まだオリ主は出ません。
「おいおい、その女の言うことを信じちゃあいけないぜ」
嘲笑の響きを含んだ声と共にアルフィンとエリゼを拘束していた黒い機械人形━━━クラウ・ソラスというらしい━━━が突如として二人の拘束を解き、急速離脱を試みるが何らかの衝撃が作用したらしく、大きく仰け反った。
「あうっ!」
制御者たる銀髪の少女アルティナ・オライオンが苦痛に歪んだ表情に驚愕の色を帯びた声を漏らして後退する。クラウ・ソラスには、高度な索敵機能と駆動者を守る障壁や浮遊を可能とする機能がある。にも関わらず、
索敵が間に合わず痛撃を受けた。その事実に普段なら冷静なアルティナも動揺を隠せない。
(新型の導力兵器?いいえ、それならクラウ・ソラスが感知できるはず。それにこの威力…!導力砲の衝撃とも全く違う。まるで巨大な熊にでも殴られたような……!)
「どういうつもりよラングレンッ!!私の計画の邪魔をすると言うの!時代遅れの悪鬼がッ!姿を見せなさい!」
美貌にはっきりと焦りと怒りを滲ませてヴィータ・クロチルダが叫ぶ。その表情にはリィンたちに見せていた余裕が微塵も感じられない。隠しようのない恐怖と怒りのためか、愛用の杖を握る手が力を入れすぎて震えている。怖れているのだ。未だ姿を見せない第三者を。魔術で投影した幻像に過ぎぬ身では、瞬時に抹殺されることさえ有り得る、埋めようの無い実力の差を。
「ククク………ハァッハハハハハハハッ!!!
誰もが忘れて久しいオレの名をアンタが覚えていてくれたとはねえ!マルス・ラングレン………只今参上!」
エリゼとアルフィンを守るように立ち塞がる紅蓮の鬼が滴りそうな愉悦の気配を撒き散らしながら、姿を現した。大きい━━━━3アージュ半ばに届く巨大な体躯に素人目にもはっきりと分かるあまりにも禍々しい殺意。
4つの赤い眼に焔のごとき
「何をしに来たかだって?それこそ知れたことだろうに。━━━死を。見るも無惨な
禍々しい大爪を掲げ、猛火の如き熱情を込めて鬼は宣告する。一方でリィンやトヴァルは、彼らの言っていることの半分も理解できない。突如として現れた紅蓮の侵入者に険しい警戒の視線を向けることしかできず、事態は硬直状態に陥ったかのように見えた。
はっきり言ってリィンはおろかトヴァルにも、目の前の鬼がどんな手段を用いて現れたか、全く分からない。巨大な体躯からは今まで経験したことがないほどの殺意を感じるが、足音もあの巨大な体躯を支える雪が積もった地面にも足跡1つ残ってはいない。リィンたちが全く知らない未知の技術だろうか?士官学院を襲撃した人形兵器
「おい、何を他人事みてえに呆けてんだ?はっきり宣言しなきゃあ分からんのか。だったらはっきり言ってやらぁ!オレはとあるエレボニアの騎士に使役される身で、
お前たちの味方だよ!これでいいか!?」
鬼が肩をすくめてリィンたちに自分の立場を明かしてきた。そういえば先ほどから鬼は、一度としてエリゼやアルフィンに危害を加えてはいない。しかし━━━
「何故身喰らう蛇に属する化け物が俺たちに味方する!内部抗争はご法度じゃなかったのかい?」
笑い飛ばす鬼面。
「ハン!アンタも無駄に疑り深い男だねえ、トヴァル・ランドナー。オレらだって場合によってちゃあ、仲間割れくらいするさ。当然だろ!所詮はヒトの集まりだぜ━━━利害の不一致、感情の不一致、得意とする技能面の不一致、よくあることだ。一々語るまでもねえだろうがよ、ンなこたぁ!それにオレが執行者だった時代は大昔もいいトコでなあ。今さら契約を反故にしたことで何らかの被害を被るような立場でもねえのさ、これがな」
喜悦を滲ませて一気にまくし立てるマルス。
「分かったらさっさと姫様方を連れて下がってな!」
「さあ兵士諸君!間引きの時間だ、これより審査を開始しよう。空の女神とやらへの祈りは済ませたか?覚悟は決まったか?ならば雄々しく立ち向かえっ!」
「帝国の覇権を争う舞台に馳せ参じたいと願うなら!」
「そして喰らわせろッ!甘美なる憤怒を狂気を絶望を!
