ゼロの使い魔:真実無き教義   作:i-pod男

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第一話投稿から色々とご指摘がありまして、出来る限り推敲しました。
アサシンクリードが好き過ぎてやってみようと言う意気込みだけで書き始めたのと
ゼロ魔の二次創作はこれが初めてだと言うのもあって色々と不審な点、これはおかしいと思う様な見苦しい天は多々現れるかもしれませんが、そうならない様に邁進しますので、今後ともよろしくお願いいたします。


I: An Unexpected Comrade

「来た来た、ゼロのルイズとその使い魔だ!」

 

「平民を召喚するなんて流石大見得を切っただけの事はあるわね。」

 

「冗談言うなよ、コモンマジックもまともに出来ない様な奴にコントラクト・サーヴァントなんて出来る訳無いって!」

 

「そうそう、どうせ爆発に上手い事紛れ込ませて使い魔にしたんだろ!」

 

教室に入るのが一番最後だった為、ドアを開けて足を踏み入れた瞬間に野次が飛んだ。

 

なるほど、魔法の扱いに長けているか否かも貴族社会でのステータスを左右するのか。そう言う意味ではルイズのメイジとしての格はかなり低いと言う事になる。

 

簡単な魔法すら出来ない。魔法の成功した回数がゼロ。故に、ゼロのルイズ。

 

ルイズは空いている席に座ったが、才人は教室の最後列の壁に背を預けたまま待機する事にした。彼女が毎度毎度こう言う野次の的になっているのなら、その使い魔となった自分もちょっかいを出される可能性がある。降り掛かる火の粉は振り払う主義である為、矛先が自分に回らぬ様にする為の配慮である。

 

「おはようございます、皆さん。使い魔召喚を恙無く成功させた事、嬉しく思いますぞ。」

 

教室に入って来たのコルベールは辺りを見回すと、満足そうに何度か頷いた。途中クスクスと押し殺された笑いやヒソヒソ声も聞こえたが、コルベールは一度咳払いをして場を纏め直した。

 

「しかし使い魔を召喚して契約が完了したからと言って浮かれてはいけません。これからは使い魔との対話が大事です。皆さんも知っての通り、使い魔は主の目となり、耳となり、助けとなる存在。皆さんが蔑ろにせずきちんと世話をすれば、きっと使い魔もそれに応えてくれるでしょう。」

 

講義はまだ続いたが、才人も最後部でしっかりと授業を聞いていた。魔法学院と言うからには魔法の事を学ぶばかりかと思っていたが、使い魔とのコミュニケーション以外にも一般教養らしき講義もあった。

 

しかし、ここの生徒も教師も全員が魔法使い———メイジとなると、そうでない者はやはり大した教育を受ける事は出来ないのだろう。おまけに特権階級で無いのを良い事に、好き勝手に小突き回している情景も容易に想像出来た。

 

その内フランスで起きた様な、絶対王政を打倒するぐらいの大規模な市民革命が起きるのではないだろうか?確かフランス革命の頃に活動していたアサシンがパリで活動していた筈だ。

 

最後の授業が終わり、ルイズは階段を無言で下りて行く。才人も同じく閉口したままその数歩後ろをついて行く。

 

「一つ聞いても?」

 

「何よ?」

 

不機嫌そうにルイズが後ろを向く。

 

「俺以外に人間を使い魔として召喚した例ってのは、あるのか?」

 

「どうかしらね?まあでも、あんたそんな大して強そうにも見えないし。」

 

才人は肩を竦めた。元々そう言う風に見える様にしているので別にそう言われても痛くも痒くもない。寧ろそう見えない方が色々と好都合なのだ。自分を侮れば侮る程、相手はキレのある咄嗟の反撃に反応が追い付かなくなる。

 

「そう言えば、俺はどこで寝泊まりすれば良い?まさか同じ部屋なんて事は無いだろうな?」

 

「当たり前でしょ?あんたは私の使い魔、使い魔と主人は一心同体よ。ミスター・コルベールが言ってたじゃない、使い魔は主人の助けとなる存在だって。」

 

貴族が存在する世界では伝統は何よりも優先される節がある。この学院も例外ではないだろう。つまり寮も男女で分かれている。

 

「・・・・『助け』をどれだけ広い意味で捉えているかは知らないが、お前の身の回りの世話は御免被るぞ。」

 

「アンタの主張なんてどうでも良いわ。」

 

「おいおい、コルベール先生の講義をちゃんと聞いていたか?『蔑ろにせずきちんと世話をすれば、きっと使い魔もそれに応えてくれる』。まだこの世界で右も左も分からない俺にいきなり小間使いの真似事が出来ると思うか?敷地のどこに何があるかすらまだ完全に把握していないんだぞ?」

