叫んだ直後、明久の足元から魔方陣が現れる。
そして徐々に現れる、特攻服に身を包んだ明久の召喚獣、武器は木刀、そう明らかに――。
「弱そうだ」
「Fクラス中堅部隊隊長、吉井明久。貴公の相手を――あがぁっ!」
召喚直後、敵に召喚獣と正面衝突これは酷い。
「この部隊長はバカだ! 俺一人で十分だから、皆は残りを!」
しかも、敵からも罵倒される始末。
「明久は駄目だな……」
と頭を抱える俺。
「いえ、うまく相手の攻撃をかわしましたよ」
姫路の言葉どおり、明久の召喚獣は相手の攻撃を低い姿勢でかわすと足払いをみせた。
「ああっ! 霧島さんのスカートが捲れているっ!」
Dクラスの背後を指差し突然叫ぶ明久。
『なにぃっ!?』
戦場に居る全員がDクラスの背後を見る。
「霧島?」
聞きなれない名前に首をかしげる。
「Aクラスの代表ですよ」
ふ~ん、2年で一番強い奴か、最終的に俺達と戦う相手。
ガシャァァン!
突然の破砕音が響く、前を見ると窓ガラスが割られていた。
『な、なんだ!? なにごとだ!?』
「うわっ! 島田さん! そんな物をどうする気だよ!」
ブシャァァッ!
次に勢いよく消火器から白い粉が噴出した。
「前が見えない!」
「な、なんだっ!」
「島田さん、キミはなんてことを!」
そして最後に空になった消火器が天井のスプリンクラーに命中し。
シュワァァァ――
廊下一帯に大量の水が撒き散らされ消火器の粉が落とされた。
その騒動の間に近づいていた雄二の本隊率いる一人が相手と戦闘に入った。
点数までは見えないが、多分こちらが圧倒的に勝てるだろう。
「くっ! ここは退くぞ! 全員遅れるな!」
敵部隊の撤退の合図、こちらの本隊が来てからの撤退、敵は情報戦には疎い様だ。
「深追いはするな。俺達も明久の部隊を回収したら一旦戻るぞ」
こちらは雄二の声、本人が言っていたとおり前半戦は積極攻勢はしないらしい。
そして、雄二たち本隊は明久達を連れて教室へと撤退する。
化学のテストを受け終わった後俺達は後半戦のミーティングをしていた。
「いいか、これから放課後になる。放課後になれば生徒の下校にまぎれて数的有利な状況を作れる、そこで敵の本隊からできる限り近衛部隊を引き寄せてその隙に優と姫路、両名を突っ込ませる」
雄二が教卓の前で作戦を教える。
雄二率いる本隊も最前線で今回は戦うことになる、そうすれば敵はきっと近衛部隊をも攻撃に使うだろうという予測だ。
で、がら空きのところに俺と姫路が突撃、平賀を討ち取り勝利。という筋書き。
敵は姫路がFクラスに居るなんて考えないわけで、完璧な奇襲となる。
初陣となるが、姫路を居ることだし大丈夫だろう。
「よし! お前ら出るぞ!」
『うぉぉぉぉぉ――!!!』
後半戦始動。
Fクラスの陽動部隊が一斉に廊下に出て各地で戦争を開始する。
その中には雄二も含まれていた。
「優、姫路。お前らが要だ頼むぞ」
「任せろって! そっちこそちゃんと陽動頼むぜ」
「私も頑張ります!」
互いに手を上げながら雄二は教室外へと出て行った。
後に残ったのは俺と姫路とほか数名のみ、出撃のタイミングはムッツリーニが知らせてくれることになっている。
――――。
――。
そろそろ十分過ぎようかという時に――
『……出撃していい』
卓袱台のラジオがそういった。
勢いよく立ち上がる俺達。
そして、はじかれた様に教室外へと出て行った、俺と男子メンバーが先頭に姫路はその後だ。
教室外では敵DクラスのメンバーはFクラスメンバーにうまく囲まれていて数的有利な状況を作り出していた。
だが、逆に敵Dクラスも得点の高さを活かし、個人戦に持ち込もうとしてかなりの数を出している、この数ならば敵本隊の人間も前線で出されていると見える。
雄二の作戦は成功だ、一直線でDクラスへと向かって行く俺たち、すると廊下でクラスメイトに指示を出している敵代表平賀が見えた、周りに近衛部隊はほとんど居ないこれはチャンスだ、しかも平賀の近くにいる教師は古典の向井。
一気に平賀に向かって走り出す、しかし――。
「Dクラス玉野美紀、サモン」
突如目の前に現れたDクラスの女子。
そう簡単には進ませてくれないらしい。
「残念だったな、Fクラスの男子君」
平賀が勝ち誇った顔をする。
「ちくしょう! 後一歩」
「何を言うかと思えばFクラスがDクラスに勝てるわけが無いだろう」
小バカにしたような言い方。
「確かに文系以外だったら無理だろうよ! サモン」
見せてやるよ! Fクラスの点数を!
足元に魔方陣が現れる。
体の中の力が少し抜けていくような感覚、だが心地よい、まるでマッサージされてるみたいだ。
そして、俺の召喚獣が姿を現す、武器は日本刀に、防具は新撰組が着ている誰もがしってるあの衣装だ。
『Fクラス 四条優 VS Dクラス 玉野美紀
古典 309点 98点 』
そして表示される互いの点数。
「「なっ!?」」
平賀と玉野が驚いた声を上げる。
「さっきの言葉、訂正してもらいましょうかDクラス代表さん」
そして俺の召喚獣はすさまじいスピードで玉野の召喚獣に近づくと、袈裟切りをお見舞いした。
『Fクラス 四条優 VS Dクラス 玉野美紀
古典 309点 0点 』
一撃で相手を下す俺の召喚獣、相手に反撃も許さない、200点ぐらいの差があると一方的に勝負は決まってしまうらしい。
「次はお前だ平賀」
一歩、平賀に近づく、だが。
「まだだ! Dクラス笹島圭吾行きます!」
横から別の近衛部隊が。
『Dクラス 笹島圭吾 VS Fクラス 四条優
古典 87点 309点 』
敵の数少ない近衛部隊は俺に戦力を集中する。
でそうなると、がら空きになる敵代表。
そこに。
「Fクラス姫路瑞希、Dクラス平賀君に古典勝負を申し込みます」
「え? あ、あれ?」
『Fクラス 姫路瑞希 VS Dクラス 平賀源二
古典 342点 127点 』
突然、指名されて呆気に取られる平賀。
姫路の召喚獣は西洋風の鎧に背丈の2倍はある大きな剣を持っている。
俺より明らかに強そうだ。
「ご、ごめんなさいっ」
でかい剣を持っているとは思えない速度――さっきの俺よりも早く――敵に肉薄しその大剣で相手を貫いた。