【完結】元の体を取り戻すのです! by.電   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。この作品や原作ゲームの設定の都合上、各鎮守府から6隻、電たちの増援が登場することとなったわけですが、彼女たち全員はとても活躍させられないであろう件について。むしろ半分くらいの艦娘は【システム】の脅威を身をもって知らしめるかませ犬になっちゃいそうな件について。私はどの艦娘も大概好きなので、全員にどっかしらで活躍の場を与えたいのに、上手くいかなさそうなのがジレンマな今日この頃なのです。

 ~参考資料(現状判明している【システム】戦に参加中の艦娘の編成内容)~

主人公一行:電(小破)、伊168、奈落棲姫(小破)
第壱鎮守府:??、??、??、??、??、??
第弐鎮守府:??、暁、??、??、??、??
第参鎮守府:??、??、??、??、??、??
第肆鎮守府:??、??、??、??、??、??
第伍鎮守府:??、??、??、??、??、??
第陸鎮守府:??、??、??、??、??、??

※各鎮守府の一番先頭に名前の記された艦娘が旗艦となっています。



2話 一丸には中々なれないのです!

 

 海上で電たちが【システム】との戦闘を行っている頃。

 魂甲棲姫の体をした金剛がトテトテと軽い足音を引き連れながら、深海工廠の管理室を後にする。と、ここで。金剛の進行方向に空母ヲ級が姿を現す。

 

 

「……」

「ソノ様子ダト、無事業務ヲコナセタミタイネー。オ疲レ様デース!」

 

 空母ヲ級の一仕事やりきった充実感に満たされた表情から、己が託した仕事をきちんと全うしてくれたと悟った金剛は空母ヲ級へ慰労の言葉を送る。

 

 金剛は空母ヲ級にとある仕事を頼んでいた。ここ深海工廠の真上の海域へとできるだけ多くの艦娘を連れてくることだ。電たちが深海棲艦の生みの親と同化した【システム】との戦闘を始めたタイミングで人類側になるべく沢山の艦娘を投入してもらおうと考えたのだ。

 

 金剛からいかにも難易度の高そうな仕事を任された空母ヲ級は己の部下と仕事を分担し、各鎮守府の艦娘と接触した。その際、より確実に各鎮守府の提督が艦娘を目標海域まで出撃させようと決断してくれるよう、金剛が示した通りの情報を与えた。

 

 

 第参鎮守府には、電轟棲姫が今まさに死の淵に立たされていると伝えた。

 第伍鎮守府には、行方不明の響・球磨・不知火の居場所の告発(ウソ)をした。

 第弐鎮守府には、深海棲艦を生み出し川内を轟沈させた元凶が姿を見せた、今こそが元凶を消し去る最初で最後の機会だと言って、深海棲艦へのヘイト感情を煽った。

 第肆鎮守府には、第弐鎮守府が深海棲艦の罠に見事なまでに引っかかってとある海域にまで誘導させられていると主張し、第弐鎮守府の艦娘の大量轟沈を恐れる提督の心につけ入った。

 第陸鎮守府には、深海棲艦の本拠地を暴露(ウソ)し、本拠地突入で早いこと深海棲艦との戦争に終止符を打ちたいと考える好戦的な提督をけしかけた。

 第壱鎮守府にだけは接触しなかった。日頃から他の鎮守府の様子を盗撮盗聴を通して情報収集していた第壱鎮守府は、何もせずとも他の鎮守府に合わせて目標海域に艦娘を派遣した。

 

 

 結果。【システム】と戦う電たちの元に第壱から第陸までの6つの鎮守府から計36隻の艦娘が派遣されたのだ。全ては金剛が策を講じたがゆえに導かれた展開だったのである。

 

 

「……」

「不思議ソウナ顔ヲシテマース。ソンナニ各鎮守府ガ深海棲艦ガ持ッテキタ情報ヲ鵜呑ミニシテ艦娘ヲ派遣シタノガ意外ダッタデース? デモ、案外コンナモノネー。例エ見エ見エノ罠ダトワカリキッテイテモ、知ッテシマッタ以上、動カザルヲ得ナイ時ハ往々ニシテアルモノデース。……マ、私ノ手ニカカレバコンナモノデース! コレカラハ『黒幕』ノ魂甲棲姫ト呼ンデホシイネー!」

「……」

 

