」
アルベドがヘルバの攻撃を無視してバルディッシュをぴろし3に投げつける。回転しながらバルディッシュはぴろし3の背中に直撃した。
黄金の鎧で守られているとはいえ、重い一撃だ。
「ぬおおおおおおおおおおお!?」
「ぴろし3!?」
「んぬぬ・・・まだまだあああああああ!!!!」
ぴろし3は最後の力を振り絞り、チムチム化したアインズが張り付いたカイトを持ち上げて勢いよく投げた。
投げた先は第8階層の出口。まさにゴールである。
「気張れよ良き目をした人、カイトよおおおおおおおおお!!」
「ぴ、ぴろし3!?」
「どっせええええええええええい!!!!」
カイトとチムチムになったアインズが勢いよく飛んでいく。
「「うわあああああああああ!?」」
飛んでいく最中、アインズは何とか止めたいが今の姿では何もできない。カイトはこのまま邪魔されなければゴールに到達できる。
このことから分かったのはカイトがチムチムとなったアインズと共に第8階層を突破したことである。
「ゴ、ゴール!!」
.hackersVSアインズ・ウール・ゴウンのギルド対決は.hackersの勝利となった。決着は対決終了1秒前だったと言う。
長いようで短いギルド対決がついに終わる。どの者たちも全力で戦い抜いたのであった。
side変更
カイト、アインズ陣営
ついにギルド対決に決着がついた。勝利したギルドは.hackersである。
戦いを思い返してみると接戦であり、どっちが勝ってもおかしくないものであった。途中でイレギュラーも起きたが無事に解決している。今回のギルド対決は成功でだ。
この勝敗によって喜ぶ者、悔しがる者、満足する者、リベンジしたいと燃え上がる者。様々な者が思いを寄せる。
「ハッハッハッハ。勝ったぞ良き目をした人よ!!」
「うう・・・こんな奴が勝つなんてぇ」
「どうしたのだエントマよ?」
「エントマさんは負けて悔しいんですよ」
ぴろし3となつめ、エントマが軽食を食べながら今回の戦いについて感想を言う。エントマはスナック感覚でゴキブリを食べているのでなつめは食欲を無くす。
しかしぴろし3は全然平気そうに食事を取っていた。精神も黄金であるようである。
「セバスの拳は効いたぞ」
「それはこちらもですバルムンク様。あの剣の鋭さ・・・感服しました」
「俺はシャルティアに血を吸われたのが一番ヤバかったぜ・・・マジで貧血で倒れる寸前だった」
「・・・オルカの血は美味かったでありんす。ならカイトはもっと美味いんすかねえ」
「吸ったらうちらの女子全員に殺されるぞ」
「うっ・・・それは嫌」
流石のシャルティアも怒り狂う.hackersの女子全員と戦う気にはなれないようである。
「今度は俺がリベンジする番だぜコキュートス」
「フ・・・イツデモ相手ヲシヨウ」
「今度はオレも負けねえ」
「トコロデ、ソノ、エルフハ?」
「聞くな」
砂嵐三十郎にマーロー、コキュートスが静かに今度のリベンジに話し合う。
「おかえりなさい・・・エンデュランスさん」
「ただいまマーレ」
マーレが帰ってきたエンデュランスに挨拶をする。彼はフォーサイトをナザリック地下大墳墓から一緒に脱出させて安全なところまで送ってやったのだ。
さらに他のワーカーたちも傷を癒して安全なところまで運んでいる。その後、彼らがどうするかは彼ら次第である。
(彼らはあれでも冒険者。大丈夫だろう)
フォーサイトが帝国に到着するには数日かかるだろう。彼らが無事に帝国へと到着することを願う。
「アウラ。ペットは無事か?」
「ガルデニアが潰しておいてよく言うよ。・・・まあ無事だけどね」
戦いの後はアウラは愛するペットたちのキッチリとケアしている。しかしペットたちはガルデニアがトラウマになっているだろう。
「あの力は一体何ですか八咫?」
「秘密だよ。君が秘密にしていることがあるようにね」
「全く、タダでは教えてくれませんか。あの能力は危険ですよね」
「こちらとしてはワールドアイテムが恐ろしいまで脅威だがな」
戦いが終わったら今回得られた情報を静かにまとめる2人。それでもまだ情報が欲しいと貪欲だ。
「・・・・・ふん」
「あら、不機嫌ねアルベド」
「そんなこと無いわよ。今私はアインズ様を探しているのよ」
「あらそう」
「あ、アルベドさん。向こうにアインズ様がいましたよ」
「助かるわなつめ。貴女に言われたように負けて傷心なアインズ様を癒してウフフなことに・・・!!」
「頑張ってください!!」
「人間でもヘルバよりなつめの方がマシね」
「酷い言われようだわ」
それでも気にしないヘルバである。
「アルベドが走って来ましたよアインズさん」
「うおおお!? パンドラズ・アクターよ止めるのだ!!」
「んお任せあれアインズ様!!」
「これで良し」
「これ以上このままだとカオスになりそうだから一旦締めよっか」
「そうですね」
