ゼロの使い魔~月の使者~   作:不知火 椛

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半年以上も投稿せず申し訳ないです。

ただ、失踪だけは致しませんのでその点だけはご安心を...

長い前置きは無しにして本編をどうぞ!


2話 開戦前2

「朧!」

 

「ああ、わかってる」

 

そう言うとすぐさま体制を立て直し、ユーン達の元へ駆ける。

 

「怪我は!?」

 

「な、何とか大丈夫ですわ」

 

ひとまず朧と才人は合流して対策を建てようとデルフに助けを求める。

 

「デルフ!」

 

「ん?何だい、オボロ?珍しく俺に声を掛けるなんて?」

 

()()()()()()()()()?」

 

「十中八九何かのマジックアイテムだろうな。ただ、何だったかは思い出せねえ」

 

『は?』

 

「いや、ほら、ド忘れってあるだろ?こう、喉まで出かかってるんだが...出てこないんだよ」

 

「いや、喉ってどこだよ!?デルフは剣だろ?」

 

「物のたとえだ相棒...」

 

「他にあの短剣の事を知らないか?」

 

「し、知らないわよ。あんな、気味悪いの。」

 

「知らない、聞いたことが無い。」

 

「んん?あれは...でも。しかし、父上が言っていたのは―」

 

「ん?どうしたんだよ、ギーシュ?」

 

「いや、父上が昔話してくれた話に似たおとぎ話があったんだ、この場では無関係かなと」

 

「今は少しでも情報が欲しい一体どんな話なんだ?」

 

「才人。俺がオークたちを押さえておくから、何かヒントになるような話があったらすぐに教えてくれ」

 

そう言うと朧はオークの軍勢と対峙した。

 

「ひとまずギーシュ。その話を聞かせてくれ!」

 

「あ、ああ。わかった...」

 

才人の剣幕に押されギーシュは話し出した。古い古いおとぎ話を。

 

 

――――――――

 

昔、むかしのそのまた昔、あるところに見栄っ張りな王子が居たそうな。

その王子は傲慢な物言いで周囲を困らせていたが、その言動とは裏腹に実力は本物であった。

そんなある日のこと、一人の男が城下町で暴れていると聞いた王子はすぐさま城下町へ向かった。

助けを求める悲鳴が1件の酒場から聞こえた。

城下町の酒場に着くと王子は奇妙な光景を目の当たりにした。

血塗られた短剣を持った男が次々に酒場に居た人たちに切り掛かっていたのだ。

中には血まみれで息絶えている者もいた。その惨状を見た王子は短剣を持った男に切り掛かった。

王子は戦闘中に違和感を感じた。何故なら短剣を持った男の動きは手負いだった事もあってか、隙が多かったからである。

すぐさま王子はその隙を鋭く攻めた。すると短剣を持った男の攻撃が乱れた。

王子はみねうちを決め、男の手から短剣を叩き落とした。

その瞬間、一部始終を見ていた野次馬からは歓声が上がった。

 

「またしても、あの王子やったぞ!」「流石我が国の王子だ!」

「次の世代のこの国も安泰だな!」「我らが王子ここに在り!」

 

と人々は口々に言った。しかし、次の瞬間、歓声が悲鳴に変わった。

 

「な、何だありゃ!?」「一体何がどうなって...」「王子!」「嘘!」

「う、うわああああああああ!!」「に、逃げるんだよ~!」

 

歓声が一気に悲鳴に変わった理由それは、

 

「な!さっき、遠くに飛ばしたはず...」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ば、馬鹿な!っぐ!」

 

王子は驚きから動きが遅れ、短剣の攻撃を腕に受けてしまった。幸い利き腕では無かった。

そのため、王子はすぐさま剣を抜き、反撃に出る。先程と違い今度は油断なく、剣を振るう。

切っ先はナイフを持った男の胴を2つに分け、短剣はその場で叩き落とし、王子は踏みつけた。

 

「おおおおお!!王子がまたしてもやったぞ!」「す、すごい!手負いにもかかわらず。」

 

またしても、歓声が起きた中、王子は起きた事を珍しく考えていた。

 

(先程のは一体...。今俺が踏んづけている短剣は最初の男が振り回していた物と同じ。

この短剣には何か、呪いの類でも掛かっているのか?だがしかし、――)

 

「王子ー!ご無事ですか!王子ー!」

 

と、大きな声が城下町に響き渡る。王子はやれやれと肩を竦める。

 

(まあ、詳しい事は後にしよう。今はこの短剣を...短剣を...)