 

「口答えするんじゃないわよ、使い魔の癖に!洗濯や掃除位、そこら辺の平民でも出来るわ!」

 

要するに自分が出来ないしやりたくないから他人にやらせると言う事か。自分の世界で多くの国が特権階級の廃止を推したのも頷ける。というか、廃止して正解だ。そう言う輩の相手をするのは妙に疲れる。

 

「効率を重視しての提案だ。この世界に馴染む時間をくれ。明日から数えて二日、いや三日。三日あれば良い。お前だって効率良く動く使い魔がいる方が何かとやり易いだろう?」

 

「そりゃ、まあ・・・・・・そうだけど・・・・・・分かったわ。でも三日経っても言われた事が出来なかったら、当分アンタご飯抜きよ。」

 

俺に死なれたら困るのは自分だろうに。才人は心の中でルイズを皮肉りながら歩き続けた。まあ、いざとなれば車のトランクに入れた非常食を食べればどうとでもなるが。

 

「んじゃ、飯にありつく為にも馴染むのを頑張りますか。図書館てどこにあるんだ?」

 

「本塔の一階と二階よ。」

 

ルイズは五つの塔の中心にある一際大きな白い塔を指差した。

 

才人は一度目を閉じて再び開くと、瞬き一つせずに彼女が指差した方向をじっと見据えた。視界はあっと言う間に群青に染まり、視界に入った人間は例外無く青白い輪郭に覆われた。更に感覚を研ぎ澄ますと望遠鏡を覗く様に窓越しに中の様子が見えた。

 

そして最上階の窓に、チラリとオールド・オスマンの姿が映ったのを才人は見逃さなかった。

 

「なるほど。ご丁寧にどうも。」

 

「今から行くつもり?」

 

「俺が早く馴染めた方がそっちも都合が良いだろう?」

 

それもそうだと思い、ルイズは好きにしなさいと言って寮に向かった。

 

馬鹿が。

 

才人はそう思いながらその後ろ姿を見送った。限られてはいるがこれである程度の猶予は手に入った。これで好きなだけ書物を漁って情報を集める事が出来る。本塔に向かって走り出し、あっと言う間に出入り口に辿り着いた。

 

静かにドアを開け忍足で図書館に入った。流石は伝統ある学院と言うべきか、蔵書は莫大だった。この時間帯でここにいるとすれば課題を終わらせようとしている生徒か独自の調べ物をしている教師位だろう。回廊の様に延々と続くかに思える書棚を見て行くと、ある事に気付いた。

 

「・・・・・これまんまフランス語じゃねえかよ、おい。」

 

どの本の背表紙も例外無く使われている言語は自分の世界と同じフランス語だった。文体は勿論の事、使われている文字も同じアルファベットだ。しかしこれは不幸中の幸いだ。別世界である以上、もし自分が知らない、全く違う言語で書かれでもしていたら出鼻を挫かれる所だった。

 

棚から本を十数冊程引っ張り出し、読み始めた。

 

まず大きく分けた魔法の系統と、それの様々な応用方法。

 

次に地図を見て国の位置を確認。

 

更に記載された各国、トリステイン、ゲルマニア、ガリア、ロマリア、そしてサハラの歴史。

 

取り出した本の半数程を読み終えた所で微かな物音がした。咄嗟に才人は椅子から離れて腰を落とし、耳を澄ます。足音だ。一歩一歩の間隔が短く、石畳に当たる音も高い。小柄な、それも恐らく女子生徒の一人だろう。

 

図書館一帯の壁と天井には魔法で照らされているだろうランプが吊るされ、煌々と光を放っていた。把握したばかりの構造と目以外の感覚を頼りに、才人は静かにその場を離れた。

 

更に奥へと進んで本棚の陰に身を隠すと、目を閉じて更に呼吸を落ち着けた。心拍数はどんどん下がって行き、完全に止まる数歩手前で止めた。

 

足音が止まる。読み漁っていた本の山が目に入ったのだろう。

 

集中し、再びあの群青色の視界を展開する。遮蔽物の陰に身を隠しているとは言え、入って来た相手の輪郭はハッキリと確認出来た。相手は予想していた通り小柄な女子生徒で、身の丈を軽く越す杖を持っていた。それを振るうと、背伸びをしても手が届かない目当ての本が数冊見えない手に抜き取られるかの様に手前に移動し、彼女の元へと降りて行った。

 

