.hack//OverLord   作:ヨツバ

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ついに再誕!!
最終決戦です。コルベニクはなあ・・・強敵すぎる。
絶対防御って何さ!! 冷酷なる搾取って何さ!?

では始まります。


再誕

最終決戦。

 

ウィルスバグとの戦いは最終決戦を迎えた。カッツェ平野には大量の黒いバグモンスターで埋め尽くされている。

その光景はまさに魑魅魍魎である。あんなモノが国や都市に雪崩れ込んだら一瞬で侵食感染して終わりだろう。何せ、ウィルスバグを倒せる人物は今の所、カイトたちだけだからだ。

侵食感染なんて、そんなことをさせないために今回カイトたちは帝国と王国に話して戦争を取りやめてもらった。そもそも侵食感染なんて可愛いもので、それよりも上である再誕が一番危険である。

 

「凄い数のバグモンスターだ」

「そうですね。これほどのウィルスバグの数は『カオスゲヘナ』以来ですよ」

 

カイトは今、アインズと一緒にカッツェ平野にある丘の上にいる。

 

「帝国と王国は今回の戦争を中止してウィルスバグと戦うために力を合わせるですよね、この世界の歴史からしてみればカイトさんは偉業を成しましたね」

「偉業?」

「ええ。だってずっと続く王国と帝国の戦争を止めて一時的とはいえ協力までさせたんですから」

「今回は事情が事情だからだよ」

「それでもですよ」

 

今回の戦いはリ・エスティーゼ王国とバハルス帝国が協力のもとでウィルスバグの殲滅をすることになっている。

世界の危機の中心であるカッツェ平野で戦争なんて馬鹿な真似はできない。ならば力を合わせて世界を救うべきだ。

その後に戦争でも何でもすれば良い。国同士の戦争はカイトたちが止める案件ではない。流石の彼らも国のイザコザは解決できないからだ。

いや、止めようと思えばできるだろう。何故なら力があるからだ。しかし、何の目的も無いのに戦争は止められない。

戦争は国が決めた事だ。力があっても一介の人間であるカイトたちが戦争は止めようとは思えない。戦争は国同士が何度も対談し、決裂した結果起こる最終結果だ。

 

「それでも今はウィルスバグの方が重要だ…おっとヘルバがワクチンプログラムフィールドを起動したみたいだ」

「略してWPFですね。今回は規模が規模ですから王国兵や帝国兵でもバグモンスターを倒すためにWPFの範囲内にいる者でも倒せるんですよね」

「そう。完全にWPFが張られたね」

 

ワクチンプログラムフィールドがカッツェ平野を覆った。これで一般の兵士たちもバグモンスターに有効だ。しかしそれでも相手はバグモンスター。

簡単に倒せるとは言えない。複数で戦わないと厳しすぎるだろう。だからカイトたちが主要で戦わなければならない。

 

「まずはあのバグモンスターをいっきに倒さないと」

「それに関してはオレの超位魔法でなんとか一気に減らします」

「分かった。こっちも紋章砲を撃つ用意はできてる」

「はい。お願いしますね」

「じゃあボクはそろそろ蒼の薔薇の所に行くね。戦争には参加しないけど世界の危機だから戦いに出るみたい」

「分かりました」

「絶対に勝とう」

「もちろん」

 

カイトは王国側へと移動する。それと入れ替わりにアルベドとパンドラズ、デミウルゴスが来る。

 

「アインズ様。我が最高峰の軍の準備ができました。いつでも行けます」

「そうか。よくやった」

「私めもいつでも戦えまぁす!!」

「うむ。パンドラズ・アクターよ。期待しているぞ」

 

アインズたちの後ろに控えるナザリック軍は壮観な光景だ。王国軍も帝国軍もナザリック軍を見れば如何に強大な軍だと分かるだろう。

最もウィルスバグの軍勢の方が意味合いとしては絶望的ではある。両国はナザリック軍の強大さに慄き、ウィルスバグの存在に絶望してしまいそうになる。

 

「それにしてもアインズ様。ナザリックの戦力をここまで集める程なのでしょうか? 今までも強大な敵だったとは言え、過剰戦力的な気もしますが」

「アルベド。君は最後の八相を分かっていないようだね」

「デミウルゴス」

「説明でもあっただろう。相手は『再誕』というスキルを持っている。それが発動さえすればどんな戦力をもってしても意味は無いんだ」

「その通りだ。はっきり言って我がギルドメンバーが全員揃っていても『再誕』が発動すれば終わりだ」

「至高41人がいても…」

「そうだ。だから今回は時間との戦いでもある。負けるつもりはそうそう無いが、負ければどうせ全てが終わりだ。ならばナザリックの力を存分に使う」

「分かりましたアインズ様!!」

 

