東方晶蠍記   作:天翔青雷

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第七話 出逢い

「ねぇ、報告よりも虫の数が少なくないかしら?」

「さ、さぁ?共食いでもしたのではないでしょうか?」

「それは、餌のやり方が不十分だったということではないかしら?」

「いえいえ、そんなことは。恐らく、かなり無秩序に虫を入れていますから、狩猟本能のようなものが出たのでは・・・。」

 

 ・・・人の言葉を喋れないことが、こんなにもどかしいなんて。というか、言い訳が苦しくないか?まぁ、これならあの人も真実を追究してくれそうだから、僕としてはありがたいけど・・・。

 

「特にこのサソリなんて、クモやらムカデやらを片っ端から・・・。」

「ギギイ!?(はいぃ!?)」

 

  ちょっとちょっと、何言ってんの!?クモもムカデも、サソリの天敵だよ!?確かに死体は食ったけど、僕がそいつらを襲えるわけ無いじゃん。ついでに、ムカデは滅茶苦茶たくさんいるけど、クモは一匹しかいなかったよ。

 

「私の記憶が正しければ、その二種はサソリの天敵のはずなのだけど?」

「うぐっ。そ、それは・・・、えぇっと、ですね・・・。」

 

 はっきり言うけど、嘘下手すぎでしょ。まだ、横向いて口笛吹いたりしないだけマシだけど。

 

「正直に言いなさい。」

「・・・すみません。毒の分量を間違えたようで、四分の一ほどを殺してしまいました。」

 

 今度は、そこそこに信憑性があるね。・・・実際に毒で死んだのは三分の一だし、注射のときにも何匹かは死んでたんだけど。

 

「そう。・・・これから暫くの間は、ここでの研究は私が担当するわ。」

「そ、そんな!?永琳様には、他にやるべき研究が・・・。」

「黙りなさい。自分達のために他の命を蔑ろにするなんて、許されることじゃないわ。」

 

 ・・・ふぅん、永琳っていうんだ、あの人。それにしても、優しい人だ。・・・けど、たぶんそれだけじゃないと思う。僕は見たことないけど、厳しさも持っているはずだ。だって、普通、優しい人間ほど騙され、利用されるこの世の中で、結構上位の地位にいる人なんだ。よほどの才能か、頭脳を持っていて、なおかつ現実も見れる人に決まっている。

 

「ここの研究は、私が担当します。あなたは、空席のある別の施設へ移動しなさい。」

「・・・はい。」

 

 優しさを持ち、けれど、人を疑うことを知っている。あの人が飼い主になったなら、僕達の生活は安泰だろう。・・・毒と抗体の研究がなくなるわけではないだろうけど。

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