こんにちは、不知火椛です。
まだまだ、暑い日が続きます。台風も3つ...
まずは、更新が1か月も遅れた事に謝罪を...
理由としては、前期末テストがあり、初盆があり、バイトがあり、某艦隊ゲームの攻略が(←オイ)
ともかく忙しくこの夏を過ごしております。
そして、UA5000突破ありがとうございます!これからも頑張ります!
さて、挨拶はこの辺りにして
どうぞ、本編をお楽しみください。
「ルイズが...明日結婚するらしい...」才人は言った。
「え?」
2人の間に沈黙が生まれる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。どうしてそうなったんだ?」突然の出来事に朧も困惑した。流石にこんな戦地の真っただ中で結婚するなど正気の沙汰とは思えなかったのである。
「ワルドが言ってたんだ。明日式を挙げるって。」と心ここに在らずと言った風に答えた。
「...そうか、そんな事を...」急に朧は手を顎に当て考え始めた様だ。
「オボロー、サイトー?もう行きますわよ?」ユーンがやって来てしまった。
「ああ、すぐに行くよ。」そう返事をすると、才人の方を向いて
「ここで考えてもしょうがない、とりあえず船を降りるよ。」それでも動かない才人をとりあえず引きずりながらアルビオンの地を踏み、ニューカッスル城に入った。
――――――
ニューカッスル城の秘密港らしく、入口は狭く中は広い空間に桟橋が作られていた。
そこでは、ウェールズがどうやら家臣たちと話している様子だった。
「ほほう、この積み荷は硫黄ですか、これで我々の名誉は守られましたな。」
「これさえあれば、我らも示しがつくと言うもの!やりましたな!」
「ああ、王家の誇りと名誉どちらも示すことが、敗北することが出来る。」
とウェールズ達は笑いあっていた。ルイズ達は敗北と言う言葉に顔色を変え、朧は何か考えている様子だった。そして、家臣達がルイズ達に気がついた様だ。
「おや?そちらの方々は?」と家臣がウェールズに尋ねる。
「トリステインからの大使達御一行様だよ。重要な要件で来られた。」
「ほう、それはそれは。大使殿、遠路はるばるようこそアルビオン王国へ。今は戦火の中ゆえ大したもてなしは出来ませんが今夜はささやかな宴がございますゆえ、
と挨拶が終わると、秘密港にある階段を上がり、城内に案内された。
「なんか、古きよき西洋の城って感じだな。」と朧のつぶやきが漏れた。
「映画とか、テレビで見たまんまの城って感じだな。」同様に才人も感想を漏らした。
「2人とも城を見るのは初めてかい?」とウェールズは笑顔を向けながら言う。
「はい、実際にこういう城を見るのは初めてですね。驚きましたよ、結構古くからありますよね?」と朧は興奮ぎみに言った。
「おや、そこに気がつくとは。すごいね君。確かにこの城はこのアルビオンに存在する城の中でも古い城なんだ。その城はどこで?」とウェールズは驚いた様に言った。
「いえ、今も残っている数百年前の城の写真を見たことがありまして。」と言った。
「写真?」とウェールズは聞きなれない言葉に首を傾げた。
「えー、絵の技法の一つの事です。自分たちの所では身近なものだったので。」と朧は咄嗟に嘘の説明をでっちあげ、その場を乗り切ろうとした。
「なるほど、そんな物があるのか。その写真とやらに描かれた城はさぞ立派なものだったのだろうね。」とウェールズは怪しむ事もなく言った。
――――――
「さあ、ここが私の部屋だよ。どうぞ入ってくれ。何もない部屋だがね。」とルイズ達一行は城内のとある一室に通された。
『失礼します。』と一行は部屋に入り、扉を閉める。
「さて、少し待っていてくれ。」と、扉が閉まったのを確認すると机へと歩いてゆく。
ウェールズは部屋の中心にあった机の引き出しを開けると小箱が入っていた。ウェールズは首からネックレスを外すと小箱が開いた。その中には一通の手紙が入っていた。その手紙は何度も読み返されていたのだろう、ボロボロであった。そして、手紙を読みだした。そのことを
「これが、姫からいただいた手紙だ。確かにお返ししたぞ。」
「ありがとうございます。」ルイズは頭を下げ、手紙を受け取る。
「帰りは明日朝、非戦闘員を乗せたイーグル号がここを出港する。それに乗ってトリステインに帰るといい。」とウェールズは言った。