アインズが皆の前に出る。
「私の話を聞いてくれ」
アインズが口にした瞬間に階層守護者たちは静かになる。やはり忠誠心のたまものだろう。
「今回のギルド対決見事であった。皆が全力で戦い抜き、素晴らしかったぞ。我々は負けてしまったが、これで分かったのではないだろうか。我々は無敵の存在で無いことを」
アインズたちはこの異世界で破格の強さを誇る。まだ見ぬ強者はいるかもしれないがこれまでのことを考える無敵と思ってしまうだろう。無論、ウィルスバグのことを考えなければの話だが。
「我々は油断してはならない。今回の戦いで何か得られる物があったならば良いと思う。私は今回の戦いで勉強になったものだ」
そう。今回の戦いでいくつか勉強になったものだ。魔法の応用や戦いの策、様々だ。
「まあ難しい話はここまでにしよう。今はギルド対決が終わった祝いをしよう。勝者の.hackersに喝采を」
「ありがとうアインズさん」
勝利の喝采が耳が痛くなるほど響くのであった。
side変更
バハルス帝国陣営
ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスはバハルス帝国の現皇帝にして、圧倒的なカリスマを持つ絶対的な大君主である。
そんな彼は信頼する部下を部屋に呼んで会議を行っていた。会議と言っても堅苦しい感じではなく、誰もがリラックスしている感じで会議を行っている。
ジルクニフはその姿を不敬と思っていないし、寧ろその方が気が楽である。
「今回の議題だが王国に現れたとされるヤルダバオトについてだ。じい、何か情報が分かったか?」
「いえ、情報はまだ何も入っておりませぬ」
「じい」と呼ばれたのはフールーダ・パラダイン。バハルス帝国の主席宮廷魔法使いであり、帝国魔法省最高責任者であり、英雄の壁を越えた大陸に4人しかいない「逸脱者」の魔法使いの1人である。
帝国の要の1人でもある。
「そうか。王国に現れたヤルダバオトのことが気になる。それに黒い災厄や女神も気になる」
「黒い災厄も奇跡の女神も情報がありませぬな。このフールーダ、お恥ずかしながら何も分かりません」
「気にしないさ。こればかりは謎だらけだ」
王国で起きた「ゲヘナ」と「カオスゲヘナ」は大陸中に広まっている。その内容も広まっているので、毎年戦争をしている王国で起こった事件ならば調べ上げたいのだ。
もしかしたら今度は帝国にヤルダバオトや黒い災厄が降りかかるかもしれないので情報は大いにこしたことはない。
「ある程度の情報ではヤルダバオトは多くの悪魔を引き連れて王国に攻め込んだようです」
「ああ。そしてその後は黒い災厄が悪魔ごと王国を飲み込んだらしいな」
大悪魔ヤルダバオトも気になるが、最も警戒しているのが黒い災厄である。屈強な戦士も凶悪な悪魔も簡単に飲み込んだ脅威は信じられない。
そもそも王国を飲み込んだ事実が恐ろしいのだ。その事を思うと帝国だって簡単に飲み込まれるだろう。
「こんな状況で今年は戦争は難しいな」
「ということは戦争は無しと?」
「今は王国は痛手を受けている状況だから攻め時かもしれんが、何も情報も無しに攻めることができない」
そしてまだ気になることはあり、それは「奇跡の女神」である。黒い災厄を全て祓った存在である。この存在もまた信じられないものである。
しかし「六大神」という例があるため、新たな神なのかもしれない。これでは七大神だろう。
「女神に関しては更に分かりません。本当に奇跡のような話ですから」
先ほどから分からないばかりで申し訳ない顔をするが、本当に情報が集まらないから仕方ないのだ。ジルクニフも今回の内容に関して情報収集の困難さは理解しているので責めることはしない。
「奇跡の女神とやらが王国ではなく帝国に降臨してもらいたいものだ」
「祭壇・・・神殿でも作りますか?」
「スレイン法国の真似事か。そもそも女神の名前も分からんぞ」
「ああ。名前だけなら情報を得ましたぞ。アウラ・・・という名前だそうです」
「流石じいだな。女神アウラか」
フールーダのごくわずかな情報からでは女神はアウラという名前で奇跡の音と共に降臨するらしい。
「ふむ・・・次は黒い災厄と戦った者たちだが、王国戦士長と蒼の薔薇はいいとして「ドットハッカーズ」と「漆黒」の情報は得られたか?」
「はい。彼らは冒険者なので情報は先ほどより得られました」
.hackersと漆黒の冒険者チームを説明していく。2つのチームは異例の速さでアダマンタイト級に昇格し、どの依頼も素早く最高の結果でこなす。
黒い災厄もこの2つのチームが主動で解決したようなのだ。それだけなら階級もアダマンタイト級よりも更に上だと言いたい。
漆黒はモモンとナーベと言う2名で構成されたチームである。出で立ちや出身は謎に包まれているが人柄は良いとされている。
