戦姫絶唱シンフォギアGinga S&GX    作:ベンジャー

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11Eve 『深海の戦い』

ギンガ、ビクトリー、切歌、調、クリスがキャロル達と交戦しているのと同じ頃、竜宮のある牢屋では白衣を着た異形の左腕を持つ男性・・・・・・「ウェル」が不気味な笑みを浮かべていた。

 

「・・・・・・花火が上がった。 騒乱は近い、ならば・・・・・・求められるのは、英雄だ!!」

 

そしてギンガ達の戦闘の影響によって牢屋が破壊され、牢屋から脱出したウェルは左腕にクリスの放ったイチイバルのミサイルを吸収し、キャロルを守るようにして・・・・・・ギンガ達の前に立ちはだかったのだった。

 

彼の姿を見て一同・・・・・・特に、彼と因縁のあるビクトリー、切歌、調は驚愕し、ビクトリーの中にいる零無はウェルの姿を見て心底嫌そうな顔を浮かべ、切歌と調は「嘘・・・・・・」と呟く。

 

「嘘なものか。 僕こそが真実の人ォ・・・・・・!! ドクター・ウェルウウウウウ!!!!! へっへ〜ん。 旧世代のリンカーぶっ込んで、騙し騙しのギア運用と言う訳ね。 優しさで出来たリンカーは、僕が作ったものだけぇ!! そんなので戦わせてるなんてぇ!! 不憫過ぎて笑いが止まr」

『ウルトランス!! キングジョー!! ランチャー!!』

 

ウェルが喋っている途中、右腕を「キングジョーランチャー」に変えたビクトリーはウェルの足下に弾丸を撃ち込んで威嚇射撃し、それに彼は「ひい!!?」と悲鳴をあげながら驚き、思わず尻餅をついてしまう。

 

「お前ぇ!! 僕がまだ喋ってる途中でぇ~!!?」

『悪い、話が長くて半分しか聞いてなかった。 つーか話長ぇよ、校長先生かお前は。 今すぐに牢屋戻れコラ』

「それに不憫に一等賞が何を言ってるデス」

 

ビクトリーと切歌がそんなことを言っていると不意にクリスが「私の一発を止めてくれたな・・・・・・」と忌々しそうに小さく呟き、それを聞いたビクトリーと切歌が不思議そうに彼女を見て首を傾げる。

 

『クリス?』

 

その様子にはギンガも気づくが、クリスは彼等の視線に気づかず、ウェル達を睨み付ける。

 

(後輩の前でかかされた恥は、100万倍にして返してくれる!!)

 

クリスはアームドギアを構えて攻撃の態勢に入るが、それをすぐに切歌と調が止めに入る。

 

「待つデスよ!!」

「ドクターを傷つけるのは・・・・・・」

「何言ってやがる!!?」

 

そんな風に止めに入る切歌と調に対し、クリスは反論するが・・・・・・リンカーを作ることができる人間はウェルだけ・・・・・・。

 

その為に、切歌と調の2人は思わずクリスを引き止めてしまったのだ。

 

「そうとも!! 僕に何かあったら、リンカーは永遠に失われてしまうぞ!!」

「ほっとれば、話を勝手に進めるな」

 

そんな時、今まで黙って彼等の光景を静観していたキャロルがアルカノイズとチブロイドを複数体召喚し、アパテーとアルギュロスが先陣を切ってギンガ達に襲いかかる。

 

「2人が戦えなくても、私は!!」

『取りあえず、降りかかる火の粉を先ずは払うぞ!!』

『あぁ!!』

 

ギンガの言葉にビクトリーは頷き、クリスはアームドギアの弾丸をチブロイド、アルカノイズに浴びせ消滅させ、こちらに向かって駈け出して来るアパテーとアルギュロスにも弾丸を撃ち込む。

 

だが、アパテーは自身の身体から作り出した槍を手に持ち、アルギュロスを後ろに下がらせてそれで弾丸を弾きながら接近し、一定距離まで近づくとアパテーの頭上を飛び越えて右腕を剣にしたアルギュロスがクリスに斬りかかる。

 

それをアームドギアを交差してクリスは防ぎ、腹部に蹴りを入れてアルギュロスから離れて距離を取る。

 

そこに身体を6本の槍に変化させたアパテーがクリスに襲いかかるが・・・・・・ビクトリーの放ったキングジョーランチャーの弾丸により全て撃ち落とされる。

 

『オイオイ、俺とも遊んでくれよ』

『ウルトランス!! レイキュバス!! シザース!!』

 

ビクトリーは右腕をレイキュバスのハサミに変化させ、冷凍ガスを元の姿に戻ったアパテーに発射するがアパテーはバックステップで回避し、槍を手に持ってそれをビクトリーに投げつける。

 

だが、ビクトリーはそれを弾き飛ばし、アパテーへと向かって行く。

 

『ツェア!!』

『ギンガファイヤーボール!!』

 

一方でギンガは空中から無数に生み出した火炎弾「ギンガファイヤーボール」を的確にチブロイドやアルカノイズに直撃させて一気に倒し、アルギュロスと戦うクリスの元に駆け寄ろうとする。

 

「その男の識別不能、マスター、指示をお願いします」

「敵でも味方でもない、英雄だ!!」

 

レイアがキャロルに指示を仰ぐと、ウェルはそんなことを言い放ち、それにクリスはアルギュロスを押し退かして先ほどよりもデカい一発をお見舞いしようと巨大なミサイルを発射する準備に入る。

 

「だったら英雄様に、さっきよりデカいの纏めてくれてやる!!」

 

挿入歌「TRUST HEART」

 

歌を口ずさみながら、クリスはミサイルを撃ち込もうとするが・・・・・・。

 

「このおっちょこちょい!!」

「っ!?」

「どういうつもりか知らないが、そんなの使えば施設も、僕も!! 海の藻屑だぞ!!」

 

ウェルの言葉にハッとなり、クリスはミサイルをしまって通常攻撃に切り替え、背後からアルギュロスが剣を振りかざして来るがギンガが右腕から出現させる光の剣「ギンガセイバー」でそれを受け止め、押し返してさらにアルギュロスに詰め寄り、ギンガセイバーで斬りつける。

 

『うぐうう!!? 貴様ぁ!!』

『おいクリス!! お前なんか、焦ってねえか!? 落ち着け!!』

「私は落ち着いてるよ、コウマ!!」

 

クリスは弾丸を残りのチブロイドやアルカノイズ達に撃ち込んでいくが、またキャロルの指示でレイアも戦闘に参加し、クリスに戦いを挑む。

 

それにクリスはレイアに弾丸を放つが・・・・・・レイアの動きは素早く捕えることがでない。

 

(後輩なんかに任せてられるか!! ここは先輩の私が!!)