 金剛を二つ名で呼ぶことに明確な拒絶の意思を両眼でありありと示さんばかりの空母ヲ級の絶対零度の眼差し。空母ヲ級の反応に金剛は「ツレナイネー」とやれやれポーズでため息を零す。

 

 

「電。私カラノサプライズプレゼントデース。ドウカ、受ケ取ッテホシイネー」

 

 金剛は電たちが戦っているであろう地点を見上げて、ポツリと呟く。あの【システム】が正々堂々と単体で戦うなんてことは絶対にあり得ない。深海棲艦の増援をこれでもかと呼ばれたら、電たちは数の暴力に為すすべもなく溺れてしまう。だからこそ。増援には増援をと、金剛は艦娘の増援を戦場に手引きした。全ては、電に深海棲艦の生みの親を確実に救ってもらうため。

 

 

(ファイトねー、電)

 

 

 ◇◇◇

 

 

 各鎮守府から6隻ずつ。計36隻の艦娘が一斉に姿を現したことに、暁型駆逐艦四番艦・電、海大Ⅵ型潜水艦一番艦・伊168、奈落棲姫がそろって言葉を失う中。一番最初に動いたのは第肆鎮守府の艦娘たちだった。

 

 

「んー。これは見た所、定時帰艦は無理そうですね」

「ゆーたち、提督に残業代をお願いしないといけませんね」

「どうせならたんまりと請求しないとだねぇ」

 

 高雄型重巡洋艦四番艦・鳥海、UボートIXC型潜水艦・U-511、巡潜三型潜水艦二番艦・伊8のマイペースな発言を機に、提督が艦娘のワークライフ・バランスを気にかけることでお馴染みの第肆鎮守府の6隻は真っ先に【システム】や【システム】を取り囲む深海棲艦たちに砲撃を仕掛けていく。その第肆鎮守府の行動をきっかけに他の鎮守府の艦娘の大半が戦闘に参加する。

 

 

「あれが深海棲艦を生み出した元凶か。実に毒々しくて、醜いな。あれを壊せば、深海棲艦を殲滅できる。……だが、その前に。目の前にいる深海棲姫を沈めねばならないな!」

 

 ちなみに、第弐鎮守府からは4名の艦娘が早速戦闘に飛び込む中。第弐鎮守府の旗艦を勤める長門型戦艦一番艦・長門は【システム】を真正面から捉え、正直に感想を口にする。その全身からは深海棲艦への憎しみがこれでもかとみなぎっている。その長門は砲口を向ける。【システム】ではなく、一番長門に近い電へと。

 

 

「――へ?」

 

 暁が電を助けた以上、【システム】戦に介入した艦娘たちは自分たちの敵ではない。無意識にそう思い込んでいた電は長門の殺意への反応が遅れ、そのまま砲撃され――。

 

 

「待って、長門さん」

「ちょっと、うちの電に何をする気よ!?」

 

 ――ることはなかった。長門の電への敵意を迅速に察知した第弐鎮守府所属の暁型駆逐艦一番艦・暁と第参鎮守府所属の暁型駆逐艦三番艦・雷が電を庇って長門の前に立ち塞がったからだ。

 

 

「暁オ姉チャン、雷オ姉チャン……」

「2人とも、何のつもりだ?」

「前にも言ったけど、電轟棲姫は私の妹なの。だから、危害を加えないでほしいわね」

「そうよ! 電を沈めようだなんて冗談じゃないわ!」

 

 静かに真意を問い詰める長門。対する暁は優雅さや気品に満ちあふれた淑女のような、一方で雷は『ガルルルルル』と牙を剥き出しにする狂犬のような態度を見せる。同じ暁型でも長門への言動が全然違うのは、姉の威厳の多寡の影響だろうか。

 

 

「ほう、2人そろってそのような妄言を口にするか」

 

 が、長門は暁と雷の主張をバッサリ切り捨てる。深海棲艦を憎み、絶対的な敵である深海棲艦の殲滅を目指す長門にとって、一部の深海棲艦が元艦娘であるという説だけは絶対に受け入れるわけにはいかないのだ。かといって、深海棲艦を沈める邪魔をする駆逐艦娘2隻を問答無用で沈めるわけにもいかない。長門は暁と雷を脅して、電轟棲姫を守る行為をキャンセルさせる方針に決めた。

 

 

「……わかっているよな、暁? もしお前が次、深海棲艦に与する行為をしたならどうなるか。リモコンは私が持っているんだぞ?」

「うッ、痛い所を突いてくるわね……」

 

