Three Dragons read to the moon 作:鏡夜$
第3章
「藍染が殺害されたそうだ。」
執務室で一言、砕蜂がつぶやいた。今は影人と龍三郎しかいない。だから今話したのだろう。稀代はこういう話は苦手だ。そう影人は考えていたのだが、隣を見ると龍三郎は…
「!?」
『笑っていた』。何故だかは知らないし、砕蜂はまったく気づいていないが、確実に笑っている。まるで、物事が順調に進んでいることに満足したような顔だ。
「お、おい、どうした?」
影人がそれに驚いてしばらく見つめていると、砕蜂が不思議そうに話しかけてきた。
「ん?別に何もないよ??それよりさ、山本おじちゃんの反応は?」
「ええと…内密に捜査を進めながら、旅禍討伐と朽木ルキアの処刑を第一に行動しろとのことだ。」
「あ、こちらにも報告がありますよ。」
今までずっと龍三郎を見つめていた影人は、ここで我に帰って先ほど届いた報告書を読み上げた。
「な!?処刑が明日だと!?」
「ほへぇ~…ずいぶん早いねぇ」
最初は砕蜂も驚いたが、すぐに気を取り直した。
「では、当然旅禍も止めにくることだろう。各々指令通りに、絶対に失敗のない様にな。」
「はい!」
二人とも力強い声で応えた。翌日の自分にどんな運命が待ち受けていようとも、命を犠牲にすることになっても任務の遂行を胸に誓って。
第4章
朽木ルキアの処刑当日…
「よし、行くぞ。」
砕蜂に続いて、影人、龍三郎、稀代が順に続く。
「ねぇねぇまだぁ~?」
龍三郎がつまらなそうにあくびをした。そのとき、旅禍の少年が現れ、朽木ルキアを拉致し阿散井恋次とともに逃走を図った。
「何を呆けておるのだうつけ共!追え!!副隊長全員でだ!!」
途端、砕蜂の怒声が響く。影人は、虎鉄清音、雀部長次郎とともに旅禍を追った。が、
「あらら~…」
「影人…お前という奴は…」
砕蜂は、呆れと怒りのこもったこぶしを握った。なぜなら、いつも通り本気を出す気など毛頭ない影人は簡単に吹き飛ばされてしまった。吹き飛ばされる瞬間、後ろに飛び、ダメージなどほとんど受けていないが、地に伏せたまま旅禍を見送った。が、その直後、影人は目を見張った。砕蜂が、自分の隊長が、何者かに連れ去られたのだ。
「あっ!」
影人が立ち上がろうとすると、すでに龍三郎が気づいて稀代とともに追いかけていた。
「久しぶりじゃのぉ、砕蜂」
「な!?貴様は…夜一!?」
砕蜂は双極の下方に広がる森へ着地、ほとんどの隊士も降りていった。龍三郎がいくと、それを視界の隅に捕らえた砕蜂が、刀を抜いた。それを合図として、刑軍の者たちが周囲を取り囲む。
「軍団長の名を捨てた貴様に…逃げ場はないぞ、夜一!」
勝負が決したかと思われた刹那、夜一は笑みを浮かべた後、刑軍を吹き飛ばした。
「…嘗められたもんじゃの。確かに軍団長の名は捨てたが、もう1つの名まで捨てた覚えはないぞ」
「…’’瞬神…夜一’’…」
砕蜂は苦悶の表情を浮かべた。
「と、案外、優秀じゃの。儂の一撃を避けきった者が一人おる。」
「アハハッばれちゃったぁ~」
「!?」
砕蜂は一瞬信じられなかった。なんと、龍三郎がいつの間にか夜一の首に刃を当てているではないか。しかし、驚きはこれで終わりではなかった。
「本当にいいのぉ?憧れの夜一サンだよ??」
とどめを刺すと思っていた龍三郎が、手を止め、こちらに質問してきた。
「い、いいに決まっている!早くしろ!」
「早くするのはそっちでしょぉ?言いたいこと素直に伝えなよ!」
「言いたい事なんて…別に……」
「ずっとついていくって決めてたのに、置いてかれちゃって寂しかったって言わなきゃ!」
「な!?」
こうなると完全に龍三郎のペースである。
「砕蜂…お主そんなことを……」
「これでよし!解決だね!」
龍三郎が刀を離す。しかし夜一は、砕蜂が瞬閧を放つために溜めていた鬼道が、龍三郎が現れる直前、一瞬だけ消えたのを見逃さなかった。
「ん??まぁ、気のせいじゃろ…」
「じゃあ、皆で藍染おじさんを止めにいこー!!おー!!」
龍三郎だけはなぜかテンションが高い…砕蜂はそれを見てため息を漏らしつつ、すでに瞬歩を開始した夜一を追う。当然、龍三郎も追うかと思いきや…
「出てきなよ、そこにいるのは分かってる。本当に悪いことをしようとしてるのは君でしょう?」
そう一人で呟くと、木々の合間を歩いていく…
「チッ…逃げちゃったか。まぁ、これで…」
なにかを確信した様子で、龍三郎は微笑んだ。しかしその霊圧は先ほどまでとは違い、禍々しい負のオーラで満ちていた…
一方、砕蜂たちは、反膜に守られた藍染達に触ることすら出来ずに、見送った。