 

「王子ー!王子ここにおられまし――王子!酷いお怪我ではありませんか!衛兵ー!衛兵ー!」

 

(短剣を...手に取り...この場を血の色で染め、る。...!?)

 

「さ、王子!すぐに医者の所へ!大事になってはいけませんからな!さ、――」

 

「!?今すぐ俺を斬れ!」

 

「は?今何と?――ぅぐ!」

 

「きゃああああああああああ!」「な、どうした!」「王子が!王子が!」

 

城下町は三度悲鳴に包まれた。そこから先は惨劇の始まりあった。

血塗られた短剣を握った王子はそのまま歩く殺戮者となり果てた。

斬っては殺し、斬っては殺しを繰り返す。王国を何とか逃げ延びた人々は隣国に助けを求めた。

 

隣国の兵士らは口々に笑い「そんな事があるはずもない。」と笑い飛ばしたが、

余りにもしつこかったため、渋々数名の偵察隊を出した。

 

その数刻後、全身傷だらけの兵士が帰還して、こう言った。

 

「あそこには、化け物がいる。初めは人かと思ったが、あいつは人なんかじゃない...

 

         人の血を浴びて喜ぶ化け物だ!

 

 全員そいつに―。あれはこのまま放ったらまずい!今すぐに討伐をしなければっ!ゴフッ!」

 

そう言うと兵士は息絶えた。実は偵察隊に出していた兵士は選抜隊から出ており、

どうせガセの情報だと思い、良い休暇になると実力のあるメンバーから選出された。

思わぬ形で噂の信憑性を証明してしまった隣国はすぐさま討伐隊を編成する事となる。

結果、討伐隊27万6789人を出し、戦死者23万5411人を出す大損害を隣国は被った。

最終的に兵士たちが数の力技で抑えている間にメイジらが短剣を封印する事で事態は収拾した。

封印された短剣は後に『(むしば)みの短剣』と言われ封印されたまま、どこかに隠したのだとか。

 

――――――――

 

ギーシュの話を聞いてタバサが口を開いた

 

「・あの短剣の名前は多分『蝕みの短剣』

 ・複数のメイジが封印して何とかなった

 ・あの短剣の攻撃を受け、ケガを負うと危険。OK?」

 

無駄に長い昔話を3行でまとめた。

 

「ちょっと待ちたまえ!」

 

何か納得いかないのかギーシュが待ったを掛ける。

 

「何?」

 

「何?じゃないだろう!大切な話だったのにたった3行でまとめるってどう言う了見だ!」

 

「...ギーシュ」

 

「大体、君はたまに口を開いたと思ったら――」

 

「ギーシュ!」

 

「何だいサイト?僕は今大切な話をだね...」

 

またタバサに向き直ろうとしたギーシュの肩をガッ!と掴んでこちらを向かせると才人は声のトーンを落とし、ドスの聞いた声で

 

「おいギーシュ...まず今の状況考えろよ、朧が1人で時間を稼いでいるんだ。その時間を割と長い半分以上どうでもいい話をせずに要約すれば良かった、わかるか?」

 

「あ、ハイ」

 

「わかればよし、さて――」

 

「それじゃ、―」

 

『どうしようか?』

 

早速手詰まりの状態であった。そんな中、

 

「あ!」

 

デルフが突然声をあげた。すると、みんなすぐにデルフの方を向いた。

 

「お、おう。そんなに見つめられると緊張するじゃねえか...」

 

「そんな事いいから何が『あ!』なんだ!」

 

「あの短剣な、多少魔法で強化されてるとは言えな...強烈な一撃を与えたら普通の武器と同じく破壊できるような気が――」

 

「「「それだ!」」」

 

皆一斉に言うと、デルフは若干引き気味に、

 

「お、おう。でも確かな情報とは言えねえぜ?」

 

「でも、破壊できるかもしれないって事だろ?他に手段がない以上何とか破壊するしかない!」

 

「それもそうね」

 

「やるしかないようですわね」

 

「よし、行くぞ!」

 

『おー!(了解、わかったわ、行きますわ、ちくわ大明神)』

 

