どうも、ふぁもにかです。先日の熊本地震は正直ヤバかったですね。幸い、個人的な被害はありませんでしたが、揺れに恐怖を抱いたのは久々ですぜ。にしても、今回の件でスマホの緊急地震速報の優秀さがよくわかりました。スマホからいきなりサイレン音が鳴り響いて7,8秒後ぐらいで揺れが襲いかかりましたからね。今後は全面的に信頼させてもらいますよ、緊急地震速報先輩!
奈落棲姫と再会した暁型駆逐艦四番艦・電。電の仲介のおかげで奈落棲姫と普通に話せる間柄となった海大Ⅵ型潜水艦一番艦・伊168。電たちは、黒い歯車の機構の場所を知っているらしい奈落棲姫の友達と会うため、奈落棲姫の案内を受ける。
そして、数時間後。海をサンサンと照らす日光が弱まり、夕日に切り替わる頃合いにて。奈落棲姫はピタリと走るのをやめ、電と伊168の方へクルリとターンして、「ココダッ!」と元気良く宣言する。しかし、電と伊168が周囲を見渡しても、それらしき存在は見受けられない。というか、見渡す限り島1つ見当たらなければ、海面を覗いてもただ魚が悠々と泳いでいるだけだ。
「エ、エト、ココナノデス? 何モナイデスヨ?」
「もしかして道に迷ったの、ナッちゃん? それにしては自信満々のようだけど」
「フッフッフッ……」
電が脇に抱えていた伊168をすぐ隣に下ろす中。電と伊168の疑問に奈落棲姫は『その反応を待っていたぜ』と言わんばかりに得意げに笑うと、電たちに向けてそれぞれ手を差し出した。
「ナッチャン?」
「手、握ッテ!」
「「?」」
電と伊168は奈落棲姫の不可解な行動に互いに顔を見合わせつつも、ひとまず奈落棲姫の要望通りに各々彼女の手を掴む。刹那、景色が一変した。
「フアーーッ!?」
「な、何よこれ!?」
電と伊168は驚愕にこれでもかと目を見開いた。無理もない。なぜなら、つい先ほどまで何もなかったはずの空間に突如として島が出現したからだ。木々にあふれた自然豊かな島、その一角に明らかに鎮守府めいた施設が大規模に展開されていたからだ。
「ア、アワワワワワ――」
「ちょっ、ナッちゃん!? 何これ!? さっきまであんな島なかったわよね!? どうなってるのよ!?」
「説明シヨウ! コレハダナ……確カ、エート、ムムッ……ア、思イ出シタ! 『光学迷彩』トヤラヲベースニ色々改造シテ、間違ッテモ外部カラ侵入者ガ勝手ニヤッテ来ナイヨウナ防犯システムヲ作ッタトカ言ッテタッケ?」
「え、何その、現代技術じゃ絶対に作れなさそうなトンデモ防犯システム……」
(察するに、この島の存在を知っている誰かが手を握ってくれない限り、初めてこの辺を訪れた人は島を認知できないようになっているわけでしょ? ホントどうなってるのよ、これ……)
あまりの衝撃にテンパり状態に陥った電に代わり、伊168が奈落棲姫の両肩を掴んで早口に問いかける。対する奈落棲姫は頭の隅に放り込んでいた情報を、その意味をそこまで理解していないような軽さで伊168に提供する。
伊168は頭を抱えずにはいられなかった。例え自分を始めとした艦娘という存在もまた、妖精さんに建造された、現代技術じゃ絶対に建造されないトンデモな対深海棲艦兵器であっても、奈落棲姫の口にした度肝を抜くような技術の存在に唖然とせざるを得なかった。
と、ここで。奈落棲姫のすぐ目の前の海面がザバァと2つに割れ、海中からスキューバダイビングの装備をした何者かが唐突に顔を覗かせる。
「オッ、イタイタ! 今帰ッタゾ!」
「おかえり、奈落」
奈落棲姫が笑顔を浮かべてその何者かに話しかけると、当のスキューバダイビング装備の存在は海上に立ちながら頭を覆い隠すマスクとシュノーケルを外す。顕わになったその正体に電は我に返り、驚愕の果てに一時呼吸を忘れた。なぜなら、このタイミングで出会ったのが暁型駆逐艦二番艦・響――暁型四姉妹の内の次女――だったのだから。
(響お姉ちゃん!? どうして第伍鎮守府の響お姉ちゃんがここに!?)