今回の最終決戦は決死の覚悟で挑まなければならない。今までもそうであったが、今回の戦いは本当に倒すか消えるかの2択だ。

 

「デミウルゴス。軍の指揮は任せる」

「は!!」

「アルベドにパンドラズ・アクターよ。お前たちは我が傍に。最終決戦時の援護を頼む」

「んぉ任せくださいアインズ様ぁ!!」

「もちろんですアインズ様。この身に代えてもお守り致しますわ!!!!」

「頼むぞ。ではウィルスバグと両国に我が力をお見せしようではないか」

 

 

side変更

 

 

リ・エスティーゼ王国軍のある箇所に蒼の薔薇たちが陣取っていた。彼女たちもこのウィルスバグとの最終決戦に参加しているのだ。

なぜなら『カオスゲヘナ』で活躍した英雄だ。王国側からしてみればこの最終決戦で必要な人材だろう。そして、英雄は彼女たちだけではない。王国軍の戦士長であるガゼフにブレイン、クライムもその場に居た。

 

「ガゼフさん。お疲れさまです」

「蒼の薔薇のラキュースか。なに、まだ何も疲れてはいない。疲れるのはこれからだ」

「ですね。正直、あの数は想像以上でした。帝国と数を合わせないと本当に厳しいでしょう」

「ああ。だからこそカイト殿はある意味偉業を成したようなものだな。王国と帝国が一時的とはいえ手を組むとは」

「カイト様なら当然だ」

 

イビルアイが当然だと、さも当たり前のように言う。ガゼフもまたその意見には賛成している。カイト程の者はそうそういない。

 

「カイト殿は最高峰の戦士になるだろうな」

「そんなの当たり前だ」

「バルムンクだって負けてないわ」

「そうだぜ。アイツの剣はもはや完成されたものだ」

 

今度はラキュースとブレインがバルムンクのことを語り出す。

 

「ほんっとラキュースはバルムンクにゾッコンだな」

「そ、それは!?」

「もうその反応も見飽きた。ラキュースもイビルアイもな」

 

ため息を吐くガガーラン。カイトとバルムンクに会う度に出す同じリアクションにもう飽きてきた。

そろそろ次の段階にいい加減に進んでほしいところである。

 

「おーい」

「この声は…カイト様!!」

「バルムンク!!」

「そういう反応だよ」

 

カイトたちが彼女たちのところにきたのは開戦前のあいさつだ。

今回の戦いの流れは既に知れ渡っている。カイトたちがまず開戦の紋章砲を放ってバグモンスターたちを一掃する。次にアインズの超位魔法を放ってさらに駆逐する。

それでも全ては駆逐できないため、漏れを両国には倒してほしい算段だ。メインターゲットであるコルベニクはカイトたちが倒すことになっている。

 

「ガゼフにブレインたちか。久しぶりだな」

「バルムンクにオルカか。また今度剣を教えてくれよ」

「暇があればなブレイン」

「え、ブレイン殿はバルムンクに剣を教えてもらってるの? ず、ずるい…」

「なら教えてもらえ。つーかもっと積極的に行動すればどうだ?」

 

それができれば苦労しないと呟くラキュース。

 

「カイト様また会えた」

「会おうと思えばいつでも会えるよイビルアイ」

 

仮面で顔は分からないが今彼女の表情はまさに乙女の顔である。

会う度に彼女の身体に電撃が走ってイロイロと疼くのだ。この疼きを解消するにはそうすれば良いかガガーランに聞いたところカイトから聖剣でももらえと聞いて分からない。だが男女が愛し合い、その先にあるものだとは理解できている。

 

(カイト様…私は)

(なんだろう何か怖い感じがするな。でもこれはコルベニクの決戦とは違くて別の…)

「あの、カイト殿。話があるのですが」

「何ですかガゼフさん?」

「ゴウン殿についてです」

「アインズさんについて?」

 

ガゼフはこれでもアインズと知り合っている。しかも命の恩人でもある。だからこそ建国をいきなり開示してきたのが気になるのだ。

 

「ゴウン殿はその…やはり悪なのだろうかと思って」

「悪…じゃないと思いたいけど悪かな」

 

本当は悪ではない。ただそういうふうになっているだけ。

 

「気になるなら本人に聞くのが一番だよ」

「本人か。確かにそうだが今はそれどころじゃ」

「呼んでみよっか?」

「呼べるのか!?」

 

メッセージ会話で聞いてみると来てくれるとのこと。なんでもアインズもガゼフと会って話してみたいとのことだ。

 

「おいおい件の奴をマジで呼べるとかアンタらのとこのリーダーは一体何者だよ」

「カイトだからな」

 