『今の誰だ!!』

 

――――――

 

「朧!」

 

才人はさっそく朧の元へ駆ける。

 

「はっ!何かわかったか?」

 

「ああ、あの短剣はもしかしたら強烈な一撃を加えれば壊れるかもしれないらしい。でも、魔法で強化されてるらしいから並みの攻撃じゃ通らないみたいだけど。」

 

「なるほど、強烈な一撃か...っと。」

 

朧は才人の言葉を受けて少し思案するようにしていた。(尚、この間もオーク達は切られている)

 

「あのオークだけを引き離さないと大分厳しいな。」

 

「でも、数が多すぎるぞ?」

 

「...一瞬、一瞬だけ他のオークとの距離を離せないだろううか?」

 

「一瞬?一瞬だけならみんなでやれば何とかいけるんじゃないか?」

 

メンツを思い浮かべながら朧に言う。

 

「それでいい、頼んだ!」

 

才人は頷くと再びみんなの元へ

 

「みんな、あいつを他の奴らから少しでも引き離すぞ!」

 

後方に居たユーン達に叫んだ。

 

「え?みんなで一斉攻撃かと思ったわ」

 

「引き離すだけで良いですの?」

 

「わかったよ、ワルキューレ!」

 

それぞれ、短剣を握っているオークの周りに攻撃し始めた。

 

「「ぴ、ピギィ!?」」

 

「よ、よし。ばらけてきたぞ」

 

短剣を所持しているオークを取り囲っている集団の数は確実に数を減らしていた。

 

「相棒!そこだ!」

 

「せやぁ!」

 

「「「プ、ブギャ!!」」」

 

「おお、すごいじゃないか!サイト!これは、僕も負けていられないな!ワルキューレ!」

 

「プギィ!」「プギャ!」「プギー!」

 

「ファイアボール」

 

「「「プギャーーーーー!!!」」」

 

「背中がら空きよ」

 

「あ、ああ、すまない」

 

「ハアッ!」

 

「プギーー!」

 

「朧!完全に崩れた!」

 

決定打となる一撃を才人は叩き込むとすかさず叫んだ。朧は――

 

   「蛍火 ― 焱付陽炎(えんぷかげろう) ――

 

そう朧が呟くと、蛍火の刀身に炎が走り陽炎が揺らめきだす。

揺らぎが大きくなり朧の姿が霞みもう一度その姿が見えた時には3()()()()()()()()

 

「プ、プギィ!ギィ!ギィ!」

 

突然の出来事に短剣を持つオークは慌てたように何かを叫んだ。だが既に朧は崩れた包囲網を突破し、短剣を捕らえていた。

それでもオークは最後の抵抗と言わんばかりに短剣を朧に向け振り下ろす。

 

「ギィ!」「プギィ!」

 

他のオーク達も駆けつけるが既に遅かった。

そして、ついに短剣の刀身と3つに分身した蛍火の刀身が当たり交差する。その瞬間

 

      ―― 三叉交路(さんさこうろ) ―― 」

 

「ギィーーーーーーーー!!」(パキィーーーーーーン!!)

 

断末魔と共に甲高い音がして短剣は砕け散った。そして、陽炎は消え、蛍火は鞘に収まっていた。

 

「な、何でしたの?今オボロが3人に見えましたが...」

 

「今のは一体?」

 

「何だったの?今の...」

 

「マジックアイテムって、破壊できるものなのね」

 

各自口々に疑問を呟いたその直後

 

「ギィ?」「ギ?」「ギィギィ!」

 

破壊された直後周囲にいたオーク達は互いに顔を見合わせ何やら首を傾げている。

そして、倒れた仲間たちを見るや否や、

 

「プギィ!プギ!」「ギィ!」「プギー!」

 

と何やら意思疎通して仲間を抱えて一目散に逃げて行った。

 

「え?」

 

「お、終わった...のか?」

 

「そう、みたいですわね...」

 

『はあ~、よかった』

 

「まさか、力に任せてマジックアイテムを切っちまうとはな...恐れ入ったぜ」

 

「ま、まあ朧なら可能性はあっただろ、本当にやるとは思わなかったけど」

 

「で、そのオボロはどこに行ったんだい?」

 

「さっきまでそこに居たはずだが?」

 

「奥に確認に行ったみたいですわ」

 