それこそがオレの飢えを満たす唯一の
4つの赤い眼が青を基調とした武装集団北の猟兵たちに向けられ、鏖殺劇の幕が上がる!
その凶行はあまりにも迅速で陰惨で、惨たらしい。ただ踏み込んで巨爪を薙ぐ。たったそれだけの単純極まりない進撃で鍛え上げられた北の猟兵の一個小隊が、虫けらのように蹂躙されていく。巨体からは想像もできぬ尋常ならざる高速機動と銃弾や導力をも一方的に消し去る漆黒の闘気を纏ったマルスの猛攻は、クロチルダにも止められない。ただ堅牢で速すぎるのだ。彼女の本体を転送してありったけの魔力を注ぎ込んだ一撃を命中させたとて紅蓮の鬼はびくともしないだろう。第一にクロチルダには、優れた魔力はあっても戦闘経験そのものは豊富ではない。マルスは攻撃方法こそ単純だが、近接戦闘の技術は非常に高い領域で完成されている。豪爪を振り回すタイミング、多数の相手を的確に刈り取るための位置取り、突撃の速度の緩急、具現化と霧化を織り混ぜた人間には不可能な悪夢のような猛撃の乱舞。
身喰らう蛇が有するメンバーにも、様々な異能の相性というものが存在し、一概に誰が最優であるかを論じるのは難しい。『外の理』を帯びた武具であっても、そういった相性からは完全に無縁という訳にはいかない。
第一彼女ら
「どうしたどうした人間よ!いつからお前たちはこうまで脆くなったんだ?更なる気概を真価を狂気を!振り絞ってみな!信じてるぜぇ!お前たちは1度はオレを封じてんだぜ?絶望するにはまだ早い!打倒できるんだよ!
不可侵なんかじゃあないのさ!カカカカカッ!」
笑う、嘲笑う、鮮血を浴びて殺戮の愉悦に浸るマルス。効かぬことは百も承知でクロチルダが魔力を帯びた剣を放つ魔術・魔剣踏舞で牽制を試みるが、案の定マルスには通用しない。
「失敗に終わった計画に幕を降ろす役目だった貴方が何故私に今さら逆らうの?『将軍』の差し金?それとも『破戒』殿の意向?」
「さぁてどうだったかねぇ?『将軍』の依頼だったら従うのもやぶさかじゃねえが━━━━今回は違うなぁ。
第一今のオレは担い手に使役される飼い犬みたいな身分なんでね。担い手と利害が一致すりゃあ、アンタらにだって場合によっては牙を剥くさ!何故なら今のオレは、彼女に使われる武器だからさぁ!戦場で血を浴び、憎悪を喰らい、欺瞞と嘲笑をもって戦地を染める!これぞ魔剣の誉れなり!!ククク━━━━ハァッハハハッ!!」
「埋葬、尋問、拷問、葬儀に祈りその他諸共ォ!
