どうも、ふぁもにかです。今回からは最終章です。最終章の構成要素としては『シリアス:絶望:ほっこり=7:2:1』って感じで執筆しようかと考えています。さーて、それじゃ私の考えた盛り上がる王道展開の脳内妄想を現実に具現化させるとしましょうかね。
1話 舞台に集結するのです!
【システム】。それは人類へ復讐を果たすためにシンと名乗った女性が作り上げた仕組みである。負の感情を資材の体に定着させ、深海棲艦の体を維持させ続けるために世界の法則を歪め書き換える役目を持つ【システム】は今、【システム】と同化しているシンの【システム】の破壊を目指す者どもの排除という願いの元に活動する。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」
海上へ吹っ飛ばした暁型駆逐艦四番艦・電、海大Ⅵ型潜水艦一番艦・伊168、奈落棲姫の3名を追って【システム】は海上へ姿を現す。直径3メートルほどの漆黒の球体たる【システム】は不定期に脈動しつつも、冒涜的な雄叫びとともに内包する負の感情を周囲一帯に撒き散らす。
近場の深海棲艦たちを20隻ほど呼び寄せた【システム】は、電たちを数の暴力で潰す戦力はこれで十分だろうと考えつつもさらに深海棲艦の追加オーダーをやめない。あらゆる展開を想定し、どのような事態にも対応できるよう、深海棲艦をこれでもかと集めているのだ。
「「「……」」」
戦艦ル級、タ級、レ級の戦艦たちが【システム】の一歩前に躍り出ると、一斉に砲撃を開始する。その際、掛け声の1つすら上げないのは、【システム】が己の都合のいいように動かすために、集めた深海棲艦から思考能力を奪っているからなのだろう。
「――来ルノデス!」
戦艦たちの強力な初撃を速やかに察知した電は大声で伊168と奈落棲姫に伝え、一番に砲弾の着弾地点から前へ逃げる。そのまま【システム】とある程度接近した電は早速「命中サセチャイマス!」と宙に浮かぶ【システム】に2発、砲弾を放つ。が、【システム】は電轟棲姫のスペックを十全に利用した電の攻撃に、ビクともしない。【システム】自体の耐久度は相当なものらしい。
まず様子見のために【システム】への攻撃を優先した電。その隙を狙い、軽母ヌ級と空母ヲ級の艦載機たちが空から電を爆撃せんとし、同時に海中からも潜水カ級、潜水ヨ級、潜水ソ級が魚雷で電の機動力を奪わんとする。
「サセルカ!」
「させないから!」
しかし、深海棲艦たちの目論み通りにはならない。艦載機は全て残らず奈落棲姫によって撃ち落とされ、海中の魚雷は潜水中の伊168の放つ魚雷で全て相殺されたからだ。もはや何も言わずとも、各々が何をすればいいのかを理解している。旅を経て、それだけの高度な連帯を電たちは我が物にしているのだ。
(今度はもっと近づくのです!)
電は【システム】への接近を防がんと立ち塞がってくる駆逐ハ級、ニ級を全力のジャンプで軽く跳び越えながら、【システム】の頭上を取る。重力の力を借りて【システム】へ迫りつつ、【システム】の至近距離で1発、砲火する。砲弾の爆発する衝撃を利用して一度【システム】から離れた地点に着地した電が【システム】を見やると、【システム】を構成する漆黒の球体の表面が少々、薄れ揺らいでいるのを捉えた。
「攻撃ハチャント効クミタイナノデス!」
「朗報ダナ!」
電のもたらした情報に奈落棲姫が二カッと爽快な笑みを見せる。攻撃が完全無効化されていないのであれば、根気強く砲撃し続ければいいだけの話だからだ。全くもって未知で、攻略方法の検討もつかない【システム】の突破口を電たちは掴むことができた。が、ここで。ただ宙に浮かび気味の悪い脈動を続けるだけの【システム】が直接仕掛けてきた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」
