戦姫絶唱シンフォギアGinga S&GX    作:ベンジャー

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ギンガストリウムは使える能力の幅が増えています。


8Eve 『狙われたマリア』

あれから数日後……事件も一応は一段落したということで零無はあらかじめキサラに許可を貰い、マリア、切歌、調の3人を地底世界に案内しているところだった。

 

「それにしても凄いわね……。 地底世界って……」

「キラキラしたもの……ビクトリウムでしたっけ? それが綺麗で良いところデスね!」

「うん……。 こんな世界があったなんてなんだか信じられないね……」

 

マリアと切歌、調の3人はそれぞれが地底世界に抱いた感想を口にしていた。

 

「喜んで貰えてなにより」

 

零無も3人がこの世界を気に入ってくれたようで嬉しそうにそう呟いた。

 

「実質、零無の実家デスからね!」

「確かに……この世界にいると、なんだか落ち着くんだよなぁ……。 俺がビクトリアンだからかな?」

 

しばらく4人で歩いていると突然「ドスン! ドスン!」という巨大な足音のようなものが聞こえ、マリア達は「な、なに!?」と驚くが……。

 

零無は既にその足音の正体に気づいており、「おーい!!」と声をかけると零無達の目の前にシェパードンが現れたのだ。

 

「お、おぉ! これがシェパードンデスか……」

「シェパードン!! 数日ぶりだな! 怪我はもう大丈夫か?」

 

零無がシェパードンにそう尋ねるとシェパードンは「もう平気!」とでも言うようにガッツポーズを見せた後、マリアたちに視線を向け、首を傾げる。

 

「あぁ、こいつ等は俺の地上の家族!! 地底世界の案内と……お前と会わせようと思ってな!」

 

零無がシェパードンにそう伝えるとシェパードンはその場にぺたんっと座り込み、最初に切歌にすっと右手を差しのばしてきたのだ。

 

それを見た切歌は思わず「ビクッ」と肩を震わせる。

 

そんな切歌に零無は笑みを浮かべて「大丈夫だよ!」と言い、切歌の手を掴んでシェパードンの差し出された手を握らせる。

 

「シェパードンがよろしくってさ」

「こ、こちらこそよろしくデース!」

「クオオオン」

 

そしてそれを見たマリアや調も互いに顔を見合わせた後、切歌に続くように順番にシェパードンの差し伸べされた手を握って握手し、シェパードンはどこか嬉しそうに鳴き声をあげる。

 

「怪獣と対面するのはこれが初めてじゃないデスけど……こんな風に怪獣と触れあえるなんて思っていなかったデス」

「そうね、基本的には戦う相手だったものね」

 

するとシェパードンは一度立ち上がっては今度はゆっくりと俯せになぜか倒れる。

 

その行動に理解できないマリア達は頭に疑問符を浮かべる。

 

「頭の上に乗れって言ってるんだよ」

 

零無からそう伝えられ、多少抵抗はあったものの零無が真っ先にシェパードンの頭の上に乗ったのを見てマリア達も少し警戒しつつ同じようにシェパードンの頭の上に乗る。

 

それから一同はしっかりと捕まり、シェパードンはゆっくりと起き上がるとマリア達は「おぉ!」と声をあげ、辺り一面を見渡す。

 

「いやぁ、こんな高いところから見ると改めてビクトリウムが輝いて綺麗な世界デスね……」

「うん、それにビクトリウムって地球の生命そのものでビクトリアンにとっても命の源なんだよね」

「あぁ、だからこそ……それを狙う宇宙人共の思うようには絶対にさせたら行けないなんだ……。 これ以上奪われない為にも……!」

 

切歌、調、零無がそれぞれの思いを口にし、それを聞いていたマリアは何も言いはしなかったのだが気持ちは零無達と同じだった……。

 

これ以上、宇宙人達の悪いようにはさせてはならないと……、だからこそ……。

 

(だからこそ……! 強くなる必要があるんだ……もっと!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またエクセラーの乗る宇宙船では、前回倒されてスパークドールズに戻ったボルストをエクセラーが再び実体化させられており、ボルストは「全く使えない怪獣を押しつけやがって!!」とエクセラーに対して怒りを露わにしていた。

 

『申し訳ありませんね、ムッシュ・ボルスト。 私としたことがあなたのような有能な人物にひ弱な怪獣を押しつけてしまって』

『いやぁ~、全くだ!! 宇宙最強のこの俺様にあんなもん押しつけるなんざ失礼極まりないだろうがよ!!』

『すぐに図に乗る……。 浅はかな奴だ』

 

調子に乗るボルストにボソっと小さく悪態をつくエクセラー。

 

『んっ? なんか言ったか!?』

『いえいえ。 そこでお詫びにこれを差し上げましょう!』

 

すると突然ボルストの胸に赤いバッチのようなものが張り付き、ボルストは「なんだよこれは!?」と戸惑い驚く。

 

『その名も『チブルサーキット』! いかがです? それがあればあなたの力もライブした怪獣の力もよりパワーアップしますよ?』

『おぉ! 確かに力が漲るぜぇ!!』

『それは何より。 そう言えば、ミス・ガリィがそろそろ出陣するそうですよ? あなたも同行されてその力を試してみては?』

 

エクセラーその提案にボルストは快く頷く。

 

『おう! それは丁度良いな!! 待っていろ!! ウルトラマン共!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強くなりたい……、翻弄する運命にも立ちはだかる脅威にも負けない力が欲しくて……。

 

求めた強さを手に入れたいという想いを胸に、彼女……マリア達は……仲間達と共にビーチに来ていた。

 

その一方で……。

 

「逃げるなぁー!! かかってこぉーい!!」

「ちょっ、やめてください隊長ぉー!!?」

「死ぬ!! これ絶対死ぬぅ!!?」

 

ランが「お前等はこっち」と称していつもの採石場的な場所に連れて行き、コウマと零無は絶賛ジープに追い回されてるところだった。

 

(シャイニングフィールドが完全に使いこなせれば良かったんだがなぁ……。 まだ使いこなせてないんだよなアレ……)

 

尚、コウマの右手と零無の左手には手錠のようなものがかけられて繋がっており、迫り来るジープを回避するのも一苦労だった。

 

ちなみに、本当なら今日はコウマ達も一緒にクリス達とビーチに行って彼女等と特訓する予定だったのだが……その前にランが「シンフォギア奏者には奏者の特訓があるだろうが、お前等にはお前等の特訓がある」ということで半ば無理矢理この場所に連れ込み、今の状況に至るという訳である。

 

「親父達の力を借りたストリウムブレスがあるとはいえ、エタルガーは強敵だ!! 何時奴がやって来ても良いようにお前等にはもうワンランク強くなって貰う必要がある!! その為にはお前等2人の心を合わせる必要がある!!」

 

さらに言えば、2人が強くなればランは心置きなく次元の狭間に彷徨ってるエタルガーを探しに行けるし、エタルガーと入れ違いになっても2人が強くなってエタルガーを倒してくれればまさに上出来。

 

そうなればランは安心してこの世界を2人に任せられるとして彼は2人をかなり厳しくコウマと零無の2人をしごいていた。

 

するとそこで零無が躓いたせいでコウマ諸共2人はその場に勢いよく転んでしまう。

 

「ってぇ!? お前のせいで鼻打っただろ!? なんで何もないところで転ぶんだよ!!?」

「手を繋がれたまま走れば慌てて転んだりもするだろ!!?」

 

コウマの文句に零無が反論し、2人は喧嘩を始めてしまうのだが……喧嘩してるからってそんなのを待ってくれるランではない。

 

多少スピードは下げたとはいえ、そのままジープで2人を突き飛ばし、吹き飛ばされた2人は地面へと倒れ込んでしまう。

 

「いってぇ……!」

「うぅ、本当なら今頃切歌達と一緒に海に来てた筈なのに……」

「心配しなくとも後で十分切歌達との時間もやる!! ほらほら!! 寝てる暇なんかねえぞ!!」

 

