【完結】元の体を取り戻すのです! by.電   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。最終章ともなるとこの作品の終盤感がひしひしと感じられますね。それにしても、この作品の序盤で登場させたっきりのキャラを終盤で再登場させるのって結構楽しいですね。私自身、かなりウキウキしながら天龍とか雷の描写をしてたりします。こうして私のよくわからない感性がまた1つ発覚するのだった。


 ~参考資料(現状判明している【システム】戦に参加中の艦娘の編成内容)~

主人公一行:電(小破)、伊168、奈落棲姫(小破)
第壱鎮守府:??、??、??、??、??、??
第弐鎮守府:長門、暁、??、??、??、??
第参鎮守府:天龍、雷、??、??、??、??
第肆鎮守府:??、鳥海、??、??、U-511、伊8
第伍鎮守府:??、??、??、??、??、??
第陸鎮守府:??、??、??、??、??、??

※各鎮守府の一番先頭に名前の記された艦娘が旗艦となっています。



3話 総司令艦の元に団結するのです!

 

「――ったくよぉー。何だか不穏な気配を感じたから来てみたら……おい、オレの大事な仲間に何しようとしてんだ?」

 

 海上にて。【システム】&深海棲艦たちと、各鎮守府の艦娘とが大規模な戦闘を繰り広げる中。第弐鎮守府の旗艦こと長門型戦艦一番艦・長門は、因縁のある暁型駆逐艦四番艦・電を沈めようとする。が、その行為に第参鎮守府の旗艦こと天龍型軽巡洋艦一番艦・天龍が待ったをかける。大抵の艦娘であれば怯え竦むであろう、イイ笑顔を浮かべながら。

 

 

「何を? 決まっている。人類の敵を海の藻屑にしようとしているだけだ。天龍。お前もそこの電轟棲姫を庇い立てするのか? ならば、本格的に第参鎮守府が深海棲艦に肩入れしてるとみなさないといけなくなるな」

「ま、否定はしねぇぜ。実際、第参鎮守府が電轟棲姫に肩入れしてるのは事実だからな」

「ちょっ、天龍さん!?」

 

 長門の凄みを利かせた問いに、天龍はあっさりと首肯する。そのことに第参鎮守府所属の暁型駆逐艦三番艦・雷は目を見開いて驚きを見せる。当然だ。今の長門の主張を真っ向から肯定してしまえば、第参鎮守府の立場が一気に危ういものになってしまうのだから。

 

 

「ほう、認めるんだな?」

「オレはウソが嫌いだからな。けど、勘違いするなよ。第参鎮守府が肩入れしているのは電轟棲姫限定だ。ついでに、そのことについて大本営から許可をもらっている」

「……何だと?」

「電轟棲姫は今までの深海棲艦の共通的な特徴をことごとく逸脱したイレギュラーな個体だ。深海棲艦のくせに艦娘に対し殺意や憎悪を見せない。深海棲艦のくせに艦娘としての記憶を抱え持っている様子を見せる。挙句、電轟棲姫を見て『妹だ、妹の電だ!』と頑強に主張する艦娘が現れる始末。そんな稀有な個体を鎮守府に招待し、生態を調べ尽くすことで、深海棲艦に関する新事実を見つけられるかもしれない。電轟棲姫から戦争を優位に運ぶ何かを見いだせるかもしれない。……ってことで、第参鎮守府には電轟棲姫を迎え入れ、丁重にもてなしつつ調査する許可が上から出てるんだよ。電轟棲姫は第弐鎮守府とは違って、第参鎮守府には一切の敵対行為を示さなかったから、第参鎮守府こそが電轟棲姫を調べるのに適格だって話になったからな」

「な、バカな……」

 

 天龍は第参鎮守府が電轟棲姫を庇っても何ら問題ない立場であることを刺々しい口調で長門に説明する。対する長門は、妙に電轟棲姫を守ろうとする第参鎮守府を黙らせるのに効果的な手段をまさかの形で使えなくされたことに思わず言葉をなくす。

 

 

「え、天龍さん? 何その話? 要するに、電が元の体を取り戻せないまま第参鎮守府に帰ってきても大丈夫なように、提督が大本営と交渉して、許可を取りつけて、電の居場所を確保してくれたってことよね? 何それ。私、全然聞いてないんだけど?」

「そりゃあ提督と秘書艦の菊月とオレしか知らない情報だからな。知らなくて当たり前だ」

「……へぇ。この私まで緘口令の対象に入れるなんて、いい度胸してるじゃない。後で覚悟しなさいよ、し・れ・い・か・ん?」

 

