どうも、ふぁもにかです。今回は戦闘回です。にしても、何か私って書けば書くほど執筆スキルが弱体化している気がします。見返してみると、第弐鎮守府戦の方がクオリティ高いように思えますが、かといってどう修正したものかよくわからないのでノリに任せて投稿しちゃうのです!
「貴女タチガ味方ニナッテクレナイ以上、コノ先ノ【システム】ヤ彼女ニ近ヅケルツモリハナイデース! ドウシテモ通リタイノナラ、私ヲ殺シテカラニスルデース!」
深海棲艦のための艤装を手掛ける深海工廠。その管理室にて。魂甲棲姫の体をした金剛は【システム】や深海棲艦の生みの親たる女性の控える扉を守るように背にして、立ち塞がる。今にも戦闘が始まらんとする中、一歩前に出た暁型駆逐艦四番艦・電は金剛に提案を持ちかけた。
「……金剛サン。降参、シテクレマセンカ?」
「ドウシテデース?」
「戦力差ハ歴然ナノデス。姫級2隻ニ元姫級ノ艦娘ヲ同時ニ相手取ッテ、本気デ勝テルト思ッテルンデスカ? ソレニ私ハ、デキレバ金剛サント戦イタクナイノデス! 例エ今ノ金剛サンガ敵デモ、前マデハ同ジ志ヲ持ツ味方ダッタノニ――」
「――甘イデース、電。コレハ譲レナイ意思ト意思トノブツカリ合イ。言葉デハ妥協点ヲ見イダセナイカラコソ、戦ウ。……私ハ本気デース。有利不利ナンテ関係ナク、命ヲ賭ケテ、本気デ殺シニカカリマース。電ノ甘サハ美徳デスガ、今回バカリハソノ甘サヲ捨テナイト、貴女ハ何モカモ失ウネー。第弐鎮守府ト戦イ敗北シタ時ノヨウニコンティニューナンテサセナイ。3対1ダロウト、私ハドンナ醜イ手段ヲ使ッテデモ貴女タチヲ壊シ尽クシテミセル。……電。貴女ノ目ノ前ニイルノハ金剛ジャナイ。世界ニ仇ナス魂甲棲姫。ソノツモリデ貴女ノ本気ヲ私ニブツケルデース!」
「……ドウシテ、ナノデス。私ノ知ル金剛サンハ、優シサノ意味ヲ間違エタリナンテ――」
「――シャラップ、電。モウ敵ト語ル言葉ナンテナイネー!」
金剛は電の問いかけを強制的に断ち切るように自ら砲撃する。迫りくる砲弾に電と奈落棲姫は左右に散開する形でかわし、海大Ⅵ型潜水艦一番艦・伊168はバックステップで少々大げさにかわす。魂甲棲姫との戦いにおいて、唯一の艦娘であり、それゆえに姫級の火力でワンパン大破になりかねない伊168は電や奈落棲姫と比べて慎重に戦わざるを得ないのだ。
「逃ガサナイ! バーニングラブッ!」
己の速力を利用して一気に金剛と距離を詰めようとする奈落棲姫。その真正面に、金剛は砲弾を放つ。避けようと思えば避けられる砲撃だったが、奈落棲姫は避けなかった。奈落棲姫の真正面に向けて砲弾を放ち、奈落棲姫が正面から金剛に攻撃するという選択肢を潰す。加えて、奈落棲姫の回避先を絞り、奈落棲姫の移動先を先読みしようとしている。金剛の意図をそのように汲み取った奈落棲姫は敢えて迫りくる金剛の砲弾をかわさず、代わりに己の砲撃で撃ち落とそうとする。
「ナニッ!?」
だが直後、奈落棲姫は驚愕に目を見開いた。確かに己の射出した砲弾は、金剛の撃ち放った砲弾に命中し、爆発した。が、肝心の金剛の砲弾が一緒に爆発しなかったのだ。金剛の砲弾は奈落棲姫の砲弾と思いっきり激突したにもかかわらず、原形を保ったまま何事のなかったかのように一直線に突き抜ける。そのまま奈落棲姫の元へ迫り、着弾した。
「グアアアッ!」
「ナッチャン!?」
「イエス! マズハ景気ヨク中破デース! ンー、気持チイイ悲鳴ネー!」
「ちょっと、何よ今の!? 砲弾を撃ち落とせないって、おかしいでしょ!?」
「オカシクナイデース。彼女ハ深海棲艦ヲコノ世ニ生ミ出シタ本物ノ天才。ソシテ、私ハソンナ彼女ノ理解者。彼女ガ己ト最モ近シイ理解者ニ、彼女ノ技術ノ粋ヲ込メタ特別デ規格外ナ武器ヲプレゼントシテイテモ不思議ジャナイデース! ……電。コレデモマダ、数デ劣ル私ノ方ガ不利ダカラ降参シロト言ッチャウデース?」