そのまますかさずランはジープを運転してコウマと零無を追いかけ回し、ジープで追い回される彼等の悲鳴が木霊したのだった。

 

『ふむ、昔を思い出す……。 流石は俺の息子だな』

『ゼロもなるべく君たち自身の手でこの世界を守って欲しいという気持ちがあってこその厳しさだ。 頑張るんだ2人とも』

 

ストリウムブレスからそんなセブンとタロウの声が聞こえた気がしたが正直、コウマも零無はそれを気にしている暇は無かった。

 

さらにジープで追い回す特訓が1度終了してからも厳しい訓練は続き、地面にラインカーで白い線を引いてスタートラインを作り、コウマと零無はそこに並び立たせてランは自分の後ろにあるベルを2人で協力して鳴らすように指示。

 

「2人がかりで良い、協力してあのベルを鳴らせ」

「本当に2人がかりで良いんだな……?」

 

零無がそう問いかけるとランは「あぁ」と答え、零無とコウマは互いに顔を見合わせて頷き合うとランの合図を受けて2人同時に駆け出す。

 

そして零無がランに掴みかかって動きを封じ、その隙にコウマがベルを鳴らそうとするのだが……。

 

「オラァ!!」

 

ランは膝蹴りを零無に叩きこんで彼をうずくませ、さらにすぐさまコウマの方へと振り返って高くジャンプし、コウマの頭上を飛び越えるとそのまま彼に回し蹴りを喰らわせる。

 

「そんな方法で俺に勝とうなんざ、2万年早いぜ? さぁ、線に並べ!!」

((うぅ、鬼教官……))

 

尚、シンフォギア組はというと……。

 

シュルシャガナとイガリマも修復が完了し、コンバータ部分を新造して復活したアガートラームをマリアは渡され、それら全てにイグナイトモジュールを組み込んだこともあり、ここららで1つを特訓をしようという弦十郎の提案で一同は海に訪れていた。

 

オートスコアラーとの再戦で強化型シンフォギアとイグナイトモジュールを使いこなすことは急務であり、近く筑波の異端技術機構において調査結果の受領任務があるらしく、弦十郎の計らいでそこで心身の鍛錬に励めとのことだった。

 

のだが……未来やエルフナイン等も一緒に全員水着になってみんな鍛錬というよりもどう見ても遊んでいるようにしか見えず、1人その場に残された唯一の男であるカイトはどことなく居心地の悪さを感じていたのだった。

 

「はぁ……流石に、男1人でこの状況はちょっとキツい……。 エルフナインは女の子にカウントすべきなのか分からないけど」

『安心しろ、私もいるぞカイト』

「あっ、そうだ、マックスもいるんだ……。 ちょっと安心した……」

 

ただラン自身、今はコウマ達を優先しているがその内カイトも特訓に付き合わせるつもりだったりするのだが、それをカイトはまだ知らなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響達のいるビーチの近くにある研究所にて緒川と朔也が訪れており、そこにはナスターシャがフロンティアに残したデータから構築したという「フォトスフィア」という名の光の球体があり、フォトスフィアの今の見た目は両手で掴めるくらいの大きさしか無いのだが……そこの科学者が言うには実際にはもっと巨大なサイズらしい。

 

「フォトスフィアとは一体……?」

 

フォトスフィアと呼ばれる球体を見ながら疑問を口にし、それからフォトスフィアのデータの需要を完了した緒川はそれを翼に携帯で報告し、彼は翼に向こうの特訓はどうかと尋ねているところだった。

 

『くっ……! 中々どうして……! タフなメニューの連続です!!』

「んっ……?」

 

ちなみに今翼達が行っている特訓と言うのが……誰がどう見てもビーチバレーしてみんなで遊んでいるようにしか見えなかった。

 

「翼さん……本気にしちゃってるよ?」

「取りあえず肩の力を抜くためのレクリエーションなんだけどなぁ……ハハハ……」

 

未来と響が苦笑いしながらそんな会話をしており、ビーチバレーはマリアとエルフナインのコンビ、翼とクリスのコンビで対決していた。

 

最初にエルフナインがボールを投げてボールを相手に向かって飛ばそうと手を振るってサーブを打とうとするのだが……手はボールに当たらずスカッと空振りに終わってしまい、エルフナインはそのまま軽く転んでしまう。

 

「アレ……? なんでだろう? 強いサーブを打つための知識はあるのですが……実際やってみると全然違うんですね?」

「背伸びをして誰かの真似をしなくても大丈夫。 下からこう……こんな感じに!」

 

そこでマリアがボールを拾ってエルフナインにボールの打ち方を教え、エルフナインは「すいません……」と謝罪するのだが、それにマリアは彼女に対し優しく声をかける。

 

「優しく打っても大丈夫。 大事なのは自分らしく打つことだから」

「はい! 頑張ります!」

 

それからしばらくするとランと修行を一旦終えて物凄い疲労した顔のコウマや零無が戻って来たのだが……コウマも零無も「もう無理……」とバタリとその場に倒れ込み、それを見て慌ててクリスと切歌が2人の元に駆け寄る。

 

「おいおい大丈夫かよコウマ……?」

「零無、今回はどんな修行してたのか知りませんけどまた随分エゲツないのやらされたみたいデスね……?」

 

そのままコウマはクリスに、零無は切歌に膝枕して貰い、それによってコウマも零無も少しだけ元気を取り戻すのだった。

 

「あぁ、そうだ……。 クリス、俺お前に言わないといけないことがあるの忘れてた……」

「あっ? なんだよ?」

「水着似合ってる、凄く可愛い……。 クリスは赤が似合うな。 こういう台詞、彼氏なら言わないと……だろ?」

 

コウマはクリスの頬に手を添えながら彼女の水着の感想を言い、それを聞いたクリスは頬をほんのり赤くした。

 

「良いから休んでろ……!」

 

クリスは照れ臭そうにそっぽを向き、そんな2人のやり取りを見た切歌はこの後零無も自分の水着の感想とかを言って貰えるのかと期待したのだが……。

 

「ZZzz……」

 

思いっきり切歌の膝の上で爆睡していた。

 

「……」

 

それにイラッとした切歌は思いっきり零無の尻を抓った。

 

「イッツ!!? なんだ!? なんだ!?」

「零無なんて知らないデース!」

 

そのまま立ち上がって切歌は零無から離れるようにその場から離れ、零無は訳が分からないといった顔を浮かべていた。

 

「俺なんかした!?」

 

零無はマリアと調に自分が何かしたのか尋ねるのだが……マリアと調の2人からは「自分で考えろ、バカ」としか言われず、零無は訳が分からず困惑しっぱなしだった。

 

その後も合流したコウマと零無、ランを含めてみんなで海で遊び、今はみんなでサマーベッド等に寝転んで休んでいるところだった。

 

「気がついたら特訓になっていた……」

「どこのどいつだ……? 途中から本意気になったのは?」

「ところでみんな? そう言えばお腹空きません?」

 

とそこで響が一同にそう尋ね、それにはコウマやランも同意だったのだが……。

 

ここは政府所有のビーチで一般の海水浴客もいないので当然、そんなところに売店などある筈もない。

 

そのことから一同は即座に「ならば誰かが買い出し」に行くしか無いということに気づき、その瞬間全員が立ち上がってコンビニ買い出しを決めるじゃんけんを行うことに。

 

『コンビニ買い出しじゃんけんポン!!』

 

じゃんけんの結果……コウマ、響、未来、クリス、マリア、エルフナイン、カイト、ランがグーで翼、切歌、調、零無がチョキを出した為、買い出しは翼、切歌、調、零無の4人に決定するが……翼だけなぜかチョキが指鉄砲であり、それに響は思わず笑い出してしまう。

 

