慢心王の踏み台生活   作:匿名希望の金ピカ王

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 こんにちは。
 続きです(失意)


 前回の嘘予告は、嘘予告と銘打っているのにも関わらず、まともに受け取る人がいて大変でした。


 安心して下さい。嘘予告ですよ(期待は裏切るもの)


 そう言えば、ひとつ思うんですが、こんな長々と原作前の話を続けて何の意味があるんでしょうね?(おい、作者)

 魔法も使えないし、戦闘シーンなんてそっちのけだし(そりゃ作者次第だろ)


 今回に限っては…………あれ? 日常系?(おい作者ァ!!)



 みなさん、満足していってね!


7ギル目 満足させてくれよぉ!!

 『翠屋』。最近雑誌で取り柄げられている有名な喫茶店だ。

 

 その店が注目を浴びているのは、なんといっても、美味しいケーキの存在が大きい。

 

 翠屋のマスターの妻、高町桃子には、東京の有名ホテルで働いていた実績があり、超一流のパティシエールであることはまず間違いない。

 

 店一番の人気はシュークリーム。その味を知ってしまうと、他のシュークリームでは満足できなくなると噂される程であると言われているが……。

 

 

 

「この店じゃなきゃ……満足できねぇ……ぜ……」

「だったらここで満足するしかねぇ!!」

「俺達の満足は、この味だ!」

「イッツ・シュークリームタイム!」

「どうだ! 極上の味だろ!? 翠屋ぁ!」

「ほどよく! まろやか! 優しい口当たりに支配され、完美なる甘味に舌太鼓を打ち鳴らす地上の楽園! 今この俺が味わっている生クリームを貴様も味わうがいい!」

「ウメェエエ! 裏切ったのかぁ! 俺を……売ったのか! 今まで食ってきたシュークリームどもぉおお!!」

「値段900……あと少し、あと少しで俺はお土産用中箱を買える。その中身がシュークリームなら、俺は満足だ……」

「相変わらずだな……お前はただ甘くあろうとしてる訳じゃない……そのクリームで俺の心を引き出そうとしてるんだろ……わかるよ」

「翠屋は死なねぇ」

 

 

 

 まあ、噂に違わず今日の翠屋も大繁盛である。

 

 

 

 

 

「……なんだ、国民の反逆か?」

「いや、デモ活動じゃないと思うの……」

 

 こりゃ、娘を放置するわけである。

 店内は一心不乱にシュークリームを頬張る客で埋め尽くされていた。

 

 俺となのはちゃんは店の入口に立ち尽くし、その混沌とした光景をボーゼンと眺めていた。

 

「いらっしゃいませ……あら、なのは?」

 

 そんな俺達に声をかけたのは、20代も前半くらいの若々しい女性だ。

 大学生くらいのバイトかと思ったのだが……。

 

「あ、お母さん……」

 

 なのはちゃんの一言に、俺は目を疑った。

 

 お母さん? こんなに若い人が、なのはのお母さんだと? ……いや、ちょっと待て、確かなのはちゃんには兄や姉がいると言っていたな……。

 

 …………俺は、世界というものを信じられなくなった。

 

 

「どうしたの? なのはが店に来るなんて珍しい」

「あ、ええとね……。ここでご飯を食べようと思ったんだけど……忙しそうだから別のところにしようと……」

「そんな、いいのよ。うちで食べていきなさい。それに、そっちはお友達でしょう?」

 

 なのはの母が俺の方を向く。

 

「友だと? 笑わせてくれる。こんな小娘が我の友を名乗るなど、身の程を弁えよ、雑種」

 

 実の母親の前で娘を貶す俺、いつもの調子である。

 

「え? あの……ええと?」

「ごめんなさい、お母さん。ギル君はいつもこんななの」

「ギル君ではないわ! いいか? 我は最古にして唯一の英雄王、ギルガ「満足させてくれよぉ!!」囀るな雑種どもぉ!!」

 

 店の客は増えるばかりで、どうやら俺達はかなり邪魔になっているようだ。

 

「あ、ごめんなさいね、ギル君? またあとでお話しましょう。私は高町桃子。なのはの母です」

「う、うむ。……疾く往くがいい」

 

 

 ……あの慢心王が引くレベルの忙しさらしい。半端ねえな。

 

