Eyes of Heaven 心にキズを負った艦娘達と透提督 作:東方 上助
透「……」
俺は困っている。何故なら俺の住む部屋となる自室が、牢屋みたいな部屋だからだ。
窓は鉄格子があって、ベッドはあるものの他には何も無い。床はコンクリートで何も敷いていなかった。
金剛は『十分後に朝礼所に皆を集めて、自己紹介してもらいマース』と言って、榛名を連れてどこかへ行ってしまった
そもそも荷物はどこ?
………ハッ! そうか! 何で部屋がこんな感じになっているのかが分かったぞ! それは………
透「リフォームは自分でやってくれという事だな。そうかそうか」
☆★☆★☆★☆
青葉「……」←盗聴中
金剛「どうですカ?」
青葉「嫌がらせに気づいていないみたいです……」
金剛「……」
青葉「どうします?」
金剛「……まぁいつかは気づくでしょう。そろそろ、朝礼所に行きましょう」
青葉「……はい」
★☆★☆★☆☆
~朝礼所~
透「ここかな?」
艦娘達「ザワザワ」
透「おぉ~集まってるね」
長門「透」
透「長門! 大丈夫だったか?」
長門「ああ、大丈夫だ。それより、皆の前で自己紹介する事になっているが大丈夫か?」
透「ん~大丈夫だろ」
長門「だが……」
透「大丈夫さ。ほら、お前は戻れ」
長門「……」
~艦娘サイド~
雷「あれが新しい提督?」
暁「おっきい~」
電「若いね」
響「……」
大井「……男なんて」
北上「……」
卯月「さっき蹴っ飛ばした奴ぴょん」
~透サイド~
透「何かザワザワしてるなぁ」
長門「私が自己紹介しておこうか?やっぱり危険だ」
透「大丈夫だって。」
透とは朝礼台に上がる
透「えーと、今日新しくここに着任する事になった龍火透だ。そして、新しく来た長門もいる。よろしく頼むな」
艦娘達「………」
~艦娘達サイド~
金剛「……」
比叡「あれが新しい提督……若いですね」
加賀「どこかのお坊ちゃんを提督にしたのかしら」
赤城「前のクズの息子だったりして」
吹雪「優しそうな人ですね……」
天龍「なーにが優しそうな人だ!?そんな人間がいる訳ねぇーだろぉーが!」
吹雪「ひっ!ご、ごめんなさい!」
龍田「ちょっと天龍ちゃん。静かにしないと」
透「おーい、そこの眼帯の娘」
天龍「ああ!?」
透「静かにな」
天龍「んだとクラァ!俺はお前らの命令なんかもう聞かねーからなぁーー!!」
龍田「ちょ、ちょっと天龍ちゃん。落ち着いて」
透「あ、天龍だったね。君の名前」
天龍「気安く俺の名前を呼ぶんじゃあーねぇ!」
透「あぁごめんごめん(笑)」
天龍「てめぇ!」
金剛「Shut up!!」クワッ!
天龍「!!」ビクッ!
艦娘達「!!」ビクッ!
金剛「天龍サン……静かにお願いシマース。まだ、テートクの話が終わっていませんよ?」
天龍「……ああ。すまねぇ」
龍田「天龍ちゃん!ちゃんと謝って!」
透「いいよいいよ。気にすんな」
龍田「………」
長門「(やっぱり何か変だな。敵意むき出しだ。ここで何かあったのか?)」
透「………で、何話せばいいの?」
金剛「え?」
艦娘達「ザワザワ」
金剛は思った。何……この人。前の提督達は、着任してそうそう、お説教を垂れてきた
貴様らは兵器だ。死ぬまで戦い続けろなど
私が来たからには、休めるとは思うなよなど
私の命令は絶対。逆らう奴は罰を与えるなど
お国の為に死んでいけ覚悟を決めろなどなどなど
散々、私達に言ってきた。自分では、何も出来ない非力な人間のくせに……自分で戦ってみろ……
だけど、この提督は何か違う。若いせい?いや、歴代の提督には若い提督もいた。その提督も、最低な提督だった。
でもこの人は……何か違う
透「う~ん。何言えばいいの?そこの……金剛だっけ?教えてくれ」
ふざけているのかしら?それとも素で言ってる?