 天龍の口からいきなり飛び出てきた想定外な情報に雷は思わず、長門に聞こえないよう耳打ちで天龍に問いを投げかける。その後、天龍の赤裸々な返答を受けて、雷は肩をわなわなと震わせながら提督への怒りを表現する。よほど、妹の電に関する情報を姉の自分に対しても伏せられていたことが雷の逆鱗に触れたらしい。

 

 

(提督、ご愁傷さまだな。骨はしっかり拾ってやるぜ)

 

 天龍はフッと軽く笑みを零して目を瞑った。

 

 

「長門さん。呆然となってる所、悪いけど……仮にそこの電轟棲姫を第参鎮守府もろとも殺すって流れになったとして、私たち第陸鎮守府も電轟棲姫と敵対するつもりはないわよ」

「な、なぜだ!? なぜ第陸鎮守府までもが電轟棲姫を守ろうとする!?」

「私たちは電轟棲姫に一度命を救われた借りがあるわ。例え敵だろうと、受けた恩はちゃんと返さないと艦娘の恥よ。だから、恩返しをする前に殺されるなんて展開はお断りなの」

「ッ!」

 

 と、ここで。どうにか天龍を退かせるのに足る論理を持ち出そうとする長門に対し、第陸鎮守府の旗艦こと吹雪型駆逐艦五番艦・叢雲がテクテクと近寄り、第陸鎮守府としての意思をしかと主張する。第参鎮守府に続いて第陸鎮守府が電轟棲姫の味方に回ったことに酷く動揺する長門に叢雲は毅然と理由を言い放つ。

 

 

「私たち第伍鎮守府も第陸鎮守府と同じ意見です。電轟棲姫にこれといった恩義はありませんが、あの禍々しい黒の球体よりも敵対意思のない深海棲姫を敢えて優先する理由もありませんし」

「第肆鎮守府も同意見よ。これまでの態度やあの黒い球体に襲われていた様子を見る限り、電轟棲姫は後回しでいいわ。敵の敵は味方、今はそれでいいんじゃない? 電轟棲姫を一旦放置してたら何か問題あるの、長門?」

 

 すると。第伍鎮守府の旗艦こと扶桑型戦艦一番艦・扶桑に第肆鎮守府の旗艦ことビスマルク型戦艦一番艦・ビスマルクも、電轟棲姫を何よりも優先して潰す意思がないことをはっきりと示す。そして。いよいよ長門の、第弐鎮守府の立つ瀬がなくなりつつあった頃。長門の背後から歩み寄り、ポンと肩を優しく叩く艦娘が現れた。第壱鎮守府の旗艦こと大和型戦艦一番艦・大和だ。

 

 

「……長門。呉越同舟という言葉があります。今、私たちが最優先ですべきことはこの理性ある電轟棲姫や奈落棲姫をすぐさま葬ることではありません。彼女たちの協力を得た上で、あちらの知性を失った深海棲艦の軍勢やあの宙に浮かぶ謎の黒い球体をどうにかするべきでしょう。因縁があるのはわかりますが、いざこざは全て終わってからにしてください。いいですか、長門?」

「……そう、だな」

 

 柔らかいながらも芯のある大和の説得。第弐鎮守府が孤立してしまい、引き下がらざるを得ない状況に、長門は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべつつも電轟棲姫を轟沈させる意思を取り下げた。これでひとまず、電が艦娘から死の脅威を突きつけられることはなくなったのであった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「さて。せっかくこうして都合よく各鎮守府の旗艦が集まったわけですし、他の皆が敵を抑えている間に、決めるべきことをさっさと決めましょう」

「決めるべきこと?」

「この連合艦隊の暫定的な総司令艦は大和ってことになったはずだろ? 他に決めなきゃいけないことって何かあるか?」

 

 大和の発言にビスマルクと天龍が率直に疑問を呈すと、大和は「そのことですが、総司令艦は私じゃなく、別の者に移すべきだと考えています」と己の意見を述べる。そして、大和は凛とした眼差しをスッと電へと移動させた。

 

 

「?」

「それで、この連合艦隊の総司令艦だけど……お願いできますか、電轟棲姫?」

「「「「「ええッ!?」」」」」

「エ、私!?」

 

 大和のもたらした提案に各鎮守府の旗艦たちはそれぞれ驚愕の声を上げる。だが、一番驚いたのは総司令艦として指名された電本人だった。寝耳に水極まりない提案だったのだから、電が焦りに焦るのも無理からぬことである。

 

 

