Q.今回の相手は連合艦隊12隻と、ただでさえ数が多いのに、何をトチ狂ったか縛りプレイをするつもりのようですが、具体的な作戦とかあるんですか?
A.電(確かに前話では数の不利も意地でどうにかしようと考えていましたが、やっぱり数の暴力はきついのです。だからここは私も対抗するのです。『イナヅマイレブン』を結成して!)
ふぁもにか「それプロット逸脱どころの騒ぎじゃないからやめて! そもそも私、イナズマイレブンのこと、名前しか知らないんだけど!?」
どうも、ふぁもにかです。本編はほぼほぼシリアスなので、前書きでふと思いついた一発ネタをぶっこんでみました。さて、今回の戦いは艦娘がいっぱい出てくるから、艦これをそこまでよく知らない人にとっては読みにくいかもしれませんね。ですが、この作品は一部の主要キャラを除いた残りのキャラたちは広く浅く出番を与えるというコンセプトを採用していますので、無理にキャラ全員の名前や立ち位置を覚えなくても大丈夫なのです。
~参考資料(現状判明している第弐鎮守府の連合艦隊計12隻の編成内容)~
第一艦隊:長門、比叡、翔鶴、島風、??、伊19
第二艦隊:武蔵、??、??、雪風、??、??
※小破艦は戦闘に影響ないので特に記載していません。
「カカッテコイナノデスッ!」
轟沈寸前にまで追い詰められた奈落棲姫が逃げきる時間を確保するため、第弐鎮守府の艦娘の連合艦隊12隻相手に立ち向かうことを決めた暁型駆逐艦四番艦・電。友達の奈落棲姫を逃がす。第弐鎮守府の艦娘を誰も轟沈させない。時間稼ぎが終了次第、自分も逃げる。これらの厳しすぎる条件を定めた電は、いつの間にやらその身に金色のオーラを纏っていた。
達成の困難な条件を無理やり設定した電の覚悟に覆い隠された不安。轟沈への恐れ。電が抱える負の要素は無意識に海域へじわりじわりと放たれる。結果、電の強烈な負の感情に惹かれて増援が現れる。電轟棲姫をサポートせんと、10隻は軽く超える深海棲艦たちが電の傍らに馳せ参ずる。
新たに表れた姫級クラスの深海棲艦に加えて、周りの取り巻きまで処理しなければならない。小破数隻に被害を抑えているものの、精神的疲労が割と蓄積している連合艦隊はそれぞれ表情を険しくする。だが、ここで。電は連合艦隊の想定外なことを口走った。
「貴女タチハ帰ッテクダサイ!」
「「「ッ!?」」」
電は己が知らぬ間に呼び寄せてしまった深海棲艦たちに即刻帰るよう要請する。その命令に深海棲艦たちが驚愕し、困惑する中、電は「心配イラナイノデス。コノ程度ノ敵、私ナラ余裕ナノデス」と言葉を付け加える。姫級たる上司に逆らうわけにはいかない。電轟棲姫が自信満々に仰っている以上、大丈夫なのだろう。悩んだ末、深海棲艦たちは海底へと姿を消す。
電が深海棲艦たちの共闘姿勢を断ったのは己が課した条件をより確実に達成するためだった。艦娘を一隻だって轟沈させない。その条件をクリアすることを鑑みると、深海棲艦の助っ人は非常によろしくない。深海棲艦は人類に、そして人類へ与する艦娘に悪感情を抱いている。いざ艦娘を轟沈できるチャンスが生まれれば、自分の指示に逆らってでも艦娘を轟沈させるのではないかと思ったのだ。それは、電にとってよろしくない。だから、電は敢えて自信に満ちあふれた発言をすることで深海棲艦たちを安心させ、帰らせた。
「ほぅ。援軍がなくても私たちを易々と倒せると。随分と舐めたことを言ってくれるな」
「当然。私ハ電轟棲姫。ナッチャン……アノ奈落棲姫ゴトキトハ格ノ違ウ存在ナノデス」
「なん、だと……!?」
「サァ、私ト遊ブノデス。楽シマセテクレナイト、嫌デスヨ?」
大和型戦艦二番艦・武蔵の静かに怒りをためた発言に、電はさらに煽りをかける。意味深に右手を艦娘たちに伸ばし、いかにも自分は貴女たちの何十倍も強いのですと言わんばかりに強者チックな物言いをする。奈落棲姫から連合艦隊の意識を少しでも自分へと向けてもらうために。
