クロボウと私   作:しろっこ

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アレから一週間。私の平和な日々は、来訪者によって再び妨げられるの。


第9話<再訪者>(常新2版)

「あ……」

 

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クロボウと私(クロわた)

:第9話<再訪者>(常新2版)

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<<その後:変化?>>

 

あの奇妙な出会いがあってから、早くも一週間が経った。

仕事の方も新年度が始まり、いろんな意味でバタバタしていた。

 

あんな変な体験をした割には仕事が忙しくなると、どうしても天狗のことなんか忘れてしまう。

 

それでも、あの天狗がくれた宝珠とかいう珠は、大切にしている。

良く分からないけど、大事そうなものだと思うから、百円ショップで買ってきた小さな座布団に乗せて、メガネ拭きで時々磨いている。

 

もともと幽霊にもであった事が無い、金縛りもほとんど無い鈍感な私だけど。やっぱり、その珠は普通のガラス球ではないのだろう。このごろ、何となくだけど直感が鋭くなりつつあるような気がする。

ふっと何かの予感がしたら、それが当たったり。夢に色が付いて、リアルになったり。いや正直、この勢いで幽霊とかが見えるようになったら困るな~と思ったんだけど。

 

でも幸い、そっち方面の歓声は啓発されないようだ。私が夜中とかに、お墓の傍とかを通っても、別になんとも無い。むしろ休日には、前にも増して大山とか、弓ヶ浜(砂浜)に行く機会が増えた。

否定するつもりは無いんだけど、今までは毎週のように通っていたアニメショップにも何となく足が向かないんだ。いや、正直これは寂しいんだけどなあ~。アニメ好きだし。

 

別にアニメのキャラクターとかは良いんだけど、あのお店に群がっている他のお客さんの”雰囲気”に、押されるというか。彼らのオーラに巻き込まれるのが凄く嫌なのだ。

ゴメンナサイ、同じアニメファンなのに……魂が受け付けなくなった感じ。以前は、こんな感覚は無かったのに。やっぱり宝珠の効果なのだろうか?

 

<<夕方:再訪者>>

 

そんなある日の夕方。今日は仕事の都合で早く出勤したから、終わるのも早かった。平日の夕方、まだ日があるうちに帰宅するのは、学生時代を思い出すなあ~。そんな感じで、のん気にスーパーへ買い物に寄ってから、坂の上の自宅へと向かう。

今日もこの原付は元気に働いてくれている。原付って意外にモノが乗るから、買い物にも、すごく重宝する。これが自転車だと、アパートのある坂道を登るのも大変なんだ。

 

春らしい、ちょっと暖かい夕方。天候も穏やかで、遠くに大山が良く見える。夕日を反射したオレンジ色の雲が、アパート周辺の山や畑、水路を穏やかに照らしている。

ああ、これならちょっと足を伸ばして、日野川の河川敷とか皆生の海岸辺りでスケッチでもしようかしら?……なんて思っていた考えは、あっけなく打ち砕かれた。

 

アパートの屋根に、見覚えのある黒い塊が……いや、ちょっとちがうけど、やっぱり黒いカタマリが乗っかって、こっちを見ている。そう、なぜかこっちを見る視線だけは感じるのだ。

 

「あ……」

思わず直ぐに声が出てしまった。アレは、くのいちカラス天狗……アズミさんって言ったっけ?

 

何となく、屋根の上の彼女は、ニッコリ笑ったような感じもしたんだけど、私個人的には、すごく嫌な予感がした。カラス天狗がわざわざ、私のところへ遊びに来るわけがない。

 

しかも前、来たクロボウさんではないところが、またまたトラブルを予感させるのだ。これは、女の直感というところだ。

 

ただメス……というか、女性のカラス天狗が来るからには、それなりの悩みなのだろう。私は、ちょっとドキドキする気持ちを抑えながら、アパートの車庫に原付を停めて、自宅の玄関へと向かう。すると、スッといった感じで、アズミさんも降りてきた。

 

よく見たら、彼女の装束は、真っ黒ではなく、少しだけ桜色というか、小豆色のちょっとピンクのバージョンって感じだった。でもやっぱり、間近で見ると、可愛らしい感じがする。

「こんにちは」

 

「こ、こんにちは」

彼女が声をかけてきたので私も慌てて答える。声も可愛らしいな。

 




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※これはオリジナル作品です。1~8話までは
『《第2回》ハーメルン小説コンテスト』入賞作品です 
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PS:(クロわた)とは、クロボウと私の略です。
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