暫く経ってから彼女の気配が消えた所で本を広げていたテーブルに戻り、読書を再開した。丁度読んでいたのは他の本とは違いかなり痛んでいる上、インクも所々掠れている。『第三次聖地奪還』と言うタイトルが辛うじて読み取れる位だ。著者は不明だが手記である事は間違い無く、今の所読破した本とは違い、筆記体で書かれていた。しかし所々インクの染みが字の上に垂れていたり、著者が悪筆だったのか、全く字が読めない箇所も少なくなかった。

 

「聖地奪還、か。」

 

あまり聞きたくないフレーズだ。歴史の知識が少しでもあれば、誰もが真っ先に十字軍遠征を思い付くだろう。神の名の下、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪い返す為に何度も行われた幾つもの遠征。

 

『次の遠征こそ成功する。我らは始祖ブリミルの名の下、東の砂漠を越えてまだ見ぬ聖地へと向かう。我々は戦い、勝利する。その為、何度も何度も祈りを捧げた。始祖は慈悲深い者を助けたりしない。許しを乞う者を救ったりしない。始祖が求めし物は、戦い。戦いこそが祈りなのだ。始祖は降りて来る。聖地は我らの前に降りて来る。砂漠の民の、異教徒の命を奪おうと、この戦場で死のうと、我々は奈落の底へは逝かない。教皇聖下は約束して下さった。遠征軍は始祖の軍。我々の罪は全て許されると。」

 

続きはまだあったが、才人は表紙を叩き付ける様に本を閉じた。

 

何だこれは?何故こんな物がここにある?こいつは狂っている。この手記を書いた奴は、恐らくもうこの世にいないだろうが、間違い無く狂っている。しかも十字軍の行動と恐ろしい程似ている。どちらもこんな事を考え、形に残る様にしていたのかと考えると、うっすらと寒気がした。

 

「アルタイルは、こんな奴らを止められたのか?」

 

アサシン教団内でその名を知らぬ者はいない、特にアラブ首長国連邦にある教団支部では未だに畏敬の念を以てその名を囁かれる『伝説のアサシン』。

 

曰く、教団の歴史上最年少の二十代半ばでマスター・アサシンの称号を手にした。

 

曰く、第三回十字軍遠征時にエルサレムでテンプル騎士団の幹部十人を皆殺しにした。

 

曰く、『エデンの果実』と呼ばれる大いなる力を持つ古代の遺産を手に入れた。

 

曰く、その果実によって得た知識を暗号化して綴った手記を遺した。と言っても、今はもうどこにあるのか、まだ存在するか否かすらも分からないが。

 

それにしても、偶然とは思えない程にハルケギニアの聖地奪還は自分の世界の歴史と似ている。

 

「よし・・・・」

 

気を取り直してもう一度手記のページを開く。このページは赤黒い染みや斑点がそこら中についている。ワインか血痕か、或は両方か。

 

『まただ。また邪魔をされた。何なのだ奴は?俺は奴の顔を見た。日に焼けた顔に八の化粧が施してあった。あれは紛れも無く人間、それも平民だった。突然姿が掻き消えたかと思えば後ろにいた仲間が斧で首を落とされる。丘や坂以外に登り降りなど出来ない砂漠である筈なのに上空から舞い降りて喉笛を貫く。更には足を踏み鳴らしただけで取り囲んだメイジ達を吹き飛ばした。奴はメイジ殺しであり、エルフの先住魔法の使い手でもあるに違いない。」

 

「エルフって・・・・・あの、エルフだよな?」

 

自分の世界のフィクションでは耳が尖っていて、魔法を、特に治癒の魔法を使えた。場合によっては多少高慢ちきな所がある。このハルケギニアでどこまでが本当でどこまでがデマかは分からない。

 

「まあ、一晩で全部分かる訳が無いか。」

 

気付くと既に空が僅かだが白み始めていた。ほんのりと日の光が地平線の彼方で見え隠れしている。しかし窓からはまだ二つの月が見える。ふいに、どっと疲れが押し寄せて来た。やはりここまで不思議な事が立て続けに起こって尚且つ調査をしていれば無理も無い。

 

時間的にいえば今は午前三時半から四時辺りだろう。背もたれに深く背中を預けた。そして膝辺りまであるジャケットの中から小さな錠剤を取り出した。椅子がふかふかで助かった。

 

その錠剤を飲み下してから十五分程経過し、才人は背中を反らして胸を押さえた。ビクンビクンと激しく痙攣し、小さく呻き声を上げると意識を失った。




早く決闘のエピソードが書きたいなぁ〜〜〜。

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