「……モウ言ワナイノデス」
奈落棲姫が中破状態に追い込まれ、その威力を目の当たりにした伊168がこれは一撃で轟沈もあり得ると冷や汗をかく中。深海棲艦の生みの親から特別性の武器をもらっているらしい金剛を前に、電は迷いを完全に断ち切った。
できることなら、今回も目的に優先順位を決めたくない。多少無茶をしてでも欲張りに、己が最も望む展開を掴み取りたい。どうにかして金剛さんを殺さずにこの戦いを収めたい。でも、今回は前に第弐鎮守府の連合艦隊と戦った時と状況が違う。今回、私が二兎を追って失敗しようものならイムヤさんが、ナッちゃんが殺されかねない。殺されてしまえば、何もかもが手遅れとなる。己の無茶を仲間に押し付けるわけにはいかなかった。
「電ノ本気ヲ見ルノデス!」
電は金剛の元へ一直線に駆ける。もしも魂甲棲姫のスペックが電轟棲姫たる自分と同程度かそれ以上であれば、至近距離で砲撃しなければ金剛にまともにダメージを与えられないからだ。「ファイヤァァアア!」との威勢のいい声とともに金剛が放ってくる砲弾を左に跳んでかわそうとする電。が、ここで。想定外の事態が電に襲いかかる。
「フェッ!?」
何と、迫りくる金剛の砲弾に突如、無数の切り込みが入ったかと思うと、無数の散弾と姿を変えて電に突撃してきたのだ。今しがた奈落棲姫に浅くないダメージを与えた、決して撃ち落とせない砲弾の強烈な印象からまさか砲弾が分裂するだなんて欠片も考えてなかった電はクロスした両腕で顔を覆って散弾の弾幕を正面から受け止めるしかない。
「ウ、クッ!」
電轟棲姫が誇る装甲は散弾によるダメージを容易には受け付けない。が、完全な無傷とはならず、散弾の弾幕は電の肌に次々と裂傷を残していく。散弾の壁が電を通り抜けた後、電が腕によるガードを解いた時、電の正面には既に電の懐に入り込んだ金剛の姿があった。金剛もまた、電轟棲姫の強靭な装甲対策として距離を詰めることを選択したのだろう。
(速い!?)
「隙ダラケネー!」
金剛は電の腹部に直接砲口を突きつけて発射せんとする。が、その直前。電は咄嗟の判断で金剛の砲口を真上に蹴り上げ、照準をズラした。結果、管理室の天井で巻き起こる爆発。奇襲が失敗したため、金剛は電の足を払って電を軽く転ばせつつ一時後退する。
「ミャッ!?」
顔面から転んだ電が悲鳴を上げる一方。金剛の真横から奈落棲姫が迫り「オ返シダ!」と砲弾を放つ。金剛は確実に奈落棲姫を戦闘不能へ陥れるため、回避を捨てた。敢えてノーガードで奈落棲姫の砲弾を喰らいつつ、カウンターの砲弾を放とうとするが、その刹那。奈落棲姫がツツツッと不可解に後退したと同時に金剛の頭に何かが命中し、爆発した。
「アウッ!?」
(今、何が――)
原因不明の爆発の要因を探るため、周囲を一瞥する金剛。その視界にニヤリとほくそ笑む伊168の姿を捉えた時、金剛は理解した。どうやら伊168は奈落棲姫を囮にした上で、金剛の頭上に上手いこと落ちるように魚雷を上空へ投げ飛ばしていたようだ。金剛が電を相手にしているほんの少しの間で奈落棲姫に作戦を伝え、確実に金剛に罠に嵌めたのだ。
「私の魚雷じゃ小破にもならないのね。想定内だけど……どうやって攻略したものか」
伊168が金剛が大してダメージを負っていない様から魂甲棲姫としての装甲がどの程度か改めて予測し直す中。先ほどの舌戦も相まって、伊168の厄介性をまざまざと認識した金剛は、懐のスイッチを押した。直後。ゴゴゴゴゴッと管理室が揺れ動き始める。
「アイタッ!?」
「コ、今度ハ何ナノデス!?」