作戦の効果は絶大だったのか、艦娘たちの電への警戒度がグッと上がる。これまでは電の退治を視野に入れつつ奈落棲姫をも沈めてやるとの気概にあふれていた艦娘たちが、電の一挙手一投足を見逃すまいと、ギンと睨みつけてくる。所詮は電のハッタリなのだが、電轟棲姫の実力を知らない連合艦隊には効果は抜群だったようだ。
「来ナイノナラ、私カラ行クノデス!」
電は右足を前に出し、思いっきり水面に叩きつける。バシャッと響く乾いた水音が戦闘開始の合図となった。「撃てぇぇえええええええええええ!」との第弐艦隊の旗艦、長門型戦艦一番艦・長門の号令とともに繰り出させる連合艦隊の一斉砲撃。電は迫りくる砲弾の雨へ標準を向け、砲撃する。砲弾とのぶつかり合いで周囲を覆う煙が発生する中、電は駆ける。己の電轟棲姫な体のスペックが誇る最高速のスピードで連合艦隊へ単身突っ込む。
「なッ!? 早い!?」
電轟棲姫の思わぬ速さに目を見開く長門。彼女は先ほど電が戦艦三隻の砲撃をモロに喰らってなお、大したダメージを負っていないことから電轟棲姫は防御特化の深海棲姫だと判断した。ゆえに、ここまで機動的な動きができるとは思っていなかったのだ。
「ヤァッ!」
あっという間に連合艦隊の中心地点に飛び込んだ電は目的の艦娘へ一息に接近する。まず潰すべきは、空母。翔鶴型正規空母一番艦・翔鶴。電轟棲姫の艤装に艦載機はない。ゆえに、制空権を確保できる手段を何一つ持ち合わせていないのだ。だからこそ、まず手始めに連合艦隊唯一の空母たる翔鶴を戦闘不能にする。己が定めたきつい条件を達成するために。
(空からの爆撃に意識を割き続けるのは正直きついのです。だから、ここで大破させるのです!)
電轟棲姫の狙いが自分だと気づいた翔鶴は「クッ!?」とうめき声をあげる。どうにか電から距離を取ろうとバックステップを取る。今の自分は艦載機しか装備していない。ゆえに、ゼロ距離にまで近づかれたら為すすべがないのだ。
「わらわの目はごまかせんぞッ!」
電の一連の想定外極まりないスピードに連合艦隊の対応が遅れる中。それでも初春型駆逐艦一番艦・初春はいち早く反応し、電を撃つ。が、電は初春の砲撃を横目で確認するも、一切防御しない。電の横顔にモロに砲撃が命中するも、電にダメージは通らない。電の顔が痛みに歪まない。
「ガフッ!?」
電は翔鶴の腹部を殴りつけ、ゼロ距離で砲撃をかます。翔鶴は電のごつい艤装から放たれる強烈な砲撃に対して防御する手立てを講じられず、たった一撃で大破に追い込められ、派手に後方へと吹っ飛ばされる。ついでに電は付近にいた陽炎型駆逐艦八番艦・雪風にも砲撃を放つ。先ほど、己の脇を抜けて奈落棲姫を倒そうとした島風型駆逐艦一番艦・島風を迎撃しようとした際、迅速な判断で島風を救った雪風を危険視したためだ。
「むぅ、わらわの火力ではダメなのか……!?」
「ならば、重巡洋艦の力じゃな! 吾輩の力にひれ伏すがいい!」
今回ばかりは幸運スキルが発動せず、電の砲撃で雪風が「そんなッ!?」と、これまた一発大破に陥る中。爆風に巻き込まれる形で既に小破だった島風が中破被害を被ってしまう中。艤装の火力が足りないため、電の凶行を止められないことに駆逐艦の初春が悔しげな表情を形作る一方、利根型重巡洋艦一番艦・利根が電に砲撃を放つ。
大破した翔鶴へ再び接近し、ごく自然に
「……」
(今、私は何をしようとしていたのです?)
電はついさっきの己の行動を振り返る。そう、私は艦娘を沈めようとしていた。艦娘を沈めないと決意したのに、早速正規空母を沈めようとした。それはなぜだ。簡単だ、深海棲艦の体が艦娘の轟沈を望んでいるからだ。人類への復讐を望んでいるからだ。だからこそ、艦娘との戦闘において、この体は無意識に艦娘を沈めようとしている。
(私は電轟棲姫だけど、その前に電なのです! 体に呑まれちゃダメ、使いこなすのです!)