 

その時、レイアを追いかけていたクリスのアームドギアの銃口が調に当たりそうになるのだが・・・・・・それをギンガがギンガセイバーでアームドギアを押し退かしたことで、銃弾が調に当たることは無かったのだった。

 

『このドアホ!! それのどこが落ち着いてんだ!! もう少しで調に当たるところだったろうがこの大ボケ!!!!』

「そうデス!! 諸共に、巻き込むつもりデスか!?」

 

流石のギンガ・・・・・・コウマもクリスを怒鳴りつけ、切歌も流石に今のはどうかとと抗議する。

 

「っ・・・・・・。 ハッ!? アイツ等は、どこに行った!?」

 

しかし、その間にキャロル達はどこかに消え去っており、見れば床に大きな穴が開いていて恐らくそこから逃げたのだろうということが分かった。

 

「逃がしちまったのか!?」

「ごめんなさい、ドクターに何かあるとリンカーが作れなくなると思って・・・・・・」

「でも、もう惑わされないデス!! 私達が力を合わせれば今度こそ!!」

 

そう言いながら切歌はクリスに歩み寄るが・・・・・・そんな彼女をクリスは手で押し返す。

 

「後輩の力なんてあてにしない。 お手々繋いで仲良しごっこじゃねえんだ。 私一人でやってみせる!!」

 

そこで変身を解除し、人間の姿に戻ったコウマがクリスの肩を掴んで「ふざけんな!!」と怒鳴る。

 

「いい加減にしろよ、クリス!! そんな言い方ないだろ!! 何をそんなに焦ってんだ!! 冷静にならなくちゃ、またさっきみたいに仲間を誤って攻撃するかもしれないんだぞ!!」

「っ、分かってる。 分かってるよ・・・・・・そんなことは・・・・・・!!」

 

クリスはコウマの手を払い退け、彼女は唇を噛み締める。

 

(一人でやらなきゃ示しがつかねえんだよ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、S.O.N.G.本部でもキャロル達の行方を追いかけようとしていたのだが・・・・・・反応はロストしてしまい、今後は彼女達が大きな動きをしてくれない限り見つけるのは難しいというのが現状であった。

 

「・・・・・・ドクター・ウェル、隔離情報が公開されていればこんなことには・・・・・・」

「ネフィリムの力も健在、厄介だな」

 

朔也とあおいがそれぞれそう呟き、弦十郎は2人はすぐになんとかキャロル達を追跡できるように指示。

 

「最後のパーツ、ヤントラ・サルヴァスパが失われたことでチフォージュ・シャトーの完成は阻止できました。 なのに、キャロルはまだ・・・・・・」

 

エルフナインの言うように、ヤントラ・サルヴァスパが破壊されても尚、画面越しでもキャロルの目に諦めの色は見えず、そのことにエルフナインは悲しげな表情を浮かべながら・・・・・・キャロルからチフォージュ・シャトーの使用目的を聞いた時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『説明してください!! 僕が建造に携わったチフォージュ・シャトーは、僕達のパパの意思を受け継ぐ為だった筈!! 世界をバラバラにするなんて聞いてません!!』

 

そんなエルフナインの言葉にキャロルは不敵な笑みを浮かべながら、彼女の問いに対し「如何にも」と答える。

 

『チフォージュ・シャトーは錬金技術の粋を集めた『ワールドデストラクター』にして巨大なフラスコだ』

『・・・・・・僕を騙すつもりで・・・・・・』

『さて、それを知ってどうする? 力のないお前が俺を止めて見せるのか?』

 

キャロルの挑発するような言葉に対し、エルフナインは不安な顔を浮かべつつも拳を握りしめ、言い放つ。

 

『それでも、それでも、僕が思い出のパパを大好きなように貴方もパパのことが大好きなはずです!!』

 

それを聞き、キャロルを目を見開いて驚愕の表情を浮かべ、「お前、何を!?」驚きの声をあげる。

 

『パパは世界をバラバラにすることなんて望んでいなかった!! 望んでいないことを僕はあなたにさせたくない!!』

 

そう必死に・・・・・・嘆くようにエルフナインはキャロルに訴えるのだが、それを受けて当然キャロルは止まる筈もなく、むしろキャロルはそんなエルフナインに怒りを覚えて彼女を睨み付ける。

 

『思い出を複写されただけの廃棄躯体風情が・・・・・・!! 出来損ないの娘が語ることではないと覚えよ!!』

『っ!』

 

キャロルは力強くエルフナインを怒鳴りつけ、一度息を吸って落ち着くと彼女はエルフナインに「・・・・・・お前をシャトー建造の任から解く」と言い渡し、後はどうとでも好きにしろとキャロルはエルフナインに告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ・・・・・・? 俺は、落ちていたのか?」

 

同じ頃、キャロルは逃走の途中で気を失ってしまっており、彼女は今レイアに抱きかかえられている状態だった。

 

「またしても拒絶反応です。 撤退の途中で意識を・・・・・・高レベルフォニックゲイナーが複数揃う僥倖にはやるのも理解できますが・・・・・・」

「・・・・・・杞憂だ」

 

キャロルがレイアにそう言葉を返した後、彼女はウェルの方へと顔を向ける。

 

「知っているぞ、ドクター・ウェル。 フロンティア事変関係者の1人・・・・・・」

『そう言えば彼は確か、闇の支配者様復活の媒体にもなった方だねぇ』

 

