Fate/zero ~英雄大戦~   作:赤石なちる

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久しぶりに投稿。ヘラクレスがアベンジャーで召喚されたりアルテラの設定が思ったよりあれだったりエルキドゥが色々あったりで話を変更したりで大変だったです


13話『赤のバーサーカー ~ベルセルク~』

 

『聖杯戦争から半年前~魔術協会にて~』

 

「────と言うことだ。受けてくれまいか? 獅子劫界離君」

 

 魔術協会のとある一室において冷たい瞳をした老齢の男が椅子に座り眼鏡を拭きながら目の前の子供が見れば失神しかねない強面の男を見詰めていた。

 

 その強面の男はオールバックにした金髪を撫でながらサングラス越しに目の前の男の依頼を反芻していた。

 

『ケイネス・アーチボルト・エルメロイが聖杯戦争に参加する。

 それに乗じケイネスを暗殺しそして聖杯戦争に勝利し聖杯を持ち帰ってくれ。

 ああ。勿論、君がそれを手にいれたならば願いが有るなら叶えるのも構わないよ。実物を持ってくるのであればね。

 もし聖杯が無理ならばケイネスだけでも暗殺してくれたまえ。

 それとイギリスの国軍から軍人のダン・ブラックモアと言う魔術師が参加するようだ。ソイツも出来る限り処分してくれ』

 

 時計塔内部とイギリスとの暗い権力争いに巻き込まれるなどはっきり言って御免だが聖杯は魅力的だ。

 

 自分にも賭けるだけの願いと命があるのだから。

 

「で、どうだ? 受けてくれるか? 依頼を受けてくれるのならば英霊の触媒は此方で保証しよう。情報もある程度融通しよう。報酬も破格。聖杯戦争で君が倒した勢力の魔術刻印や研究成果や残るであろう令呪も君にやろう。その上で金銭も与える。充分だろう」

 

 破格の報酬だ。受けるには充分だ。

「……………………いいぜ。受けよう。その代わり報酬の何割かは前受けだ。依頼が危険すぎる。あくまでケイネスとイギリスの軍人の殺害を優先する。これでいいな? 危ないと踏んだら英霊を自害させ撤退する。いいか?」

 

「充分だ。あぁ、そうだ。無理ならば殺せなくとも魔術を二度と使えなくなるダメージだけでもいいよ? ケイネスに関してはね…………まぁサーヴァントもいるし君の殺し方ならそんな打ち損じは心配しないがね」

 

 朗らかに笑う老人だがその瞳に輝きはない。あるのは殺意だけだ。

 何せそれは魔術師にとっては死と同じだ。

 

 今のは冗談だろう。確実に殺せと目が言っている。

 それを獅子劫界離は笑って肯定する。

 

「ああ。任せな。で、触媒は?」

 

 契約はなった。後は触媒だ。用意するとは言ったが何なのだろうか。

 

 そして彼の肯定を満足した顔で老人は机の中から魔力封じの聖骸布が巻かれた何かが取り出し獅子劫界離に渡した。

 

 それを獅子劫界離は丁重に布を剥ぎ中身を取り出した。

 中にあったのは魔力のこもった神秘ある古びた血のついた後のある剣の欠片だった。

 

「これは……………………」

 

 獅子劫界離は囁く様に呟いた。凄まじい魔力だった。折れてなお消えることのない猟犬のような執着的な魔力。自分に向けられていると勘違いしてしまいそうだ。

 

「驚くなよ。これはベオウルフの使っていた剣の欠片だ。かの巨人の返り血付きのね。触媒としては破格だろう」

 

「……………………ベオウルフか。いいぜ。有りがたく受けとる。あぁ、それと報酬の前受けだが………………」

 

「わかっているとも。いつもの口座に…………」

 

「いや、これでいい。ヒュドラの幼体のホルマリン浸けだろ? 前々から気にしてたんだ。それくれ」

 

「いいのか? 偽物だよ?」

 

「いいよ。それで、んじゃ俺は直ぐ日本に行く。じゃあな。情報や連絡はいつも通りだ。よろしく頼む。じゃあな」

 

 老人は一瞬、悩むような表情と惜しむような表情をしたあと無言で情報が入った書類を渡し椅子を後ろに回し機嫌悪げにパイプに火を付け煙を吹かせ始めた。

 

 予想通りの反応に苦笑を浮かべながら獅子劫界離はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして聖杯戦争が始まり獅子劫界離、彼もまた冬木の地にて英霊を召喚する事になり順当にベオウルフを召喚した。

 

「サーヴァント、バーサーカー。真名ベオウルフ。じゃあ、殴りに行こうぜマスター! …………オイオイ、引くなよ」

 

