「ケイネスよ。今回の戦い俺は全てをとして倒さねばならない敵がいるのだ……」
太陽の如き輝きを放つ美しい鎧とそれを身に着けるに相応しい容姿を持った男の召喚した時に感じた神々しさや徳の高さや存在の格や物静かさを吹き飛ばすような戦意を放っている。
カルナ――――インドにおいては知らぬ者などいないであろう英雄。
あの魔術師であるかぎり……いや人であるかぎり話していても理解できない求められたならば例え得などなくとも動く施しの英雄の精神性……。
だがそれはもうもはやない。あるのは因縁の決着を望む真の英雄の姿である。
それに内心、時計塔の一級講師、そして偉大なる名家――アーチボルト家の当主――ケイネス・アーチボルト・エルメロイはその姿に恐怖を感じていた。
サーヴァントなど英雄の名を語った使い魔と思っていた自分が愚かしく思うほどの戦意――――。
なんだ? この男がここまで戦意を外に吹き出させる存在とは?
あの自分があれを貶めたとしても自害させたとしてもマスターの為ならと怒りすら覚えないであろう英雄にこれ程の変化が起こるのだ?
施しの聖者――――インドの大英雄カルナをここまで高揚させる存在とは? あの神すら砕けぬ鎧と神を滅ぼす雷光の槍を持つ男が
――――ここまで意思を示す理由は?
そんな気持ちを持ち沈黙するケイネスに我慢ならなくなったのか……それともカルナの姿に恐怖を覚えたのか……ケイネスの婚約者――――ソラウ・ヌゥザレ・ソフィアリはカルナに言葉をかける。
「なんなの? 貴方がそこまで言う敵って……」
その言葉を聞いたカルナは吹き荒れる戦意が収まり一言話し何故か謝罪し霊体化してしまう。
そして聞いた言葉にケイネスは衝撃を覚え……この聖杯大戦が一筋縄ではいかないことを悟る。
それは……。
「聖杯大戦にアルジュナがいるだと?――――」
施しの聖者と授かりの英雄――――インドを分けた二人の英雄――――世界の名高い神話の中で十指に入るであろう英雄達がこの戦いでぶつかる。
その恐ろしさを考えケイネスは自分達が泊まっているホテルが例え最高の工房だろうとも安全な所などない真の戦場だと……。
そしてケイネスは自分が用意した触媒を盗まれ恐らくこの戦いで参加するであろう英雄を思いだし想像し身震いした。
そう彼がもともと用意していた触媒は――――アキレウスの触媒だったからだ。
それはこの世で知らぬ者などいないであろう不死身の大英雄だ。
何が起きる? アキレウスにアルジュナにカルナ……少なからずこの星において最強の英雄であろう者達ががぶつかるこの極東の町――――冬木市で……。
そんなケイネスの不安に思う気持ちとは裏腹にカルナは因縁に決着をつけるべく牙を研ぐ。
ケイネスの気持ちを察してなおカルナはその気持ちは押さえる事ができなかった。
あの男と決着を着ける――――決着はついていたが自分が自分であるかぎりあの男と戦い続けなければならない。
戦う。それが自分の役目それが神話を刻んだ自分の
そして始まる。施しの聖者の因縁の戦いが誇り高き魔術師の名誉をかけた聖杯大戦が――――。