「呵々、面白い。こういう手合いはしたことが無いな!」
英雄王――赤のアーチャーが遠坂邸から勝手に出ていき黒のランサー――エルキドゥと戦い始め時臣が胃を痛めて数時間、アーチャーに拠点防衛を命じられた赤のアサシンこと李書文はそのマスター――言峰綺礼と共に遠坂邸を守っていた。
言峰綺礼は内心、ここを放棄し己の何をしても満たされない心の在り方の答えを知るであろう衛宮切嗣に逢いたかったのだが……最早、それは叶いそうに無い。
あの英雄王が本腰を上げたのだ。あの全ての宝具の原典を持つあの王が全力になる程の相手だ。
――――誰が相手かは聞いていないが……あの気位と傲慢の塊のような英雄王が満足する相手とは一体、何者なのやら。
そして出ていった英雄王の隙を付きマスターたる遠坂時臣を殺す為だろう赤か黒かはわからないがキャスターの放った物だろう。
流体状のスライムやゴーレムと竜牙兵が大量に遠坂邸の庭を破壊しながら現れたのだ。
赤のアサシン――――中華最強の武人にあのような物は通じないであろうが…………まぁそれでもマトモに戦いと言えるレベルに相手をしている時点で普通とは一線を越えるレベルの物だろうが…………。
「ぬ! これは……」
「!」
アサシンは大量のスライムがトゲを早しハリセンボンのようになりゴーレムは何故か炎を纏い始め竜牙兵はアサシンの後ろに構え突っ込んでこなくなった。
どうやらキャスターがそのままやっても勝てないとふみ何かしたらしい。
アサシン――李書文はステータスも能力も三騎士レベルだ。
むしろ三騎士を一手で殺す技を持っているのだ。
キャスターでは勝負になど本来なれない。だがアサシンには明確な弱点があった。
神秘など知らないのだ。何せ神秘の薄い近代の武術家だ。
魔術の対応などできないし対魔力も無いので魔術に弱い。
何より武術家の特性上、殴るのが基本だ。体が炎に包まれていたりトゲをはやされると殴れない。
しかもサーヴァントが造ったゴーレムの魔術だ。
このままでは不利だろう。
言峰はそう考え遠坂邸から外に出て黒鍵を出し竜牙兵に黒鍵を飛ばし殴り飛ばす。
竜牙兵は対応しようと動きだすがアサシンはそれを察知しゴーレムとスライムを無視して竜牙兵を破壊する。
「呵々、綺礼よ。すまんな。あれでは無手ではちとキツイ。どうするかな……別にあのスライムもゴーレムも困るような相手では無いのだが」
「いえ、師父よ。問題ありません。これを……英雄王が時臣氏に適当に与えていた金銀財宝の中にそこそこの神秘を持つ槍をもって参りました」
「ほう。渡したのは宝石と霊薬の類いだけでは無かったのか! 助かったな! ではいくか」
まぁ勝手に持ってきたのだが何も困るまい。何せ時臣には使い道が全くないのだから。
そしてアサシンは前に出てスライムとゴーレムと竜牙兵を一撃で殺してまわる。
そして半数が消えた辺りでゴーレムやスライムと竜牙兵は勝てぬと見たのだろう。
戦力の消費を考えたのだろう。退散した。
そして遠坂邸から時臣から念話で言峰に念話が届き英雄王が戦闘を止め上機嫌で帰ってくるといいアサシンにこのまま防衛をまかせて戻れと命じられる。
言峰は了承しアサシンに防衛をまかせ屋敷に戻った。
李書文はつまらんと思っていたが従う。
そして遠坂邸は静寂に包まれた――――。