キャロルとライブを解いたベルメがそれぞれそんなことを呟き、キャロルはなぜそんな彼がこんなところにいるのかと尋ねるとウェルは不機嫌そうな顔を浮かべながらも、その問いかけに答える。

 

「フン、我が身可愛さの連中がフロンティア事変も僕の活躍もよってたかって無かったことにしてくれた!! 人権も存在も失った僕は人ではなく物・・・・・・! 回収されたネフィリムの一部として放り込まれていたのさ!!」

「その左腕が・・・・・・」

 

キャロルはジッとウェルのネフィリム化している左腕を見つめる。彼はイチイバルの砲撃も腕の力で受け止めた訳では無く、接触の一瞬にネフィリムの力で喰らって同化し、それによって身体の推進力として制御したのだと自慢げに先ほどのことを説明した。

 

『誰もそこまで聞いてねえよ。 っていうか何言ってるかよく分かんねえんだけどよ・・・・・・つまりお前は俺達に力を貸してくれるっつーことか?』

 

キューバがウェルに話しかけ、ウェルは怪訝そうにベルメとキューバを交互に見つめた後、少し考え込む。

 

「ふむ、君たちはルギエルの配下か何かか?」

『まぁ、そんなところかな? と言っても今は彼を復活させようとしているエクセラーくんという人の元で働いているがね。 君は中々使えそうだし、力を貸してくれるなら君をここから出す手助けをしても良い』

 

ベルメの説明を受け、ウェルは少しベルメに疑いの視線を向けるが・・・・・・彼はすぐに決断を下す。

 

「まあいいだろう。 ルギエルには借りも一応あるからな。 英雄の力が必要とあらば・・・・・・!!」

『とまぁ、こんな感じで勝手に話を進めているが・・・・・・キャロルくんもそれで良いかな?』

 

ベルメがキャロルの方に振り返って尋ねるとキャロルは「構わん」とだけ答え、彼女は「ついて来い」と一同に指示し、どこかに行こうとするのだが・・・・・・。

 

「おっと、その前に騒乱の只中に案内してくれ」

「騒乱の只中?」

「英雄の立つところだ!」

『こいつ言葉だけはいっちょ前にカッコイイな。 変な奴だが』

 

意気揚々と言い放つウェルにキューバが苦笑しながら呟くが、即座にレイアから「変な奴はお前もだろ」とツッコまれた。

 

(いやレイアくんも変なポーズよく取ってるから君も人のこと言えないだろう)

 

なんて心の中でツッコミを入れるベルメだが・・・・・・こいつも人のこと言えない気がする。

 

するとキャロルはウェルに左手を差し出し、ウェルは「んっ?」と首を傾げつつも自分も左手を拭いてその手を握り、握手を交わす。

 

「ネフィリムの左腕、その力の詳細は追っ手を巻きつつ聞かせて貰おう」

「脱出を急がなくても良いのかい?」

「奴等の動きは把握済み、時間稼ぎなど動作もない・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、コウマ達はというと・・・・・・。

 

現在は通信システムのある場所で弦十郎と連絡を取っていたのだが・・・・・・やはり弦十郎自身も先ほどのクリスの行動に思うところがあるらしく、彼女と口論を繰り広げていたのだった。

 

『力を使うなと言っているんじゃない!! その使い方を考えろと言ってるんだ!!』

「新しくなったシンフォギアは、キャロルの錬金術に対抗する力だ!! 使いどころは今を置いて他にねえ!! 眠てえぞおっさん!!」

『ここが深海の施設だと忘れるなと言っている!!』

 

弦十郎の言葉にそう反論するクリスだが、話を聞いていたコウマも「弦十郎さんの言う通りだろ」とクリスに言うのだが・・・・・・。

 

彼女は苛立ちを隠さず、壁を力強く蹴り上げる。

 

「正論で超常と渡り合えるか!!」

「いや、相手が超常だとしてもやっぱり弦十郎さんの言ってることの方が正しいだろどう考えても。 もっと冷静になれって言ってるだろ? はい、深呼吸して!!」

 

そう言いながらコウマはポンポン軽くクリスの頭を優しく叩くのだが、彼女はそんなコウマをキッと睨み付けてその手を払いのける。

 

「うるせえバカコウマ!! んなことやってる場合じゃねえことくらい分かんだろうが!! ここで奴等を取り逃がして取り返しのつかないことになったらどうすんだよ!!」

「だからこそ、落ち着けって俺は言ってるんだろ! 今のお前はどう考えても焦りすぎだ!!」

「あーもう!! お前がそこまで分からず屋とは思わなかったぞ!!」

「それはお前だろうが!!」

 

お互いにメンチを切り合わせるコウマとクリス、そんな2人の輪に入ることもできず、ただただ黙ってみていることしかできない零無、切歌、調。

 

「俺達これどうしたら良いんだよ、切歌と調がこの前喧嘩したと思ったらこれだよ。 あの2人がこんなところでここまで喧嘩するなんて普通に予想外なんだけど・・・・・・」

「そんなの私もデスよ!! 居心地悪いデス!!」

 

そんな時、あおいから念のためと言うことで格ブロックの隔壁やパージスイッチのデータが送られ、一同に彼女は確認をするように頼む。

 

「助け船に感謝・・・・・・!」

「ってこんなにいっぱい覚えられないデスよ!!」

 

切歌の言う通り、そのデータは結構な量で正直短時間で覚えろというのは少々は酷なものであった。

 

「じゃあ切ちゃん、覚えるのは2人で半分こにしよう」

「ナチュラルに俺ハブいてんじゃねえぞ調」

 

その時のことである。

 

『セキリュティシステムに侵入者の痕跡を発見!!』

 

朔也からの通信が入り、クリスはそれを聞いて待ってましたと言わんばかりの表情を浮かべる。

 

「そういう知らせを待っていた!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、風鳴八紘邸にて・・・・・・。

 

「これは、先ほどの・・・・・・!!」

 

