クロボウと私   作:しろっこ

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カラス天狗さんは何も食べないらしい。やっぱり仙人の仲間なのだろうか?

『《第2回》ハーメルン小説コンテスト』『悪意なき嘘』参加作品



第7話<霞か仙人か>(常新2版)

「ワシのことは気にせず、食べるが良い」

 

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クロボウと私(クロわた)

:第7話<霞か仙人か>(常新2版)

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<<アパート:霞(かすみ)?>>

 

日没までは、まだ間があるといってカラス天狗さんは、再び外へ出て行った。

 

私は、とりあえず近くのスーパーまで夕食と明日の自分の食材の買出しに出た。そのとき、さっき天狗さんが言っていた水……ミネラルウォーターで良いのかな?も買うことにした。

 

よく仙人は霞(かすみ)を食べているというけれど、天狗さんも同じなのかな?何となく水道水ではダメで、彼の言う”気”のある水が良いのだろうと思う。

 

買い物から帰っても彼は、まだ外にいるようだった。私が夕食の準備をしていると、彼はスッと玄関から入ってきた。でも、直ぐに玄関脇の半畳ほどの狭い場所に、はまり込むようにして座ると、そこで動かなくなった。本当に”置物”だな。

 

チラチラ見ると、本当に胡坐(あぐら)をかいて、まさに”大仏”みたい。多分、瞑想か何かをしている彼の邪魔をしないように、私は彼の近くに、買ってきたミネラルウォーターのペットボトルを置いた。

 

「ああ、かたじけない」

いきなり彼が反応したのでちょっとビックリした。

 

「はい……」

ちょっと、どぎまぎした。でもその後も彼は黙ってジッとしているので私は、

自分の食事の準備を進めた。

 

すぐに食事の準備は出来た。でも彼は、そのまま座り続けている。声もかけづらいし、どうしようかと思った。取りあえず私だけで食べようかな……と考えていたら、彼は目を開けた。

「案ずるな。ワシのことは気にせず、食べるが良い」

 

「は、はい」

それを聞いて、私は自分の食事を準備した。

 

いつもならTVを見ながら、だらだら食べるのだけど。今日は天狗さんがいる。さすがに迷惑かと思ってTVは見ないで、そのまま食べた。

 

その後も彼は微動だにしない。退屈しないのかな?何が楽しいのかな?そう思っていた。本当はお風呂も入りたかったけど、彼がいるので今日は止めにした。

 

<<翌日:出勤とニュース>>

 

結局、私も何もすることが無くて、その日は早々に寝てしまった。翌日も、私が起きたときには彼はもう外出していた。律儀に彼は鍵を外からロックしてくれていた。

 

私も今日は仕事。出勤時間までには自分で弁当を作って準備をして、そのまま着替えて外に出た。すると屋根の上に天狗さんが居た。私を認めると彼は、軽く手を上げた。私も取りあえず、軽く会釈をして、そのまま車庫から原付で会社へ向かった。

 

会社に着くと、それなりに忙しくて、仕事中はカラス天狗さんのことはすっかり忘れてしまった。ただ昼休みのときに、上司が他の社員さんと、最近大山では、たくさんの土地がどこかの企業に買われているので、リゾート開発でもするのか?という話をしていた。私は、カラス天狗さんの事もあり、ちょっと気になった。

 

でも、ウチは新聞も取っていないし、ニュースもあまり見ないから、地元の話題は、ほとんど分からない。友達も居ないし……。どうしようか、帰りにどこかで地元の新聞でも買ったほうが良いかなあ?と、ぼんやり考えていた。

 

週明けなので、ちょっと残業になったけど。夕方6時過ぎには会社を出て、私は自分の家へ向かった。途中でやっぱり気になったので、コンビニで地元の新聞を一紙、買ってみた。何か分かれば良いけど。

 

あとはスーパーで買出しをして、自宅へ戻る。玄関を開けると、まだ早いのか、カラス天狗さんは戻っていなかった。私は、食事の準備をしながら、新聞を広げてチラチラと飛ばし読みをして見る。

 

地元のニュースのページに、大山の開発について、特集記事があった。それによると、やはり数年前から大山では大掛かりな買収が進んでいるらしい。一応国立公園だから勝手には買うことは出来ないのだが、何かうまくやって、ドンドン買収されているとか。

 

なるほど……とても気になった。あとで、カラス天狗さんが戻ったら聞いてみよう。

 




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※これはオリジナル作品です。
『《第2回》ハーメルン小説コンテスト』参加作品です 
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PS:(クロわた)とは、クロボウと私の略です。
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