「ド、ドドドウイウコトデスカ!?」

「簡単な話です。あの黒い球体について無知な私がこのまま総司令艦の座に居座り続けるのは得策ではありません。そして、あれについてこの中で一番詳しいのは貴女でしょう? あれに一番思う所がありそうですし、私は貴女に総司令艦を任せたいと思っています。どうでしょう?」

「ふざけるな! 誰が、誰が深海棲艦なんかの指示に従うかッ!」

「あんまり今の長門に賛同したくないけど、私も反対よ。さっき私は敵の敵は味方と言ったわ。つまり、電轟棲姫は第肆鎮守府にとっては敵なの。さすがに敵を指揮系統のトップに据えたくない。大和さんが総司令艦のままでいいと思うんだけど」

 

 慌てて電が大和に駆け寄り発言の意図を尋ねると、大和は柔らかな笑顔で電に総司令艦の座を渡そうとする。が、電が返答するより早く、長門が大和に突っかかり、ビスマルクも異を唱える。言葉にこそ出してはいないが、第伍鎮守府の扶桑も顔をしかめており、大和の提案を好意的には受け取っていない。以上の様子を踏まえて、電は大和に返事をした。

 

 

「ア、アノ。大和サンノ言ウコトハ尤モナノデスガ、私ガ総司令艦ニナルト、コノ場ニイル艦娘ノ結束ガ脆クナッテシマイマス。ダカラ、私ノ代ワリニイムヤサンヲ推薦シマス」

「え、デンちゃん?」

「イムヤサンハ私ヨリモ頭ガ良クテ、コレマデモ助ケラレテキマシタ。イムヤサンナラ、アノ黒イ球体、【システム】ニ対シテモ最善ノ対処法ヲ指示シテクレマス。……ダカラ、大和サンガソノ気ナラ、イムヤサンニ託シテホシイノデス」

「なるほど。では、伊168さん。お願いしていいでしょうか?」

「……私以外に候補がいないのなら仕方ないけど、他の皆もそれでいいの?」

 

 電の心からの推薦の影響により、大和から総司令艦の役目をお願いされた伊168は他の鎮守府の旗艦の顔を一瞥する。そして。電轟棲姫に任せるぐらいなら仕方ないか、といった感じの長門、ビスマルク、扶桑の反応を読み取った伊168は「じゃあ私が暫定的な総司令艦になるわ。よろしくね」と、特に何とも思ってなさそうな口調でペコリと軽く頭を下げた。

 

 

「じゃあ早速艦隊を半分に分けるわ。【システム】の破壊を重視するグループとわらわら集まる深海棲艦の数減らしを重視するグループ。どっちがいいか、各々希望を言ってくれないかしら?」

「あれは【システム】と言うんですね。……あの未知の【システム】の情報を探り、勝利への道筋を作り出すことこそが練度の高い私たち第壱鎮守府の責務と心得ています。なので、第壱鎮守府は【システム】の破壊を重視するグループを希望します」

「無論、第弐鎮守府は【システム】の破壊を重視するグループを選ばせてもらう。深海棲艦を生み出した元凶を壊すことが第弐鎮守府の悲願だからな」

「電は【システム】の破壊の方に回るんだろ? だったら第参鎮守府は【システム】の破壊を重視するグループ一択だぜ」

「あの【システム】とやらが宙に浮いている以上、魚雷はほぼ届かない。潜水艦娘を2名連れてきてる私たち第肆鎮守府は深海棲艦の数減らしのグループに回らせてもらうわ」

「第伍鎮守府としてはどちらのグループでも構いませんが、グループ人数のバランスを考えて、深海棲艦の数減らしの方を希望させていただきます」

「私たち第陸鎮守府は他の鎮守府と比べて練度が低いから、取り巻きの深海棲艦の数減らしを担当したいです。【システム】の破壊は私たちには荷が重すぎるような気がしますし」

 

 伊168の簡潔な指示を前に、大和、長門、天龍、ビスマルク、扶桑、叢雲の順でそれぞれの鎮守府は己が担当したいグループを伊168に告げた。

 

 

「へぇ、キレイに割れたわね。わかったわ。なら要望通り、第壱、第弐、第参鎮守府は【システム】の破壊。第肆、第伍、第陸鎮守府は深海棲艦の処理を優先して行動すること。電轟棲姫と奈落棲姫は【システム】の破壊に回すから、くれぐれも同士討ちはしないように。もし後から支援艦隊が来るようなら、その所属鎮守府が担当するグループに加勢させるように取り計らってね。……あと、1つだけ。総司令艦って重要な役目を渡されておいてなんだけど、私は全体への指示を極力しないつもりよ。私に信用なんてないのは目に見えてるし、勝利を導こうとバンバン指示を飛ばした所で即興の連合艦隊に高度な連携は期待できないでしょうしね。……基本は臨機応変。それぞれの艦隊で、状況に応じて旗艦が最善の行動を選択しなさい。優秀で誇り高い皆なら最低限の指示だけでもそれぐらいできるでしょ? てことで、以上! この戦い、何が何でも勝利するわよ!」