そこでは緒川が翼が倒したファラの残骸を発見し、それを彼は翼達に報告し、彼女達はほぼ上半身しか残っていないファラをジッと見つめていた。

 

「この状態で・・・・・・可動するの?」

 

マリアが疑問に思ったことを口にすると白目を向いていたファラの瞳が戻り、彼女は突然翼に対して謝罪の言葉を送った。

 

「いつか、ショボいだなんて言って・・・・・・ごめんなさい。 剣ちゃんの歌、本当に素晴らしかったわ」

「はっ? なに? 翼の歌ショボいとか言ってたのかコラ。 それで今になって翼の歌の素晴らしさに気づいたと? 遅すぎだろオイ、ふざけんなよ」

 

額に青筋を浮かべたアスカはファラの頬にその辺に落ちていた木の枝をグリグリと押しつける。それにランが呆れたような顔を浮かべ、「やめい」と後ろからアスカの頭にチョップを叩き込み、アスカをファラから引き離す。

 

「私の・・・・・・歌?」

「フフ、アハハハハ!! まるで身体がバッサリ2つになるくらい素晴らしく呪われた旋律だったわぁ!!」

「いや、自分の身体見てみろよ、マジで身体バッサリ真っ二つにされてっから!」

 

ランがファラにツッコミを入れるが、ファラはそんな彼の言葉を無視して笑い続け、また翼はファラの言葉を受け、以前キャロルも同じようなことを言っていたのを思い出していた。

 

「呪われた旋律・・・・・・確か、以前にもキャロルが言っていた・・・・・・」

「お前、確かファラだったか? 何が狙いか教えて貰うぞ・・・・・・!」

 

ランはファラを睨み付けながら服の上の胸倉を掴みあげ、その言葉の意味を聞き出そうとする。

 

「マスターが世界を分解する為には、どうしても必要なものが幾つかありましたの」

 

ファラはことの真相をラン達に話し始める。先ずその必要なものの1つが、魔剣ダインスレイフの欠片が奏でる「呪いの旋律」であり、それを奏者に歌わせ身体に刻んで収拾することがキャロルがオートスコアラーを作った理由であり、彼女達の役目だというのだ。

 

そして最初にキャロル自身が呪われた旋律を身に受けることで譜面が作成され、後は残りのメンバーにイグナイトモジュールを使わせてオートスコラー達を倒させれば良いだけの話だと、ファラはラン達に話す。

 

「全てが、最初から仕組まれていたのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、コウマ達はキャロル達を追跡して走っていたのだが・・・・・・。

 

どういう訳か、キャロルは巧にコウマ達の追跡を躱しており、クリスは弦十郎に本当に方角は合っているのかと苛立ち気味に尋ねる。

 

「本当にこっちで間違いないんだろうな!!」

「あぁ、だが向こうも巧に追跡を躱して進行している!!」

 

まるでこちらの動きを分かっているかのようなキャロル達の動き。

 

それにあおいが気づくと、弦十郎や朔也もまさかとある考えに至った。

 

「まさか、本部へのハッキング!?」

「知らず、毒を仕込まれていたというのか!?」

 

自分達の追跡を確実に躱すこの現状、完全性遺物の管理官区域を特定したことといい、やはりどう考えてもこちらの情報が相手に漏れてるとしか弦十郎達は思えなかった。

 

「それが仕込まれた毒、内通者の手引きだとしたら・・・・・・」

 

朔也がフッとそんなことを呟くとそれを聞いたエルフナインはハッとなり、この状況で真っ先に1番疑わしいのが自分であることを彼女は即座に理解した。

 

「ち、違います!! 僕は何も・・・・・・僕じゃありません!!」

 

すぐにエルフナインは自分は内通者などではないと否定するのだが・・・・・・その時、どこからかキャロルの声が司令室に響く。

 

『いいや、お前だよ、エルフナイン』

 

すると、エルフナインの身体から投影されるかのようにキャロルが立体映像となって司令室に現れ、それに一同は一体どうなっているのかと驚きの表情を浮かべる。

 

「そんな・・・・・・僕が、毒?」

「一体、どういうことだ!?」

 

弦十郎がキャロルを睨み付けながら尋ねると彼女は不敵な笑みを浮かべる。

 

『とはいえ、エルフナイン自身は自分が仕込まれた毒であるとは知る由もない。 俺が此奴の目を、耳を、感覚器官の全てを一方的にジャックして来たのだからな』

「僕の感覚器官が・・・・・・勝手に・・・・・・!!」

 

その事実を聞いてエルフナインは驚愕して彼女は両手で目を覆い隠してしまう。

 

『同じ素体から作られたホムンクルス躯体だからこそできることだ』

 

それを受け、エルフナインは顔を青ざめさせ、目尻に涙を浮かべながら自分を拘束するように弦十郎達に必死に頼む。

 

「お願いです!! 僕を拘束してください!! 誰も接触できないよう独房にでも閉じ込めて!! いいえ、キャロルの企みを知らしめるという僕の目的は果たされています・・・・・・。 だからいっそ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ファラもキャロルと同じ内容の話を全てラン達に話した後、完全に役目を終えた彼女は自爆。

 

その際、ファラは周囲に粉塵のようなものを撒き散らす。

 

「自爆しやがった!? クソ、つまり奏者にもう用は殆どないってことか」

「だから、こちらの気を引くことをなめらかに・・・・・・!!」

 

ランとマリアは悔しそうに唇を噛み締める。

 

「おい、よく分からんが・・・・・・そのイグアナみたいな名前のやつ、他の奴等にも使わせないよう言った方が良いんじゃねえか!?」

「イグナイトモジュールです!! って今はそんなことはどうでもいい、緒川さん本部に連絡を!! イグナイトモジュールの使用を控えさせないと!!」

 

すぐに翼が緒川に本部に連絡を入れるように頼み、緒川も言われた通りすぐに本部に連絡を入れるのだが・・・・・・電波障害が起こっているらしく、通信が不可能だった。

 

「ダメです! 恐らくこの粉塵が・・・・・・!!」

「おいおい、電波障害までやってやがんのか・・・・・・用意周到なことだなチクショウ」

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、S.O.N.G.本部司令室。

 

