楓「クリスマスなんざケーキとチキン食ってりゃいいのよ」
天野「ど、どうしたの?小学校六年生の女の子が言うセリフじゃないよ?」
三時間目をすぎてやっと動きだした電気ストーブの前に群がる集団を一瞥する。
やれクリスマスは彼氏とすごすだの好きな子に告白するだの彼氏からのプレゼントは五千円超えてないと無理だの小学生とは思えぬ会話しか聞こえてこない。
楓「これが最近の小学生か・・・」
天野「一応楓ちゃんもその最近の小学生だよ?」
帰宅途中の通学路、美咲と別れたすぐ後に雪が降り始めてきた。
徐々に雪の日が増えてきた、冬休みも近づいてきている。
まあ食っちゃ寝するしかしないだろうけど。
真理「勉強しなくていいんですか~?」
楓「・・・」
いい加減背後から突然現れるのはやめてほしい、雪ですべって転んだら大変だ。
真理「あなたならそんなことはないでしょ~」
楓「心を読むな!」
そういえば美咲は試験に受かったのだろうか、少し前に私と黒瀬とで勉強会をして以来美咲とはその話題では話さなくなってしまった。
まあ私には関係のないことだし気にしていても仕方のない事だろう。
真理「美咲ちゃんは試験うかったんですかね~この子とずいぶん仲良くしてくれているみたいですから、頑張ってほしいんですけどね~」
・・・私は美咲の試験のことは言った記憶はないのだがそういう情報はどこから仕入れてくるのだろうか。
親同士の中は私が言うのもなんだがあまりいい方ではなかった気がする。
この人は基本的他人とかかわらないし、絶対に手の内をさらさないし、よく考えればこの人が心のそこから笑っているのは見たことがない。
血の繋がりがなくとも遺伝ってするものなのだろうか。
私とこの人はやはり似ていると思う、血の繋がりがなくともお互いに親子の情が一切なくても、家族として過ごしていれば本当の家族のようになることができるのだろうか。
世の中にはそんな家族もいるだろう、世界は広いというし。
楓「自分の子供を、自分の人生の第二幕と考えている親を、親と呼んでいいのだろうか」
ほとんど意識せず口に出していた。
真理は静かに振り返るといつものなんの感情もこもっていない笑顔を浮かべた。
真理「親と呼ぶんじゃないですか?その人が親だと思えばどんな人であれ親なんですよ」
真理「どれほど否定しようと、どれほど拒否しようと、親というものは変えることはできないものです」
真冬の氷より冷たい瞳をもつ私の義母は、そのときだけわずかに感情が瞳の奥に見えたような気がした。
いつの間にか雪は止み、雲の隙間から日の光が漏れ出していた。
窓の外を見ると雪はすでに止んでおり徐々に雲も晴れ始めている。
凛「美咲、大丈夫かしら・・・」
学校ではいつものように楓と喋っていたけど、そろそろ合否の通知が来ている頃だろう。
凛「まあ、私と楓の二人で教えたんだから大丈夫よね」
影宮楓、楓、かえで
凛「あっ・・・」
不意に口にした名前に全身が震え、抑えきれない感情が吐息になって漏れる。
私は、黒瀬凛は影宮楓を愛している。
あの濁った瞳、手入れのされていない癖の多い髪、常につまらなそうな顔、そのすべてが愛おしい。
でも、この思いは打ち明けてはいけないもの、彼女はあくまで普通を好む。
私のこの思いは普通とは違う。
凛「だから私は貴方を嫌ってるように見せなければならない」
でもきっと貴方は気づいているんでしょうね、貴方は普通を望むくせに普通ではないから。
そんなことを考えていると、部屋のドアを荒く叩く音が聞こえる。
お母さんもお父さんもドアを荒く叩くことはないし、なおかつ私の家族に返事を待たずにドアを開ける奴は一人しかいない。
凛「なに?」
半開きのドアの奥に立っているのは、私の兄の黒瀬正樹だった。
正樹「・・・」
凛「学校は?」
正樹「・・・知ってるだろ」
この男は中学校を卒業して以来、学校に行かなくなり、ひきこもりになった。
こんなのがあの人と同い年なんて信じられないことだ、ちなみにあの人というのはこの男の旧友で、私達もよく勉強を見てもらっていたりしていた。
龍平「お、正樹今日は起きてたのか」
秋山龍平、引きこもりの兄を訪ねてくるたった一人の友人だ。
凛「こんにちは、龍平さん」
龍平「おう、それにしても凛に会うの久しぶりだなー」
凛「最後にあってからまだ一年くらいしかたってないですよ」
龍平「ん?まだそんなもんか」
正樹「龍平、今日はどうしたんだ・・・?」
龍平「ああ、凛に勉強見てくれって言われてな、しばらく毎日くるから」
正樹「そうなのか・・・」
兄は龍平さんにたいして大きな劣等感を抱いている、それは兄の表情を見ればわかる、そしてそれに気づかない龍平さんではない。
凛「龍平さんってドSですよね」
龍平「さぁ、どうだろうねぇ」
龍平さんは兄にまた学校に来てほしいのだろう、優しい人だし、昔からの友人を簡単に見捨てられる人でもないし。
しかし許せないのは兄だ、龍平さんが来るようになったおかげでかなりよくはなったが、以前は部屋の中がゴミの山になっていたし、お風呂にも入らず部屋の前から異臭がするほどだった。
兄は高校に入学はしている、龍平さんが勉強を教えてくれたから入れたのだが。
しかしなにかと理由をつけていこうとしない兄に殺意すら覚えている。
兄は優秀な方ではなかった、なんでもできる龍平さんと一緒にいたことで比べられることも多く、兄はそれが原因で誰に対しても劣等感を抱くようになった。
そしてさらに、自分で言うのもなんだが、大抵のことはこなせる優秀な妹が現れたことにより兄の心は折れてしまった。
龍平「じゃ、準備してくるねー」
凛「すぐ行きます」
龍平さんが一階に降りていく。
足音が聞こえなくなると、少しかすれた声で兄が口を開く。
正樹「お前、龍平のこと好きなのか・・・?」
凛「そんなこと教えて私になんの得があるの?」
正樹「べ、別にいいだろ・・・聞くくらい・・・」
凛「・・・龍平さんのことが好きなのは私じゃなくて美咲よ」
正樹「そ、そうか」
その時私はふと龍平さんに言われたことを思い出した。
龍平(できのいい妹とできの悪い兄って、なーんか危なそうだよね、気をつけなよ)
そのときは理解できなかったが、私は数日後、その意味を理解することとなる。
凛「いつまでいるの?」
正樹「・・・すぐ戻る」
一瞬だけ、兄が笑みを浮かべているような気がした、しかしそれを確認するまえに兄は無言で自分の部屋に戻っていった。
凛「・・・まぁいいか」
なにもかもが違う私と兄は一つだけ共通点がある、それはお互い向けるべき愛を間違えているところだと、私は知ることになるのだった
あ、あれ?クリスマス前にだすはずだったのにいつのまにかクリスマス終わってるし年も明けてる・・・?▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▅▂うわああああああ!
はい、本当にごめんなさい本当に去年のクリスマス前に出す予定だったんです。なのに気づいたらもう一月も終わり・・・。次はもっと早く出せるようにがんばります・・・去年も言ってたきがする・・・それでは(・ω・)ノシ