 パタパタと駆けていく桃子さんの姿を労わるような目で見送り、俺は「フン」と鼻を鳴らした。

 

 

「小娘。この店でゆっくり食事を摂れる気が全く以てしないのだが」

「うん、なのはも薄々そう思ってるの」

 

 食事どころじゃない混沌の中、俺達は未だに立ち尽くす……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ギル君、向こうの席が空いたから座ろう」

「ギル君ではない。あと、この我に指図するな! ……行くぞ」

「どっちみち座るんだね……」

 

 なのはちゃんが指したのは一番奥のテーブル席。俺となのはちゃんはそこに向き合って座った。

 

「取り敢えず、この日替わりランチでいいよね?」

「構わん。雑種の食べ物なぞ、どれも対して変わらんだろうしな。我の思う至高には到底届くまい」

「もー、またそうやって意地悪言う。お母さんの料理を食べてビックリしても知らないんだから」

「ハッ! この我を唸らせるようなものがあるとも思えんがな」

 

 そう言いつつ、腕を組みソファの背もたれにふんぞり返る俺。

 なのはちゃんはどこか困ったような笑みを浮かべたあと、カウンター席の向こう側、厨房に向かって手を振る。

 すぐに店員らしき女性が出てきた。

 

「はい、ご注文お決まりでしょうか?」

「日替わりランチを2つ」

「かしこまりました」

 

 ……この混みようじゃ、すぐには来ないだろうな。

 

「……退屈だ。小娘、何か余興をせよ」

「いきなり!? なのは、持ちネタなんて無いの!」

「なんだ、退屈している我を笑わせずして道化を名乗るとは、思い違いも甚だしいな」

「甚だしいのはギル君の方なの! なのはは道化師さんを名乗った覚えは全くないの!」

「ギル君ではない。……はぁ、自覚もないとは、救いようもない嫁だな。だが、そういうところも我は受け入れてやろう」

「大きなお世話なの! それに、ギル君だって持ちネタなんてないでしょ?」

「ギル君ではない。……フン、我にとって人を笑わせることなど造作もないぞ?」

「げ、なんか意外なの」

「失敬な。……我がただ“笑え”と一言告げるだけで国民共は爆笑の嵐に包まれた」

「暴君的解決!?」

「まあ、その後煩いから首を撥ねたが」

「悪質な独裁者なの!!」

 

 俺の自慢の笑い話が、大分物騒な形に変換されてしまったが、それでも大幅に時間を潰せた。

 なのはちゃんはツッコミに疲れたようで、テーブルに突っ伏しながら、コップの水に浮いている氷をストローでツンツンしていた。

 

 

 俺も話疲れたので、ゆっくりソファで寛いでいたんだが、10秒もしないうちに店員の一人が来た。

 

「あの、お客様、大変申し訳ないんですが……」

 

 どうやら、料理が運ばれてきたわけではないらしい。

 

「なんだ、申してみよ。低俗な雑種共のやること、多少は目を瞑ろうではないか」

「こらー! あ、ごめんなさい店員さん! この子調子に乗ってるだけなの! 許して欲しいの」

「は、はぁ……。え、えっと……申し訳ないのですが、こちらの席……相席させて頂いてもよろしいでしょうか」

「相席……だと?」

 

 言われて店内を見回してみる……うん、空いている席がないな。

 もっと言うなら、3人以下で座っているテーブル席が一つもない。多分、全部相席している結果だろう。……どんだけ人気だったらこんなに混むんだよ。雑誌に載っただけだろ? え、違うの?

 

 だが、これじゃ断る理由もないよな……。

 

「ふん、よかろう。我の邪魔さえしなければ良い」

「あ、なのはも大丈夫なの」

「ありがとうございます」

 

 そそくさと離れていく店員。きっと相席する客を呼びに行ったのだろう。

 またしばらく待つと、一人、こちらの席に向かって来る人影を発見した。

 

 興味がないかの様に横目で見ていたため、その顔をよく確認できなかったが、体格的には子供のようだ。

 その人影はなのはの隣に立つと、こちらに視線を向けた。

 

「ここ、相席失礼するわ…………って、なんで貴方がここに?」

「ん?」

 

 どっかで聞いた声だな……そう思い顔を上げると、そこにいたのは……。

 