「だから、だから・・・・・・いっそ僕を・・・・・・!!」

 

泣きじゃくりながら、エルフナインは自分をと・・・・・・弦十郎達に訴えるが・・・・・・。

 

弦十郎はそんなエルフナインの頭に、そっと優しく手を置いた。

 

「なら良かった! エルフナインちゃんが悪い子じゃなくて・・・・・・」

「敵に利用されただけだもんな」

 

あおいや朔也はそう言いながら微笑みをエルフナインに向けて優しい言葉をかけ、弦十郎は彼女の頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

「君の目的は、キャロルの企みを止めること。 そいつを最後まで見届けること・・・・・・」

 

オペレーター2人と同じように、弦十郎もまたエルフナインに優しく微笑み、「だからここにいろ」と彼はエルフナインに声をかける。

 

「誰に覗き見されようと構うものか」

「は、はい・・・・・・!」

 

それを受け、エルフナインもまた笑みを浮かべるのだが・・・・・・そんな光景をキャロルはつまらなさそうに見つめており、彼女は「チッ」と舌打ちすると投影されていた彼女はそのまま消え去ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「使われるだけの分際で・・・・・・!」

 

するとそこへ、キャロルが弦十郎達と話している間に、コウマ達はなんとかキャロル達の元へと追いついて現れたのだ。

 

「ここまでよ!! キャロル、ドクター!!」

「さっきみたいには行くもんかデス!!」

「お縄を頂戴させて貰う!! って言うんだっけ? こういう時?」

 

調、切歌、零無がキャロル達を睨み付けながらそう言い放つのだが・・・・・・。

 

「だが既に、シャトー完成に必要な最後のパーツの代わりは入手している」

「なに? 代わりってなんのことだ!!?」

 

コウマがキャロルの言う「代わり」とは一体なんのことなのかと尋ねるのだが、キャロルは当然答えず、代わりにアルカノイズとチブロイド達を複数体召喚する。

 

「子供に好かれる英雄ってのも悪くないが、生憎僕はケツカッティンでね!!」

「誰がお前なんか!!」

「好かれるどころかPTAから苦情が殺到しそうな奴の癖に!!」

 

ウェルの言葉に切歌と零無がそう返すと一同はそれぞれ戦闘準備に入るために変身アイテムを取り出し、切歌、クリス、調は「歌」を口ずさんでシンフォギアを身に纏う。

 

コウマはギンガスパークを掲げてブレード部分を展開、するとそこからギンガのスパークドールズが現れ、それを掴み取ってギンガスパークにリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』

「ギンガアアアアアア!!!!!」

 

光に包まれたコウマは等身大の「ウルトラマンギンガ」に変身。

 

また零無はビクトリーランサーをランサーモードに変形させて構えるとビクトリーのスパークドールズが現れ、それを掴み取って中央部分にリードさせると先端の矢尻部分が開きビクトリーの顔を象った彫刻が現れる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

するとビクトリーがビクトリーランサーから飛び出し、零無が光に包まれるとその光はそのウルトラマンの胸部にあるカラータイマーの中へと入り、零無は等身大の「ウルトラマンビクトリー」へと変身を完了させた。

 

それと同じようにキューバとベルメもそれぞれチブルスパークを取り出し、モンスライブしてベルメは「金属生命体 アパテー」に、キューバは「金属生命体 アルギュロス」にそれぞれ等身大になって変身。

 

『まだこれだけじゃねえ!! 奥の手を使うぞベルメ!!』

『よーし、それじゃやりますか!』

 

アルギュロスはアパテーに手を差し伸べるとアパテーは勢いよくその手を掴み、2体の身体が液体状となって1つに纏まり・・・・・・やがて1体の金属生命体となる。

 

『モンスライブ! 合体!! ミーモス!!』

『無茶で無謀と笑われようとも・・・・・・!! 意地が支えの喧嘩道!!』

『壁があったら殴って壊す!! 道が無ければこの手で造る!!』

『『心のマグマが炎と燃える!! 超絶合体!! 金属生命体!! ミーモス!!!!』』

 

そんな名乗り口上を上げながら2体は融合して「金属生命体 ミーモス」へと変わったのだ。

 

『オイ!! その口上諸パクリじゃねえか!!』

『黙れぃ!! 行くぞギンガ!! ビクトリー!!』

 

そう言い放ちながらミーモスは数体のアルカノイズ、チブロイド達を引き連れて一斉にギンガとビクトリーに襲いかかり、また奏者達も他のアルカノイズやチブロイド達との戦闘を開始する。

 

挿入歌「オーバーキルサイズ・ヘル」

 

『ウルトランス! レイキュバス! シザース!!』

 

ビクトリーは右腕をレイキュバスのハサミに変え、ミーモスに斬りかかるがミーモスは両手でそのハサミを掴みあげ・・・・・・あっさりと力尽くで折ってしまう。

 

『なに!?』

 

そのままミーモスはビクトリーの腹部に勢いよく蹴りを叩き込み、続けてギンガがミーモスに殴りかかるのだがミーモスは空中へとジャンプし、全身の突起物のようなものをブーメランのようにして投げつけ、ギンガとビクトリーの身体を斬りつける。

 

『『グアアアア!!!?』』

「今援護するよ!!」

 

そこへ調がアームドギアから小型鋸を大量に射出する「α式 百輪廻」をアルカノイズやチブロイド達を纏めて切り裂きながらミーモスに放つのだが・・・・・・ミーモスは両手に巨大なブーメランを持ち、それを振るって小型鋸を全て弾いてしまう。

 

『ギンガセイバー!!』

 

腕のクリスタルから1本の剣を生成し、「ギンガセイバー」を出したギンガがギンガセイバーをミーモスに何度も振りかざすのだが、ミーモスは絶妙に避け・・・・・・手に持った片方のブーメランを投げつける。

 

なんとか投げつけて来たブーメランを回避するギンガ、そのままギンガは一気に攻め込もうとギンガセイバーをミーモスに振りかざし、ミーモスはもう片方の手に持ったブーメランでそれを受け止める。