数分後、アインズがガゼフの前に現れる。

 

「お久しぶりですねガゼフさん」

「ゴウン殿…」

「今回は仮面なしです。どうですか。怖いですか?」

「いや、驚いたが怖くないゴウン殿」

「そうですか。その反応はカイトさんたちと同じだ」

「同じ?」

「そこにいるカイトさんも私と初対面しても怖がらなかった者でしてね」

「なるほど。まあ災厄と戦う者ですからな」

「かもしれませんね」

 

アインズとガゼフは開戦前なのに穏やかに会話をしている。その中でアインズの雰囲気が聞いていたのと違うので意外だと思う他の面々たち。

 

「なんか聞いてたのと違うな」

「それはそうだ」

 

ブレインが口にしたのを聞こえたのかアインズが答える。

 

「これから世界を掛けた戦いが始まるんだ。本来は敵だが今は仲間なのだから無駄にプレッシャーを与えることはしないさ」

 

最もな意見だろう。

 

「ゴウン殿…やはり我々は敵なのか?」

「ああ。だがガゼフさんお前は見所がある。我が元に来ないか?」

 

いきなりのスカウト。しかしガゼフの答えは否であった。

 

「理由を聞いても?」

「私ランポッサ3世に忠義を示している。裏切ることはできない」

「…そうか。残念だ。だが死なせるには惜しい存在だ。この戦争で戦死したらアンデットにでもするかもしれんな」

「それはそれは怖いな」

 

本気なのか冗談なのか、お互いに軽く笑う。

 

「一応聞くがカイト殿は?」

「あいつが死ぬ想像ができん」

「言うねアインズさん」

「この私と対等に戦ったのだからな」

(ここでも演技しないとは大変だ)

(イメージというものがありますカイトさん)

 

そろそろ決戦が開始される。

 

 

side変更

 

 

決戦開始

 

「紋章砲発射!!!!」

 

.hackersの切り札の1つである紋章砲が発射され、カッツェ平野に蠢くバグモンスターたちを一気に一掃するが、やはり数が多い。

それでも紋章砲の一撃でかなりの数のバグモンスターを倒し、決戦の火蓋が開かれた。

今の一撃を後方で見ていた者たちは驚きを隠せない。帝国兵も王国兵も.hackersの切り札に慄き、頼もしく感じる。

有名だといえたった1つの冒険者チームがあんな高火力すぎるモノを持っているとは驚きしかないだろう。なぜなら紋章砲で一国を壊滅させる威力なのだから。この情報を聞いたジルクニフは敵でなくて本当に良かったと思うことになる。「本当に冒険者なのか!? 実はどこかの国の特別部隊だったりしないだろーな!?」なんて叫ぶだろう。

正直.hackersだけで十分じゃないかと思われるかもしれないがカイトたちの本命はコルベニク。再誕のコルベニクは周囲に蠢くバグモンスターとは格が違う。別格すぎるのだ。

 

「まだコルベニクは出てこないか。次、アインズさん頼みます」

『任せれた!!』

 

次はアインズの一手である超位魔法だ。この魔法を見てまた帝国も王国も驚くはめになる。特に王国側は本来相手にするはずだったナザリック軍の力が分からなかったので、超位魔法の力を見て戦慄していた。

その超位魔法とは王国軍を簡単に蹂躙する魔法である。こんなイカレタ奴らを相手にすることになっていたと思うとゾッとする。

 

「超位魔法。イア・シュブニグラス/黒き豊穣への貢!!」

 

アインズが発動した超位魔法は『イア・シュブニグラス』。広範囲即死型召喚魔法で初撃の「黒い風」が通り抜けた箇所の敵を即死させた後、死んだ存在の数に応じた黒い仔山羊を召喚するものである。

その姿は五本足の肉塊から無数の触手が伸びている巨大な異形の化物だ。数は全部で5体。その5体がカッツェ平野に蠢くバグモンスターをぐっちゃぐっちゃにしていく。

 

「おいおいマジか。これは俺らの出番はないかもな」

「そうとは限らないぞブレイン。相手は最後の災厄。油断はするな」

「分かっているさガゼフ。俺らの相手はバグモンスター。カッツェ平野から出さないようにするのが役目だ」

「うむ。クライムも気を引き締めろ」

「はい!!」

 

王国軍も帝国軍も戦慄しながら油断せずに戦闘をできるようにいつでも構える。

 

「カイト様は大丈夫だろうか」

「心配しなくてもあんな男は死なねえよ」

「当たり前だ!! カイト様は死なない!!」

「それにしてもほんっとチビはいつもカイトカイトっってばかりだな」

「仕方ないよ初めて恋をしたんだから」

「だね」

 

ティアとティナが頷く。

 