揺れに対処できなかった奈落棲姫が顔面からドガッと転ぶ一方。痛みを訴える顔を抑えながら電は警戒度を最大限にまで振り上げて周囲を忙しなく見渡していく。無理もない。これまで、金剛は撃ち落とすことのできない砲弾や、砲弾に見せかけた散弾など、数の不利を帳消しにするために電たちを騙して戦ってきたのだから。
「上よ、デンちゃん!」
伊168に促され頭上を見やると、透明だった天井が灰色の壁で覆われていく。そして、灰色の壁が天井を覆いつくし、管理室から深海を泳ぐ魚の姿を捉えられなくなった時。シャコンとの音とともに、天井から砲門が突き出てきた。その数、軽く100以上。
「……ヘ?」
「はぁッ!?」
「何ダコレ!?」
「コレデフィニッシュデース! 全砲門、ファイヤァァアアアアアアアアアアア!」
呆然と天井を見上げるのみの電たちに向けて、金剛は猶予を与えることなく叫ぶ。結果、100を越える砲門から一斉に砲弾が飛び出し、まるで雨のように降り注ぎ、電たちの姿を呑み込んだ。ドガガガガガガッとの激しい爆音が管理室を満たし、電たちの声を書き消していく。砲弾の衝撃が管理室を幾度もなく揺らし、管理室内のあらゆる機材や床などが容赦なく破壊されていく。
◇◇◇
「……」
砲弾の雨が止んだ時。管理室は思いっきりボロボロとなっており、足場は瓦礫や機材の成れの果てが散乱している。が、管理室の壁は床と比べて相当頑丈な素材を使っているらしく、そのため管理室の壁までもが壊れることはなかった。そのような変わり果てた管理室に立つ金剛。もちろん無傷ではない。管理室全体を容赦なく巻き込む砲弾の影響により中破状態となっている。
「……コノ管理室ハ私ノホームグラウンド。ソコデ戦闘ヲ挑ムコトガドノヨウナ結果ヲモタラスノカ。ソレヲ考エナカッタノガ敗因デース」
「そうね。それは確かに早計だったわ。まだまだ私も未熟ね」
「ッ!?」
己をもエサにして、やりすぎなぐらいに管理室全体を砲撃しまくる。優れた装甲を持つ魂甲棲姫の体を最大限に利用した策により、電たちを一斉に仕留める。管理室を一瞥して電たちを一掃できたものと考えた金剛は、背後からの声に慌てて振り返る。その視線の先に、今にも轟沈してしまいそうなほどにボロボロな伊168の姿が映った。
「ナゼ? ドウシテ、ヨリニヨッテ一番装甲ノ脆イ貴女ガ生キテルデース?」
「デンちゃんが庇ってくれたのよ。私なんて見捨てて、いやいっそ私を盾にしてでも自分を守っていればまだ勝ち目はあったのにね。……でも、託された以上は結果を出してみせる。例え水中戦じゃないからって、潜水艦娘を舐めてたら痛い目に遭うわよ?」
電や奈落棲姫でなく、なぜか伊168だけがこの場に立っていることに金剛は困惑する。対する伊168は深々とため息を吐く。そして、あとデコピンでもすればたやすく死んでしまいそうなほどにズタボロなのに。それでも伊168は強気にニタァと口角を吊り上げるのだった。
電→深海棲艦の体に艦娘の心を宿した暁型駆逐艦四番艦。素直な性格の影響で、騙し討ちを随所に組み込んで戦ってくる相手とは相性が良くない模様。
伊168→前世が潜水棲姫だった海大Ⅵ型潜水艦一番艦。ただいま轟沈寸前。ただ一人、魂甲棲姫の前に立ち、余裕を見せるのはハッタリか。それとも……。
奈落棲姫→元々は第弐鎮守府の艦娘だった深海棲姫。電一行の中で一番かませ犬をやらされている感が否めない。うん、何かすまない(´・ω・`)
魂甲棲姫→深海棲艦側の偉い地位に就いている深海棲姫。元金剛。ただいま中破状態。数の不利を打ち消すため、特に手段を選ばず騙し討ちスタイルで戦っている模様。
というわけで、第4章5話は終了です。金剛とのガチバトル前編って所です。この話だけ見ていると電じゃなくて伊168がむしろ主人公じゃないかと思えてきちゃうかもしれませんが、それは紛れもなく錯覚です。騙されちゃダメなのです。