【システム】が謎の言語で叫び、ドックンとひときわ強く【システム】が鼓動を刻んだ直後。【システム】を起点に、放射線状に黒い何かがビュンと伸び出てきたのだ。海中に潜っていたため難を逃れた伊168を除き、黒い何かのあまりの速さに対応できなかった電と奈落棲姫はその黒い何かに胴体を貫かれた。
「エ、エ?」
「アレ!? ナンデ!?」
しかし。確かに黒い何かに胴体を貫かれたはずなのに。電も奈落棲姫も一切ダメージを負わず、痛覚がまるで痛みを訴えない。その通常ではありえない現象に電と奈落棲姫が困惑していると、伸び出た黒い何かが【システム】の元へ引き戻され、電と奈落棲姫を貫通していた黒い何かも抜き取られていく。刹那、電と奈落棲姫は体全身にまんべんなくヒビが入るような錯覚を覚えた。慌てて体の様子を見ると、ここで初めて、体のあちこちに切り傷が刻まれ、己が小破状態となっていることを2名はそれぞれ知覚した。
「デンちゃん! ナッちゃん! 大丈夫!? 今の攻撃はなに!?」
「ワカンナイ! 全然攻撃ノ正体ガ掴メナカッタゾ!」
「今確カニオ腹ヲ刺サレタハズナノニ、気ヅイタラ全身ニ傷ガツイテイテ……」
「……厄介ね。ひとまず、あの攻撃がまた来そうだと思ったら海中に潜りなさい。こっちまではあの黒いの来なかったから」
海上での異変を目撃した伊168が海上に顔を出し、電と奈落棲姫の安否を確認する。その後、電と奈落棲姫の反応から【システム】の攻撃に明快な対処を講じられないとわかると、伊168が暫定的な回避手段を示し、電と奈落棲姫はそろってうなずく。
と、ここで。電たちの会話を邪魔するように飛び込まんとしてきた砲弾。その存在を素早く察知した電は、自らの砲撃で迫りくる砲弾を撃ち落とす。空中で2発の砲弾が衝突し、爆発に伴う爆風が戦場に散布される中。電たちに砲口を定めていたのは戦艦棲姫だった。戦艦棲姫はもとより、彼女の背後に控える駆逐棲姫もやる気満々のようだ。
「ここまでずっと待機していた主力が動いてきたわね」
「ココカラガ本番ッテコトカ!」
姫級2名の目だけで人を殺せそうなほどに悍ましい眼光。しかし、伊168と奈落棲姫はほんの少しだって怯まずに睨み返す。一方、電の心には少しずつ焦りが蓄積しつつあった。電は気づいていたのだ。最初は20隻程度だった深海棲艦がいつの間にやら25隻ほどに増加していることに。
(このままのペースで深海棲艦が増えたら勝てなくなっちゃう。短期決戦で勝負をつけないとマズいのです!)
電は焦りのままに【システム】へ突撃する。そこらの深海棲姫よりもスペックが一段階違う電轟棲姫としての電の本気のダッシュは、戦艦棲姫と駆逐棲姫の虚をつくタイミングで繰り出した影響により、戦艦棲姫と駆逐棲姫の間を抜き去ることに成功する。
「「ッ!」」
とっさに振り返り、戦艦棲姫と駆逐棲姫はそれぞれ電の背中目がけて砲撃する。が、その直前に。電はその場にしゃがみ込んだ。結果。電の背中に命中するはずだった砲弾はまっすぐに突き抜け、【システム】に着弾する。
「デンちゃん!? ちょっと、何を急に先走ってるのよ!」
「デンチャン! ソコハ危険ダ、早ク戻レ!」
電の突発的突撃に慌てて電の援護に回ろうとする伊168と奈落棲姫の声を背中越しに聞きながら、電は【システム】の真下から3発、立て続けに砲撃する。さらにもう2発ほどお見舞いしようと考えた所で、ガシッと右足を両手で掴まれる。足元を見ると、潜水ヨ級が顔を出していた。潜水ヨ級はあたかも電の足首を握力で引きちぎるかのようにギリギリと両手に力を込めていく。
「ウ、離スノデス!」
電は潜水ヨ級の腕目がけて砲撃し、電轟棲姫としての強烈な火力で潜水ヨ級の両腕を吹っ飛ばす。そうして。潜水ヨ級の拘束から解放された電の背後に影が差す。電の眼前の海面の反射から、戦艦棲姫と駆逐棲姫が急接近しているとわかった電は一旦海中に潜り、戦艦棲姫と駆逐棲姫の背後から海上に浮上した。
(読まれた!?)