 長門が懐から取り出したリモコンに暁は数歩後ずさる。この時、見覚えのあるリモコンを捉えた電はハッと暁の右手首を見やる。はたして暁の右手首には、かつて伊168がつけていたものと同じ、黒い腕輪型の爆弾が嵌められていた。

 

 

「ッ! 暁オ姉チャン、ソレ……」

「あ。これのこと、電は知っているのね。この腕輪は前に電の逃走を助けた後に、私が例外的に解体を免れた代わりに設けられた処分よ。3か月間これをつけて活動し、人類への反意が見受けられなければ腕輪は外される。でも、また深海棲艦に味方するような利敵行為をやらかしたらこの爆弾で処理される。要は、今の私の命は長門さん次第ってわけ」

「ソ、ソンナ!?」

「暁お姉ちゃん。そういう事情があるなら無理して電を庇わなくていいわよ。大丈夫、電は私が守ってみせるから」

「……ごめん、お願いするわ」

 

 長門の脅しにより命の危機に晒された暁。その事情を知った電が悲痛な声を上げる中、雷は自分の命を投げ出してまで電を守らなくていいと諭す。暁は電のことを雷に託して後ろ髪を引かれる思いで長門の前に立ちはだかるのをやめ、【システム】との戦いの方に参戦していった。

 

 

「さーて、第弐鎮守府の長門さん。悪いけど、私は何を言われてもここを退くつもりはないわ。だから電を沈めるのは諦めてちょうだい」

「……それが第参鎮守府の総意、ということでいいんだな?」

「え?」

「電轟棲姫を庇うのであれば第参鎮守府も人類の敵だ。ならば、我々5つの鎮守府が結託してお前たちも潰すことになるが、それで本当にいいんだな?」

「ッ!?」

 

 長門からありったけの殺気をぶつけられた雷は動けなくなる。唐突に第参鎮守府と妹の電とを天秤にかけられ、片方しか選べない状況に持っていかれた雷は選べない。どちらか片方だけなんて雷には選べるはずがないのだ。

 

 

「……」

「沈黙は肯定とみなすが、それで構わないな?」

「長門さん。そこまでにしてくれないかしら?」

 

 沈黙する選択肢すら潰され、いよいよ雷に選択の余地がなくなった時。海中から顔を出した伊168が長門を落ち着けようと声をかける。長門は伊168の姿を捉えると、この場に伊168がいることが相当意外だったのか、目を丸くした。

 

 

「イムヤ!? 無事だったのか。……いや、それよりなぜイムヤまで電轟棲姫を庇う!? お前も電轟棲姫を妹だとでも言い張るつもりか?」

「それはないから安心して。……ねぇ、長門さん。電轟棲姫が憎いのはわかるけど、今は正直猫の手も借りたい状況なの。【システム】は強い。ここに集まってくれた戦力で総力戦をやっても倒せるかは結構厳しいのよ。だからにっくき電轟棲姫をいっそ酷使して、人類のために使い潰してやるって気持ちになって、ここは矛を収めてくれると嬉しいんだけど」

「イムヤ……電轟棲姫に連れ去られて洗脳でもされたか? 今のお前の意見に耳を傾ける価値はない。そこを退け、さもなくば……お前を沈めることも視野に入れさせてもらう」

「え、は? なに、正気なの?」

「正気さ。電轟棲姫の確保の邪魔になるなら、イムヤを殺しても構わない。あの時の提督の命令はまだ残っているからな」

 

 伊168の制止をまるで聞き入れず、少しばかり無茶な理論武装でこじつけた上で長門は伊168に砲口を向ける。だが、伊168に引き下がるつもりはない。電とはここまで一緒に旅をして、仲を深めてきたのだ。一度、潜水棲姫として轟沈した記憶を引き継いでいることも影響して、突きつけられる死の脅威程度で退くような柔なメンタルではないのだ。

 

 

「雷オ姉チャン! イムヤサン! 私ノコトハイイカラ、ココハ退イテ――」

 

 自分のせいで雷や伊168が沈められるかもしれない。電は電轟棲姫のスペックであれば戦艦の砲撃だろうと早々には沈まないことを主張して、雷と伊168を下がらせようとする。が、電の声を遮るようにして、電の背後から1隻の艦娘のドスの利いた声が響いた。

 

 

