Fate/zero ~英雄大戦~   作:赤石なちる

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なんかアルジュナの独白が凄く長くなってしまった……


6話『黒のアーチャー ~授かりの英雄~』 

 

 ――――彼を打ち倒した時に得た感情は何だったのだろうか?

 

 強者を倒した時に得る喜悦か?

 

 悪を討ったときに得る達成感か?

 

 それとも無意味な事をした虚無感か?

 

 私は勤勉且つ清廉、公明正大で誰に対しても礼節を忘れずに接する真の英雄――――。

 

 授かりの英雄――――神に愛され親に愛され国民に愛され才能に愛された。

 ――――私は『善の英雄』だから

 

 施しの聖者――――彼は誰よりも強かったが母に愛されず人に愛されず誰にも認められなかった。

 ――――彼は『悪の英雄』だから

 

 施しの聖者――――誇り高く己の信念を例え誰に認められずとも信じた物の為につらぬく真の英雄――――。

 

 例え授かりの英雄の為に神の奸計で不死身の鎧を剥ぎ取られようとも…………自分にとって愚かである母に何を言われようとも――――例え何も報われなくとも……英雄であろうとする施しの聖者――――。

 

 

 それが許せないと感じたのはいつだったか?

 何故、許せない? わからない……何故、彼を認めようとしない?

 

 彼は悪か? 悪だった。倒さねばならない敵だった。

 

 私は敵に礼節を公平さを欠かさぬ真の英雄――――だが、、、

 

 ――――私と彼は対等だっただろうか? 全てを持った英雄と全てを失っていた英雄……その戦いは平等だったか?

 

 あれは公平な戦いだったか? 彼には一人の味方もいなかった。

 

 そして彼は――――善人ではなかったのか? 

 

 もし彼が善の英雄で彼を討ったと言うならば――――私の強さは私の誇りは…………ただの欺瞞であり傲慢ではないか?

 

 なぜ彼を殺した?

 

 そうだ……私は彼に嫉妬していた。

 

 ならば私こそが討たれるべき悪なのではないか? 己の感情で善人を殺すのだから…………。

 

 私の栄光はただ与えられた虚実なのだ。

 

 ――――故に望むのだ。

 

 永遠の孤独を―――――私の名はアルジュナ。

 

 ――――授かりの英雄。

 

 そして私はまた彼と戦う運命にあるようだ――――――。

 

 ――――施しの聖者よ。

 

 貴様は私の栄光の前にまた現れるのだな? 貴様はそうやって私の心に深い影を落とし続ける。

 

 太陽よ。貴様はあまりにも私にとって眩しすぎる…………。

 

 あまりにも憎たらしいのだ。そう思う度に私は自分が許せなくなるのだ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーチャーよ……私はこの戦いに忠義と礼節をもって挑みたいと思っている」

 

「その望み――――叶えて見せましょう」

 

 褐色の肌の美青年に彼は本心を込めて己の気持ちを伝える老人が冬木市のとある場所にある拠点にて居た。

 

 ダン・ブラックモア――――イギリスの栄誉と誇りを背負う魔術師であり騎士である。

 

 老人でありながらその雰囲気は力強い……まるで大地に強く根を生やす大輪の巨木のようだ。

 

 彼は時計塔から参加した外来のマスター含め三人のマスターが聖杯を時計塔にもたらす事を防ぐ為に参加した……己の願いも勿論あるが…………。

 

 何故時計塔に聖杯をとらせたくないかと言うと時計塔はイギリスの裏の権力において強い力をもつ聖杯を手に入れ時計塔の権力が無為に強大化しないようになおかつ聖杯を手に入れイギリスの女王に献上しイギリスの表の権力を守ると言う理由の参加なのだが。

 

 その為にイギリスの女王は強く気高い自分にあった英雄を呼べるようにと取り計らっていただいたのだが…………。

 

 確かに軍人として魔術と肉体と狙撃の腕を誇りと共に磨き続けてきたという風に思われてきた自分にはあった英雄なのだろう。

 

 授かりの英雄――――アルジュナ。

 

 ステータスもスキルも宝具も最強のアーチャーに相応しい強さだ。

 

 聖杯に対する願いには逸話を考えると意外だったが彼には彼の気持ちがある。

 

 踏み込まず彼の気持ちを汲むべきと判断し何も言わないでいるが…………何せ彼は自分の名を呼ばれるのすら本心では嫌がっているようなのだから。

 

 だが彼が一言こう言ったのが気がかりだったが…………。

 

「私にとって因縁深い相手が召喚されているようですね。マスター」

 

 解る。彼にとって因縁深い相手など一人しかいない。

 

 施しの聖者カルナ――――恐らくこの戦いは自分の人生最大の死線になるだろう。

 

 この戦いには己の全てがかかっているのだから…………。

 

 もう戦いは始まっている。

 

 ここからそう遠くない所で赤のアーチャーと黒のランサーが戦っているようだ。余りに戦いが激しく遠目でしか見えないが宝具がぶつかりあったらしい。凄まじい攻防が繰り広げられている。

 

 そして……冬木市の境辺りにある架道橋の長い道路の上一帯に人払いの強力な魔術がかけられていた。

 

 そこにはどうやら赤と黒のライダーが己の騎乗物に乗り戦っているようだ。その戦いは使い魔で確認しているがやはり凄まじい。

 

 何せ赤のライダーは三頭の馬を引き連れた戦車に乗り黒のライダーは黄金の炎を放つ船に乗り何か人の顔をした獣を引き連れ空中と地上を抉りとるように駆け抜けている。

 

 あまりの速さと轟音に使い魔が追いきれず音も拾えない。

 

 だがいい。今日は様子見で充分だ。焦るとろくな事がないのは戦場と人生で知っている。

 

 彼の願いも私の願いも私は叶えてやりたいのだから…………。

 

 そして始まる。永遠の孤独を望む英雄と誇りと悲しみを心に隠す騎士の聖杯大戦…………その結末は――――――

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