「陛下、お尋ねしたいことがございます。」とルイズは受け取った手紙を見て、意を決した様にウェールズに言葉を発した。
「ん、何だい?」とウェールズは穏やかに聞いた。
「この
「無いよ、我が軍は3百、敵軍5万。万に一つも可能性は無い。我々に残されたのは王族の名に恥じぬよう、勇敢に死んでゆく事だ。」と淡々とウェールズは言った。
「そんな、何とかならないのですか!」と黙っていたユーンも口を開いた。
「ならないよ。」と苦笑いをしながら言う。
「恐れながらも殿下、申し上げたい事がございます。」とルイズは言った。
「どうしたんだい?何なりと、申してみよ。」とウェールズは次に発せられる言葉がわかっているかのように笑顔で問い返す。
「陛下、姫殿下の手紙ですが...」と続けようとした。
「おい、ルイズ!」と隣の才人が止めようとする。
「大丈夫だよ。何なりと、申してみよって言ったのは私だからね。」
「...」
「君の言いたい事はわかるよ。私と従妹のアンリエッタが恋仲ならば、今回渡された手紙に亡命が書かれているだろうから、亡命して下さいって言うつもりだったんじゃないかい?」とスラスラとまるで、前からわかっていたかのように言った。
「...そ、そうです。殿下、トリステインに亡命下さい!」とルイズは叫ぶ。
「では、僕が返す言葉も知っているだろう?亡命はできない。」と静かに言った。
「...」とルイズは黙ってしまった。
それも、無理からぬ事だろう。自分の言おうとしている事を先に言われた挙句、明確に拒絶されたのだ。この場に声を掛けられる者が居なかった。この場に居た一同はそれほどにウェールズの意思が固い物だと知った。ひと時の沈黙が両者を流れる。
「君は正直だね。ラ・ヴァリエール嬢。しかし、それでは大使は務まらない。しっかりしなさい。...だが、そう声を掛けてもらえて嬉しかったよ。」とウェールズは沈黙を破り言った。
その言葉に一同は目を伏せた。ウェールズは時計らしき物を見て。
「そろそろ、パーティーの時間だ。君たちは我らが王国が迎える最後の客人だ。是非とも出席願うよ。」と穏やかに笑って言った。
ルイズ達一行は部屋を出た。ワルドは部屋に残りウェールズに一礼する。
「何かまだ、御用ですかな?子爵殿。」とウェールズは聞く。
「恐れながら、殿下にお願いしたい事が――」とワルドは口を開いた。
――――――
「もう、どうにもならないのでしょうか...」ユーンが呟いた。
「無駄よ、あれだけ意思が固かったら、ウェールズ皇太子は、もう何を言われても考えが変わる事はないわ」とルイズは悲しそうに言った。
「...」重い空気が流れる。
「とりあえず、明日の準備をしてパーティーへ行こう。明日の朝は多分早いんだろうから。」と朧はこの空気だけでも変えようと言った。
「それもそうね。今更何を考えても無駄だわ。」と賛同する声が上がった。
一行はあてがわれた部屋に各々戻り、朧は準備をしていた。
(今回の部屋割りは、朧の強い希望でユーンとは別の部屋である。無論ユーンは不満そうであったが。)すると、部屋をノックする音が聞こえる。
「?はーい、今行きます。」とドアを開ける。するとそこには
「ユーン?どうしたんだい。」とユーンが立っていた。
「...オボロと少し話がしたくて、今よろしいですか?」と聞いてきた。
「うん、いいよ。さ、入って。」と朧はユーンを部屋に通した。
「――で、話って何かな、ユーン?」と朧は声を掛けた。
「オボロはこのような事があった時どうしますか?」と聞いてきた。
このような事とは今回のウェールズの事であろう。朧は少し考え込むと口を開いた。
「ウェールズ皇太子の言っていた事はわかるよ。理解できる、そうせざるを得ない理由も。」と朧はユーンを見て言った。
「本当にそれしか方法は無いのですか!?確かに私たち貴族や王族には誇りも、名誉も確かに大切ですわ。ですが...私の周りの貴族たちはみんな大切の物をわかっていませんわ。」と言った。
ユーン・ヘスティア・ジ・ノーツ・レ・フェブリは少なくともトリステインの他のどの貴族とも
考え方が違っていた。ユーンは貴族にとって大切なものはわかっていても、それ以上に大切なものを考えていた。たとえ他の者から笑われようともユーンは絶対にこの考えを変える事はないだろう。続く言葉はそれを確かに表していた。
「誇りも、地位も、名誉も...それがたとえ、どんなに素晴らしくても...