「なんだ、道化か」

「……その反応、傷つくわね。私も一応レディなんだけど……ギルガメッシュ様」

 

 ジト目を向けるアリサの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、街でたまたま会って翠屋に? ……貴方達、随分仲が良かったのね」

「「よくない(の)」」

「……仲がいいのね」

 

 アリサが加わり、より賑やかになったテーブルで俺達は会話を弾ませていた。

 

「そうか、小娘と道化は前に会った事があったな」

「ええ、あの時はバタバタしてて、ちゃんとした自己紹介をしてなかったわね。私は、アリサ・ローウェル。聖祥大学附属小学校に通う4年生よ」

「あ、はい! 高町なのはです。私も、来年聖祥に通うことになります! よろしくお願いします!」

「そう……貴女も聖祥に。てことは、私の後輩ね」

 

 女同士の極めて日常的な会話に和まされつつ、俺は水を一口煽る。

 

「そう言えば、道化は何故ここに?」

「何故って……休日のティータイムを有名な喫茶店で過ごしたいと思うのは普通のことでしょ? ……まあ、ここまで人がいるとは思わなかったけど」

「ふん、違いない」

「お待たせいたしました。日替わりランチです」

「おお、待ったぞ」

 

 さて、ようやくありつけた食事である。

 俺は目の前の料理を見る。

 日替わりランチということは、毎日内容が変わるのだろう、さて、記念すべき一回目のメニューは……。

 

 

 

「なんだこれは? ……ハンバーグ?」

「煮込みハンバーグね。日替わりにしては手が込んでるじゃない」

「ふん、挽肉を固めて焼いた安物か。王の口に入れるに相応しいものではないな」

「ギル君、今全世界のハンバーグ愛好家を敵に回したの」

「ギル君ではない。そして、そのような有象無象、いくら敵に回そうが我の不利益など一切ないわ」

「貴方は本気でハンバーグ好きの人達に謝りなさいよ」

 

 外側の俺ほどではないが、ハンバーグよりはステーキの方が好きなんだよね。いや、ハンバーグも好きだけどさ。

 

「それに、見たところ合い挽きか」

「いや、貴方は日替わりランチにどこまで求めてるのよ」

「……それもそうか」

 

 おお、俺が妥協するとは珍しい。それじゃ、頂くとするか。

 

「噂に聞く翠屋の力量……見せてもらう!」

 

 そして、俺はひと切れのハンバーグを口に入れ…………。

 

 

 何かが……弾けた。

 

 

「ぐふっ!?」

「ギル君(王)!?」

「な……なんだこれは……。合い挽き……安物の肉を……ただソースで煮込んだだけの、上品さの欠片もない、至高には到底叶わぬはずの……このハンバーグが…………」

 

 今まで食った、あらゆる料理を……超越している!

 

「この我が……相手の力量を読み違えていた? し、信じられん……我の感覚が……これを至高の一品だと告げている……」

「ふふん、ザマァなの」

「王が狼狽える姿なんて、滅多に見られないわね。いい場面に遭遇したわ」

「小娘、覚えていろ」

「なんでなのはだけ!?」

 

 感想を言いつつ、ハンバーグを次々と胃に収める俺。

 美味い。これは美味いぞ。

 

「……まあまあだな」

「ばかな……早すぎるの!」

「1分もせずに食べ終わったわね。どんだけお腹空いてたのよ」

「喧しい! おい店員! 食後のコーヒーと甘味を出せ!」

「かしこまりましたー」

 

 慌ただしく食器を運ぶ店員に注文を出し、俺はソファに背を預ける。

 ……にしても、美味かった。

 

「……そのコーヒーとデザートもなのはの奢りだって分かってるの?」

「何か問題か?」

「……ヒモ」

「……ヒモ」

「ヒモではない! 王の暮らしは民からの搾取によって成り立つ。民あっての国とは、こういうことなのだな!」

「なんか違うと思うの!」

 

 このヒモめ! ……いや、俺か。

 我ながら情けないことである。

 

「さあ、あとはこの店自慢という、シュークリームとやらを試させてもらうとしよう」

 

 

 そして……。

 

 

 

 

 

 

 