「お宝の事はオボロに任せましょう、ちょっと休憩」

 

「なら、俺も見てくるよ」

 

そう言い、才人も奥に向かった。

 

――――――

 

「ここか、お宝があるって場所か...」

 

朧は既に捜索を開始していた。すると、

 

「多分これだと思うんだけど...ビンゴ!」

 

朧は大きさの異なるケースらしきものを3()()見つけ出した。

 

「こ、これは...何でこんなものがこの世界に?確かにこのサイズだったら可能性としては十分だったけど...」

 

朧が1つ目の大きめのケースの中身を確認すると、意外な物が出てきたのだ。

 

1()2().()7()×()9()9()m()m()()()()()()()()...しかも、使用痕跡が無い。ケースは若干傷があるが」

 

そして、2つ目の中くらいの箱を開ける。

 

「ケースのデザインから中身は想像できたけど、予想通り...か」

 

ケースの中には大量の弾丸、即ち先程の銃(対物ライフル)の弾

 

「中身は110発か...と言う事は最後のケースは――」

 

「朧ー!どこだ?こっちか?」

 

才人がこっちに来たようだ。

 

「こっちのケースの中身は後回しかな...おーい!才人こっちだ!」

 

そう言うと朧はレールガンユニットのストレージに3つのケースを格納しつつ才人に呼びかけた。

 

「そっちか、すぐ行く!」

 

才人は朧の声に気が付くと、すぐにやってきた。

 

「朧何かお宝みたいな物は見つかったか?」

 

「一応な、いかにもな怪しげな物はあったけど」

 

その朧の言葉に首を傾げる才人

 

「いかにも、怪しい物?」

 

「ああ、そこにある装飾された箱だよ」

 

朧は先程3つのケースがあった()()()()を指さした。

 

「本当だな、いかにもお宝ですよって言いたそうな箱だな...」

 

才人が苦笑いして指さした先には豪華な装飾が施された箱が――

その様子はまさに、 THE 宝箱 であった。

 

「何と言うか...罠?だよな?」

 

「普通はね?」

 

「他には何もなかったのか?」

 

「一応何かあったみたいだけど、誰かが持って行ったみたいだね」

 

朧は、先程3つのケースがあった場所を指差す。

 

「確かに、何かあったみたいな痕跡があるな」

 

「こりゃ、痕跡の状態からして最近っぽいな」

 

突然デルフがしゃべりだしたのだ、非常にまずい

 

「そうみたいだね、最近誰かがここに来たんじゃないか?」

 

咄嗟にデルフの意見に同調する。が、

 

「あれ?でも、あのオークの軍団をどうやってかわしてここにあったらしい箱を持ち出したんだ?」

 

と、才人は確信を突く疑問を言ってしまった。朧はダラダラと汗をかき始める。

 

「さ、さあ?最近ここに住み着いたオークだったのかもナ」

 

「その可能性もあるな...って、朧!?汗がすごいことになってるがどうした!?」

 

「ナ、ナンデモナイヨ、イツモドオリフツウニキマッテイルジャナイカ!」

 

「急に片言になった!?何かさっきの戦闘で頭でも打ってたのか!?」

 

珍しくおかしな朧に別の心配を始めた才人に朧はようやく落ち着きを取り戻した。まあ、ぶっちゃけこのような事態になった時の言い訳を考えていなかったのである。

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「ますます、怪しいんだが?」

 

「サイトー!オボロー!どこだー?」

 

突然才人の来た方向からギーシュの声がしたのだ。朧は心の中でガッツポーズ

 

「こっちだ!」

 

「わかった、今行く!」

 

すぐにギーシュたちは朧たちと合流した。

 

 

――――――

 

「で、この箱しか無かった、と言う事ですの?」

 

合流したユーン達は朧の説明を受けて確認を取る。

 

「他に目立ったものは無かったよ」

 

さらりと嘘を言ってのける朧であった。

 

「で、まだ開けてないわけ?だったら、早く開けましょ!」

 

キュルケは既に興奮気味である。

 

「そうしたいのは山々なんだけどネ、罠だったりする可能性もあるわけでな?」

 

すぐにでも開けようとするキュルケに朧は語り掛ける。

 

「というわけで、ギーシュ君」

 

「このタイミングで呼ばれるのは嫌な予感しかしないんだが?」

 