「ですが、周りはみなやれ名誉だ、誇りだと言って、すぐに命を捨てる様な事を...そんなのは嫌いですわ!」
「...それでも...仕方のない事なんですか...?そんなにも、殿方には名誉ある死が大切なんですか?」と朧に目を向けた。
「...」朧はユーンが言った言葉に驚くように固まっていた。
「ごめんなさい。少し冷静ではありませんでしたわ。」と朧の沈黙を戸惑いと受け取ったのか。ユーンは朧を見て謝った。
「い、いや。大丈夫だよ。その気持ちはよくわかるから。」と朧は慌てて手を振り同意した。
「わかって...くれますの?」と朧を見る。
「ああ。さてと、ユーンがそこまで考えているのなら俺も、もう少し頑張ってみようかな。」と悪戯っぽくユーンに笑って見せた。
「え?どういう事ですの?」とユーンは朧の頑張ってみると言う所に食いついた。
「ん、いやー、ウェールズ皇太子の説得をしようかなって思ってね。このまま無意味に死地に向かわせる事はしたくないし。それよりももっといい方法を提示して説得してみようと思うよ。」
と力強く言った。
――――――
パーティーは城の大広間で行われた。アルビオン王家に使える者達はみんな思いおもいにこのパーティーを楽しんでいる様であった。しかし、その様子を見る者からすれば、とても見てはいられないものだった。それに耐えかね広間をルイズは出て行き、ワルドはそれを追いかけた。才人もその場の雰囲気から逃げるように離れた所に居た。ユーンもこの空気は苦手なので離れた所で朧と一緒に居た。ウェールズは才人と話をしている様子であった。
「ユーン、大丈夫かい?この場に居ずらかったら、ここから離れてもいいんだよ?」と朧は隣にいるユーンに心配そうに話しかけた。
「だ、大丈夫ですわオボロ。少し場の雰囲気に当てられただけですから。それに、...」とユーンは才人と話しているウェールズを見て言った。
「そうか、でも無理はしないでよ。」と朧は優しくユーンの頭を撫でて言った。
「おや、どうかしましたか?」そこで、ふと声が掛かる。
「あ、ウェールズ皇太子。」とユーンが言った。
「今宵のパーティーは楽しめているかな?」ウェールズは言った。
「はは、そうですね。楽しむ...と言うよりも、最後を迎える兵士たちの休息を見ている感じですよ。」と朧は少し皮肉気にウェールズに言った。
「おっと、これは手厳しいな。」とウェールズは笑う。
「...」とユーン達とウェールズの間に沈黙が流れる。
「君たちも私たちを案じてくれるのかい?さっきまで、話していた使い魔の少年みたいに。」とウェールズは遠くを見ながら何かを思い出すように言った。
「殿下、そのことで、少し込み入った話があります。ですが、ここでは口に出すのは憚られるので、どこか別の場所に移動してお話をしたいのですが...」と朧は静かに言った。
「...いいよ、少し待っていてくれないだろうか?」と朧から何かを感じ取ったのだろうか?ウェールズは話を聞くために場所を映してくれると言う。
ウェールズは、一端朧達と離れるとアルビオン王である、ジェームズ1世のもとに行き、何やら耳打ちをした。そして、王が頷くと、戻って来た。どうやら許可が下りたらしい。
「さて、どこで話をしようか。っとやはり話を聞くのはあそこにしよう。少し着いて来てくれないかい?」とウェールズは申し訳なさそうに言った。
「はい、わかりました。」と朧達は頷く。
ウェールズに着いて行くと、着いた部屋は手紙を渡されたウェールズの私室であった。そして、3人とも椅子に掛けると一息ついた。
「さて、話があると言う事だけど、一体何の話かな?」とウェールズは切り出した。
「はい、ですが、お話の前にウェールズ皇太子が何故亡命を拒むのか、しっかりとその理由も聞きたいと思いまして、それを聞いてからお話したいと思います。」と朧は言った。