「あはははは!? 翼さん変なチョキ出して負けてるし!?」

「なっ! 変ではない!! カッコイイチョキだ!!」

「なんだよ、カッコイイチョキって……指鉄砲じゃん」

 

翼のチョキの出した方に零無もツッコミを入れるのだが……零無も結構おかしなチョキを出しており、しかもそれが普通の人にはとても真似できないようなチョキであったため、あんまり人のことを言えないでいた。

 

「お前も変なチョキだけどそれ……ヨハ〇チョキじゃねーか。 それできる奴ある意味凄いわ。 それじゃパシリ頼むぞ零無」

「誰がパシリだコラ」

 

また調や切歌も「斬撃武器が……!」「軒並み負けたデス!」とじゃんけんに負けたことを悔しがっていた。

 

「好きなものばかりじゃなくて塩分とミネラルを補給できるものもね!」

 

そんな切歌と調にマリアがそう注意し、彼女はムスっとした表情で自分の出したカッコイイチョキを見つめている翼に「人気者なんだからこれかけて行きなさい」と笑みを浮かべながらサングラスをかける。

 

「……母親のような顔になっているぞ、マリア?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、翼、零無、切歌、調は海の近くにあるコンビニでみんなの食べ物や飲み物などを買い終え、一同は海に戻ることに。

 

尚、切歌と零無は自分の好きなものばかりを買っており、それに調は呆れたような表情を浮かべていた。

 

「切ちゃんも零無も好きな物ばっかり」

「こういうのは役得というのデース!」

「そうだそうだ! しかも俺が1番荷物多く持たされてんだぞ!!」

 

そこは男なのだから当たり前だろうと思う切歌と調はジトっとした視線を零無に送り、そんな零無達3人のやり取りを見て微笑ましく感じたのか翼は思わず小さく笑ってしまう。

 

そして4人が歩いていると壊れた神社の周りに人が集まっていることに気づき、周りにいた学生達はそれが昨日の台風のせいではないかなど話し合っていたのだが……よく見ると周りには氷で出来た柱のようなものが所々見当たり、翼達もすぐにそれがどこかで見覚えのあるものだと気づく。

 

同じ頃、海の方では響と未来が楽しげに談笑しているとそこにエルフナインが駆け寄る。

 

「皆さん! 特訓しなくて平気なんですか!?」

「真面目だなぁ~、エルフナインちゃん!」

「暴走のメカニズム応用したイグナイトモジュールは三段階のセーフティにて制御される危険な機能でもあります!! だから自我を保つための特訓を!!」

 

エルフナインがそこまで言いかけたその時である。

 

突如海の中からオートスコアラーの1人であるガリィが出現し、それに響達は驚く。

 

「夏の思い出作りは十分かしら?」

「んな訳ねえだろ!!」

 

そこへクリスやコウマ、ランやカイトにマリアも駆けつけ、クリスと響は即座に「歌」を口ずさんでイチイバルとガングニールを身に纏う。

 

挿入歌「TRUST HEART」

 

クリスは「歌」を歌いながらガリィに向かってボウガンのアームドギアを構えてエネルギーの矢を幾つも放ち、ガリィはそれを避けて真っ直ぐクリスへと向かって来るのだが……。

 

クリスは見事に自分に向かって来るガリィを矢で撃ち抜くことに成功、しかしそれは水で出来た偽者であり、ガリィは突然響とクリスの背後に現れて響とクリスに攻撃を繰り出して吹き飛ばす。

 

「俺も……!!」

 

コウマも戦いに参加しようとギンガスパークを取り出すのだが……そこにいきなり目の前にガッツ星人 ボルストが現れ、両手から光線を放つ。

 

「うおっ!? あぶね!!?」

 

コウマはそれを素早くどうにか避ける。

 

「お前の相手はこの俺様がしてやるよォ!! ウルトラマンギンガ!!」

 

キューバはチブルスパークとスパークドールズを取り出し、スパークドールズをチブルスパークにリードさせるとキューバはシロクマのような姿をした「雪女怪獣 スノーゴン」へとライブして巨大化。

 

『モンスライブ! スノーゴン!』

 

スノーゴンはコウマを踏み潰そうとするがそれよりも素早くコウマはギンガスパークを掲げてブレード部分を展開、するとそこからギンガのスパークドールズが現れ、それを掴み取ってギンガスパークにリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』

「ギンガアアアアアア!!!!」

 

ギンガスパークを再び掲げるとコウマは眩い光に包まれ、その中から「ウルトラマンギンガ」へと変身して飛び出し、そのまま勢いをつけてスノーゴンの顎を殴りつける。

 

『マリアさん! ランさん! カイト! エルフナインと未来を連れて逃げてください!!』

 

ギンガの言葉を受けてマリアとラン、カイトは頷き、彼等は戦えない未来とエルフナインを連れて急いでこの場から離れることに。

 

そしてスノーゴンはギンガに向かって突進してくるが……ギンガはそれを両手で受け止め、ここでは響達の戦いの邪魔になると考えスノーゴンを持ち上げてなるべく人のいない山の方へと投げ飛ばし、スノーゴンは倒れ込む。

 

『ショウラ!!』

「グオオオオ!!?」

 

そのままギンガもジャンプしてスノーゴンの元へと行き、倒れ込んでいるスノーゴンに向かって駈け出すのだがスノーゴンは口から冷気ガスを発射しギンガは急いで後方へと飛んで回避する。

 

「グルアアアア!!!!」

 

そして響達の方ではガリィがアルカノイズとチブロイド達を召喚し、響は向かって来るアルカノイズ達とチブロイド達を拳で殴りつけて倒す。

 

2体のチブロイドが背後から光線銃を響に構えて来たが彼女は即座にダッシュしてチブロイド達に詰め寄り、回し蹴りで破壊する。

 

クリスは周りを囲もうとしてくるアルカノイズやチブロイド達に銃弾を撃ち込みながら倒していき、空中にいる飛行型のアルカノイズもミサイルで撃ち落とす。

 

『ビクトリウムスラッシュ!!』

 

そこへ零無が変身した等身大の「ウルトラマンビクトリー」も駆けつけ、回し蹴りの要領で足のVクリスタルから放つ「ビクトリウムスラッシュ」でアルカノイズとチブロイドを破壊。

 

さらに零無はキングジョー カスタムのスパークドールズをビクトリーランサーにリードさせる。

 

『ウルトランス! キングジョー! ランチャー!』

 

右腕を「キングジョーランチャー」に変えたビクトリーはクリスと背中合わせに並び立ち、空中にいる飛行型ノイズを共に撃ち抜いていく。

 

「おい、ポンコツ! 先輩達はどうした!?」

『もう君の俺への呼び方それなのね。 切歌と調はマリア達のとこ向かわせた。 翼さんは避難誘導だ』

 

空中の敵をあらかた片付けたビクトリーはさらに右腕を「EXレッドキングナックル」に変える。

 

『ウルトランス! EXレッドキング! ナックル!』

『響! 一緒にぶん殴るぞ!!』

「うん!!」

 

響とビクトリーは同時に跳び上がって地面を殴りつけ、その際に起こった衝撃波によって数体のチブロイドとアルカノイズ達が吹き飛ばされるのだが……。

 

そこで響はあることに気がついた。

 

「……んっ?」

『どうした?』

「あのオートスコアラーがいない!? まさか、マリアさんの方に!?」

『なに!? だがランさんやカイト、マリアの3人がいるし、切歌達も向かってる。 そうそうヤバいことにはならないと思うが……』

 

だがどの道、もしものことがあってはならないため、急いでアルカノイズとチブロイド達を倒すことにする3人。

 

またスノーゴンと戦闘を繰り広げるギンガは……。

 

スノーゴンはギンガに向かって走り、タックルを喰らわせて突き飛ばすのだがギンガは空中を回転して着地し、全身のクリスタルを赤く発光させて無数に生み出した火炎弾を放つ「ギンガファイヤーボール」をスノーゴンへと放つ。