.hackersはカイトがリーダーで仲間は複数名いるらしい。仲間はまだ全員明かされていないが実力はアダマンタイト級らしい。
「このリストの中で『麗槍』のガルデニアってのはあのガルデニアか?」
「得られた情報の姿などを照らし合わせると本人となりますね」
「そうか。彼女は相当強いと思っていたが・・・これほどとはな」
初めて彼女たちが帝国に来た時を思い出す。見ただけで相当の実力者だと分かったほどである。だからすぐにスカウトした。
しかし、彼女たちは旅の目的があるため振られてしまったのだ。せめて、客将扱いで帝国に留まらせたが、つい最近用事があるとのことで今は居ない。
「今ガルデニアが居ればすぐにでも確認できるのだがな」
「そうですね。あともしかしたら砂嵐三十郎殿たちもドットハッカーズの一員なのかもしれませんね」
「そうだな。・・・砂嵐三十郎にマーロー、月長石、エンデュランス。彼らも驚くべき人材たちだ。本当に我が帝国に所属させたい」
この気持ちは本気である。こんな貴重な人材を取り逃す程甘くは無いジルクニフだ。調べによると.hackersも漆黒も王国で冒険者を登録で登録しているが、まだどの国にも完全に所属していない。
ならばどうにか接触して帝国に所属させるつもりである。伝手ならガルデニアや砂嵐三十郎が帰ってくれば大丈夫だ。
「エンデュランスは特に驚いたものだ。まさか初日で闘技場のチャンピオンに上り詰めるとは思わなかったぞ」
「確かにそうですな。闘技場には一癖も二癖もある戦士たちばかりなのですが全て一蹴しておりますゆえ」
「何が何でも所属させてみせるぞ」
皇帝として貴重な人材を逃すつもりはない。今からどう所属させようかと頭で考える。
やはり待遇だろう。金や女、男、位も何でも利用して使う。それほど欲しい人材なのだ。
(今度はガルデニアが逃げないようにレイ将軍を遠ざけておくか。用事があると言っていたがあれはどう見てもレイ将軍から逃げたからな)
惚れたとは言え、行動がやりすぎると困ってしまうものだ。
「次はカルネ村に現れたアインズ・ウール・ゴウンだが」
「それも情報が無いですね。噂を聞けば相当腕の立つマジックキャスターだとか。フールーダ様程ではないと思いますが」
(何を言うのだこの者は。あのお方の魔法の腕は私なぞが到底勝ち目など無いわ!!)
外見は冷静だが内心は憤るフールーダ。アインズよりもフールーダが上なんてありない。寧ろこちらが魔法を教えてもらいたいのだ。
実はフールーダはアインズと接触しており、契約をかわしている。彼は帝国に長年仕えておきながら魔法の深淵を見たいがために裏切っているのだ。
「そうだ。今回の大墳墓の調査はどうなった?」
「それですが・・・調査隊のワーカーたちは全滅した可能性があります」
「全滅?」
「はい。現在何も連絡が無いため全滅した可能性があります」
「そうか。資料を見たら腕の立つワーカーたちかと思ったんだがな」
(あのお方がいる場所ならどんなワーカーでも全滅だろうな)
「しかし、まだ可能性なので連絡はまだ待ちます」
「三日待って何もなければ全滅と判断しろ」
「畏まりました」
議題は多いが会議は順調に続く。しかし、その時に大きな地震が発生した。この揺れは今までに感じたことの無い規模である。
「何だ何だ!?」
「陛下は安全な所に!!」
地震に安全な場所も何もないが、冷静に周囲を確認しながら瞬時に物が落ちてこない場所に移動する、さらに周りに守護する者が囲む。
「・・・収まったか?」
地震は数秒であった。そして今度は少女の声が大きく響いてきた。
「えー・・私はナザリック大墳墓の使者です。この国に我らの神聖な墳墓に侵入者を送り込んだ愚かな人間がいます。アインズ様はお怒りです。すぐにその愚かな人間を差し出しなさい」
この言葉を聞いた瞬間にジルクニフは焦る。どうやってその答えに辿り着いたのか、帝国側も馬鹿では無い。情報が漏えいしないように細心の注意をしている。だがバレてしまったのだ。
(何故分かったんだ・・・)
「出てこないならまた地震を起こしますよ」
「地震だと。まさかこの声の主がやったのか!?」
「陛下。外にドラゴンがいます!?」
「ドラゴンだと!?」
城の庭に出ると空にドラゴンが飛んでいた。よく見えないが2人の影が見えた。
「こ、これは・・・」
「あ、皇帝っぽい人が出てきた。えー、アインズ様はお怒りですが皇帝自らが謝罪に来るならば許すのも考えると言っております。嫌ならもっと帝国が酷い目に合いますよー」
ジルクニフは庭から帝国の状況を見ると地震の影響なのか地割れが起きて大打撃を受けていると瞬時に理解した。被害はどれほどなのか、民は無事なのか、大切な戦士たちは平気なのか。グルグルと頭を回転させてどうするべきか考える。
「民は平気ですよー。戦士たちは・・・たぶん大丈夫じゃないかな」
(この・・・あれは子供のダークエルフか!?)
