その中でも最も誘惑が強いコタツ。その魔力を前に少女の運命やいかに。
「あんた何やってんの?」
「…ん、ボーッとしてる。」
「見れば分かるわよ」
呆れるように声をかけてきた少女が言った。そんな彼女に体を動かさずにチラッと見るだけでまた元に戻った。
「それ、火燵よね?朝にはなかったけど、どうしたの。」
火燵。共用スペースの一角の畳の上にあったちゃぶ台を退かして代わりに置いてあった。彼女の言う通りに朝までは無かった。そもそも、部屋の中に限らず空調が効いた寮の中は冬であっても普段着である制服(彼女達の場合セーラー服)でも問題無くなっている。
「貰った。」
「はぁ?貰ったって…あぁ、家具職人さんね。でもどうして?別に無くても問題無かったじゃない。あんたも欲しがってなかったし。」
実際、提督の執務室で見かける以外見かけない火燵を部屋に置くかどうかで邪魔だからやめようという意見が過半数で彼女もそちら側だった筈である。
「開発に行ったら…あそこは広いし、朝は空調が効くまでかかるでしょ…」
其処で待ってる間、休憩室にあった火燵に入れさせてもらったのだ。
「それで気に入ったって事ね。でもただでくれるなんて太っ腹ね。」
「提督の火燵を新調するんだって、それで試作を貰った。」
ふーん、気の無い返事をしながら荷物を片付け終わった少女が近づいてくる。
「私も入ってみて良い?」
「どうぞ…」
「…ああ、思ったより良いわね。」
これならこの前反対しないでもよかったかな…
少女の声を聞きながら意識が少しづつ遠のいていくのを感じる。
(あったかい…気持ち良…眠く…、…。)
「あら?寝ちゃったの?…夕飯には起こしてあげるわ、お疲れ様。」
「…ん、あれ…?」
周りを見渡すと先ほどまで一緒にいた少女の姿が無かった。
ぱさっ…
音に反応して後ろを見ると毛布が自分の後ろに落ちていた。
「かけてくれたのかな…。」
とんとんとん
毛布をたたんでいると、廊下から聞こえてくる足音が部屋にだんだん近づいてくるのを聞いた
がちゃ…ぎぃぃ…
ドアが開く音と共にお盆を持った少女が現れた。
「あら?起きたのね。」
「うん。ご飯?」
「そうよ。起こそうかと思ったけど…あんまり幸せそうだったから、ね?」
そう言ってウィンクを一つしてお盆をテーブルの上に置いた。
「2人分?」
お盆の上には2人分の食事が並んでいた。ご飯はホカホカと湯気が出ていてできたてであることがうかがえる。
「行儀は悪いけど、たまにはこういうのも良いでしょ。」
頂きます。そう言って食べ始めた。普段は注意する側の彼女の行動にどこか可笑しく思いながら自分も箸をとった。
「ありがと…頂きます。」
美味しい
あらそう?ありがと
え…もしかして作ってくれたの?
食堂で食べないのに頼むのも悪いじゃない
久しぶりで楽しかったわ
流石…でも次はお味噌もう少し濃くても良いかも
…私にはこれがちょうど良いのよ
でも覚えておくわ
鎮守府の夜は更けていく。少女達の話し声を静かに響かせながら。
初雪「コタツには勝てなかったよ…。」
叢雲「ちなみに妖精さんが温度調節してくれるから火傷とかはしないわ。」
初雪「暖房も同様に適温だから風邪も引かない。…おかげでそのまま寝てしまう駆逐艦が多発。」
叢雲「行儀が悪いから寮監に怒られてたわね。」
2人の会話書くの楽しすぎる…。もっと妖精さんについて混ぜたい。