 

『ギンガファイヤーボール!!』

 

しかしスノーゴンは口と両手から吐き出す冷気ガスでギンガファイヤーボールを凍らせて粉々に砕けてしまい、冷気ガスはそのままギンガに向かって放たれる。

 

『ウア!?』

 

どうにか冷気ガスから抜け出そうとするギンガだがスノーゴンはしつこく冷気ガスを放ちながらギンガを追い回し、ギンガは冷気ガスの攻撃に苦しみ膝を突くが……。

 

『オラァ!!』

 

気合いを入れてなんとか立ち上がったギンガはジャンプして冷気ガスを浴びながらも跳び蹴りをスノーゴンの頭部に叩きこむ。

 

フラつくスノーゴンだが負けじと拳を振るってギンガの顔を殴りつけ、さらにギンガに頭突きを喰らわせる。

 

『グゥ!?』

 

また殴りかかろうとするスノーゴンだがギンガはそれを受け流してカウンターでパンチをスノーゴンの顔面に叩きこむのだが、スノーゴンは即座に反撃してギンガの腹部を蹴りつける。

 

そのまま体当たりでギンガを突き飛ばし、倒れ込んだギンガに蹴りを叩き込んでギンガ地面を転がる。

 

どうにか立ち上がったギンガは全身のクリスタルを白く発光させて右腕のクリスタルから光の剣「ギンガセイバー」を形成し、スノーゴンに向かって斬りかかるのだが……スノーゴンは余裕でギンガの右腕を掴んで胸部に力強いチョップを叩きこむ。

 

さらにスノーゴンは両手から相手を拘束する「金縛り光線」を放ち、ギンガの動きを拘束する。

 

『ハッハッハ!! これがチブルサーキットの力か!! 中々良いじゃ無いか!! それでは呆気ないがこれでトドメだ!!』

 

スノーゴンは口と両手から冷気ガスをギンガに向かって放ち、ギンガの身体は徐々に凍り付いていく。

 

『ウアアア!!!? グウウ!!?』

『フハハハハ!! カチンコチンになってしまえ!!』

『そうは行くかよ!! 行くぜ!!』

 

ギンガの中にいるコウマは左腕のストリウムブレスのタロウの顔が描かれたレリーフを横に向けて変身モードにさせ、ギンガスパークをリードさせる。

 

『今こそ、1つになる時!』

『ウルトラマンタロウ!』

『ギンガに力を! ギンガストリウム!!』

 

ギンガの姿に「ウルトラマンタロウ」の姿が重なり合うとギンガは姿を変え、「ウルトラマンギンガストリウム」へと強化変身し、その際に身体に張り付いていた氷も金縛り光線による拘束も吹き飛び、それにボルストは驚く様子を見せる。

 

『なんだとォ!!?』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

スノーゴンは再び金縛り光線を放ってギンガを拘束しようとするがギンガはジャンプして回避し、そのまま膝蹴りをスノーゴンの顔面に叩きこむ。

 

「ギシャア!!?」

 

さらにスノーゴンに詰め寄ったギンガは連続で何発も拳をスノーゴンの腹部に叩き込む。

 

スノーゴンは攻撃に耐えながらもなんとか反撃しようと右腕を振るったがギンガはそのスノーゴンの腕を掴みあげて背負い投げを繰り出し、スノーゴンは倒れ込む。

 

『シュア!!』

 

倒れ込んだスノーゴンに拳を叩き込もうとするギンガだったがスノーゴンはすぐさま口から冷気を発射、ギンガは即座にスノーゴンから離れる。

 

スノーゴンは立ち上がってそのままギンガに向かって冷気を放ち続けるが、ギンガは跳び上がってスノーゴンの頭上を飛び越えて背後に降り立つと回し蹴りを喰らわせる。

 

『おのれぇ~!! 姿が変わったくらいで調子に乗りやがって!!』

 

するとスノーゴンはボルストの分身能力によって4体に増え、それぞれ4方向から口と両手から冷気ガスを放つのだがギンガは飛行して攻撃を回避する。

 

コウマはストリウムブレスのターレットを回転させ、スイッチを押して回転を止めると「ウルトラマンジャック」の力が発動される。

 

『ウルトラマンジャックの力よ!』

『させるかあああああ!!!!』

 

4体のスノーゴンは空中にいるギンガに向かって冷気ガスを放つが……。

 

『ウルトラディフェンダー!』

 

ギンガの左手首に1つのブレスレット、「ウルトラブレスレット」が装着され、銀色に輝く巨大な盾「ウルトラディフェンダー」に変形し、スノーゴンの冷気ガスを防ぐ。

 

さらにそれだけではなくスノーゴンの放った冷気をまとめて跳ね返し、4体のスノーゴンは今度は自分がカチンコチンに凍りついてしまう。

 

『これでトドメだ!!』

 

コウマはストリウムブレスのターレットを回転させ、スイッチを押して回転を止めると再びジャックの力を発動させる。

 

『ウルトラマンジャックの力よ! ウルトラショット!!』

 

右手に左手を添えた構えで、右手先から発射する光線「ウルトラショット」を放ち、氷付けにしたスノーゴン4体全てに喰らわせるとスノーゴンは爆発……ライブも強制解除され、ボルストは大地に降り立つ。

 

『おのれ!! 覚えていろ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

ボルストはそれだけ言い残してその場を立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来とエルフナインを連れて逃げるマリア、ラン、カイトだったが……ガリィが5体のチブロイドを引き連れて現れ、一同の前に立ち塞がる。

 

「見つけたよ? ハズレ奏者!!」

「っ……!」

 

ガリィは氷の剣を作り出し、マリアに向かって行くが……それに対してマリアもガリィに向かって「歌」を口ずさみながら駈け出す。

 

「~♪」

 

マリアはガリィの剣をギリギリの位置で躱し、そのまま彼女は拳をガリィの顔面に叩き込んで殴り飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

そしてマリアはガリィを殴った左腕からセレナから受け継いだシンフォギア……「アガートラーム」を身に纏う。

 

挿入歌「銀腕・アガートラーム」

 

「マリアさん!? それは……!」

「新生アガートラームです!!」

 

未来はマリアの纏ったアガートラームに驚く様子を見せ、エルフナインはそれが新しく生まれ変わったアガートラームであることを説明する。

 

それを見ていたランとカイトは自分達も加勢しようとするのだが、そこに丁度、ランとカイトに弦十郎からの通信が入った。

 

『大変だ!! 俺達の街の方であのチブロイドというアンドロイド達がビクトリウムを探し回っている! 至急、ウルトラマンの誰かがこっちに向かってくれないか!?』

「分かりました! 俺が行きます!!」

 

弦十郎からの連絡を受けてそれをカイトが承諾し、彼はマックススパークを取り出して腕に装着すると等身大の「ウルトラマンマックス」へと変身し、飛行してマッハのスピードで自分達の住んでる街に戻るのだった。

 

「あん時みたく、失望させないでよ?」

 

ガリィはそう言いながらアルカノイズを複数体召喚し、マリアはすぐさま左腕部ユニットからアームドギアである短剣を引き抜いてそれに連なって引き出された無数の短剣を周囲の空中に展開、一斉に投擲する「INFINITE†CRIME」を繰り出す。

 

短剣はアルカノイズ達の身体を貫き、倒すとマリアは短剣のアームドギアを逆手に持ってかけ出し、向かって来るアルカノイズ達を次々に切り裂く。

 

またランも襲いかかってくるチブロイド達を相手に戦闘を行っており、チブロイドの2体が同時に殴りかかって来るがランは素早く相手の腹部に拳を叩き込んでチブロイド達を後退させる。

 

するとそこで別のチブロイド2体が未来とエルフナインを襲おうと飛びかかるが、ランは即座にあった大きめの石を2つ拾いあげて力いっぱいに投げ、それらがチブロイド2体の顔面に直撃して石が食い込み、2体のチブロイドは火花を散らして倒れ込む。

 

一方でマリアも周り囲んで攻撃を仕掛けてきたアルカノイズ達を一瞬で切り裂き消滅させる。

 

(特訓用のLiNKERが効いている!! 今の内に……!)