「...君は、あの少年と同じく私を説得するのかな?」とウェールズは朧を覗き込むように言った。
「それは、殿下の話を聞いてからですよ。」と言った。朧も引くつもりは無い。
ウェールズはもう一度朧を見るとため息を吐いた。そして、話し出した。
「私が亡命を拒むのは私が亡命すれば、トリステインに迷惑を掛けるからと言うのがある。もし、トリステインへ亡命すれば貴族派の攻め入るいい口実になる。それに、ハルケギニア統一、そして聖地奪還と言う理想を掲げるために戦に加わる民の事を、土地の事を、国の事を考えていない貴族派の連中にこの国を渡すわけにはいかない。」とウェールズは強い口調で言った。
ユーンは、
「で、亡命しない理由はそれだけですか?」とまるで意に返さず言った。
これには、ウェールズもユーンも驚いた。ユーンは心なしか笑顔になっていた。
「それだけではないが、もう一つ上げるならば、私が皆の心が決まっている時に亡命を決断すれば、少なからず皆に動揺が走るだろう。それも小さいものではない、我々王党派を根底から揺るがす大問題だ。」とそう言った。確かに、この3点が大きな要因だろう。が
「そうですか。」と朧の表情は変わらなかった。
「...」またしても両者の間に沈黙が流れる。
先に沈黙を破ったのは、やはり朧だった。顔を上げると
「さてと、では話をしたいと思います。」そう言った朧の表情は真剣だった。
「先ずはそうですね。亡命をしなかった方がトリステインに掛ける迷惑の方が大きくなると思いますよ。」とそう言ったのだ。
「どういう事かな?」とウェールズは少々口調が強くなった。
それもそうだろう、愛する者を守るために覚悟している死がトリステインにとって、アンリエッタにとって迷惑になると目の前の男が言い切ったのだから。
「はい、亡命をしなかった場合、アルビオン統一をなした貴族派、レコン・キスタが次に標的にするのは恐らくトリステインでしょう。」と言った。
ウェールズは続けるように目で朧を促す。
「何故かと言えば、トリステインは空軍、すなわち軍艦に太刀打ちできる対空の戦闘が他の国よりも強くは無いからです。空を簡単に抑えられる戦力があるなら手始めにここを攻めない手はありません。違いますか?」と朧はウェールズを見ながら言った。
「確かに、次に攻め入るのはトリステイン...かもしれない。」
「と言う事は、どのみちトリステインは不利な状況に立たされる訳です。そこで、亡命したあなた方亡命した王党派の出番です。」と朧は言った。
その言葉にウェールズもユーンも首を傾げる。
「あなた方王党派がトリステインに協力し、この貴族派を迎え撃つのです。少しでも貴族派の情報に明るい王党派が居るならそれに越したことは無い。それに、情報があるのと無いのでは戦況に大きくかかわる。」と朧は語り続ける。
「今の話を聞いて、結局戦わざるを得なくなるのでは?と思ったのではありませんか?」と急に朧はウェールズ達に話を振った。
「あ、ああそうだが...」とウェールズは頷いた。
「それに、です。亡命をすれば他の国とも協力できる。いや、他の国も協力せざるを得なくなります。なぜなら、レコン・キスタに対抗しているトリステインはアルビオンを取り戻すと言う大義名分があり、かつアルビオン王家に協力しなければ、レコン・キスタと通じていると言う証拠にもなる。また、仮に亡命せずトリステインが敗戦国となった場合は次に飛び火するのは、他の国でしょう。流石に攻められると分かっていながら協力しない国は無いと思いますが。」と言った。
「た、確かに。亡命すれば、他国との協力も仰げますし、嫌とは言えないはず。それに、事前情報があれば、戦局は有利になる。」とユーンが思った事を口にした。