「「「「「「応ッ!」」」」」」

 

 伊168が総司令艦の役目をきちんと全うできると今の指示で判断されたからか、各鎮守府の旗艦たちはそろって威勢の良い返事を上げる。かくして。ようやく艦娘サイドが電一行を取り込んで一丸となることに成功し、【システム】に総力を挙げて立ち向かう体制が組み上がるのだった。

 

 




電→深海棲艦の体に艦娘の心を宿した暁型駆逐艦四番艦。いきなり大和から総司令艦の役目をお願いされた時の彼女の心境は容易に察せられることだろう。
伊168→前世が潜水棲姫だった海大Ⅵ型潜水艦一番艦。電の代わりに総司令艦として艦娘サイドに勝利を導く役目を任されることになるとか、マジ主人公。
長門→第弐鎮守府所属の長門型戦艦一番艦。せっかくの電轟棲姫を潰せるチャンスが場の状況的に消滅してしまったのが納得いかない模様。伊168のことを洗脳されたとか言っていたが、伊168の指示が結構的確だったため、伊168の指示に従うことに不満はない模様。
天龍→第参鎮守府所属の天龍型軽巡洋艦一番艦。怒ると真っ先に手が出そうな印象なのに、落ち着いた理論武装で長門の暴走をピタリと止めることに成功した。
雷→第参鎮守府所属の暁型駆逐艦三番艦。提督が電轟棲姫もとい電の情報を自分にまで隠していたことに激おこの様子。はたして第参鎮守府提督は怒れる雷の手から逃れられるのか。
叢雲→第陸鎮守府所属の吹雪型駆逐艦五番艦。以前、結果的に電轟棲姫に命を救われたことに恩を感じており、いつか借りを返しておきたいと常々考えていた。
扶桑→第伍鎮守府所属の扶桑型戦艦一番艦。薄幸美人なのがデフォルト。何かと不幸不幸と言うことで第伍鎮守府の胃痛提督を精神的に苦しめているが、本人に自覚はない。
ビスマルク→第肆鎮守府所属のビスマルク型戦艦一番艦。『でかい暁』扱いされるのがデフォルト。元々の自信家の性格に第肆鎮守府提督の性格が影響してエリートOLな雰囲気を纏っている。
大和→第壱鎮守府所属の大和型戦艦一番艦。大和の名にふさわしい、安定した性格と頼れる性能を併せ持つのがデフォルト。この作品でも第壱鎮守府の旗艦を任されるぐらいには性格的にも性能的にも優秀である。

 というわけで、最終章3話は終了です。一時は艦娘サイドで内部分裂も考えられましたが、どうにか結束することに成功した感じの話でしたね。さて、次回からは今回は放置していた【システム】戦の描写に入るわけですが……やっぱ、キャラがいっぱい出てくる戦闘は楽しい反面、苦労もいっぱいですな。うむ。


 ~おまけ(一方その頃)~

曙「さっきからあそこで集まって何を話し合ってるか知らないけど、あいつらいつまでサボってるつもりなのよ!? いい加減、さっさとこっちに来て働け、ニートども!」
吹雪「お、落ち着いて! 曙ちゃん! どうどう!」
曙「私は馬じゃないわよ!」

曙→第伍鎮守府所属の綾波型駆逐艦八番艦。史実の悲惨っぷりの影響を大いに受けているのがデフォルト。「クソ提督」と連呼する立場から第伍鎮守府の胃痛提督を精神的に苦しめている。本人に悪気はあるが、中々修正できないのが悩みだとか。
吹雪→第伍鎮守府所属の吹雪型駆逐艦一番艦。第伍鎮守府の胃痛提督の数少ない良心である。


 ~参考資料(現状判明している【システム】戦に参加中の艦娘の編成内容)~

主人公一行:電(小破)、伊168、奈落棲姫(小破)
第壱鎮守府:大和、??、??、??、??、??
第弐鎮守府:長門、暁、??、??、??、??
第参鎮守府:天龍、雷、??、??、??、??
第肆鎮守府:ビスマルク、鳥海、??、??、U-511、伊8
第伍鎮守府:扶桑、曙、吹雪、??、??、??
第陸鎮守府:叢雲、??、??、??、??、??

※各鎮守府の一番先頭に名前の記された艦娘が旗艦となっています。
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