金剛「えっと、おせっきょ…じゃなくて、戦いの心構えとかを言っておりマース」
透「心構え?」
???「とにかく何か一言、言えばいいんだよ!このポンコツ!」
艦娘達「!?」
金剛「(誰!? 今の発言!)」
透「だーれが、ポンコツだ!長門!」
金剛「(長門? 新しく来たほうの長門さんですか)」
長門「提督になったんだから、提督らしく振る舞え!このバカ!」
艦娘達「!!」
電「し、司令官に対して、あんな言葉を!」
暁「私知ーらない」
雷「またいなくなっちゃうのかな……長門さん」
響「……」
透「……」ゴゴゴゴ
艦娘達「……」ゴクッ
龍田「天龍ちゃん……もし提督が長門さんに近づいたら、止めるよ」ボソ
天龍「準備出来てるよ」ボソ
鳳翔「……」
大和「度胸があるわね……あの新しい長門」
透「………はぁ」
艦娘達「!」
透「分かった。確かにそうだな。もう俺は提督だしな。何か言うよ」
吹雪「(暴力を振るわない?)」
天龍「なんだ……怒ったり、暴力を振るったりしないのかよ」
龍田「……」
金剛「(あの新しい長門さん……そういえば、あの人(透)がここに来た時から、そばに居ましたね……何かしらの関係があるんでしょうか?)」
透「う~ん。そうだなぁ」
艦娘達「……」
透「『みんな死ぬな』……これでいいかな?」
金剛「………え?」
艦娘達「ザワザワ」
透「ん?」
金剛「え、えっと、どういう意味でス?」
透「そのままの意味だ。とにかく死ぬな。みんな生きて帰って来てくれ……という意味かな」
艦娘達「ザワザワ」
透「あと、説教は特にナシ。以上だ」
吹雪「あ、あの質問よろしいですか?」
透「いいよ。どんど来い」
吹雪「深海棲艦を倒すまで死ぬな……沈むなという意味なのですか?」
艦娘達「……!」
金剛「……」
そうですね……そうでした……人間は私達の事を兵器として見ているのだから……ブッキーが言った通りの意味ですヨネ……少しだけ期待してしまった……
人間が……私達の事を大切にする訳が……
透「はぁ?何だそれ?」
艦娘達「!?」
艦娘達は呆気にとられた。まさかの返答だったからだ。
透「何で、そんな考えになるかな。私は君達には沈んで欲しくない、死なせたくない、生きててほしいんだよ。お分かり?」
艦娘達「……」
大和「そ、それじゃあ、戦争の勝敗はどうでもいい、という事なのですか!?」
透「ん~~まぁ戦争で勝つ事は重要だけど、勝利するために君達が沈んでもいいやと思ってる訳じゃない、understood?」
意味が分からない。大和は思った。
この人は、私達に『沈め』と命令するんじゃなくて『沈むな』と、命令してきたの?
透「何だか、意外!それは髪の毛!、みたいな反応の顔をしているな。沈めと言われると思ったのか?」
木曾「ああそうだ」
透「ん?名前は何だっけな……」
球磨「ちょ、ちょっと木曾……敬語をクマ」
透「ああ、木曾ね」
球磨「(聞こえた!?小声で喋ったのに!?)」
透「タメ口で構わんよ」
木曾「そうかよ。今までの奴らはな、俺たち艦隊が一人二人沈もうが勝利のためなら安いもん、と思っていたんだぜ?」
球磨「ちょちょ!木曾!」
多磨「まずいよ木曾……怒らせちゃ!」
木曾は心の中では、ヤバいと思っているが、止まらなかった
木曾「俺たちが撤退を進言しても拒否され、そのまま戦わされたし、囮にされられたり、それと…」
金剛「木曾!」カッ!
木曾「!!」ビクッ!
金剛「……」
木曾「ごめん」
透「Zzz……ハッ!え、えっと」
天龍「(寝てた)」
龍田「(寝てたわね)」
透「寝てないからな?」
長門「何も聞いておらんわ!」
透「そ、そうか。まぁ要するに前の提督達には、沈んでも倒せ、と言われてきたんだね」
艦隊達は何も言わなかったが、表情が暗くなったため、透は頷いた
透「成る程ね……分かった」
艦娘達「?」
透「その考えは捨てろ。安全を第一に考えろ。危なくなったら撤退しろ。仲間の安全も考えろ。そして、絶対に沈むな。いいな?」
艦娘達「……」ポカーン
透「返事!」
艦娘達「はい!」
透「ああ、それともう一つ」
透「私は前までは軍人だったけど、何て言うか……あまり、軍人として活動できなかったというか……」
武蔵「どういう意味だ、じゃなくて、どういう意味ですか?」
透「あれだ。自宅謹慎が多すぎて、ほとんど軍人として活動していないんだ。だから、君達の戦いには口は出さない。進言と撤退の指示は出すけど、現場の判断は現場で、OK?」
艦娘達「(゚Д゚)」
金剛は思った。は?えっと、謹慎が多すぎてあまり軍人として活動できなかった……は?は?は?は?
ワタシ……モウ意味ガワカリマセーン
透「とゆーわけで……解散!」
透は部屋を整理するために、自室へと戻ったが、艦娘達はまだ呆気にとられており、立ち尽くしていた。長門以外は。
長門「? どうしたんだ皆?」