オレが省いて消し去ってやるよ!喜べ!苦しむことはもうないさ!災厄に巻き込まれて苦しむ前にオレが解放してやるよ!━━━━っとお、ンなこと言ってるうちに片付いちまったみたいだなぁ。何とも物足りんぜ。華を添えるつもりだったのになぁ!ククク、ああ残念無念!」
殺戮劇は既に終わっていた。ユミルの町にあれだけ展開していた北の猟兵と一部の領邦軍に属していた兵士たちが怪物の蹂躙によって一人残らず消し去られている。
死体の痕跡すら雪の上に僅かな赤い染みとなって残っている他には、何の痕跡すら見出だせない。まるで鉛筆で描いた絵を消しゴムで消した時のようにあまりにもあっけなく消失させられていた。
「アンタは蛇の使徒として、あまりにも自覚が足りてない。オレらは別に偉ぶりたい訳でも、三下相手に余裕かましたい訳でもないんだよ。
アンタは歌姫としては紛れもなく優秀だが、将としては無能に過ぎる。リベールでの計画とは色々事情が異なるってのに、提示された脚本は『白面』の焼き増しのような劣化品ときた!戦力に対する分析が甘い。他力本願に過ぎる。選抜したメンバーの人選にだって大いに問題あり!とどめに同じ位階の使徒の忠告すら無視とくる。
これでストライキを起こすなって方が無理があるだろう?」
「撤退を推奨します、クロチルダ様。現状の戦力ではマルスの制圧は不可能と判断せざるを得ません」
「クッ…!どうやらそうするしかないようね。全くとんだ番狂わせだわ」
「ああ、そういや忘れるトコだった。『将軍』から馬鹿弟子殿へ伝言だ。鼻っ柱をへし折ってやるからかかってきな、だとよ!」
「な!『将軍』までが参戦すると言うの!これは最初から全力でことに当たる必要が出てきたようね」
もはや捨て台詞を残す余裕さえクロチルダにはないようだ。リィンたちには目もくれず、即座に姿を消してしまう。
「さあてと、未熟な同朋リィン・シュバルツァーよ!
何から聞きたい?お前に宿る異能についてか、今後の自身の立ち位置か、お仲間の安否か、さっきの歌姫殿の発言のどれが真実で何が偽りなのか、何から話したもんかねえ」
「Ⅶ組の皆は無事なのか?」
「ああ、全員無事さ。ただ無傷とまではいかなかったようでなぁ………アリサとエリオットは、機甲兵相手に限界を超えてアーツを使っちまったみたいでね。今回の内戦には参戦できそうもない。他の面子は五体満足だが、参戦するかどうかは、よく相談して決めな。
戦火に巻き込まれて否応なしに迎撃を強いられた開戦前とは、状況が全く違う。お前らは急場凌ぎの学生で構成された寄せ集め連中だった。ばっさり言っちまうなら正規の戦力としてカウントされてない。だからこそ撃退程度の成果でも評価されたんだ。
だがこれからは違うぞ。れっきとした戦力としてお前たちには動いて貰う。殺しは嫌だって言ってもお前に拒否権はないぜ。何せ、既に貴族派━━━内戦の引き金を引き、同時多発的に襲撃事件こそ引き起こした連中はカイエン公爵を始めとする、ごく少数のメンバー━━━にゃお前は既に最優先の攻撃目標としてマークされてんだからな。そこんとこしっかり理解しといてくれよ」
「正規軍や皇族の状況はどうなっている」
「トヴァルに少し嘘を言ってもらうことになっちまったが第一師団を除いて、対機甲兵部隊に対する偵察及び戦術の構築は完了してる。一気に奴等を撃滅しなかった理由は、あくまで皇帝陛下の指示によるもの」
「どうなっているんだ。ここまで彼らの横暴を見過ごす理由はないはず」
「察しが悪いな。エレボニア帝国はゼムリア大陸でも屈指の軍事大国だぜ?そうだな………お前の親父さんがよくやる狩猟で考えなよ。真っ正直に獣を追っかけたってそう簡単に狩れるもんじゃないだろう?たとえ銃を持っていたってな。そこでどうするか━━━━罠を張る、餌をちらつかせる。戦もそういった考えで敵を弱らせ、叩き潰すために様々な要素を利用する。目先の勝利にだけ拘泥するのは三流のすることさ。今は貴族派共が勢い付いているように見えるが、こいつは意図してやってることだ。
