「ねぇ………」
(ん?)
「ねぇ、起きてくれないかしら? 少しだけお話しましょ?」
(別に良いが…)
そう思って目を開く。
「やっと起きた。」
目を開くと目の前に八雲紫(?)の影が見えた。
「ご機嫌いかが?」
(まぁ、良い方だな。)
「私は八雲紫。はじめましてかしら?」
(マジか!?)
マジもんの紫さんかよ!?
「突然だけど幻想郷ってご存知かしら?……知らないかしら?」
バリバリ知ってます!
「幻想郷というのは、忘れ去られたものがたどり着く場所なの。いないとされているモノが存在する世界。アヤカシの類も…」
ゆかりんが説明してくれる。説明されなくても分かってるけど…
「あら、興味があるという顔ね」
そりゃもちろん。東方知ってたら誰でも興味あるわ。
「ふふふ、私もあなたに興味があるの」
うおぉ!?ゆかりんのラブコール!?
「せっかくだから、いろいろ聞いてもいいかしら?」
いいですとも!
「まずあなたの性別を教えてくれる?」
この質問から自分についていろいろ聞かれて、こんなこと聞いて何するんだ?と思っていたら、ゆかりんがいきなり俺に向けてこんなことを言って来た。
「……そんなことを聞いてどうするのか、って?備えあれば憂いなし、とよく言うでしょう?」
(まぁそういうが…)
「これはあなたを示す大事なもの。しっかりと管理しなくてはね?」
(何故?管理する必要も無いものだぞ?)
『博…前…』
「あら、そろそろお時間のようですわよ。時間というものは、本当に早く過ぎてしまいますわ」
(時間って?)
「もしかしたらまた会えるかもしれませんわね。楽しみにしていますわ」
(ちょ…待って…)
そう思った瞬間、目の前の景色が変わった。
俺は長嶋遊矢。東方project好きの男学生だ。俺は今、バスで博麗神社に向かっている。なんでも、博麗神社には神隠しの噂がある。高校の同級生もここに来て神隠しにあったと聞いた。その真相を確かめるために、博麗神社に向かっていた。その途中で寝てしまっていたようだ。
『博麗神社前~博麗神社前~』
どうやら到着したらしい。バス代を払い、バスを降りて見送ってから、次がいつ来るのかを確認する。
「次は三時間後か…」
ここは相当な田舎らしい。それにしてもバスが三時間に一本って…来なさすぎだろ…ここまで来ないとこの周りに住んでる人、不便じゃないのか?
「参ったな…とりあえず境内にでも入ってみるか…」
せっかく来たのだから、少しでも調べたほうがいい。
「しっかし…階段長すぎるだろこれ…」
境内に入るため、階段の前に来て、階段の続く先を見上げる。すると、山といっても過言じゃないぐらいの長い斜面に沿うように階段が続いていた。
「これ上るの…」
まぁ、山道じゃないだけましだろう。しっかり階段があるだけでもありがたいと思わなければ。
「上るか…」
階段を上り、境内に向かった。
「やっとか…」
数十分かけて、やっと階段を上り切り、境内が見えた。
「中は思ってたほどきれいじゃないな。」
博麗神社には人が中々来ないとは聞いていたが、ここまで人の手が加えられていないとは驚きである。東方の聖地とも呼ばれる場所なのに、こんな放置されているとは思わなかった。
そんなことを考えていたら、メガネをかけた一人の男と目があい、その男はこちらに気付くとこっちに来て、俺にこう聞いてきた。
「お前ここに来るってことは東方projectって知ってるよな?好きなキャラを教えてくれよ。」
忘れてた…ここは来る人は少ないが、来る人すべてが「廃人」と呼ばれるくらいの東方好きなんだった…その中でも、博麗神社名物の「最初の質問」をしてくる人はいつもいるらしい。どうやら、その人が俺のところに来た。
「そうだな…」
聞かれた質問に答えるために考える。俺は東方の原作には旧作含めすべての作品に触れてきた。(旧作は親からもらった。)二次創作のゲームもだいぶ触れてきた。
その中でも俺の好きなキャラは…
「俺の好きなキャラはルーミアかな」
そう。俺の好きなキャラは(原作の)ルーミアである。Win版初のボスであり、様々な二次設定があるあいつだ。決してEXではないので、そこは気を付けてほしい。
「そうそうルーミア!ルーミアが最高だよな!」
どうやら同志らしい。でもなんか、ほかのキャラが好きな人にも言ってそうだな…
俺はその疑問を捨てて、その男と話した後、そいつと別れて本堂に向かった。本堂の前に「お賽銭」と書いてある古びた賽銭箱を見つけた。
「空か…」
中身を見てみたが、見事に空である。空って…東方の博麗神社と同じだな…
そんなことを思いながらほかのところを回ってほかに来ていた人に話しかけて情報を集める。
「情報は…こんなとこか」
今まで集めた情報をまとめると、
・この博麗神社には、神隠しの噂がある
・幻想郷につながっている
・東方projectの博麗神社といくつも共通点がある
ということだ。他にも、信憑性はないが、「境界が見える」という情報もあった。境界ってなんだよ…そんなことを考えながらいろいろまわっていると、立札を見つけた。そこには、『この先 裏山』と書いてあった。
「どうせ暇だしな…」
バスが来るまであと二時間以上もあるのだ。どうせなら行ってみようと思って「裏山」に入ってみた。それに、何か怪しい気がした。
裏山に入り少し進むと、森の中に見覚えのある紫のドレスを着た小さい女性が見えた。
「あれって…」
後ろから見たら完全に八雲紫である。小さいけど。コスプレにしてはレベルが高い。すると、紫(?)は奥のほうに向かっていった。紫(?)に話しかけようと思って追いかけてみた。だが、向こうは歩いていて、こっちは走っているのに追いつく気配がない。
「どこまで行くんだろう…」
森を抜けて、周りに木がない所についた。すると、前を歩いていた紫(?)が急に立ち止まり、こちらに振り向いた。その瞬間周りが急に光に包まれた。
「ちょっ…」
俺は成す術もなく光に包まれた。
「ようこそ幻想郷へ。幻想郷はすべてを受け入れますわ…」
頑張ろう…