 

携えて振るう短剣の刀身を蛇腹剣のように変化させ、あらゆる角度から周囲一帯の敵を斬り裂く「EMPRESS†REBELLION」で残ったアルカノイズを一気に倒すマリア。

 

ランもチブロイドの1体の胸部を拳で貫き、残った最後の2体も取り出した「ウルトラゼロアイ・ガンモード」で光線を放ち、完全に破壊する。

 

「うわぁ~! 私負けちゃうかも~? アッハハハハ!!」

 

そんなことを言っている割に結構余裕そうな態度のガリィ。

 

そしてマリアは残ったガリィを倒すべく、アームドギアをガリィに向かって攻撃を仕掛けるのだが……。

 

「なんてね♪」

 

ガリィはマリアの攻撃をあっさりと回避し、氷の弾丸を放ってそれがマリアに直撃。

 

彼女は吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐぅ……。 強い! だけど……!!」

 

マリアは胸部にあるイグナイトモジュールを発動するためのクリスタルを握りしめ、それを見たガリィはニヤリとした笑みを見せ、ランは逆に不安そうな顔を浮かべる。

 

「聞かせて貰うわ?」

「あいつ、イグナイトを使う気か!?」

「この力で決めて見せる!! イグナイトモジュール!! 抜剣!!」

 

マリアはそう叫んで胸部のクリスタルを取り外し、イグナイトモジュールを起動させる。

 

そしてクリスタルは細長い剣のような形となり、マリアの胸部に突き刺さる。

 

「うぐ……うぅ!? うあああああ!!!!?」

 

するとマリアの身体から黒いオーラのようなものが溢れ出し、彼女は悲痛な声をあげて膝を突き……、そしてその黒いオーラがマリアを包み込もうとする。

 

「弱い自分を、殺す……!! うあああああ!!!!?」

「っ! 弱い自分を、殺す……?」

 

マリアの先ほど呟いた言葉に、ランは思わず首を傾げた。

 

「うぐあああああああ!!!!?」

 

マリアが大きく悲鳴にも似た声をあげたその時、彼女の胸部から赤い光が一瞬眩く輝くと彼女はあの黒いオーラに包まれ、漆黒の姿へと変貌したのだ。

 

それは以前、響が暴走した時の姿にも酷似している。

 

「クソ! 暴走しやがった!?」

 

ランはマリアを止めようとするがそれよりも早く、彼女は雄叫びをあげながらガリィへと襲いかかり、攻撃を繰り出すのだがガリィはマリアの攻撃を次々と回避。

 

「獣と墜ちやがった!」

 

そこに丁度響とクリスも駆けつけたのだが、彼女等は変貌したマリアの姿を見て思わず固まってしまい、驚く。

 

「あれはまさか、暴走!?」

「魔剣の呪いに飲みこまれて……!?」

 

マリアは雄叫びをあげながらさらにガリィに攻撃を繰り出すが、ガリィはマリアの攻撃を余裕で回避し続け、一瞬の隙を突いてマリアの顔を掴みあげる。

 

「いやいや、こんな無理くりなんかでなく、歌って見せろよ!! アイドル大統領!!」

 

ガリィがそのままマリアを地面に叩きつけようとした時……。

 

『シュア!!』

 

そこにランが変身した「ルナミラクルゼロ」が現れ、ガリィの腕を弾き、ガリィの腹部に掌を当てて衝撃波を放ち、相手を吹き飛ばす「レボリウムスマッシュ」を繰り出す。

 

『レボリウムスマッシュ!!』

「ぐああああ!!!?」

 

だが暴走したマリアはゼロにすら攻撃を仕掛けようと右手を大きく挙げて拳を振り下ろすのだが、ゼロはそれを受け流し、マリアにも「レボリウムスマッシュ」を撃ち込んで自分から引き離す。

 

「ウグガアアアア!!!!」

 

それでも尚マリアはゼロに襲いかかろうと突進して来るが……。

 

『ったく、世話がやけるぜ!』

 

相手の周囲を高速回転しながら相手を泡状に包み込む鎮静光線「フルムーンウェーブ」をゼロはマリアへと放つ。

 

『フルムーンウェーブ!!』

「ガアアア!!? ぐっ……うぅ……」

 

ゼロのフルムーンウェーブを受けたことでマリアの暴走はなんとか収まり、彼女はギアが解除されて倒れそうになるがそれをゼロが支える。

 

「チッ、やけっぱちで強くなれるなどとのぼせるな!! 外れ奏者にはガッカリだ!」

 

ガリィは手を拭きながらそんな悪態をつき、足下に魔法陣のようなものを出現させるとそのまま彼女は撤退する。

 

すぐさまクリス達はマリアの元へと駆け寄り、エルフナインは必死に彼女の名を呼ぶ。

 

「……勝てなかった……」

 

幸い、マリアはすぐに意識を取り戻したが……。

 

「私は、何に、負けたんだ……?」

『……分かんねえか?』

「えっ?」

 

ゼロの突然の言葉に、マリアは首を傾げる。

 

『お前が何に負けて、どうしてアイツに勝てなかったのか。 簡単なことだぜ?』

「っ……」

 

そんな風に、ゼロはマリアに声をかけるのだが……彼女には、ゼロの言っている意味が分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チフォージュ・シャトー。

 

「派手に立ち回ったな?」

「目的ついでにちょっと寄り道を」

 

ガリィは他のオートスコアラー達の元へと戻って来り、レイアの問いかけにガリィはそう答える。

 

「自分だけペンダント壊せなかったの引きずってるみたいだゾ?」

「うっさい!! だからあのハズレ奏者からむしり取るって決めたのよ!!」

 

ミカの言葉に怒鳴るように叫ぶガリィ、すると彼女は自分と一緒に行動していたボルストの姿を見渡すのだが……どこを見てもボルストの姿は見当たらなかった。

 

「そういや、あのアホ鳥どこ行ったのよ? あいつもまたウルトラマンを倒すの失敗したんでしょ?」

「なんかまたエクセラーのところに文句言いに言ったみたいだゾ?」

 

ガリィはミカからの説明を聞き、「はぁ」とどこか呆れたような溜め息を吐く。

 

「ったく、どいつもこいつも使えない宇宙人ばっかりだな! ったく!!」

「ホント、頑張り屋さんなんだから……。 私もそろそろ動かないとね?」

 

ファラがガリィを見ながらそう呟く。

 

(チッ、1番乗りは譲れない……!)

 

ガリィは心の中でそう言い放ちながら、上を見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、コウマ達は別荘の中でキャロルがいなくなったにも関わらず行動するオートスコアラー達について話し合っていた。

 

尚、またチブロイド達がビクトリウムを狙って自分達の街に現れたことから恐らくエクセラーも健在だと思われ、今は零無とカイトを一旦街の方に帰らせている。

 

「主を失って尚襲いかかる人形……」

「どうして優位に事を運んでもトドメを刺さずに撤退を繰り返しているのだろう……?」

 

調がフっと疑問に思ったことを口にすると、確かに今まで奏者に対してトドメを刺すチャンスは幾つかあった。

 

今日だってゼロの相手をベルメかキューバ辺り連れて来てモンスライブさせればもう少し足止めにもなったし、マリアにもトドメを刺せただろう。

 

だがそれすれもしなかったことから、コウマは「余裕のつもり」なのかと考えたが……。

 

「いやでも、それにしては違和感がある気がするしな……。 うーん?」

「気になると言えば、マリアさんも……」

 

そこで未来がマリアのことを思い出し、それに対してマリアと同じく何度か暴走してしまったことのある響は暗い表情を浮かべる。

 

「力の暴走に飲み込まれると、頭の中まで黒く塗り潰されて何もかも分からなくなってしまうんだ……」

 

一方、マリアは頭に包帯を巻き、1人暗い顔を浮かべて下に俯いていた。

 

(あんな風に仲間に救われるとは情けない……。 私が弱いばかりに、魔剣の呪いに抗えないなんて……!)