この話にウェールズは口を挟めないでいた。なぜなら、自信納得してしまったからだ。
「それに、この計画を話せば、無意味に命を捨てないで済む、合理的かつ、建設的ですから、多少の動揺はあれど、反対をするものは居ないと思いますよ。」と朧は逃げ道を塞いだ。
「それに、これならば、本当に愛する人のために命を使うことが出来ますし、近くに居て寄り添う事も出来る。違いますか?」とダメ押しで言った。
「...」ウェールズはその言葉に揺れてしまっていた。
それもそうだろう、朧が言った言葉に説得力はあったし、その通りに事が進まなくとも、ここで死ぬと言う選択肢よりも確実に良いと言わざるを得ないだろう。
それに、一度明け渡すとは言え、アルビオンを取り戻す事が出来る唯一の手段であった。
「今すぐに、とはいいません。少し皆さんとお話をされてはいかかでしょう?そうですね...明日の作戦会議とでも言って王様や、重鎮達とお話をされてみてはいかがですか?」
朧のウェールズを見る目は真剣であった。その言葉に
「わかった、みなを説得してみよう。...全く、君はとんでもない人間だね。」と朧を見ながら苦笑いを浮かべながら言ったウェールズ。
それを見ていたユーンは一瞬ポカンとした後朧に飛びついた
「すごいですわ、オボロ!私、わたし...」とそう言って泣き始めてしまった。
朧は一瞬面食らったが、ユーンを撫でていた。その様子をウェールズは笑って見ていた。
「君が本当に平民の使い魔か疑いたくなったよ。」そうウェールズは言った。
「俺は、ユーンに使えるただの平民の使い魔ですよ?」と朧は答えた。
「いいえ、オボロ。あなたは私の最高の使い魔ですわ。異論は認めません!」とユーンが拗ねたように言った。それを見たウェールズと朧は笑っていた。
――――――
「では、僕は話に行って来るよ。」とウェールズと別れるその時だった。
「ああ、殿下。私たちの方にはこのことは内密にお願いしますね。」と朧は言った。
「?どうしてだい。」不思議に思い、問いかけるウェールズ。
「驚かせたいと言うのもありますが...少々心配事が...」と歯切れの悪い言い回しをした。
「訳は必ず話しますから。直前まで話さないでもらえますか?」と言った。
「...君が言うならそれが最善なんだろう。信じるよ。」とウェールズは言う。
「ありがとうございます。こちらとしても最悪な事態だけは避けたいですから。では、おやすみなさい、良い夜を」と朧は言った。
「ああ、ふふふ。また明日」とウェールズは言った。
「お休みなさいませ、殿下。」とユーンも言った。
そして、ウェールズと別れた後、二人は部屋に戻って来た。
「それにしても朧先程のは一体どういう意味ですの?」とユーンが問いかけた。
「ああ、そのことだけど――」と朧が口を開こうとした時だった。
朧の部屋の前に誰かいたのだ。それは、
「おや、こんな時間にどうしたんだい?才人?」その正体は才人だった。
――――――
「えええ!ルイズ、あの娘結婚するんですの!?」とユーンの叫び声から始まった。
「ユーン、遅いから抑えて。」と朧がたしなめる。
「で、ですが...」
「で、やっぱりこうなったのか。」とまるで朧はこうなる事がわかっていたかの様に言う。
「...」才人は
「さてと、多分明日がこの任務の正念場だよ。」と朧は言った。
「才人、君はルイズを守る覚悟はあるか?」と朧は唐突に聞いた。
「...どうだろう」と才人の返事は心ここに在らずと言った感じであった。
「(まだ、プライドとか意地が強いのかな?)まあいいや、この話を聞いてから判断すると良いよ。」と朧は才人の顔を見ながら言った。