電は心に意識を深く刻み込む。先までの己を恥じ、自我をしっかりと保ち、深海棲艦の本能を艦娘としての理性で押さえつけようとする。本能に呑まれてしまったら。艦娘を一隻でも沈めてしまったら。私はもう第参鎮守府に帰れない。例え第参鎮守府の皆が私の所業を許し、受け入れてくれたとして、私が私を許せない。
「海の藻屑となりなさいな!」
「ここで畳みかけるっぽい!」
ここで。球磨型軽巡洋艦四番艦・大井がポンポンと複数の魚雷を一斉に放ち、白露型駆逐艦四番艦・夕立が駆逐艦にそぐわぬ火力を秘めた砲撃を放ってくる。見え透いた魚雷の軌道。電は砲撃を避けるついでに迫りくる魚雷の範囲から簡単に逃れる。
そうして、電は次なる標的を見定めるために連合艦隊を改めて見据える。艦娘を決して轟沈させないと誓いを立てている電に、大破した艦娘に追撃を仕掛けるつもりはない。連合艦隊12隻。その全てないしほとんどを大破させれば、奈落棲姫を追うことはできず、帰投するしかない。例え帰投する選択肢を選ばなくとも、時間稼ぎには十分。電の狙いはそこだった。
電が次なる攻撃対象として、うっかり喰らったらタダじゃ済まない雷撃力を保持している&比較的手こずらないで大破にできそうな大井へと定める。しかし、ここで。電は足元からバシャッと顔を出した巡潜乙型潜水艦三番艦・伊19に「足元がお留守なのね!」と、唐突に抱きつかれた。
「エッ!?」
「イクの悩殺☆だいしゅきホールドなのね! 相手は死ぬのね!」
伊19は電への抱きつきを強めるため、背後に両足を回し、ギューッと背中に回した両手に力を籠める。先の砲撃・雷撃に気を取られ、海中からの刺客に気づかなかった電は動揺を顕わにする。そして、慌てて連合艦隊に視線を向け、絶句した。
「ウソ……」
夕立。利根。長門。武蔵。金剛型戦艦二番艦・比叡。大火力の駆逐艦一隻。重巡洋艦一隻。そして戦艦三隻。計5名の艦娘が電に砲門を向けていたのだ。
(この艦娘ごと、私を沈める気なのです!?)
「今なのね!」
「てぇぇええええええええ――ッ!」
はたして。電の読み通り、連合艦隊側は一斉砲撃を行う。迫りくる砲弾。避けようにも、撃ち落とそうにも、伊19に抱きつかれ妨害されているため、電は思うように動けない。そして。砲弾が着弾する数瞬前。電は伊19の体を張った妨害を力でねじ伏せるようにして、どうにか砲弾に背を向けた。伊19の背中に砲弾が命中し、彼女が轟沈するのを避けた形だ。
「カハッ!?」
ドドドドッと砲撃が次々電の背中に着弾する。艤装越しの激しい衝撃に、まるで背中からトラックにでも轢かれたような感覚に、電はその場に立っていられなくなり、水面に膝をつく。いつの間にやら伊19が姿を消している中。大破一歩手前な電はプスプスと煙を上げ使い物にならなくなった艤装を外し、立ち上がる。その双眸に明確な怒りの炎が灯る。
「ナ、仲間ゴト沈メヨウトスルナンテ……正気デスカ!?」
「ふ、深海棲艦風情に倫理を問われるとは、笑えるな。今のは、これまで何度も使ってきた手段だ。あれでイクが沈まないのは把握済みだ」
「ソウイウ話ジャ――」
「――舐めるなよ、電轟棲姫。深海棲艦を殲滅できるのなら何でもやる。それが第弐鎮守府だ」
「ッ!?」
連合艦隊側の海中から顔を出した、電が庇ってなお大破状態な伊19が「イク、大金星なのね」と胸を張る中。電の詰問を長門は鼻で笑う。その後、長門の眼光に電の怒りは呑み込まれる。改めて連合艦隊の艦娘たちを見やると、多少の差異こそあれ、誰も彼もが、電轟棲姫を沈めてやるとの殺意に満ち満ちた視線をぶつけてくる。
これはさすがに異常だ。確かに第弐鎮守府は深海棲艦との戦争の最前線を担当している。深海棲艦の殲滅に熱心である。だけど、ここまで常軌を逸しているのはどうかしている。息つく暇もない激戦続きは、こうも深海棲艦への憎しみを増幅させるものなのか。艦娘の性格を捻じ曲げ、手段を選ばせなくなるものなのか。
怖い。眼前の連合艦隊ともう戦いたくない。でも退けない。どんなに怖くても、ここで退いてしまってはナッちゃんが沈められてしまう。ここまで深海棲艦への殺意の高い艦娘たちだ、例え大破の艦娘が数名いた所で、帰投なんて道はまず選ばないだろう。
(心で負けちゃ、ダメなのです!)