 

マリアは昼間のことを思い出しながらそんなことを考えており、彼女は力強く自分の右手を強く握りしめた。

 

(強くなりたい)

「ってか?」

「っ!?」

 

不意に突然誰かに声をかけられたマリアは慌てて声のした方を見るとそこには2つの缶ジュースを持って「よっ!」と軽く挨拶をするランの姿があり、ランは缶ジュースの片方をマリアに投げ渡す。

 

「俺の奢りだ」

「ありがとう」

 

するとランは缶ジュースの蓋を開けてなぜかマリアの隣に立ってジュースを飲み始める。

 

「何か、用?」

「いやなに、今のお前を見ていると……俺の故郷、光の国にいたある2人のウルトラ戦士を思い出しちまってな」

「ある2人?」

 

マリアが首を傾げるとランは「あぁ」と笑いながら答える。

 

「そいつ等は今のお前見たいに強さを求めていたんだ。 その内の1人は力を追い求める余り、禁断の力に手を出そうとしたんだ」

 

だがその結果、彼はその力のエネルギーに耐えきることが出来ず、M78宇宙警備法違反により光の国を追放されてしまったのだという。

 

その後、宇宙を彷徨っていた彼は「レイブラッド星人」と呼ばれる宇宙人の手によって怪獣達を操るレイオニクスの力を与えられ、邪悪なウルトラ戦士へ変貌し、悪の道へと墜ちた戦士……「ウルトラマンベリアル」と呼ばれる者がいたのだとランはマリアに説明する。

 

「ウルトラマンの中にも、そんな人がいたのね……」

 

マリアは少しばかりランの話を聞いて驚きの様子を見せるが、話はまだ終わりでは無い。

 

「そしてさっき言った2人目だ。 そいつもバカなことに、自分の弱さが嫌で絶大な力を求めて禁断の力に手を出そうとしたことがあるんだ。 だが、間一髪のところ自分の親父に引き止められてな。 『お前にウルトラ戦士を名乗る資格はない』とまで言われちまった訳だ」

 

ランの話を聞き、結局はマリアは彼が何か言いたいのか分からず首を傾げる。

 

「まっ、要するに目先の強さばかり求めてたらロクなことにならねえってことだ」

「私も、その2人のようになると言いたいの?」

「今のお前ならそうなりかねないな。 いや、きっとそうなるだろうよ」

 

それを聞いてマリアは怪訝そうな表情を浮かべ、ランに怒るように叫ぶ。

 

「だったら、だったらどうすれば……!!」

 

マリアがそこまで言いかけた時である、マリアとランの足下に1つのバレーボールが転がって来たのだ。

 

するとそれを追いかけるようにエルフナインも現れ、どうやらバレーボールの打ち方の練習をしていたらしい。

 

「ごめんなさい! 皆さんの邪魔をしないよう思ってたのに……」

「邪魔だなんて……!」

「おう、子供は外で遊ぶのが1番だぜ?」

 

ランはそんなエルフナインに笑みを浮かべながらワシャワシャと彼女の頭を撫でる。

 

「マリア、練習、付き合ってやったらどうだ?」

「えっ……?」

 

ランの突然のその言葉にマリアは戸惑うが……。

 

「取りあえず、気分転換に付き合えよ」

 

そう言われてマリアは少し考え込むが……すぐに答えは決まった。

 

「そうね、練習に付き合うわ。 エルフナイン」

「あ、ありがとうございます!」

 

そこからマリアはエルフナインのボールを打つ練習に付き合うことになったのだが……、エルフナインは中々上手くボールを打つことが出来ず、彼女は「おかしいなぁ~」と呟きながら首を傾げていた。

 

「上手く行かないな、やっぱり」

 

するとエルフナインを見ていたマリアはフッと思ったことを彼女に問いかけた。

 

「色々な知識に通じているエルフナインなら、分かるのかな?」

「えっ?」

「だとしたら教えて欲しい。 『強い』って……どういうことかしら?」

 

マリアがそうエルフナインに尋ねると……彼女は笑みをマリアに向ける。

 

「それは、マリアさんが僕に教えてくれたじゃないですか!」

「えっ?」

 

エルフナインから返って来た言葉にマリアはキョトンっとした顔を浮かべると……。

 

突如、マリアの背後から大量の水が噴水のように噴き出し、その水の上にはガリィが乗っていた。

 

「お待たせ! ハズレ奏者!」

 

マリアはエルフナインを庇うように立ち、そこに丁度ランも駆けつける。

 

「また来やがったのか!!」

「あん? アンタに用は無いのよ! 目玉!! さっさとウルトラマンゼロの相手してきなさいよ!」

 

するとガリィに呼び出されるようにテレポートでキューバが出現し、キューバはギロリと自分に偉そうに命令してくるガリィを睨み付ける。

 

『目玉って呼ぶなって言ってんだろ!! まぁいい! ウルトラマンゼロ、覚悟しろ!!』

 

キューバはチブルスパークと1つのスパークドールズを取り出し、スパークドールズをチブルスパークにリードさせる。

 

『モンスライブ! バラバ!』

 

キューバは右手が鉄球、左手が鋭い鎌となった「殺し屋超獣 バラバ」にライブし、それに対してランもウルティメイトブレスレットから「ウルトラゼロアイ」を取り出して装着する。

 

「今回は、例外として最初から手を出させて貰うぜ? デュア!!」

 

そしてランは「ウルトラマンゼロ」へと変身し、その際に上空へと飛んでそのまま右足に炎を宿した跳び蹴り「ウルトラゼロキック」をバラバに叩きこんで吹き飛ばし、マリア達から遠ざける。

 

『ウルトラゼロキック!!』

「ギシャアア!!?」

 

倒れ込むバラバだが、バラバはすぐに起き上がり、ゼロに向かって頭部の剣を投げつける。

 

それに対してゼロも頭部にある2つのブーメラン、「ゼロスラッガー」を放つのだが……バラバの剣は2つに分裂して歯車のように回転し、ぶつかり合ったゼロスラッガーを弾いてしまう。

 

『なに!?』

 

ゼロは両手で弾かれたゼロスラッガーをキャッチし、バラバは剣を1つに戻して自分の頭部に戻す。

 

『この俺もチブルサーキットを預けられているんでな!! こっちもパワーアップしてるって訳よぉ!!』

『へっ、面白れぇじゃねえか……。 ブラァックホールが吹き荒れるぞ!!』

 

一方でマリアはというと……彼女は頭の包帯を外してアガートラームを起動させようとしていた。

 

「今度こそ歌えるんでしょうね?」

「っ……」

 

ガリィのその言葉に、マリアは汗を流すが……。

 

「大丈夫です!! マリアさんなら出来ます!!」

 

エルフナインからの声援を受け、マリアは「歌」を口ずさみ、「アガートラーム」を身に纏う。

 

「ハズレで無いのなら、戦いの中で示して見せてよ!!」

 

ガリィはそう言い放ちながらアルカノイズとチブロイド達を召喚し、マリアは短剣のアームドギアを右手で逆手に持ちながらアルカノイズとチブロイド達に突撃し、一気に数体の敵を切り裂く。

 

さらにマリアは短剣のアームドギアを複数個重ね合わせて合体させて鞭のような形にし、それを振るってより広範囲に渡ってチブロイドやアルカノイズ達を切り裂く。

 

戦闘BGM「ウルトラマンゼロのテーマ」

 

