デビルサバイバー 巫女と共に歩む男   作:北河静

5 / 10
今回で前日譚は終了。次から本編に入るよ!!

あと主人公に少しばかりの強化入るよ〜


Day before 5

ルイ・サイファーことクソジジイとの邂逅から早1週間。

八月に入り、暑さも厳しくなって来ている今日この頃。俺は例の公園で鍛練に勤しんでいた。時刻は午後二時頃、ついこの間まではなるべく昼間に身体を動かす鍛練は控えようと思っていたのだが、あのジジイが現れてからこの公園に滅多に人が近付かなくなったのだ。理屈はあのジジイが何か細工でもしたのかと最初の方は勘ぐっていたのだが、どうせ俺如きには理解出来ない事柄だと結論付けて、考えるのを止めた。

ついでに保存食等の買い出しもとっくに済ませ、今の俺の部屋には、保存食と飲料水1ヶ月分に、サバイバルナイフ2本、寝袋に携帯用コンロ、ウエストバッグにランタン、COMP用の手動充電器に格闘用の指貫グローブ、果てには一週間分の食料はゆうに入る登山用の鞄が鎮座している。………正直食料に関しては確実に買い過ぎたが、全品70%OFFという誘惑に負けた結果である。まあ余れば誰かに分ければ良いし、俺の部屋が若干狭くなった事以外は、特に問題は無い。

 

「よし、それじゃあ今日も宜しく頼むぜ。フロストエース」

『了解だホー!!』

 

閑話休題、俺は公園に人が寄り付かなくなった事をいい事に、フロストエースを呼び出して、組手染みた事をしている。延々と身体を動かすだけでは、力に慣れることは出来ても、使いこなすには至らないと悟ったからである。フロストエースが回復魔法を使えることから、ある程度の怪我なら問題なく治せるというのも理由のひとつではあるが。

フロストエースと俺の間には大体2m程度の距離があり、互いに一息で詰められる距離で互いに構える。

 

「そう……らッと!!」

『甘いホ!!』

 

力を6割ほど解放して地面を蹴り、フロストエースの頭に右拳を振り下ろそうとしたが、フロストエースは軽く横に動くだけでそれを避けた。

 

『必殺《フロストパンチ》だホ!!』

「チィ……!!《ソニックパンチ》ッ!!」

 

俺の攻撃を避けたフロストエースが隙だらけの俺の身体に向けて、掬い上げるようにフロストパンチを放つ。俺もそのまま食らうわけにはいかないのでな左拳で強引にスキル、ソニックパンチをフロストパンチに当てるように放つ。両者の魔力が篭った一撃がぶつかり、衝撃波が発生し、互いの身体を吹き飛ばす。

 

『やるホね、サマナー!!次はこれだホ!!《マハブフ》!!』

「テメッ……!!調子乗りすぎだ!!《キルラッシュ》!!」

 

吹き飛んだ体勢を整えようとした瞬間にフロストエースは魔法を発動し、追撃してくる。本来であれば避けるのがベストでは有るのだが、体勢が若干ではあるが、崩れている状態ではそこまで自由に動く事など出来るはずもなく、フロストエースが飛ばしてくる氷の礫を、拳の連撃による弾幕で砕く。

 

『隙あり、だホー!!』

「ねぇよダァホ!!」

 

氷の礫に紛れて近付いてきたフロストエースを蹴り飛ばす。……実の所、あいつが声出さずに殴り掛かって来てたら確実に一撃貰ってたな。気を付けねぇと……

 

『油断大敵!!《ブフダイン》だホ!!』

「なぁ!!?ガハッ……!!」

 

蹴り飛ばしたはずのフロストエースからの一撃を食らい、吹っ飛ばされる。……当たったのが右腕なのがちと辛いな、利き腕がやられた以上、どうやったって攻撃手段が限られてくるが……次はこっちの番ってな……!!

 

『ヒホホー!!流石のサマナーも今の一撃は避けられなかったみたいホねー』

「…お蔭様でなぁ!!……お返しだ、食らっとけ!!《ブレイブザッパー》ァァ!!」

『ヒホッ!!?』

 

トコトコと間抜けな足音をたてながら近付いてきたフロストエースに右脚による斬撃を食らわせる。思いっきり不意を付かれたのか、変な声をあげながら上空へと吹っ飛んでいくフロストエースを見つめつつ、左拳に力を溜める。右腕が満足に動かない以上、満足な一撃を打つ事は出来ないが、あいつをノックアウトするくらいの威力は出るだろう。

 

『ヒホホッ!!?さ、サマナー?!それはやりすぎじゃないかホ!!?』

「知るかボケ!!これで終いだ、《ギガン…フィスト》ォ!!」

『ヒボォ!!?』

 