さらによく見るとドラゴンの背中に乗っているのが2人ノダークエルフだと分かった。更にあの者たちが議題に出ていたアインズ・ウール・ゴウンに大墳墓の関係者とも分かったのだ。
彼はアインズの戦力がとんでもないと一瞬で理解した。ドラゴンを使役して、ダークエルフが大きな魔法を使う。これだけでも戦力さが分かる。
「謝罪に来ますかー?」
(くそっ・・・こんな時に限ってなぜ砂嵐三十郎たちはいないのだ!?)
勝てるかどうか分からないが彼らなら戦えそうな気がするのだ。しかし今は居ない。
貴重な戦力である帝国四騎士でも難しいだろう。そもそもドラゴンの背中にいるダークエルフに攻撃が届かない気がする。
「・・・良いだろう。俺自ら赴いてやる。アインズとやらの腹を探ってやる!!」
ジルクニフ、ナザリック地下大墳墓に行くことが決定する。
side変更
???陣営
真夜中の森。その中でも大きな樹の天辺の太い枝に黒髪の少年が座っている。
シャクリと森で採れた瑞々しい果実をかじりながら複数の小さなモニターを見ている。
「ふーん。骨の王様は中々強いや。面白そうだね」
シャクリともう一度果実をかじる。
「そしてカイト。ボクの表の存在。ボクが影ならカイトは光・・・早く会って話したいけど今はまだその時じゃない」
シャクリと果実をたいらげる。
「でもまだ彼以外にもボクの表がいるんだよね。今度はそっちを見に行ってみようかな」
ピッと腕を上に上げると魚が少年の前に現れた。実は少年の下は川が流れており、魔法で釣り上げたのだ。
魔法で魚の内臓を取りだし、ポキリと折った枝を突き刺す。あとは炎の魔法で焼き上げる。
「はむ、はくはく」
なんとも美味しそうに食べるものだろう。
「八相の破片データを取り込んだウィルスバグも残り2体か。頑張れカイト」
残りの八相の破片データを取り込んだウィルスバグは残り2体。『復讐する者』タルヴォスに『再誕』コルベニク。
この2体が厄介であり、特にコルベニクは最大の敵となるだろう。何せ能力が本当に異世界を無に還す力を持っている。正確には無に還すというよりも再誕。一度、世界を最初に戻す能力だ。
「タルヴォスは『復讐する者』だから勝手に向かうからね。いつ、何処で襲ってくるか分からないよカイト」
指を簡単に振るうと新たなモニターが現れる。写るは白髪の青年である。
「彼らはカイトたちとは違う活躍をしてるみたいだけど・・・いつ会合するのかな。それも楽しみだ」
黒髪の少年はその場から消えた。これから起きる未来に楽しみにしながら。
読んでくれてありがとうございました。
感想などあればガンガンください。
ついに決着。
勝利はカイトたちでした。やはりぴろし3が最後の決め手でしたね。
(アインズ側のファンの方は怒らないでね)
補足だけど全盛期のナザリックならまともに戦えばカイトたちは負けてましたね。
もし戦うなら黄昏の騎士団メンバーじゃないとキツイかもですね。
(データドレインに関しては反則すぎるので、もともと勝負にはならないかも・・・)
そしてついに帝国のジルクニフが出てきました。
鮮血帝はアインズと腹の探り合いを始めます(アインズはそうでもない)
でもこの物語にはカイトたちがいますので原作よりは希望があると言うか胃のダメージが少ないでしょうね。
そんでもって最後に出てきた黒髪の少年とは!?
ではまた次回です。
アインズ 「まさかチムチムになるとはな・・・」
パンドラ 「とても可愛らしかったです。んアインズ様!!」
アルベド 「ハァハァ・・・アインズ様」
アインズ 「何かアルベドの目が・・・」