「……我は……このシュークリームでしか満足できない」

「ギル君待つの! このままじゃギル君まであの変なお客さん達の仲間入りなの!」

「ええい! 我を止めるな! 我はもっとこのシュークリームを求めるのだ!」

「嫌なの! ギル君が行ったら、なんか変なことになる予感しかないの!」

「逝くぞ! これからここは戦場と変わるだろう! 有象無象の雑種共! 残ったシュークリームは全て我のものだァ!!」

「わぁあああああ! ギル君が乱心したの!」

「ギル君ではなぁああああああい!!!」

「……愉悦ね」

「アリサちゃんも黙って見てないで止めて欲しいの!」

 

 

 これだ、この味こそ俺の求めた至高……。行くぞギルガメッシュ。満足の……その先へ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……落ち着いた?」

「……落ち着いた」

 

 数分後、先程までと打って変わって、どことなくシュンとした俺がいた。

 

「まさか……たかがシュークリームごときに我が王道を乱すとは……」

「ふっ、他愛ないの」

「小娘貴様ァ……!」

 

 勝ち誇った笑みを浮かべるなのはちゃんと、それを睨みつける俺。

 いつもと立場が逆転しているのだが、それだけ翠屋の魔力は凄まじかったと言っておこう。

 

 

「はいはい、いい加減にしなさい。折角のコーヒーが不味くなるじゃない」

「……貴様は我の臣下であろう?」

「週休8日ですから」

「小娘……我を裏切るのか!」

「週休8日ですから」

「ぐぬぬ……」

 

 はぁ、随分と慌ただしいランチタイムであった。

 だが、久しぶりのまともな食事というだけでも儲けものだ。

 

「ふん、王たる我には不備そのものであったが、貴様なりの敬意と思って我慢してやろう。忠道大儀である」

 

 そう言い残し、俺は店を出る。

 いやぁ、満足満足。

 

 

 

 

 

 

 

「あ! ちょっと待つの! まだお兄ちゃんに……って、もしかして今日は修練場なの!? お兄ちゃん……今日は手伝いをするとか言ってたのに……騙されたの」

「なのはちゃんが何を企んでいたのかは知らないけど、失敗したようね」

「うぅ……奢り損なの……」

「まあまあ、私とお話しましょう?」

「あうぅ……」

「元気出しなさいな」

 

 

 よくわからない理由で少女達の友情が芽生えていたのは、俺の素知らぬ所である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~とある部屋~

 

 

 パソコンのデスクトップから漏れる光のみが辺りを照らす、薄暗い密室。怪しげな機械や器具の並ぶ不気味な部屋で、一つの影がユラユラと揺れ動いていた。

 

「フフフ……フフフフフ…………」

 

 影は、不気味な声を漏らしながら、徐々に震えを激しくする。

 

 

「フフ……フフフ………………フゥーーーーハッハッハッハッハ!!!!」

 

 

 そして、上体を反らしながら雄叫びを上げる。

 

「フゥーーーハッハッハッハッハッハッ……ゴホッ……………コホッ………フゥーーーーーーーーーーハハハハハハハハ!!!!」

 

 

 途中でむせながらも、更にその笑い声は拡大していく。

 

 

「フハハハハハ!! フゥーーーハハハハハハ!!! フゥウウウウウウウウ!!! ッハハハハハハ!!! フゥウハハ「うるせえ!」あ、すいません」

 

 

 「ドン!」と叩かれた壁に向かって頭を下げ、それでも影は「クフフ……」と不気味な笑みを零す。

 

 

「……この結果が本当だとしたら…………明日は、研究所に向かわなくてはな……」

 

 髪を掻き上げる仕草をしつつ、その影が顔を向けた先には……。

 

 

 「ALL CLEAR」と表示されたパソコンがあった。

 

 

 

 

 

 

「失敗は許されない……『機関』に立ち向かうために……この実験は、なんとしても……」

 

 

 人影は、尚も、笑い続けていた。

 




 という訳で……嘘予告でした。

 全く戦いませんよ。ラスボスはサボるし、ギル様キャラ崩壊するし、散々ですね。
 ただなのはちゃんのお財布を圧迫してギル様のお株を下げただけですね。
 このまま続けて意味あるんでしょうか。いやない。(確定)



 許してください。次回はまともにやりますから。



 あー、あと、そうだ。
 ……最後の変なフラグ、ぶっちゃけ触れたくないんですけど…………触れます?


 ……やめときます。




 また次回も満足していってね!
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