「ふう…良し!!」

「お、気合いが入ってんなラキュース」

「もちろん。この戦いで世界がかかっているんだから」

「ま、確かにな。だがこのままの様子だとあの化け物がバグモンスターを全て殲滅しそうだ」

 

5体の黒い仔山羊はバグモンスターを確実に潰していく。ぐっちゃぐっちゃと潰していく。その勢いは止まらない。

バグモンスターは思考がバグを起こしているので5体の黒い仔山羊の突撃しては潰されていく。何度も何度も続く。

 

「これだけ蹂躙してもまだバグモンスターはいるか」

「厄介ですねアインズ様。しかしアインズ様の力なら時間の問題かと」

「バグモンスターだけならな。それにカイトさんたちも次の紋章砲を充填している。残りはコルベニクだけだ」

 

アインズがそう考えていると件のコルベニクがついに現れる。しかこスポーンと子気味の良い音で深い地面から飛び出してきた。

 

『アインズさん。ついに来たよ!!』

「はい。確認しました!!」

 

再誕のコルベニク。その姿はまさに黒い種のようだ。

ふよふよと浮かんでいる姿はカイトやアインズたちだけでなく王国軍や帝国軍も確認していた。しかし両国は大きな種にしか見えないコルベニクに油断してしまう。

なんせ黒い大きな種が世界の災厄とは思えないからだ。ガゼフやラキュースたちを除いて。しかし次に動いたコルベニクの行動に認識は大きく変更されることになる。

 

「黒い仔山羊たちよ。コルベニクを囲んで潰せ!!」

 

黒い仔山羊たちはコルベニクを囲んで迫り、潰した。見ていた両国は終わったかと思ったが終わりではない。

急にカッツェ平野に大木が無数に生え、黒い仔山羊を貫き、巻き付き、潰したのだ。しかもバグモンスターすら巻き添えにしながら。

今のは『ファジュゾット』だ。木属性の魔法である。黒い仔山羊たちを潰した後、コルベニクは普通にふよふよと浮いていた。

ダメージが無いわけではないがコルベニクの防御力は異常に高いのだ。

 

「まったく予想はしていたが超位魔法をああも耐えると自身を無くしてしまうではないか。守護者たちを呼べ。立ち向かうぞ!!」

「はいアインズ様!!」

『アインズさん。ボクらも向かいます!!』

 

カイトたちとアインズたちは戦力をまとめてターゲットであるコルベニクの元へと向かう。

コルベニクの影響で戦況は変化した。バグモンスターたちは少しずつ進軍していく。そうはさせまいとナザリック軍と王国軍、帝国軍も歩み戦いを開始する。

バグモンスターは本来、帝国軍も王国軍も敵わない相手だがヘルバ製作のワクチンプログラムフィールドのおかげで倒せる。しかしフィールドから逃がしてしまうと倒せない。

 

「絶対にフィールド内から出さずに倒せ!!」

「”%dncf;;:(I)(dcfrfm’&%$)pjugfvj)()(&’(P‘{!!!!!!」

「撤退するな。決死の覚悟で挑めええええええええ!!」

 

決死の覚悟で戦うがやはりバグモンスターは使用外の存在。ワクチンプログラムがあるとはいえ戦況は良くは無い。

だからガゼフやラキュースたち力のある者たちが士気を落とさないように戦っていく。

 

「諦めるな。最後まで戦え。家族を、友を、世界を救うために!!」

「負傷した者はすぐに撤退して回復を!!」

「ったく、あのヴァンパイアも化け物だったが、こいつらも別の意味で化け物だぜ!!」

「ブレインさん次が来ます!!」

「分かってるクライム。全て切り裂いてやるさ。命ある限り!!」

「うおおおおおお!! 四光連斬!!」

「おらおらおら!!」

「超技! 暗黒刃超弩級衝撃波!!」

 

戦況は悪くても諦めずに戦う両軍。だがコルベニクはそんな奮闘すらも嘲笑うかのように行動に出る。

コルベニクがぐむりと歪んだと思ったらシュポポポーンと大量の何か吐き出した。その何かはカッツェ平野全体に広がって落下した。

 

「あれは…コルベニクシード。早く破壊しないといけない。ヘルバ皆に連絡して!!」

「了解よ」

 

最終決戦は始まったばかり。




読んでくれてありがとうございます。

ついに再誕コルベニクとの決戦。
今まで違って激戦間違いなし・・・なので構成も難しい(汗)
どんな戦闘シーンになるかは次回をゆっくりとお待ちください。
コルベニク1,2,3ってあるからなあ・・・。


アインズ 「三形態持ちってラスボスの要素ですね!!」
カイト  「同意!!」
ガゼフ  「こっちからしてみれば絶望しかないぞ」

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