Charlotte ~時を超える想い~ -after story- 作:ナナシの新人
スマホのアラームで目が覚めた朝。ホテルの慣れないベッドでの寝起きは上々。ゆっくり体を起こして軽く伸びをし、隣のベッドに目を向ける。整頓されていて、眠っていた
「おはようございまーす」
「
水滴の飛んだ洗面器をタオルでさっとを拭き、一歩横にズレてくれた。蛇口から流れる水は冷たすぎず、ちょうどいい温度。両の手のひらに溜めた水で顔を洗う。三回同じ動作を繰り返して顔をあげて、用意してくれた真新しいタオルを押し当てる感じで顔の水滴を拭き取りながら、部屋へ戻る。
「チェックアウト、何時ですか?」
「10時ですよ」
「結構余裕ありますね。
「9時20分くらい。お昼どうします?」
「時間取れますか?」
「1時間くらいかな」
1時間か。まだどこへ行くか決まっていない中で、用事で別行動の彼と合流するのは移動時間を考慮すると難しそう。お昼は別々にして、用事が済み次第合流することにした。お互い着替えと荷物をまとめてから、
「おーい、朝ご飯行くぞー」
『⋯⋯はーい』
少し間が空いてから返事が聞こえ、ドアが開いた。
「先に行ってもらえますか?」
「席取っておきますね」
「お願いします。さて――」
歩いて行った
「眠れなかった?」
「いえ、眠れすぎました」
「なら、よし。とりあえず、顔洗ってくる。着替えは、用意しておきます」
部屋に入って、テーブルの上にあるバッグから着替えを出す。顔を洗って戻ってきた彼女と入れ替わりでバスルームへ行き、ドライヤーとヘアブラシ、プレスタイリングウォーターを持って戻る。私服に着替えた終えた彼女を椅子に座らせて、寝癖がついた髪をとかす。
「髪どうしますかー?」
「じゃあ、おまかせします」
ということなので、この世界の星ノ海学園へ通うようになってからしていなかった、ツーサイドアップにセットして左右のバランスを整える。
「完成。片付けてきますので、貴重品とルームキー忘れないように」
ドライヤーなどを元の場所に戻し、モーニングビュッフェ会場があるフロアへ。出入り口で担当スタッフさんに宿泊者の証明になるルームキーと、連れが先に来ていることを伝えて、窓際の四人掛けのテーブルにいる
和・洋・中、サラダ、スープなど各々好きな料理をお皿に盛って、優雅な朝食を満喫。一度部屋に戻って荷物を持ち、フロントでチェックアウトを済ませて、ホテルの外へ。彼とは、ここで別れる。
「じゃあ、行ってきますね。連絡します」
「はーい、いってらっしゃーい。あたしたちも行きましょう」
先ずは、京都駅構内のコインロッカーに荷物を預ける。
「さて、どこか行きたいところありますか?」
「いえ、特には。修学旅行で主要なトコは回ったので」
「そういえばそうか。では、テキトーに散策しますか」
駅周辺を当てもなくのんびりと散策し、カフェでひと休み。
「お昼何がいいですか?」
「なんでも⋯⋯というか、二人で食べたらいかがですか。せっかくの遠出なんですし」
「お気遣いどーも。たまには女同士もいいじゃないっすか。気兼ねなく話せることもあるっしょ」
軽く探りを入れてみる。特に反応なし。澄まし顔のまま、ミニパフェを頬張っている。こういう時のポーカーフェイスはさすがあたし、と感心しても埒があかない。さて、どうしますか。
「⋯⋯大阪、行きますか」
京都駅発の快速電車で、大阪へ移動。大阪も京都に負けず劣らず人が多いけど、神社仏閣の多い京都はまた違った雰囲気。
「なぜ急に、大阪へ?」
「ん? なんとなく。初めてっしょ、大阪。大阪城行きましょー」
「はあ⋯⋯」
環状線に乗り換えて、大阪城最寄りの駅で下車。石垣の上に悠然とそびえ立つ大阪城を視界に入れながら、管理の行き届いた城下の公園を散歩。その後は大阪城周辺の観光地を回って、混み合う時間帯を避けて昼食は新世界で、名物の串揚げ。カウンター席ではなく、テーブル席に向かいあって座る。
「お待たせしましたー、串カツランチです。こちら、ソースと小皿。紙エプロンお使いください。ごゆっくりどうぞー」