 

『コウマ!! 危ない!!』

『なっ!?』

 

そこへ先ほどミーモスが投げたブーメランが旋回してギンガに向かって来ており、それをビクトリーが庇うように立って両腕を交差し、ブーメランによる攻撃をギンガの代わりに受けて吹き飛ばされてしまう。

 

『グアアアアア!!!!?』

『零無!!』

「よくも零無を!! 零無の仇デス!!」

『俺死んでねえぞ切歌!!?』

 

そこへ切歌が肩部プロテクターを展開し、それぞれの先端に鎌を装備させて自在に操る「封伐・PィNo奇ぉ」を発動し、手に持った鎌を合わせて合計5本の鎌でミーモスに攻撃を炸裂するも、ミーモスは両手のブーメランでどうにかそれらを受け流す。

 

『くっ! 流石に相手の手数が・・・・・・!!』

『だが!! 似たような芸当なら俺達にもできるさ!!』

 

ミーモスはギンガを押し退かし身体の4つの突起物を先ほどと同じように外して空中に浮かせ、自在に操ってそれらを飛ばして切歌の左右から攻撃を仕掛ける。

 

それに気づいた彼女はすぐさまミーモスから離れるのだが・・・・・・ブーメランはしつこく追いかけ、弾いたとしてもまた戻って来る為、切歌は苦い表情を浮かべる。

 

「くっ・・・・・・!」

「退け!! 私が!!」

 

そこへ最大火力を使えない為、小型銃のアームドギアでチブロイドやアルカノイズに応戦していたクリスが駆けつけミーモスに銃弾を浴びせようとするのだが、彼女の前にレイアが立ち塞がる。

 

「お前の相手は私だ」

「お決まりの台詞なんて言いやがって!!」

 

レイアはコインで作ったトンファーのような武器を両手に持って使い、クリスに向かって殴りかかる。

 

それをクリスは銃で右手の銃で受け流し、左手の銃で銃弾を撃ち込むのだがレイアはそれを身体を捻るようにして躱し、再びトンファーを振るう。

 

それをクリスはなんとか後退して回避し、銃弾を何発も浴びせようとするが・・・・・・レイアはダンスのような動きで銃弾を全て回避し、巨大な岩石のようなものを床から生やして飛びかかってきたクリスを突き飛ばした。

 

「後は私と宇宙人共・・・・・・それと間も無く到着する妹で対処します」

 

レイアはキャロルの元へと駆け寄ってそれだけを言うとキャロルは「オートスコアラーの務めを」とだけ言い、レイアは頷く。

 

「派手に果たしてみせましょう」

 

そのままキャロルが瓶を床に投げつけると足下に巨大な紋章が現れ、キャロルとウェルの2人は転移して消え去ってしまう。

 

「待ちやがれ!!」

 

すぐさまクリスは2人を引き止めようとするのだが、当然それをレイアは許さずトンファーでクリスの顔を殴りつけ、殴り飛ばす。

 

「ぐあああ!!?」

「マズいデス!! 大火力が使えないからって飛び出しすのは!!」

「ダメ!! 流れが淀む・・・・・・!」

『クリス!!』

 

ギンガがクリスの元へと駆け寄ろうとするのだが、その隙を突いて後ろからミーモスのドロップキックを喰らいギンガは吹き飛ばされてしまう。

 

『ぐうううう!!!?』

『フフフ、今までのは舐めプ!! 所詮ギンガやビクトリーなど、本気を出した僕達の敵ではないのさ!!』

 

ベルメとキューバが余裕そうにギンガ達にそう言い放つとミーモスはさらに2本のブーメランをクリスに向かって投げつける。

 

クリスはそれをなんとかガードしようと両腕を交差するが間に合わず直撃を受けて吹き飛ばされ、壁に激突してしまう。

 

「うあああああ!!!!?」

『クリス!!』

「こんの・・・・・・!! 後ろ獲ったデス!!」

 

ミーモスの背後に回り込んだ切歌がアームドギアを振りかざすのだが・・・・・・ミーモスは回し蹴りで切歌を蹴り飛ばす。

 

「くううう!!!?」

「切ちゃん!!」

 

なんとか直撃は避けたもののその余波で身体がよろめき、切歌は倒れそうになるのだがそれを調が後ろから支える。

 

「ありがとデス、調・・・・・・」

 

だが、その瞬間2人が纏めて一箇所に集まったところにレイアは巨大化したコインを放ち、そのコインで2人を挟み込んだのだ。

 

『切歌!! 調!!』

「うっ・・・・・・くっ・・・・・・」

 

そこで意識が朦朧としている中、倒れ込んでいたクリスがなんとか起き上がり、顔をあげるとそこにはコインに挟み込まれてボロボロの状態で倒れている切歌と調の姿があり、クリスは目を見開く。

 

「っ・・・・・・!」

 

クリスはこの惨状を見てこれが自分がこの2人に対し、無理に先輩として振る舞おうとした結果なのかと衝撃を受け、彼女の瞳からはポロポロと涙が零れる。

 

「1人ぼっちが、仲間とか友達とか先輩とか後輩なんて・・・・・・求めちゃいけないんだ。 でないと、でないと・・・・・・残酷な世界がみんなを殺しちまって本当の1人ぼっちになってしまう! なんで・・・・・・世界はこんなにも残酷なのに・・・・・・。 パパとママは歌で救おうとしたんだ・・・・・・!」

 

クリスはその場に座り込みながら泣きじゃくり、そんな彼女にレイアは容赦なくトンファーを振るい襲いかかって来る。

 

「滂沱と暇があれば、歌え!!」

『少しは空気読め、バカ人形!!』

 

しかし、そんなレイアの顔面をギンガが間髪入れずに蹴り上げ・・・・・・さらに続けざまにレイアの顔面に3発拳を叩き込んで殴り飛ばす。

 

「ぐううう!!? 貴様ぁ!!」

『さっきクリスの顔を殴ってくれた礼だ!! 有り難く受け取れ!!』

 