が、電たちと戦っているのは【システム】と深海棲姫だけではない。電の移動先を読んだ上での戦艦ル級とタ級の砲撃。その内、戦艦タ級の砲弾は奈落棲姫の機転を利かせた砲撃の相殺により電に直撃しなかったが、残る戦艦ル級の砲弾は、直に電に命中した。
ギリギリの所でクロスした両腕で体を守り、最小限の被害に抑えた電。砲撃の影響で後方に吹っ飛ばされる電が見たものは。【システム】が黒い何かを電のみに放つ姿。シュルシュルと蛇のように伸ばされる黒い触手状の何かの先端にピンと真横に線が入ったかと思うと、ガバァと黒い牙剥き出しの裂けた口が生み出された。
「ヒィッ!?」
電を頭から食べようと口のついた黒い何かが一瞬で距離を詰めてくる。現状、砲撃のせいで後ろへ吹っ飛ばされており、海上に足のついていない電にはこの黒い何かを迎撃することぐらいしかできない。が、電は迫りくる黒い何かの尋常でない速さと、黒い何かに己が捕食されるのではないかとの恐怖が相重なり、対応できない。黒い何かに砲撃できず、ただただ恐怖に心を侵食され、蒼白な表情を浮かべるのみだ。
「クッ、コンナ時ニ!」
「このッ、邪魔よ! 貴女たち!」
電が危機的状況に陥っている以上、伊168と奈落棲姫は一刻も早く黒い何かの行動を止めないといけない。だが、奈落棲姫は戦艦棲姫と駆逐棲姫の妨害により、伊168は海中でポンポン魚雷を放ってくる潜水カ級、潜水ヨ級、潜水ソ級のせいで電を助けられない。
(私、このままコレに食べられて――)
黒い何かの牙が、電の皮膚に到達せんとする。電轟棲姫の装甲は相当な物である。だが、この時。電は、この黒い何かの牙が己の体を貫き通せないわけがないとのある種の確信を抱いていた。結果、逃れようのない死が刻一刻と近づく感覚に、電は思わず目を瞑った。これから先は何も感じたくない。考えたくない。電は強く強く目を瞑る。その時。
「■■■■■■■■■■■■■■!?」
電を喰らわんとグパァと大口を開く黒い何かの口内に、砲弾が撃ち込まれたのだ。砲弾は黒い何かの口内を突き破る。その思わぬダメージに黒い何かは数度、電気ショックにでもあったかのように痙攣した後、【システム】の球体の元へ引き戻される。
「ワプッ!?」
目をずっと瞑っていたままだった電は背中から無様に着水する。ムシャムシャと食べられるはずだった己が無事であることを不思議に思い、スゥと目を開くと。電は呆然と目を見開いた。なぜなら。電の両眼に。紺色の髪をストレートに伸ばし、薄紫色の瞳をした暁型駆逐艦一番艦・暁が、電の一番上の姉の姿が映ったのだから。
「間一髪みたいね、よかったわ」
「エ、ア……」
「――久しぶり、電」
「ア、暁オ姉チャン!? ドウシテココニ!?」
かつて。電が伊168を連れて第弐鎮守府から脱出する際に手助けをしてくれたあの暁が【システム】との戦場に姿を現し、再び電の窮地を救ってくれた。そのことに最初は理解の追いつかなかった電だったが、すぐに我に返ると暁がこの場に存在する理由を尋ねようとする。
「ここへ導かれたのは私だけじゃないわよ。ほら、到着したみたいね」
「エ?」
暁が電の背後を指差した直後。【システム】を中心に、ズドドドドドッと次々と砲弾が着弾した。唐突な奇襲に【システム】や深海棲艦たちが攻めるのを一旦やめて距離を取る中、電は暁が指し示した方向へ振り返る。そして、電は目を点にした。
第壱、第弐、第参、第肆、第伍、第陸鎮守府。各鎮守府からそれぞれ6隻。
電の隣にいる暁を除く、計35隻の艦娘が戦場にそろい踏みしていたのだ。
「……」
あまりに想定外な展開に。電はつい言葉をなくすのだった。
電→深海棲艦の体に艦娘の心を宿した暁型駆逐艦四番艦。大なり小なり【システム】の存在に威圧された上での戦闘なせいか、やたら積極的に【システム】に接近したり焦ったりした模様。
伊168→前世が潜水棲姫だった海大Ⅵ型潜水艦一番艦。紙装甲かつ潜水艦娘な自分が前に出ればどんな末路かわかりきっているため、後方からの電のサポートに徹している。
奈落棲姫→元々は第弐鎮守府の艦娘だった深海棲姫。電が積極的に【システム】相手に仕掛けまくっているために中々攻撃に打って出れていない模様。
暁→第弐鎮守府所属の暁型駆逐艦一番艦。電のピンチをいち早く察知し、駆けつけてきた。ここの暁はここぞという所でカッコよく決めてくる、レディの称号に相応しい子なのである。
【システム】→深海棲艦の生みの親であるシン(仮名)を完全に取り込んだ、直径3メートルほどの漆黒の球体。内包する負の感情を放つことで深海棲艦ホイホイができ、その際、深海棲艦が余計なことをしないよう思考能力を奪うこともできるらしい。
というわけで、最終章1話は終了です。やっぱりバトル物の王道展開と言ったら最終局面で加勢に来るかつての知り合いたちですよね。この作品では電と知り合いでない艦娘も割と多いですが、なぜ彼女たちが集結したのかは次回あたりに触れようかと思っています。あい。
~参考資料(現状判明している【システム】戦に参加中の艦娘の編成内容)~
主人公一行:電(小破)、伊168、奈落棲姫(小破)
第壱鎮守府:??、??、??、??、??、??
第弐鎮守府:??、暁、??、??、??、??
第参鎮守府:??、??、??、??、??、??
第肆鎮守府:??、??、??、??、??、??
第伍鎮守府:??、??、??、??、??、??
第陸鎮守府:??、??、??、??、??、??
※各鎮守府の一番先頭に名前の記された艦娘が旗艦となっています。