「さて、と。急な話で悪いんだけど、ワルドはレコン・キスタに属する者。もしくは、国、トリステインに対して何らかの不満を持っていてクーデターを起こそうとしているって考えてる。」朧から発せられた言葉は衝撃的なものだった。
「え、ど、どう言う事ですの?」とユーンが朧を問い詰める。才人も驚きを隠せずに目を見開いて口をパクパクしていた。
「んー、これは感でもあり、推測なんだけどね。でも、才人の話を聞いて確信に変わったよ。」と朧は才人を指して言った。
「え?俺?」と才人は自信を指さす。
「こんな大変な時に結婚式を挙げるなんておかしくは無いと思わないかい?まるで、式を挙げた後はトリステインに帰るつもりが無いみたいじゃないか。」と言った。
「た、確かにおかしくはありますが。」と言葉を濁すユーン。
「それと、ワルドの目が
「なっ!」と才人は絶句した。
所長と言うのは朧の言っていた所長で間違いないだろう。話では朧を利用するだけして、殺そうとした人物らしい。
「説得力には欠けるけど、俺の感が危険だと言っている。だから――」
「ルイズを助ける気はあるかい?才人?」もう一度問いかけた。
「俺は――」
――――――
翌朝朝早くにも関わらずある場所には人がいた
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
「誓います」ワルドは言う。
何故か結婚式が始まっていた。参列者はユーン、朧、それにウェールズの部下数人が参列していた。この場に才人はいなかった。
「――夫とする事を誓いますか?」とウェールズは問いかける。
しかし、返事が無い。ルイズは心ここに在らずと言った風に立ち尽くしている。そしてウェールズが声を掛けるとはっと我に返ったように気がついた。そして、目つきも何かを覚悟したかのように変わっていた。そして、
「ごめんなさい、ワルド、私はあなたと結婚できない。」とルイズは言った。
「新婦はこの結婚を望まぬのか?」とウェールズは問いかける。
「はい、望みません。」とその言葉には確たる意思が感じ取られた。
「子爵...、お気の毒だが...」とウェールズは口を開いた。が、
「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる!そのために君が必要なんだ!」とまるで縋りつくかのように叫び出した。
この豹変ぶりに周りのみんなはざわめき出した。
「いやよ、私世界なんて欲しくないもの、それにあなたは私を愛していないじゃない!」とルイズはワルドの要求を頑なにバッサリと切って捨てた。
「こんなにも僕が言ってもダメかい?ルイズ」とワルドは急に静かになった。
「嫌よ!誰があなたと結婚するもんですか!」そう言った。
「しかたない。目的の一つは諦めよう。」そうため息を吐いた。
「目的?」ルイズは首を傾げた。
「この度の目的は3つあった。一つはルイズ、君を手に入れる事」人差し指を立てる。
「2つ目は君の持っている手紙」中指を立てる。
「そして、最後の一つは――」ワルドは言った。
みんなワルドから離れていた。が、ワルドは魔法を詠唱していた。そして、ウェールズも手紙と言うワードに気がつき杖を構えていた。
「っいけない!反転!」朧が叫んだ。
ワルドの杖がウェールズに届くことは無かった。弾かれるように後ろに仰け反るワルド。そして、そこには本日の主役がやって来る。
「ワルドォォォォォォ!」才人が剣を抜き柱の陰から飛び出てそのままの勢いでワルドの杖、剣を手から弾き落とした。
「っく、貴様!」と動こうとしたその時だ。
「なっ、なんだ!これは!」とワルドは叫んでいた。
何故なら、ワルドは固まって動けなくなっていたからだ。
「ふう、一時はどうなるかと思ったよ。」と朧の声が響いた。
「どう言う事だい、オボロ君」とウェールズは言った。