「まあ、まあそう言わずに」

 

才人がギーシュにまあまあと言っていると朧が

 

「と言うわけで、ギーシュ俺らは離れているから開けてみてくれ!」

 

とのたまった、ご丁寧に肩に手をのせて。それも、いい笑顔で言い放った。

 

「拒否権は?」

 

「あると思う?」

 

そう言いながら既にある程度の距離を開けていたメンツを指差しながら言った。

 

「...僕の身に何かあったら?」

 

「勿論、助けには行くよ?」

 

「...わかった、何かあったら必ず助けてくれ」

 

朧が助けに来ると言ったのだ、よほどの事が無ければ大丈夫だろうとギーシュは腹を括った。

 

「じゃあ、開けてみてくれー!」

 

朧も距離を取ってギーシュに声を掛ける。ギーシュはため息を吐くと装飾された箱を開けた。

開けた直後は何も起こらなかった。しばらく待っても何も起きない。

ギーシュは目を瞑っていたが何も起こらないと感じるや中身を確認し始めた。

 

「何も...起こらないですわね?」

 

「なーんだ、大丈夫みたいじゃない。心配して損したー」

 

「...」

 

「おっかしいな、絶対に罠だと思ったのに?」

 

みんな口々にギーシュのいる方へ歩いていく。

ただ一人を除いて。

 

「で、箱の中身は何だったの?」

 

ギーシュに確認を取る。すると、ギーシュは一枚の銅貨を見せてきた。

 

「見た事のない銅貨だよ、少なくともトリステインの銅貨では無さそうだね」

 

「確かに、でも表と裏の刻印が全然違うわ!」

 

「こんな銅貨見た事無い」

 

「このような硬貨お父様のコレクションにもありませんでしたわ。一体どこの銅貨でしょか?」

 

「V...O...C...1...7...これ以上はかすれてるな、朧これ何かわかるか?」

 

「サイトさん、この文字はわかるんですか?」

 

「ああ、でも何かまではわからないや、朧?」

 

そこまで言って反応が無いことに疑問に思い朧の方を向く。

 

「おーい!朧!こっちに来てくれ銅貨が出てきた!」

 

もう一度大きな声で朧に呼びかけた。

 

「あ、ああ。すぐ行く」

 

朧はハッっと我に返った様に答えてこちらに来た。

 

「この銅貨なんだけどさ、VOCって書いてあるんだけど。何のことだかわかるか?」

 

「VOC?銅貨...ね。才人は大航海時代は知ってる?」

 

「大航海時代?確か江戸時代くらいの時だったか?」

 

「まあ、間違っていないかな。Vereenigde Oostindische Compagnie オランダ東インド会社の略称だねVOCは。聞いたことないかな?」

 

「東インド会社なら聞いたことはあるけど何かは詳しく知らないぞ」

 

「まあ、詳しくは知らなくていいよ。そこは重要じゃないし」

 

「まあ、向こうでの価値は大分大きかったと思うよ。ただ、含有量、純度が高くないといけないのと偽物で無い事が問題だけどね」

 

「へえ、そうなんだ。と言う事は...微妙な品って事か...」

 

「まあ、そうなるね」

 

「つまり、どういう事ですの?」

 

「簡単にいうと、ハズレともいえるし、当たりだったとも言えるかな」

 

「微妙ですわね...」

 

「まあ、気にしていてもしょうがない。ひとまずここを出よう」

 

「それもそうね」

 

「うん」

 

「ですわね」

 

「まあ、それが妥当だな」

 

「僕はここを出られるなら何だっていいよ」

 

「わ、私は皆さんについていくだけですから...」

 

全会一致で銅貨を回収してこの炭鉱とおさらばする事になった。

 

 

―――――――

 

すんなりと何の問題もなく炭鉱跡を出た一行はこの銅貨をどうするかと言う事と今後の方針を考えるために近くの町に来ていた。

 

「いやー、最初からとんでもない所だったね...」

 

「本当だよ!僕の寿命を縮める気かい!?」

 

「まあ、結局大丈夫だったし!」

 

「いや、そうだとしても今回の扱いは納得できない!」

 

今回の扱いに不満を持ったギーシュが何やら才人と話していた。

 

「ギーシュったらまだ言ってるわけ?生きてるんだからいいじゃない」

 

「そうは言うけどね――」

 