「――ったくよぉー。何だか不穏な気配を感じたから来てみたら……おい、オレの大事な仲間に何しようとしてんだ?」

 

 電が弾かれたように背後を振り返ると、第参鎮守府の旗艦こと天龍型軽巡洋艦一番艦・天龍が憤怒に満ち満ちた、最高にイイ笑顔を浮かべていた。この時。電は初めて天龍の本当に怖い姿にビビり、「アワワワワ……」とガタガタと小動物のように体を震わせるのだった。

 

 




電→深海棲艦の体に艦娘の心を宿した暁型駆逐艦四番艦。今回はあんまり目立たなかった。が、これでも地の文で一回しか存在を示唆されなかった奈落棲姫よりはマシだったりする。
伊168→前世が潜水棲姫だった海大Ⅵ型潜水艦一番艦。長門を落ち着けるため、妥協点を提示するも失敗した。命の危うい電(ヒロイン)のために体を張るとかマジ主人公。
鳥海→第肆鎮守府所属の高雄型重巡洋艦四番艦。提督の影響によりすっかり会社人っぽくなった。
U-511→第肆鎮守府所属のUボートIXC型潜水艦。「信じて送り出したU-511が…」がデフォルト。鎮守府のノリに慣れつつあるため、ろーちゃんに変貌するのは時間の問題であろう。
伊8→第肆鎮守府所属の巡潜三型潜水艦二番艦。ここのはっちゃんは割と守銭奴。稼いだお金を溜め込んで、その内に様々なジャンルの本を大人買いしたいらしい。
長門→第弐鎮守府所属の長門型戦艦一番艦。ふぇぇ、ここの長門さんは全然駆逐艦に優しくないし深海棲艦への憎しみに囚われてるからすっごく怖いよぉ。
暁→第弐鎮守府所属の暁型駆逐艦一番艦。以前、電轟棲姫が伊168を連れ去る手助けをした罰で自爆用の黒い腕輪をつけられた模様。即刻解体処分とならないように青葉が暗躍した結果である。
雷→第参鎮守府所属の暁型駆逐艦三番艦。今回は久しぶりに再会した妹の電への愛が暴走気味だった気がしないでもない。
天龍→第参鎮守府所属の天龍型軽巡洋艦一番艦。今の天龍は龍田と同レベルで怖い感じになっている。フフ怖さんは本気を出せば駆逐艦娘を怖がらせられる子だったらしい。
魂甲棲姫→深海棲艦側の偉い地位に就いている深海棲姫。元金剛。電たちが少しでも有利な状態で戦えるように艦娘の増援を誘導したが、集まった艦娘たちの間に不穏な気配が漂い、足並みをそろえられない可能性については特に考えていなかった模様。
空母ヲ級→電への補給関係の任務を担う深海棲艦。ここでは無口キャラとなっている。が、表情は結構豊かなので考えていることが外に漏れやすかったりする。
【システム】→深海棲艦の生みの親であるシン(仮名)を完全に取り込んだ、直径3メートルほどの漆黒の球体。次回までは空気になりそうな予感。

 というわけで、最終章2話は終了です。前半はどこまでも先を見据えて策を講じちゃう金剛さんSUGEEEE!で、後半は艦娘がいっぱい来たけど皆が皆、電の味方とは限らない恐怖が発露しちゃうって感じでしたね。……後々に『長門さん大正義』回を用意してはいるんですけど、その『長門さん大正義』回でここの長門への心証が良くなるかが非常に心配になってきましたぜ。

 ところで、この作品での【システム】戦のように、RPGとかで手下を引き連れた強敵とボス戦になった時、皆さんはどのように対処するタイプですか? 私は手下を一掃してからボスを倒そうとして、すかさずボスが手下を無限に補充する様子を見て軽く絶望し、最終的にパーティーが全滅しちゃってゲームオーバーになるタイプです。


 ~参考資料(現状判明している【システム】戦に参加中の艦娘の編成内容)~

主人公一行:電(小破)、伊168、奈落棲姫(小破)
第壱鎮守府:??、??、??、??、??、??
第弐鎮守府:長門、暁、??、??、??、??
第参鎮守府:天龍、雷、??、??、??、??
第肆鎮守府:??、鳥海、??、??、U-511、伊8
第伍鎮守府:??、??、??、??、??、??
第陸鎮守府:??、??、??、??、??、??

※各鎮守府の一番先頭に名前の記された艦娘が旗艦となっています。
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