「いえ、前々からおかしいと思っていたんですよ。ワルド子爵の様子が、それが確信に変わったのは日付が変わってからでしたが。」と朧はワルドに近づいてゆく。
「き、貴様最初から気付いて...」とワルドは苦しそうに言う。
「さて、貴族派...いや、レコン・キスタ!」朧がそう言った。
その場にいた全員が事態を呑み込んだ。ワルドがウェールズ皇太子の命を狙っていたのを全員が理解した。そして、レコン・キスタである事も。
「あなたはそうですね、この場に縛り付けて放置する事にしましょう。俺たちはやる事が残っているから。いいですか?ウェールズ皇太子?」と朧は言った。
「あ、ああ。君がそう言うならそうしよう。」と戸惑いながらも答えた。
「...諸君!ひとまず戻り急ぎ準備を!」とウェールズは部下たちに指示した。
「さて、どうせ早めに攻めて来るだろうから急いでいくよ!」と朧はみんなに言った。
――――――
「俺は、助けたい。いや、ルイズをこの手で守りたい!」と才人は言った。
「うん、わかった。じゃあ、そうしよう。」と朧の返事は軽い物だったが。
そこからの展開は早かった。朧は才人に配置を指示し、翌朝すぐにウェールズの元を訪ね、「今日の式は十分注意して行って下さい。」と言ったのだ。その言葉にウェールズは首を傾げていたが。
そして、今は城の秘密港に来ていた。才人は先程から黙ったままのルイズを抱えここまで来ていた。既に非戦闘員を乗せた拿捕船マリー・ガラント号は出港しており、残るはイーグル号のみだった。そこで、ウェールズは指示を出していた。
「おっそーい!早くしなさい!」とここでキュルケ達の声が掛かる。
「って何であなた達がまだ残っているんですの!」とユーンが叫ぶ。
「いいから、早く船に乗りたまえ!」とギーシュも叫ぶ。
そして、全員が乗り込むと同時にイーグル号は出港した。
「ふう、今回はこれで一件落着かな。」と朧が言った。その時だ、
「敵艦発見!砲撃来ます!」と見張りをやっていた男が言った。
「ははは、当分はそうもいかなそうだね。」朧は苦笑いした。
「回避行動を取れ!全速力で離脱しろ!」とウェールズが指示をだす。
「無理です!数発着弾します!」と言った。
確かに弾道はいくつかこの艦をとらえていた。しかし、当たる事は無かった。
「着だ...あ、あれ?」乗組員が目を開く。
「どう言う事だ?当たってねえ」と口々に疑問を浮かべる。
「始祖ブリミルのご加護だ!この艦はご加護を受けている。敵艦の砲撃を気にせず全速力で離脱しろ!」とウェールズが言うと、
「了解です!おら、急げ!ブリミルさまの加護が付いてやがるんだ!とっとと持ち場に着け!」と激を飛ばす乗組員。
「...」朧は黙ってその様子を見ていた。
「オボロ君...」ウェールズが朧に話しかける。
「は、はい。何ですか?」と朧は驚きながらも答えた。
「トリステインに着いたら色々と話してもらうよ。」とニッコリ笑ったウェールズの目は『ごまかして逃げるなよ』と言っていた。
「わかりました、きちんとお話しましょう。」と朧は苦笑いで返した。
――――――
敵艦の砲撃を潜り抜け、何とかトリステインに帰り着いた朧達は城に居た。今回の報告をするためである。アンリエッタの隣には亡命してきたばかりのウェールズ皇太子もいる。
「まずは、お疲れ様でした。そして、皆さんが無事に帰って来て私は嬉しいです。」とアンリエッタが口を開いて言った。
「姫様...そのワルドは...」とルイズが言葉を濁らせる。
「良いのですルイズ、大まかな事はウェールズ様から聞きましたから...」とアンリエッタは少し悲しげだが、悲観してはいない顔で言った。
「それに、あなた方はそれ以上の働きをしてくださいました。ウェールズ様を始め王党派の皆さんまで。」とアンリエッタは言った。