「後ろにいるのは友達かい? 君が誰かを連れてくるなんて珍しいことも――ッ!?」
響は奈落棲姫が引き連れた面々を見ようと奈落棲姫の背後に目を向け、言葉を失った。その視線は電に釘づけとなっている。一方、響に凝視された電は思わず後ずさる。電轟棲姫となってからの日々を経て、少しは艦娘から深海棲艦として敵視されるのに慣れてきた電だが、それでも姉妹艦から拒絶される可能性は、電の心を竦ませるに足るものなのだ。
「いな、づま?」
が、電の恐怖するような展開は現実に起こらなかった。すぐさま響が元の艦娘の姿とはかけ離れた電轟棲姫を電だと見破り、「電!? 電なのかい!?」と動揺のままに駆け寄ってきたからだ。
「響、オ姉チャン? 私ガワカルノデスカ?」
「当たり前さ。少しばかり姿形が変わったぐらいで妹のことがわからなくなる姉がどこにいる。……そうか。轟沈したとの話だったが、無事生きていたんだね。良かった。本当に良かった」
「響オ姉チャン……!」
電は響の心からの言葉につい泣きそうになる。雷お姉ちゃんも、暁お姉ちゃんも、そして響お姉ちゃんも。皆、私のことをわかってくれた。一切拒絶せずに、私の存在を受け入れてくれた。その事実だけで、電は感極まってその場で号泣したくなってしまう。
「それで、どうして電は深海棲艦の姿をしているんだい? コスプレの趣味に目覚めたとか? これだけ思いっきり姿を変えられるとなると、上手いこと特殊メイクを活用できているみたいだね。さすがは電だ。前々から電ならDEX値の分野で花開くんじゃないかと思ってたんだよ、実は。私の目に狂いはなかったようだ」
「……」
が、電の涙は引っ込んでしまった。響の空気を読まないフリーダムな質問のせいで、沸き上がった感動のやり場に困った電は半開きの眼差しで響をジトーと見つめることしかできなかった。
「さすがに今の発言はないわね。デンちゃんの状況を正確に察しろとまでは言わないけど、もっと他に言うことがあったでしょうに……」
「ナニ!? デンチャンノソノ姿ハ特殊メイクニヨル変装ナノカ!? 凄イナ! 今マデ全然気ヅカナカッタゾ!」
「フェッ!? チ、違ウノデスヨ、ナッチャン!」
伊168がため息とともに響への好感度を二段階ほど下げて、奈落棲姫が響の『電、特殊メイクを用いて本格的にコスプレをやっている説』をまともに信じて目を洗われる思いに打たれ、電が奈落棲姫の誤解を早々に解かないと絶対厄介なことになると否定しにかかる中。
「ふむ、その様子だとコスプレじゃないみたいだね」
それぞれの個性が如実にわかる三者三様の反応を前に響は顎に手を添えて、今さっきテキトーに打ち立てた自説はどうも違うようだと結論づける。その後、響は背後の迫力あるサイズの鎮守府を親指でクイッと指差しながら言葉を紡ぐ。
「どうやら並々ならぬ事情がありそうだ。なら、立ち話も何だ。落ち着ける所でお互いに情報交換をしようじゃないか。私も電に聞きたいことができたし、君たちも私に聞きたいことがあるだろう。……特に潜水艦の君はそんな顔をしているからね」
「ッ!? そんなにわかりやすい顔してた? これでも表情を隠すのは上手いつもりなんだけど」
「いや、十分上手いと思うよ。でも、私も君と同じでクールさをウリにした真面目な頭脳特化キャラだからね。キャラ被りの似た者同士、考えていることは丸わかりというわけさ」
(え、真面目? なに言っちゃってんの、この子?)
伊168は己の考えを響に見透かされたことに驚き、後学のためにどこが考えを読まれる要素となってしまっていたのかを少し遠巻きに尋ねる。が、響の答えの的外れ具合に、響から得られるものは何もないと早々に判断し、それでも表面上では「……なるほどね。参考になったわ」と言葉を返すこととした。これもある意味で優しい嘘の一種か。
「さて。少し遅くなってしまったが……ようこそ、第零鎮守府へ。私は暁型駆逐艦二番艦兼、第零鎮守府司令官・響だ。奈落の友達の君たちを歓迎するよ。ついてきてくれ」
響は改めて表情を引き締める。そして、両手を広げて自己紹介をしてから、スタスタと第零鎮守府の方向へ歩き始める。続けて、奈落棲姫が「提督! 待ッテ!」と後を追う中、電と伊168は響の残した爆弾発言に今度こそ驚愕していた。ポカーンと口を開けていた。
「ェェェエエエエエエエエエエエエエエエエ!?」
「はぁぁああああああああああああああああ!?」
少々間が空いた後に、電と伊168はそろって絶叫する。第零鎮守府という、これまで一度も耳にしたことのない謎の鎮守府の存在に加え、艦娘が提督業に就いているという衝撃の事実に、ただただ叫声があがる夕暮れ時であった。
電→深海棲艦の体に艦娘の心を宿した暁型駆逐艦四番艦。響と再会し、響が自身の正体を見破ってくれたことが非常に嬉しかった模様。良かったね、デンちゃん。
伊168→前世が潜水棲姫だった海大Ⅵ型潜水艦一番艦。フリーダムっぽさを匂わせる響に似た者同士扱いされたことが何気に屈辱だった模様。気持ちはわからないでもない。
奈落棲姫→元々は第弐鎮守府の艦娘だった深海棲姫。第零鎮守府によく出入りしているが、常に拠点にしているわけではない。響のことは好きだが、別に友達ではない。
響→第伍鎮守府から失踪し、第零鎮守府の提督となった暁型駆逐艦二番艦。普段は物静かで落ち着いた雰囲気を漂わせており、ちょくちょくロシア語を織り交ぜて話してくるのがデフォルト。が、ここの響は早速フリーダム具合が透けて見える感がある。
というわけで、第3章3話は終了です。奈落棲姫が手を握ることで姿を現した謎の島&第零鎮守府。そして、そこの提督を勤める響。今回は結構『衝撃の展開』ってノリの話の構成ができたので個人的には大満足です。