トンネルを抜けるとそこはおれのまったく知らない世界だった。
「はぁ?」
何時ものとおなじように夜勤帰りでだらだらと原チャを運転しながら帰っていた。
そして何時もと同じ道を通って、トンネルと抜けた。
でも、そこにあったのは何時もと同じ道ではなく舗装すらされていない砂利道、そして周りは木だらけの森の中にいた。
「何? これ? 俺、夢でも見ているのか?」
ぐにぃーと頬を引っ張ってみるがただ痛いだけ。夢ではない。
「だったら何なんだよ! 意味わかんねんだよ! 何がトンネルを抜けるとだぁ!!! 川端康成じゃねんだよ!!!!!」
近くにあった木をとりあえず衝動に任せて蹴り飛ばす。何度も何度も蹴りまくる。
「というか、何でさっきまで後ろにあったトンネルまで消えてんだよ! マジで意味わかんねえんだよ!!! 理不尽にもほどがあるだろ!!!」
そのまま何度も衝動のままに叫びながら木を蹴り飛ばしていたら、さすがに疲れた。
「ぜーはー、ぜーはー、まったく意味わかんねんだよ。こんちくしょー」
暴れて、いくらか落ち着いたところでゆっくりと現状を確認してみる。
「まあ、何度見ても木しか見えねえんだけどな。しっかし、マジでどうするか」
何度、周りを見回してもあるのは木々だけ。人の姿どころか、影すら見えない。
「おお、そうだ!!!」
俺はポケットからスマートフォンを取り出す。こいつの機能を使えば現在位置なんて一発でわかるぜ!
「って、電波ねぇぇぇぇええええええ!!!!!」
そのまま、スマフォを叩きつけそうになるがさすがにそれは自重する。そして、俺はため息を吐きながら、ガソリンメータを見ながら言う。
「まだ、ガソリンは残っているよなあ。とにかく移動するか」
ここがどこだかわからないが、こんな森の中にいつまでもいるわけにもいかないだろう。
キーをまわし、原チャのエンジンをかける。
「当てがあるわけでもないし、適当に行くか」
已む無く、俺はこの森の中を進み始めた。