そしてゼロはバラバに向かって駈け出し、バラバは左手の鎌でゼロを斬りつけようとするがそれを両手で受け止め、ゼロは膝蹴りをバラバの腹部に叩きこむ。

 

「グルゥ!!」

 

しかし大したダメージも無く、バラバは即座に右手の鉄球を横に振るってゼロの脇腹を殴りつけ、ゼロはフラついてしまう。

 

そのまま追撃しようとして左手の鎌を振りかざすバラバだが、ゼロはそれを受け流してカウンターで拳をバラバの顔面に叩き込む。

 

『シュア!!』

 

さらにそのまま連続で拳をバラバの胸部に叩き込む。

 

「グオオオオ!!!!」

 

バラバは負けじと右手の鉄球でゼロに殴りかかるが、ゼロはその腕を掴みあげて背負い投げを繰り出し、バラバは地面に倒れ込む。

 

『デヤァ!!』

 

ゼロはそのまま倒れ込んだバラバに拳を振り下ろすが、バラバは両腕を交差して攻撃をガードし、剣からショック光線をゼロに喰らわせる。

 

『グゥ!?』

 

火花を散らし、後退するゼロ。

 

さらに即座に立ち上がったバラバはゼロに向かって頭部の剣を投げ……投げられた剣は2つに分裂し、手裏剣のように回転してゼロに襲いかかる。

 

だがゼロは「ゼロスラッガー」を両手に持ってバラバの剣を弾くのだが、その一瞬の隙を突いてバラバは口から火炎放射を発射し、ゼロの身体は炎に包まれてしまう。

 

『ぐあ!!!?』

 

しかしゼロはすぐに炎の中から抜け出してバラバに接近し、ゼロスラッガーを振るってバラバを斬りつける。

 

「グアア!!?」

 

一方でコウマ達がいる別荘の方でもアルカノイズの反応を検知し、窓からバラバも出現し、ゼロが戦っている様子を見てコウマはゼロ、響達はマリアの元へと向かう。

 

だが、コウマ達が外に出て行く際、コウマ達の元に来ていた緒川は廊下をコウマ達と入れ替わるように「何か」が通り過ぎるのを目撃。

 

慌てて彼は部屋を出て確認するのだが、そこには何も無く。

 

「風……?」

「どうしたんですか?」

「あっ、いえ、大丈夫です。 きっと……」

 

未来の問いかけに緒川はそう答え、あれは気のせいだったのかもしれないと彼は思うのだった。

 

また、ゼロの元についたコウマはまだギンガのスパークドールズが使用できないため、零無から借りた怪獣にライブしようとするのだが……。

 

『待て! 今回は特別だ! こいつの相手は俺がやる!!』

「でも!」

『お前はマリアんところに行ってきな!!』

 

ゼロのその言葉にコウマは戸惑いつつも頷き、言われた通り彼もマリアの元へと向かうのだった。

 

そしてガリィと戦うマリアは……。

 

マリアはガリィの放った水流を三角状のバリアで攻撃を防ぐが……即座にガリィは連続で強力な水流を放ち、マリアはどうにかバリアで攻撃を防ぐのだが……。

 

(強く……! 強くならねば……!!)

「マリアさん!!」

 

しかし、ガリィの放った水流はマリアの身体を全体的に包み込み、彼女はその中で凍り付きそれを見たエルフナインはマリアの名を叫ぶ。

 

「う……ぐっ、強く!!」

 

どうにかマリアは氷を砕くことに成功するが、肉体には先ほどの攻撃でかなりのダメージが蓄積されたらしく、彼女は苦痛の声をあげながら膝を突く。

 

「てんで弱すぎる!!」

 

ガリィにそう言い放たれ、マリアは胸のクリスタルのイグナイトモジュールを起動させようとするが……。

 

「その力、弱いアンタに使えるの?」

 

ガリィのその言葉にマリアはハッとなった表情を浮かべ、その手を止める。

 

「私はまだ、弱いまま……。 どうしたら強く……!」

『テメーは何時までそんなことでグダグダ悩んでやがる!!』

 

その時、ゼロの叫ぶような声が聞こえ、マリアは驚いたような表情を浮かべ、顔を上げてゼロの方へと向く。

 

ゼロはバラバの攻撃を受け流しながらカウンターで拳を何発も確実にバラバの顔面、腹部に叩き込みながらもマリアの方へと向き、彼女を指差す。

 

『そんなに自分の弱さが嫌か! 弱さを捨てちまったら、一生はお前強くなんてなれねえ!! 本当の強さ、お前はそれを知ってる筈だ!!』

「彼の、ゼロさんの言う通りです!! マリアさん!! 大事なのは、自分らしくあることです!! それは、マリアさんが僕に教えてくれたことじゃないですか!!」

 

ゼロに続くようにエルフナインはマリアにそう言い放ち、そのエルフナインの言葉はビーチバレーの時に彼女がエルフナインに向かって言った言葉。

 

それを聞き、マリアは再び立ち上がる。

 

「弱い……。 そうだ! 強くなれない私に、エルフナインとゼロが気づかせてくれた。 弱くても自分らしくあること。 エルフナインは弱くても危険を顧みず勇気を持って行動を起こし、私達に希望を届けてくれた!」

 

先ほどとは一変したマリアの雰囲気を感じ取ったガリィは今度こそ彼女が自分の期待に応えてくれるのではと思い、口元に笑みを浮かべる。

 

「エルフナイン、そこで聴いていて欲しい! 君の勇気に答える歌だ!」

『オイオイ、エルフナインの独占は良くねえな。 俺にも聴かせろよ。 そっちの方が戦いもやる気が出るってもんだ!!』

「えぇ、勿論ゼロ、あなたにも聴かせよう! 私の歌を!! イグナイトモジュール、抜剣!!」 

 

そして胸部のクリスタルを起動させ、取り外して空中へと投げるとそれが剣の形となり、マリアの胸部に突き刺さる。

 

「ぬっ、ぐぅ……!」

 

イグナイトモジュールを起動させ、苦痛に歪んだ顔を浮かべるマリア。

 

(狼狽える度、偽りにすがって来た、昨日までの私……!)

 

だが、今度は先ほどとは違い、マリアはその衝動に耐え続ける。

 

「そうだ! らしくあることが強さであるなら!! 私は弱いまま……この呪いに反逆して見せる!!」

 

すると今度はしっかりとイグナイトモジュールは起動し、マリアの纏っていたアガートラームは黒く染まり、イグナイトの起動に成功。

 

挿入歌「銀腕・アガートラーム (IGNITED arrangement)」

 

マリアは右手に短剣のアームドギアを持って構える。

 

「弱さが強さだなんて、トンチをきかせすぎだって!!」

 

ガリィはそう言いながら新たにアルカノイズとチブロイド達を召喚するが、マリアはアームドギアを左腕のアームと合体させ、そこから光の弾丸を幾つも発射して全てのアルカノイズとチブロイド達を貫き、彼女はあっさりとアルカノイズとチブロイドを倒してしまう。

 

「良いね良いねぇ~!!」

 

アルカノイズとチブロイドが倒されるとガリィは不気味に笑いながらマリアに向かって行き、マリアもまたガリィに向かって行き、素早くガリィを切り裂く。

 

しかし、ガリィの身体は切り裂かれる直前に身体を水に変化させており、水になった彼女は幾つもの水の球体となり、シャボン玉のように空中に浮かぶ。

 

それに対しマリアはガリィがその状態で攻撃を仕掛けて来ると読み、攻撃をされる前に光の弾丸で全ての水を撃ち抜く。

 

すると今度は本体のガリィがマリアの背後に突然現れる。

 

「私が1番乗りなんだから!!」

 

マリアのガリィに向かって素早く接近しアームドギアを振りかざすが、ガリィはバリアを張り巡らせて彼女の攻撃を受け止める。

 