ちょっとでも軍事をかじった者なら、分かるはずなんだがな。自分たちの優位が、でっち上げられたモノだってことによぅ。奴らは街の統治や経済活動という面についちゃあ腐っても有能だが、規模のデカい戦争に関しちゃ素人丸出しだ。大規模な戦争じゃ自分の周りが勝っていたとしても、広い視点に立てば劣勢に追い込まれているってことも往々にしてある」
鬼の口から語られるとは思えぬマトモな軍事の知識にリィンも呆気にとられている。
「まぁちっとばかし脱線したが、お前が絶望するような事態にはなってないってことさ。何も真っ向から大火力をぶつけるだけが戦争じゃない。新兵器を導入されたら綿密な偵察や戦術を構築して、相手の強みを削いでやりぁいい。どんなに大層な兵器ったって所詮は、人間が乗らなきゃ稼働しねえんだ。だったら、搭乗される前に乗組員を殺しちまうなんて手もあるなぁ。外が駄目なら内側から、爆弾なりを仕掛けて操縦不能にしてやるって手もありだ。お前らは知らなくても無理はないけどよ、正攻法だけで決着が着くほど、戦争は甘くない。
機甲師団の陸戦での破壊力ばかりが取り沙汰されるが、場合によってはそういう潜入作戦に長けた部隊が投入される。あとはさっきのオレが見せたような一方的なワンサイドゲームが成立。哀れにも退路を断たれた賊軍は、一人残らず地獄行き!これにて幕引き、舞台はハねる。皇帝陛下の威光に陰りはなく、正規軍の練度にいささかの狂いも無し、と陛下の描く筋書きはまぁこんなもんだ。貴族連中をわざと調子づかせて淘汰すべき輩とそうでない輩を選別し、ふるいにかけて形成がひっくり返った後で査問に掛ける材料として利用すると。
カカカカカッ!!全くもって容赦がないねえ」
「俺たちが仕官学院で見せられた映像は、どこまでが真実だったんだ?」
「鉄血宰相が撃たれたトコを除いてほとんどの映像が嘘っぱちよ!第一おかしな点がやたらと目立ったろ、あれ。
やけに穴のある警備に、狙撃犯を即座に射殺しない軍人、市街地に被害が出る可能性が高いにも関わらず、無作為に主砲を撃つ戦車部隊、と後から冷静に考えりゃおかしな点だらけだ。そしてお前が気にしてるクロウ・アームブラストについても偽りにまみれてやがるぜ」
「ちょっと待ってくれ!俺はクロウと騎神ごしとはいえ直接話して姿も見ている!あれは確かにアイツのはず……!」
「おいおいリィンよぉ、お前少しはモノを疑ってかかるクセを付けた方がいいぜ。お前は魔導についてどれだけ知ってるんだい?戦術オーブメントの助けを借りずに、ちょっと火を起こしたり傷の治りを早めるくらいのことしか知らん訳だろう━━━━ましてや彼女やエマが属する集団の魔術がどういう性質を持ち、どんな状況で最大限の力を発揮するか、知ってるのか?━━━それさえも知らずに仲間だからって発言内容の全てを鵜呑みにしちまうのは、少々頂けねぇなあ。そこんとこも説明してやるから今は黙って聞きやがれ」
「彼女らはさっきトンズラこいたクロチルダも含めて、
絡みの危険な事が起きないと何の行動も起こさないウスノロ共だ」
「彼女たちに何か恨みでもあるのかアンタは?」
「まあそれは今回の戦とは無関係だから省くが、奴等の役目は騎神を動かせる人間を導き、支えることがお役目らしい。つまりはお前に対して害意や悪意が存在する訳じゃない━━━だがよぅ、なにぶん若くて未熟な魔女見習いだ。
未だに行使できない術式なんかはまだまだ山とある━━━そうだよな、使い魔」
「ええ。ソイツの言ってることは事実よ。だからこそ魔女として半人前なエマを補佐するためにアタシも同行してたって訳」
「結論からばっさり言っちまうとエマの見立て違いだな。