ギンガはクリスの方へと振り返ると彼女の頭にそっと手を置く。

 

「コウマ・・・・・・バカだよな、私・・・・・・。 今になってお前の心配してたことが分かるなんて・・・・・・。 呆れるよな、お前でも・・・・・・」

『・・・・・・どうかな? 少なくとも、アイツ等はそんな風には思ってないんじゃないか?』

 

ギンガが視線を切歌と調の方へと向けると・・・・・・2人は身体がボロボロの状態ながらも立ち上がっており、レイアの繰り出して来た攻撃をアームドギアで防いでいた。

 

「1人じゃないデスよ!」

「未熟者で、半人前の私達だけど・・・・・・傍にいれば、誰かを1人ぼっちにさせないくらいは・・・・・・!!」

『ショウラ!!』

 

そこへ間髪入れずにギンガが放った跳び蹴りでレイアを蹴り飛ばし、彼女達3人の会話を邪魔させないようにギンガはレイアへと戦いを挑む。

 

「くっ、お前に用はない!! 邪魔だ!!」

『本当に空気読めないのな、お前!! 邪魔なのはお前だ!!』

 

その間に、切歌と調はクリスに自分達の伝えたい言葉を伝える。

 

「後輩を求めちゃいけないとか言われたら、ちょっとショックデスよ・・・・・・」

「私達は・・・・・・先輩が先輩でいてくれること、頼りにしてるのに・・・・・・!」

 

フラつきながらも切歌と調は自分達の想いをクリスに伝え、またレイアと戦いながらギンガ・・・・・・コウマもクリスへと話しかける。

 

『聞いただろ!! クリス!! お前は無理に後輩達に先輩として接する必要なんてないんだ!! そのままのお前を見せれば良い!! 素直じゃなくて・・・・・・ちょっと不器用で、ツンデレで、でも・・・・・・歌が大好きなとっても優しい心を持ったそんな雪音クリスが・・・・・・いつものクリスが、俺は、俺達は好きだぜ!!』

「っ、そっか・・・・・・。 私みたいなのでも先輩やれるとするならば、アイツ等みたいな後輩がいてくれるからなんだよな・・・・・・コウマ?」

 

クリスの言葉にギンガはゆっくりと頷き、涙を拭い去ったクリスは立ち上がる。

 

「もう怖くない! イグナイトモジュール!! 抜剣!!」

 

クリスは胸部に装着されたクリスタルに手をかけ、それを取り外して空中へと投げるとそれが剣の形となり、それは彼女の胸部に突き刺さる。

 

(うがあああああ!!!!? アイツ等が・・・・・・私をギリギリ先輩にしてくれる!! そいつに応えられないなんて! 他の誰かが許しても、私様が許せねえってんだぁ!!)

 

そして、彼女の纏うイチイバルは黒く染まり「イグナイトモジュール」となる。

 

『俺達も行くぜタロウ!!』

『あぁ!』

 

コウマは左腕のストリウムブレスのタロウの顔が描かれたレリーフを横に向けて変身モードにさせ、ギンガスパークをリードさせる。

 

『今こそ、1つになる時!』

『ウルトラマンタロウ!』

『ギンガに力を! ギンガストリウム!!』

 

ギンガの姿に「ウルトラマンタロウ」の姿が重なり合うとギンガは姿を変え、「ウルトラマンギンガストリウム」へと強化変身を完了させ、ギンガはクリスの隣に並び立つ。

 

『零無は切歌達を守れ』

『分かった』

 

挿入歌「TRUST HEART (IGNITED arrangement)」

 

「歌」を口ずさみながらクロスボウのアームドギアからクリスは矢をレイアとミーモスに向かって放つが、レイアはトンファーを回転させ、ミーモスは両手に持ったブーメランで矢を全て弾き飛ばす。

 

ミーモスは両手と身体についている突起物を全てブーメランとしてクリスに向かって飛ばすが・・・・・・それを槍型の武器「ギンガスパークランス」を手に持ったギンガが全て弾き飛ばし、一気にミーモスに詰め寄るとそれを振り下ろし、ミーモスは両腕を交差して攻撃をガードする。

 

『フン!』

 

するとミーモスは弾き落とされたブーメランを操って空中に浮かせ、ギンガの背中に向かって飛ばすのだが・・・・・・それをクリスが正確にブーメランに何発も素早く矢を喰らわせ原型が無くなるほど全て撃ち抜く。

 

『なんだと!?』

『シェア!!』

 

そのままギンガは膝蹴りを喰らわせ、怯んだところにスパークランスを振り下ろしてミーモスを斬りつける。

 

『『ぐあああああ!!!!?』』

 

そこへレイアがトンファーを持ってクリスに向かって来るのだが、クリスはレイアの振りかざすトンファーは避けながら銃に変形させたアームドギアで弾丸を撃ち込もうとするのだが・・・・・・レイアもそれらは見事に躱していく。

 

(失うことの怖さから、折角掴んだ強さも暖かさも全部・・・・・・手放そうとしていた私を止めてくれたのは・・・・・・!!)

 

クリスは一瞬、切歌と調の姿を見つめる。

 

(それにコウマも・・・・・・)

 

その後、クリスはギンガの方にも一瞬だけ視線を向けると・・・・・・それに気づいたギンガは彼女にサムズアップをして見せる。

 

それに笑みを浮かべたクリスはアームドギアをライフルに変形させた「RED HOT BLAZE」を発動、レイアはそれを見てこんな至近距離からライフルで撃つのかと驚いたが・・・・・・そうではなく・・・・・・。

 

「殴るんだよ!!」

「なっ!?」

 

まさかの打撃武器として使用し、レイアの頭を思いっきりクリスは殴ったのだ。

 

(先輩と後輩、この絆は世界がくれたもの! 世界は大切なものを奪うけれど、大切なものをくれたりもする! そうか、パパとママは・・・・・・少しでも貰えるものを多くするため・・・・・・歌で平和を・・・・・・!)