フロストエースが目の前に来たタイミングで、拳を振り下ろす。防御の体勢を取ることも出来ずにまともに食らったフロストエースは変な声をあげながら俺の足元に叩き付けられる。

……流石にもう俺も限界なので、その場に崩れ落ちるように座り込む。この組手染みた訓練を始めてまだ数日だが、戦闘経験という点では凄まじい勢いで身に付いていっているように感じる。

俺だけでなく、フロストエースも物理型だった為、必然的に互いの繰り出す技の読み合いに近い動きが生まれるために、そういった結果になっていると考える。

 

『イタタタ……サマナー、もう少し手加減して欲しいホー。危うく死んじゃうトコだったホー』

「それはこっちの台詞だ。氷結魔法(ブフダイン)なんか使いやがって……おかげでまだ右腕動かないんだぞ?」

 

回復魔法(ディアラマ)を唱えながら起き上がって来たフロストエースに文句を言いつつも、俺の腕に回復魔法(ディアラマ)を使ってもらう。自分で回復魔法が使えれば良いのだが、俺のスキル構成は完全な物理特化型なので回復手段は現状では《勝利の雄叫び》か、《生命の泉》というスキルに頼るしか無い。前者は敵対したモノを倒した時にしか発動しないし、後者は継続的に傷を癒すスキルなのだが、回復力はそこそこ高いが、攻撃系のスキルで消費した体力の回復を優先している為、打撲などのよっぽど大きな怪我でも負わない限りそちらに回復が回らないのだ。

具体的な程度は、少なくとも骨折や、臓器損傷など、戦闘に著しい影響が出る怪我になってくる。今回のケースでは、右腕が動かない状態になったが、打撲による一時的な麻痺だったのと、《生命の泉》の効果が発揮される前に戦闘を終わらせた事で、腕の治療が行われなかった。

 

『……これで腕はオッケーだホ。それについて(ブフダイン)はゴメンだホー……でもでも、あの状態から反撃するなんて、サマナー凄い成長したホね〜多分そこら辺の野良悪魔なら瞬殺だホ!!』

「おう、ありがとさん……とはいえ強化された身体でゴリ押ししているだけだしなぁ……せめてマハブフ位は避け切れるようにならないとな」

『……サマナーは理想が高過ぎるホー……物理スキルならまだしも、普通魔法を避けようとする奴は居ないホー』

 

俺が今後の目標を口にすると、フロストエースが呆れた様な声で呟く。……悪魔に呆れられるとは、そこまで変な事なのだろうか?まあ大方悪魔は耐性があるから、それで魔法を無効化する連中が多いからだろうが……

 

「……兎にも角にも、今後も組み手は続けるか。この組み手をしているだけでも新しいスキルが使えるようになっていっているからな」

『そうホねー。オイラもサマナーと契約したばっかりの頃よりスキルが豊富になったホー』

 

そう、フロストエースとの組み手の影響なのかは定かではないが、俺もフロストエースもスキルがいくつか解放されている。フロストエースは氷結系のスキルを、俺は物理系スキル数種類と、補助系スキルがいくつか。先程の組み手で使った《ブレイブザッパー》や《ギガンフィスト》、《生命の泉》等がそれにあたる。……個人的にはフロストエースが使っているような魔法が使えれば良かったのだが、今の俺にはまだ使えないようだった。とはいえ、前衛の俺、中衛兼回復役のフロストエース、そして昨日ようやく召喚が可能になったあいつら(・・・・)という壁役がいれば、少々自分達よりも実力が上の奴でも問題は無いだろう。

 

「……しかし、流石にもどかしいな……せめて祭りとやらが始まる時期が判ればもっとこう……やりようがあるっていうのに」

『仕方ないホー、あの方は知っていても故意に黙っている事の方が多いホー』

「悪魔の中ですらその認識なのかよあのジジイ……」

『それでいっつもゼブブ様が尻拭いというか、後始末というか……まあそんなことしているホー』

「大変だなそいつも……」

 

多少ではあるが、同じ存在に振り回されているそいつに同情したくなる。まあどうせ悪魔なんだろうから、立ち塞がるっていうならぶち殺すがな。

 

「……さてと、お互いの体力も充分回復した所で、今日はこれで終わりにするかぁ」

『了解だホー』

 

フロストエースをCOMPに戻し、家への帰路につく。……取り敢えず、今日の晩飯も買い過ぎたインスタント食品で決まりだな。




そんなこんなでお届けした今話。

主人公の特性として、スキルクラックの代わりにスキル自動取得。閣下の魔力に慣れれば慣れるほど使えるスキルが増える設定。他にも隠し設定あるけどそれはまた後日。ではでは。
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