「えっと、それに関してですが、私には何が何だか...」とルイズは混乱していた。
それもそうだろう、ルイズは事の顛末をワルドがレコン・キスタだったとしか知らないのだ。そこを才人に助けられた(ルイズにはそう見えた)としか知らないのである。
「そこは、あなたの頑張りの成果です。」とアンリエッタは笑う。
「そうだね、君の熱意には負けたよ」とウェールズもつられて言った。
「???」ルイズの頭の中は?マークでいっぱいである。
「さて、あなた達も疲れているでしょうから学院に帰り、ゆっくりと休むと良いでしょう。馬車はこちらで手配します。」とアンリエッタは言った。
城を出ると数台の馬車が止まっていた。それに、乗り込み朧達は学院に向け帰って行った。
「さて、今回の旅は疲れたよ。」と朧は笑った。
「そう、ですわね。」ユーンは返事をする。
「どうしたんだい?」と朧はユーンの目を覗き込む。
「いえ、何でもありませんわ。はあ、しばらくはゆっくりしたいですわね。今回はとても疲れましたわ。(朧も私に隠し事が1つ2つあってもおかしくありませんわよね...現に私も...)」と朧の方をちらっと向くユーン。当の本人は寝てしまっていた。
「ふふふ。(そうですわね、話してくれるのを待っていればいつかは...その時は私も...)」そう思いユーンも船をこぎ始めた。
「(...そう言えば、あの二人はどうしたのでしょう...)」とユーンの思考はそこで途切れた。
で、その二人はと言うと終始無言であった。そりゃもう怖いくらいに。
「...あのさ、」と才人は口を開いた。
「...何よ。」とルイズはぶっきらぼうに答えた。
「俺決めたよ、元の世界に帰るまでお前を守るって。」才人は宣言した。
「な、っな...」とルイズは顔を赤くした。
「ふ、ふん。当り前じゃない!あんたは私の使い魔なんだから。当然よ!だから...」とルイズはちらっと才人の方を見る。が、
「...サイト?」と才人を見たルイズは
「寝たの...?そうね、そうよね。あんたには一杯心配掛けたわよね。それで、嫌な思いまでさせて、こんな事まで言って。」とルイズは才人を横にすると膝枕をした。
「だから、ありがとう...サイト」とそう言うとルイズも眠ってしまった。
学院に着いても寝ていた二人は後にからかわれる事になるがそれはまた別のお話。
――――――
「すいません、閣下」とワルドは頭を下げていた。
「よい、不運な事が重なればこのような事は起きる。」と言った。
「しかし、このような失態は...」とワルドは謝り続けた。
「もうよいのだ、過ぎたことを咎めても何も進まぬ。次を期待するよ。」と言った。
「は、御意に。」とワルドは言った。
「表を上げよ子爵。今日は良き日だ神聖アルビオン帝国の門出なのだからな。」
「分かりました。では、クロムウェル皇帝こちらへ」と言った。
神聖アルビオン帝国がハルケギニアに声明を出したのは才人達が帰って来て数日後の事であった。
次章へ続く...
如何でしたでしょうか?
前回に引き続き超長文です。(遅れた事を反省しております)
文字数なんと1万2千文字オーバー ワオ!
もし、誤字脱字等ありましたらビシバシご指摘お願いします。
今回でなんと原作2巻の内容は消化しました(イェーイ!)
原作工事のタグを惜しげもなく使ったぜ!
はい、こんな感じで原作を思いっきり工事していきます。すいません。
にしても、クロムウェルが作ったのって神聖アルビオン帝国でしたっけ?(←調べろよ)
さて、多分次回以降は次章に突入です。何時かはわかりませんが。
それでは次回またお会いしましょう!
質問、感想等お待ちしております!
答えられる範囲で返信をしていこうと思います。