「ギーシュうるさい、周りに迷惑」

 

「うぐ」

 

「それにしても、最初でこれではこの先思いやられますわね...」

 

「そ、そうですね...私メイジではないので皆さんの足手まといに...」

 

「それはそれ、これはこれよ。あなたは別のところで役に立っているわけだし」

 

「それで、次に行く場所の事を話し合うのは良いとしまして、どうしまよう?」

 

『んー』

 

みんな一斉に首を傾げ、悩む。

 

「正直洞窟とか、狭い場所は動きが制限されて危険よね」

 

「でも、広くても厄介」

 

「ですわね...しかしそうとなると場所が無くなってきますわ」

 

「難しいところだな」

 

「もう、僕はあんな目に遭わなければどこでもいいよ...」

 

「オボロ、どうしますの?」

 

今まで一言も発していなかった朧にユーンは問いかける。すると、

 

「この国、もしくはどこかに竜かドラゴンの伝説はあるのかい?」

 

「どうしたんだい?突然?」

 

急にそんな事を聞いてきたのであった。

 

「そりゃ、古今東西至る所にドラゴンの伝説なんてあるでしょ?」

 

「わたくしも、いくつか覚えがありますが...どうしてオボロはそのような事を?」

 

と、回答が返ってきた。

 

「いやね、この国では竜を祭ってる伝説でもあるのかな?と思ってね」

 

「は、はあ...」

 

「それで、候補の羊皮紙の一つに竜の羽衣って言う物があってね、ちょっと気になったんだ」

 

朧はそう説明をした。すると、

 

「あの、その羊皮紙の竜の羽衣、場所はタルブ村となっていませんでいたか?」

 

そう、シエスタが発言した。

 

「そうだね、この羊皮紙にはタルブ村と書いてあるよ」

 

それを聞いたシエスタは

 

「はああ...それは偽の情報ですオボロさん」

 

大きなため息をついて言った。

 

「へえ、どうして?」

 

「実は私出身がそのタルブ村なんです、その竜の羽衣は私の曾祖父の物だったとかで...」

 

「ふむ、それなら実物を見てみたいね」

 

「あ、いえ。村でもその隠し場所を知っている人はいないんです。曾祖父は誰にも場所を言わなかったようで。ですから本当にあるかどうかすら怪しいんです。」

 

「だったら、尚更行きたくなってきたよ」

 

と何故かノリノリである。他のメンツは...

 

「ある程度場所が絞られてたら大丈夫そうね」

 

「人里近くならモンスターも近くに居ないはず...」

 

「楽できそう...」

 

反対意見は無さそうであった。こうしてなし崩し的と言うか、話の流れでタルブ村へ行く事が決定したのである。

 

――――――

 

一方その頃...

 

「コルベール先生、それで行先はどこなんですか?」

 

「ああ、この先のタルブ村といいう村だよ」

 

「はあ...」

 

「そこに、竜の羽衣が眠っているという確かな情報を得てね。それで、向かっているんだ」

 

「な、なるほど...」

 

別の場所でも行き先は既に決まっていたのであった...

 

第3話へ続く....




投稿が9か月も開いてしまい申し訳ないです。
こんな感じで不定期なのはご了承頂ければと思います。
それにしても原作がきちんと終えられた事はいちファンとしてうれしかったですね。
ただ、これに関しては今後の展開の修正を余儀なくされましたが(笑)
細かな所は書きながらなのですが大枠はようやく決まりそうです。
前書きにも書いたように失踪だけは致しませんのでご安心を

今回しょーもない昔話風の物を混ぜてますが
面倒な人はタバサの3行を見ていれば大体オッケーですw

さて、次回はようやくゼロ戦の登場でございます!
こっちも、資料漁ってたら、アニメのペインティングは、あれ?これ二二型じゃね?
と思ったり、でも小説版の方の性能から見ると52型甲が一番近かったりと、
どっちだよ!?と言いたくなりました(笑)
いろんな資料漁って結果本作では
零 式 艦 上 戦 闘 機 52 型 甲という結果になりました。はい
それでは次回またお会いしましょう!

質問、感想等お待ちしております!
答えられる範囲で返信をしていこうと思います。

※2018/7/26 あとがきの零式艦上攻撃機から戦闘機に変更(何故か攻撃機表記にしていた)
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