心で相手に屈してしまったら、実際にもまず勝てない。電は恐怖に震える心をありったけの勇気でどうにか奮い立たせるため、内心で己を鼓舞する。眼光だけでそこらの深海棲艦なら沈めてしまいそうなほどに強烈な連合艦隊のギラギラとした視線に負けないよう、精一杯睨み返す。電轟棲姫と第弐鎮守府の連合艦隊との戦いは、新たな局面を迎えようとしていた。
電→深海棲艦の体に艦娘の心を宿した暁型駆逐艦四番艦。現在大破状態。火力と装甲と素早さに特化している。ワンパン大破おばさんとか決して言っちゃいけない。
武蔵→第弐鎮守府所属の大和型戦艦二番艦。「なん、だと……!?(`・ω´・;)」の人となった。
長門→第弐鎮守府所属の長門型戦艦一番艦。なぜか今回は「撃て」としか喋ってない印象。
翔鶴→第弐鎮守府所属の翔鶴型正規空母一番艦。不運艦らしく、真っ先に大破となった。
初春→第弐鎮守府所属の初春型駆逐艦一番艦。「のじゃロリ」キャラなのがデフォルト。高飛車っぽい所もあるが、基本的に仲間を大切にする善良なお姫さまのイメージ。
雪風→第弐鎮守府所属の陽炎型駆逐艦八番艦。早々に大破した辺り、幸運なんてなかった模様。
島風→第弐鎮守府所属の島風型駆逐艦一番艦。中破となり連装砲ちゃんがあられもない姿に。
利根→第弐鎮守府所属の利根型重巡洋艦一番艦。初期の頃は何かとカタパルトが不調だったのがデフォルト。いくら駆逐艦より火力があっても当てられなければ意味がありませんぞwww
大井→第弐鎮守府所属の球磨型軽巡洋艦四番艦。ガチレズ大井botネタが公式に取り入れられクレイジーサイコレズになっちゃったのがデフォルト。ここの大井さんはクリーンです(当社比)。
夕立→第弐鎮守府所属の白露型駆逐艦四番艦。「ぽいぽい」言っているのがデフォルト。この作品では第弐鎮守府自体がアレなせいであんまり狂犬要素が表出していない。
伊19→第弐鎮守府所属の巡潜乙型潜水艦三番艦。真面目な戦闘中にもかかわらず「だいしゅきホールド」をやらかすという、泳ぐ18禁の称号に恥じない活躍をした。
比叡→第弐鎮守府所属の金剛型戦艦二番艦。何だかんだ戦っているが、今の所セリフゼロ。
というわけで、第2章2話は終了です。体に引っ張られ艦娘を沈めようとした電。アレな手段を使ってでも電を沈めようとする第弐鎮守府の艦娘たち。歪みが垣間見える話でしたね。
閑話休題。ふと思いました。艦娘の怪我描写ってどうすればいいのでしょう。この作品では『艦娘=人間』じゃないから血を流すのは何となく違和感がある。が、ゲームと同じように服や一部艤装が被害に遭うのはシリアス艦これとは合わない。……となると、いかに艦娘がボロボロであるかを頑張って地の文やキャラの反応で表現するのが妥当なのでしょうか? 朝アニメの戦闘シーンとかで流血表現を自粛するみたいな感じで。謎は尽きない。
~参考資料(現状判明している第弐鎮守府の連合艦隊計12隻の編成内容)~
第一艦隊:長門、比叡、翔鶴(大破)、島風(中破)、夕立、伊19(大破)
第二艦隊:武蔵、大井、利根、雪風(大破)、初春、??
※小破艦は戦闘に影響ないので特に記載していません。