だが、マリアのアームドギアの刀身が光るとガリィのバリアはあっさりと砕け散り、そのままマリアはガリィに強烈なアッパーカットを繰り出した。

 

「ぬあ!!?」

 

ガリィは空中へと大きく浮かび上がり、マリアもそれを追うように飛び上がりる。

 

マリアはアームドギアである短剣を左腕部ユニットの肘部側に柄から取付け、刀身を長大に変形させて腰部と左腕部ユニットのバーニアで加速してすれ違い様に敵を斬り裂く「SERE†NADE」を繰り出し、ガリィの身体は真っ二つに破壊され、彼女の身体に亀裂が入るとガリィは粉々に砕け散って倒されたのだった。

 

「1番乗りなんだからぁ~!!」

 

ガリィを倒したその直後に「マリアさん!!」と彼女の名前を呼びながら響達と少し遅れてコウマが駆けつける。

 

「オートスコアラーを倒したのか?」

「どうにかこうにかね……」

 

翼の問いかけにマリアはそう答える。

 

「これがマリアさんの強さ……」

「弱さかもしれない」

 

そのマリアの言葉にエルフナインは「えっ?」となる。

 

「でもそれは私らしくあるための力だ。 教えてくれてありがとう」

 

マリアはエルフナインに笑みを向けながらそうお礼を言うのだった。

 

それに対しエルフナインも嬉しそうに「はい!」と頷く。

 

「あとは……!!」

 

だがまだ戦いは終わっていない、マリアはバラバと戦うゼロに視線を映す。

 

「みんな、今回は……最後まで私とゼロに任せて欲しい」

 

マリアは一同に向かってそう言うと彼女はゼロの方へと駆け出す。

 

そしてゼロはバラバと未だに戦闘を繰り広げており、ゼロはタイプチェンジして一気に決着をつけようとするのだが……。

 

『させるかぁ!!』

 

右手の鉄球から鞭を伸ばしてゼロの首を締め上げ、さらにそこから電撃を流してゼロがタイプチェンジしようとするのを阻止する。

 

『ぐあああ!!?』

 

そのままバラバはゼロを引き寄せると左手の鎌でゼロの身体を斬りつける。

 

『ぐぅ!?』

 

その時だ。

 

マリアは腕部のアームと合体させたアームドギアからイグナイトによって強化された光の弾丸を幾つも発射してバラバの鞭を千切ったのだ。

 

バラバの拘束から解かれるとゼロは赤い姿の「ストロングコロナゼロ」へと変わる。

 

『ストロングコロナゼロ!! 助かったぜ、マリア!!』

 

挿入歌「DREAM FIGHTER」

 

ゼロは両拳に炎を纏い、バラバに向かって駈け出すとその拳を次々と連続で打ち込んでいき、バラバはどうにか反撃しようと炎を吐くがゼロはジャンプして回避。

 

そしてそのまま急降下キックをバラバの頭部に叩き込み、倒れ込む。

 

倒れ込んだところを狙いゼロはバラバの尻尾を掴みあげ、フルスイングして投げ飛ばす。

 

「グオオオオ!!!?」

 

それでもどうにかすぐに立ち上がり、バラバは口から火炎を放つが頭部のゼロスラッガーを掴んで炎を切り裂く。

 

それを見てバラバは頭部の刀を投げつけ、それを2つに分裂させて手裏剣のようにゼロに向かって投げるが……。

 

そこからゼロはゼロスラッガーを頭部に戻して青い姿の「ルナミラクルゼロ」へとチェンジ。

 

『ルナミラクルゼロ! レボリウムスマッシュ!!』

 

右掌から衝撃波を放つ「レボリウムスマッシュ」でゼロはバラバの2つの刀を吹き飛ばし、吹き飛ばされた刀は1つに戻って地面に突き刺さる。

 

『マリア、トドメは一緒にやろうぜ!』

「良いわね、面白そうだわ!」

 

ゼロの言葉にマリアは頷き、ゼロは身体を光の粒子に変換し、粒子はマリアを包み込む。

 

「ハアアア、ハア!!」

 

するとマリアの右手に三日月状の剣「ゼロツインソード」が握られ、マリアはバラバに向かって飛び上がるとゼロツインソードの左右の刃が長く伸び、マリアはそれを横一線に振るって敵を切り裂く「プラズマスパーククラッシュ」をバラバに炸裂。

 

「グルアアアアアア!!!!?」

 

身体を切り裂かれたバラバは爆発して倒され、マリアと分離したゼロは通常形態に戻って地面に着地し、マリアと視線が合うと互いに頷き合うのだった。

 

『俺達に勝とうなんざ……!』

「2万年早いわ!」

『あっ、おい! それ俺のぉ~』

 

またとある場所では……。

 

姿を今まで透明にしていたファラが突如現れ、彼女は静かに呟く。

 

「お疲れ様、ガリィ……。 無事に私は目的を果たせました」

 

同じ頃、チフォージュ・シャトーでは……。

 

ガリィが何時も立っていた場所から眩い青い光が溢れるとその上にあった青いカーテンのようなものに文字のようなものが刻まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、今回はもう特に何も起こることはないだろうということでカイトと零無が戻って来ると夜はみんなで花火をすることに。

 

「ねえ、あなたがさっき話していたことだけど……」

「うん?」

 

するとそこで花火をしながらマリアはランにあることを尋ねていた。

 

「アレって……もしかしてあなたの話でもあったんじゃないの? ベリアルとは別の、もう1人力を求めた人って……」

 

それに対してランは……。

 

「さぁな」

 

と笑みを浮かべて惚けるのだった。

 

それに対してマリアも思わず笑ってしまい、それ以上深くその話について聞くことはしなかったのだった。

 

「マリアが元気になって良かった」

「おかげで気持ちよく東京に帰れそうデスよ!」

「ラン隊長とエルフナインがなんか言ってくれたおかげみたいだな」

 

調も切歌、零無もマリアが元気を取り戻し、ホッと一安心。

 

「ふむ、充実した特訓であったな!」

「それ本気で言ってるんすか?」

 

翼の言葉にクリスは思わずツッコミを入れる。

 

「充実も充実! おかげでお腹が空いてきたと思いません!?」

「何時もお腹空いてるんですね?」

 

エルフナインはそんな響に思わず苦笑するが、コウマも「確かにお腹空いた!!」と言いだした為、昼時と同じくまたみんなで買い出しジャンケンをすることに。

 

結果は響の1人負けであり、それに響は涙目になるが……。

 

「しょうがない。 付き合ってあげる?」

「俺も。 この人数じゃ流石に男手必要だろう?」

「ランさんの言う通り、俺も付き合うよ」

 

とそこで未来とラン、カイトが響の買い出しの手伝いを申し出、それに響は嬉しそうな顔を浮かべる。

 

「えっ!? 良いの!?」

 

未来は響の手を握りしめ、彼女等2人とランとカイトは4人で一緒にコンビニに買い出しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてコンビニに到着したのだが、いつの間にか響がコンビニの外に置いてあった自販機を見つめていた。

 

「もうなにやってるの!?」

「凄いよ未来!! 東京じゃお目にかかれないキノコのジュースがある! あっ、こっちは葱塩納豆味!」

((割と結構気になるジュースばっかなんだけど……))

 

そんな響を未来は微笑ましく見守っていると……。

 

「あれ? 確か君は……未来ちゃん? じゃ、無かったっけ?」

「えっ?」

 

丁度コンビニから1人の男性が出てきて未来に話しかけ、彼女は誰か分からず首を傾げたが……。

 

「ほら、昔ウチの子と遊んでくれていた……」

「どうしたの未来~?」

 

そこに丁度響が未来の元にやってくると彼女はその男性の姿を見て固まり、同じく男性は響の姿を見ると驚いた表情を浮かべた。

 

「響……?」

「っ! お父……さん……?」

 

すると響は突然走り出し、彼女は逃げるようにその場から立ち去ったのだった。。


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