『銃器は鈍器ってことだな。 俺も今度キングジョーランチャーでやってみよう』

「違うと思うデス・・・・・・」

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

武器を失ったミーモスは格闘戦を挑もうとギンガに向かって接近し、拳を何度も振るうのだが・・・・・・ギンガはそれらを全て避け、カウンターの拳をミーモスの顔面に叩き込む。

 

『デヤアアアアア!!!!』

 

さらに連続でミーモスの胸部に拳を叩き込み、さらにもう1発拳をミーモスに放とうとするのだが、ミーモスは片手でそれを受け止める。

 

そのまま足を振り上げてギンガの横腹を蹴りつけ、怯んだところにミーモスはすかさずギンガの首を掴みあげる。

 

『グウウ・・・・・・!!?』

「キシャアアアア・・・・・・!!」

 

だが、ギンガはミーモスの腕を掴みあげ・・・・・・力尽くで引き離すとそのままミーモスの身体に掴みかかって持ち上げ・・・・・・放り投げる。

 

「クオオオン!?」

 

倒れ込んだところにギンガはすかさずミーモスの腕を掴みあげ、無理矢理立ち上がらせるとそのまま背負い投げを繰り出し、地面に叩きつける。

 

『ショウラ!!』

『ちょっ、ちょっと待って・・・・・・!!』

『待たねえ!!』

 

ベルメがギンガにタンマをかけるが当然待って貰える訳もなく・・・・・・ギンガはさらにミーモスを両手で背中から持ち上げ、さらに投げ飛ばして壁に激突させる。

 

『『ぐはああ!!?』』

 

さらにギンガは倒れ込んだミーモスの両足を持ち上げてフルスイングし、レイアに向かって投げ飛ばし、2人は見事に激突する。

 

「『『うぐおおおお!!!!?』』」

 

それにレイアは「なにをする!?」と怒鳴るのだが・・・・・・。

 

『俺達のせいじゃねえってんだよ・・・・・・』

 

クリスはそこに背部に形成した固定式射出器に大型ミサイルを左右に各1基、計2基を連装して生成、射出する「MEGA DETH FUGA」をレイアとミーモスに向かってミサイル1発目を発射。

 

「くっ!」

 

レイアとミーモスは後退しながらレイアはなんとかトンファーでミサイルを破壊。

 

「諸共に巻き込むつもりか・・・・・・!?」

 

そこへクリスが2つ目のミサイルを発射し、彼女とギンガはその上に乗ってレイアとミーモスに向かって来る。

 

『ミサイルに乗って来やがったぞアイツ等!?』

『ギンガファイヤーボール!!』

 

レイアはトンファーのコインを弾丸のようにしてクリスに発射し、クリスはそれをアームドギアの弾丸、ギンガはギンガファイヤーボールでそれらを撃ち落とす。

 

レイアはミサイルの直撃を避けようと上に飛ぶのだが・・・・・・クリスはミサイルの軌道を上に曲げる。

 

「ミサイルを曲げて・・・・・・!!?」

 

ミサイルはレイアに直撃する瞬間、クリスとギンガはジャンプ。

 

『ウルトランス! エレキング! テイル!』

 

そこに右腕をエレキングテイルにし、エレキングの尻尾を伸ばしてビクトリーはギンガを、切歌は肩のアンカーを伸ばしてクリスを拘束し、こちらに引き寄せる。

 

そしてミサイルはレイアに直撃し、爆発。

 

「スイッチの位置は覚えてる!!」

 

調は隔壁のスイッチを押す為にアームドギアから小型鋸を発射し、見事に命中。

 

『まだ俺達が残ってるぞォ!!』

 

爆発の炎の中からミーモスが飛び出すのだが・・・・・・。

 

クリスはガンパット・ガンモードというアイテムを取り出し、それの銃口をミーモスに向ける。

 

エネルギーをチャージし、銃口から放たれるエネルギー弾「ジャンスターダスト」をクリスはミーモスに向かって発射。

 

「ジャンスターダスト!!」

 

コウマはストリウムブレスのターレットを回転させてスイッチを押して止めると「ウルトラマンタロウ」の力が発動される。

 

『ウルトラマンタロウの力よ! ストリウム光線!』

 

ギンガは両腕を引き絞って七色のエネルギーを体内に蓄積させた後、腕をT字に組んで放つ必殺光線「ストリウム光線」をミーモスに向かって放ち、直撃を受けたミーモスは火花を散らし、爆発・・・・・・炎の中へと消えて行くのだった。

 

『『ぐあああああああ!!!!?』』

 

そしてギンガとクリスはビクトリー達の元へと戻り、隔壁が閉じた為・・・・・・こちら側に海水が流れ込んで来ることはなかったのだった。

 

「やったデス!」

「即興のコンビネーションで、全くもってムチャクチャ・・・・・・」

「その無茶は、頼もしい後輩と相棒がいてくれてこそだ」

 

クリスは笑みを浮かべてそう言いながら、切歌と調の手を握りしめる。

 

「ありがとな」

 

それに切歌と調も嬉しくなり、彼女達も思わず笑みが零れる。

 

『いやぁー、良かった良かった』

『俺達も、アイツ等のコンビネーション、見習わないとな。 ラン隊長から課題出されてるし』

『だな』

 

その時、建物が揺れ始める・・・・・・本部からの連絡によれば、クリス達のいる付近が圧壊しつつあるらしく、またこちらに向かってあの巨大なレイアの妹が接近しているとのことだった。

 

『俺達のエネルギーももうないぞ、どうすんだ? リンカーが切れた切歌達を運ぶくらいの余裕はあるが・・・・・・』

『ギンガのエネルギーが少なくても、他のウルトラマンのスパークドールズがある! 急いで脱出するぞ!!』

 

ギンガの言葉にクリス達は頷き、一同は竜宮からの脱出を急ぐのだった。




今回のミーモスはチブルサーキット2つ分の力も持っているので戦闘力も調、切歌、ギンガ、ビクトリーの4人がかりでかかっても苦戦するほどの戦闘力を発揮する。
身体の突起物のブーメランも両手に持って接近武器として使用する。

ただし強化変身したギンガとクリスには叶わなかった模様。
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