「おーっ、ありがとうございますっ!」
「いただきまーす!」
大阪の串カツといえば二度漬け禁止の共用ソースが有名ですが、このお店は個別提供タイプのお店。口コミの評判通り、味も、サービスも文無し。
「追加しますか?」
「いえ、大丈夫っす。せっかくの機会なので他のものも食べたいなーと」
グッと親指を立てて同意。食べ歩き決定。たこ焼き、豚まん、名物をシェアしながら観光地を回り観光を満喫。時計は、16時を回ろうとしていた。そろそろ移動しないと、
「何か気になることでも?」
「いえ、そういう訳では⋯⋯スカートが白基調の制服ってあまりみないなーと思いまして」
まあ確かに、上下とも白を基調とした制服は珍しいかもしれません。しかし、突然こんなことを言いだしたのは気になる。待ち合わせ場所の京都駅で合流した
「どう思いますか?」
「気兼ねなく話せる場所で訊いてみましょう。
「はい、なんですか?」
新幹線のホーム内の売店の飲み物コーナーに居る
「夜は、東京に着いてからでもいいですか?」
「大丈夫っす」
返事を聞いて頷いた
「生き抜きできましたか?」
「まあ⋯⋯てか、なぜ黙ってたんすか?」
「一緒に行くっていったら絶対遠慮したっしょ。傍にいてくれれば、あたしも安心ですし」
「そっすか」
照れ隠し、あるいは戸惑い混じりの返事。
「もちろん、友達との約束を優先で。さっき、連絡きてたっしょ?」
「ただの連絡事項っす、学校行事の」
そういって、冷蔵庫のドアを開けてパックジュースを手に取った。あたしは彼の分と一緒に二本ペットボトルを取り、会計を済ませる。ホームに到着した、東京行きの新幹線に乗車。東京駅から在来線へ乗り継ぎ、私と彼とが出会った思い出深い街――六本木へ。六本木のシンボルタワー内の食事処で、少し遅めの晩ご飯。注文した料理を待つ間、窓の外の夜景を眺める。
「キレイっすね」
「冬はもっとスゴいっすよ」
「イルミネーション、有名っすもんね。これでも充分過ぎるくらいキレイっすけど」
しばらく夜景を眺めていると、個室のドアがノックされて、料理が運ばれてきた。席に着き、手を合わせて、料理をいただく。料理を半分くらい食べ進めたところで、
「急な遠出でしたけどどうでした?」
「とても有意義でした。観光もですが、あたし自身疑問というか、気がかりに思っていたことも少し解消されました」
「なら、よかった。答えは出ましたか?」
「はい、決めました」
私がお節介するまでもなく、
「いえ、それは今朝、変な夢を見て⋯⋯」
「夢? どんな夢?」
「⋯⋯空気感というか、質感というか、まるで自分が実際に体験してるみたいにリアルな感じだったので少し気になっただけです」
「――記憶」
目線を落とし、左手を口元に添えて呟くように言った
「
* * *
自宅に帰宅。部屋着に着替えた私は、二人分の飲み物を用意して、リビングのテーブルに居る
「どうぞー」
「ありがとうございます」
コップを置いて、彼の斜め向かいに座る。
「あの子の見た夢は、"記憶"で間違いないと思います。私自身、
「疑問は残ります。"不可視"の能力者の
「そこなんすよね~」
「謎は深まるばかりっすね」
「ええ。でも、動きはありました」
「記憶にない記憶の夢。それも、星ノ海学園ではない白基調の制服の学校⋯⋯国立の附属の制服は白基調ですが、
何が何だか。親展があったかと思えば、謎はどんどん深まる。それはまるで、足掻けば足掻くほど沈んでいく底無し沼みたい。
「例えば、編入はどうでしょう。3年になって能力が消えたあと、附属か、別の学校へ編入した。より高いレベルで受験に挑むために」
「うーん、ゼロではないと思いますがたぶんないかと。能力を失っても、最低でも卒業まで後任のサポートに回ると思います」
「うん、
「この線は消してよさそうっすね」
「ええ、すべての能力が消えたとしたら、
能力が実在している世界である以上、謎を解き明かす重大な手掛かりは、
「理由は必ずあります。研修も今日で落ち着いたから、俺も明日から本格的に調べてみますね」
とても心強い。
ですが――真実に近づく。それは、あの子――