狙撃事件の衝撃が大きすぎて議論してる余地が無かったから混乱するのもやむを得ないがね。軍人が語ったクロウの経歴とアイツの年齢を鑑みると、どうもしっくりこねえんだよ。幾ら天才的な才覚があったとしても、荒くれ者やならず者、猟兵崩れ、現体制に不満を抱く退役軍人辺りが帝国解放戦線の主だったメンバーだったろうが………そんな一筋縄では行かない犯罪者共がそんな短期間であっさり手懐けられるモンかね?ましてや学生稼業のついでにだぜ?軍資金はカイエンの阿呆が出していたと仮定すりゃ話は通るが、構成員の練度までは一朝一夕で仕立てあげられるモノじゃあない。お前たちも厳しい訓練を受けたから分かるよな?軍人ほどの練度が全構成員には求められないとはいえ、一般人に紛れ込む偽装工作や武器を隠し持ってることを悟らせないようにする技能。どうやって法の目を掻い潜り、シンパを増やすかとか様々なハードルがある。………いくら天才だとしてもオーバーワーク所の騒ぎじゃない。━━━━ただお前にとっていい知らせとも言い切れない点は、帝国解放戦線のリーダーはクロウ・アームブラストと極めて近しい間柄ってことだ。使い古された三文芝居みてえだがあの組織のリーダー『C 』の正体は━━━━クリストファー・アームブラスト。お前の先輩によく似た兄貴が正体って訳だ」
「じゃあクロウはこの内戦とは無関係なのか!?」
「いや紛らわしい行動を取っちまったクロウも悪いが、敵も中々やりやがる。アイツにも起動者としての適性があったみたいで………捕まっちまったんだよ、貴族派に。マヌケなこって。憲兵隊に自首させるつもりでノコノコ帝都にまで出向いちまったもんだからあっさり殴り倒されて拘束されてんだとよ。どんなおめでたい頭をしてんだか?」
「クロウはどこに居るんだ?」
「さあね。奴等の旗艦『パンタグリュエル』とか言ったかあれに捕まってんじゃねえの?」
「続けて聞くぞマルス、アンタの主人の名前は?」
「カカ、帝国では有名な武人の一人だよ。アルゼイド流とヴァンダール流、2つの流派を修めた『光の剣匠』ヴィクター・S・アルゼイド子爵の一番弟子『黄金の羅刹』オーレリア・ルグィン伯爵。彼女が今、オレを使役する『担い手』だ。いくらお前でも知ってたか?カカカカカ」
「勿論だ。領邦軍でも1、2を争う実力を持つ女将軍だろう。彼女がアンタの主人なのか…………なんだか納得したよ。『光の剣匠』に限りなく近い領域にまで到達した帝国に現存する、元騎士階級だった貴族たちの筆頭とも目されている武人だ。確かに彼女が噂に違わぬ実力の持ち主なら、アンタが宿る兇剣ハガル・ヘルツォーク、ゴルト・リッター、ニグレド、戒王剣ネプテューヌ、それらの魔剣の一振りを手に入れていたということになるか」
エレボニア帝国に古くから伝わる英雄譚などよって存在が噂されている魔剣。『破壊を統べる君主』、『黄金の騎士』、『崩落の黒騎士』、『魔を喰らう戦神の牙』など様々な異名をもって語り継がれる魔剣。本当に現存するかは定かではないが、彼女オーレリア・ルグィンはそういった魔剣を何処かの組織との戦闘で強奪したらしい。
「マジかよ……!眉唾物の噂話だと思っていたが、そんなヤバそうな剣を管理してそうな連中といやぁ、身喰らう蛇の連中しか思い付かんぜ。━━━━けどそれならなんでそんなヤバそうな魔剣を所持してる貴族を七耀教会は野放してるんだ?アインの奴が嬉々として回収に向かいそうなモンだが」
「実際に色々と安全装置は掛けられてる。定期的に教会お抱えの特殊な鍛治師に制御術式やら何やらと、色々と妙な鎖やら呪いやらで簡単に暴走しないように手が入ってるのさ。こう見えても本体、今の身体ともに七耀歴から見ると意外と最新式の兵器の1種でもある、カカカ!宿ってる剣の銘はゴルト・リッター。
ついでに今の身体は、傀儡みたいなモノでなぁ。本体はあくまで魔剣の方だよ」
「製造方法は?」
「主人が拠点としてる海都オルディスには、トールズの旧校舎によく似た遺跡があるんだが━━━そこには何故だかか魔煌兵がゴロゴロ出てきてなあ。そいつらをぶっ散らばして回収した魔導の素材やら合金やらかき集めて、かつてオレに似た魔導兵器として完成させたって訳だ」
「さてとリィン、オレもいい加減喋り疲れた。長話に付き合わせて済まねえが、お前にはオレのかつての上司と会って貰うぜ。お前の異能の話はそのお方が話してくれる手筈になってる。………ただ一つだけ言っとくぜ。お前を取り巻く因果は冷徹にして悪辣、『将軍』と会った時に突き付けられる絶望は半端なモノじゃない。覚悟してかかるこったな」
気が晴れるまでひっそりとやっていこうと思います。