 出てきた瞬間、カチコミ宣言は色々と予想外だった。

 

 と言うかひいた。短めの金髪に恐ろしい形相の顔に傷まみれの体を隠そうともしない上半身に最低限の腕の守りに、いや殴る事に重きを置いた金の手甲を装備し両手に宝具の魔剣を持った筋骨粒々の戦士の姿。

 

 いや姿は何でもいい。凄いのはバーサーカーなのに人語を解する挙げ句に意志を伝えるだけの理性がある事だ…………装備的にセイバークラスと勘違いしてしまいそうだ。

 

 ステータスも知名度故か敏捷と魔力以外はAしかない。恐らくだが技量と戦闘意欲も含めるとAと言うステータスを上方修正しても良いと思う。

 スキルも戦闘をする上で重要となる物を高レベルで所有している。

 

 基本的に対人特化だが宝具もかなり強力だった。

 

 強い。馬鹿みたいにだが頭も狂気に全く染まっていない筈のに馬鹿みたいに馬鹿だった。

 

 何せ聖杯に叶えてもらう予定の願いは? と聞いたら

 

「あ? ねーな。てか俺、無趣味だな…………女? いや、欲しいがな今はいらんな…………飯…………は今はいらんな…………………………永遠に殴り合いは? 駄目だよな? どうしようか」

 

 呆れ果て、なら何で出てきたと聞くと

 

「ん? 殴り合いができるんだろ? 楽しそうじゃねーか!!」

 

 それだけ? と疑問に聞くと間髪入れずに

 

「それだけだ。え? だめか?」

 

 駄目だった。こいつ……………………戦うことしか頭に無い。

 

 そんな感じで殴る食う抱くの事しか言わないのだ。戦意は凄まじい物があるが。何と言う戦闘狂か。

 

 言うこと聞く気があるぶんましだろうがこれは面倒くさい奴だ。戦うのに全くこれといって理由がない。

 

 腐ってもバーサーカーだ。暴れまわると理性があるぶん余計に動きを拘束できない。何せ相当、熱くなりやすいようだし…………。

 

 さすが、ベオウルフ。狂っていなくともその精神まさに狂戦士。バーサーカーの代名詞なだけはある。

 

 これでよく王と言う立場が勤まったものだ。

 

 ただ呼んで何日か接しているが異様に気が合う。いやな話だが…………戦闘本能の塊の様な男の筈なのにだ。

 

 はっきりいってあんまり嬉しくない。

 

「なぁおい。獅子劫。これ旨いな。気に入ったぜ。このハンバーガーだったか? 小さいが食ってて飽きがこねぇ」

 

「そうかい。そりゃ良かった」

 

 獅子劫界離は呆れたような顔をしながら隠れ家の廃屋のソファーに座っていた。

 

 その目の前には上半身裸の傷まみれの男が獅子劫界離に買い与えられたファーストフード店の袋を一杯に持って食事を楽しんでいた。

 

 だがそれを見る獅子劫界離の、その目は疲れきっていた。当然ではある。

 何故なら聖杯戦争が始まって数日。戦闘が数回あったがその度に勝手に戦場に向かおうとして止めるのに苦心していたからだ。

 

 今は奇跡的に大人しいが何時まで持つか…………。

 

 何せアキレウスらしき英雄が戦車に乗り炎を噴き上げる船に乗る英雄と戦っている時など大笑いして何故か────

 

「殴り合うしかねぇ!!! 俺は行くぜぇ!」

 

 ────と喜び勇んで突貫しようとしたのだ。宝具の剣をほっぽりだして…………。

 

 こいつ何のために剣を持ってきたんだ? 飾りか? 何故、高速で空を飛ぶ船と同じく高速で戦車を乗り回すライダー相手に武器もなしに白兵戦を挑むつもりなのか…………。

 

 止めるのには苦労した。勘弁してほしい。

 

「なぁ。獅子劫?」

 

 ベオウルフは軽く十人前はあったハンバーガーを食べきったらしく、ふと話し掛けてきた。

 

「何だバーサーカー?」

 

「お前、俺に聖杯に掲げる願いを聞いたよな」

 

 どうやら召喚した時に願いを聞いた事を思い出したらしい。

 

「ああ」

 

「お前の願いはなんだ?」

 

「俺の願い? 俺は魔術師だぞ。そりゃあ一族の繁栄だろ?」

 

「ふーん。てことは婚活か…………大変だな。今時の魔術師は戦争しないと女がいないのか。まぁ根暗ばっかだしな」

 

「……………………その返答は予想外だったよ」

 

 もしかしたらこいつ天然なのかもしれない。

 

 その言葉に獅子劫界離は溜め息を付いて天井を仰ぎ見た。

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