バカは死ななきゃ治らない   作:しろねこパンチ

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episode7

彫りが深く、肌はチョコレート色でスキンヘッドと日本人離れした風貌だった。

 

「俺の名前はエギル。キバオウさん、あんたはベータテスターに謝罪と賠償をしろと言っているんだな?」

 

「そ、そうや!あいつらが見捨ててへんかったら今頃2層や3層だって攻略出来とったわ!」

 

「でもなキバオウさん、コルやアイテムは無かったが情報はあったんだぜ」

 

エギルはウインドウを操作しあるアイテムを取り出した。あれは俺が調査を依頼した情報屋、《アルゴ》が製作している『エリア別攻略本』通称『アルゴの攻略本』だ。モンスターのパターンやマップデータなんかを載せてある。あれは1冊500コルとなかなかのお値段のはず・・・

 

「このガイドブック、あんただって貰っただろう?ホルンカやメダイの道具屋で無料配布していたからな」

 

無料配布ぅ!?あのステータスも売りかねないアルゴが無料だと!?

 

「もろたで、それがなにや」

 

「このガイドブックは俺達が新しい街に行くと必ず置いてあった。あんた達もそうだっただろ、しかし情報が速過ぎるとは思わなかったか?」

 

「せやから、情報が早かったら何やっちゅうねん!!」

 

「コイツに載ってるモンスターやマップデータを提供したのは、元ベータテスター以外には有り得ないんだ」

 

プレイヤー達が一斉にざわめき出した。

 

「いいか、情報はあったんだ。それなのに多くのプレイヤーが死んだ、それは慢心と他のMMOでトップだった奴らのプライドが引き起こしたんだと思ってる。SAOをほかのMMOと一緒にしてはいけないんだ。だが今は、その責任を追及している場合じゃない。俺はここにゲームのクリアをしに来たんだ、違うのか」

 

キバオウは押し黙ってエギルを睨み付けていた。対峙する2人

 

「キバオウさん、君の言うことも理解できる。俺も右も左も分からないフィールドを死にそうになりながらここまで来た。でもエギルさんの言うとおり俺達は勝たなきゃならない、そのためには元テスター達の力が必要なんだ。彼等を排斥して攻略が失敗したら元も子もないじゃないか」

 

さすがナイトを自称するだけはあり、キバオウを上手く抑えた。

 

「・・・ええわ、今回はあんさんに(したご)うといたる。ボス戦が終わったらきっちり白黒つけさしてもらうで」

 

キバオウはエギルを一瞥して元の位置へと戻った。エギルもまた元の位置に戻り、どよめきが収まってきた辺りでディアベルは叫んだ。

 

「それじゃあそろそろレイドを作りたいと思う。近くにいる人でパーティーを作ってくれ!」

 

パーティー、それはコミ障にとって1番つらい作業だ。話しかける時にしどろもどろになり相手に引かれておしまいだ。普段なら絶望しているところだが、今回は違う!

 

「アスナ、俺とパーティーを組んでくれ」

 

そう、アスナがいる!今回集まっているのは44人、そのため6人パーティーが7つと2人のパーティーが1つできる。自然と俺とアスナの2人でパーティーを組むことができる。

 

「パーティーってどうやって組むの?」

 

「知らないのか?」

 

「この手のゲームをするのは初めてだもの。チュートリアルの説明以外ほとんど知らないわ」

 

なんとこのフェンサーさんはニュービーだった。ここまで来る間に見たあの超絶リニアーをモンスターに叩き込むフェンサーさんがニュービー?ビックリだ。

 

「パーティーは片方が申請してそれを承認すれば完了だ。今回は俺が申請するよ」

 

そう言ってアスナに申請を送る。アスナは承認ボタンを押しながら恥ずかしそうに話す。

 

「ゲームのこと、ぜんぜん分かんないから、キリト君に教えて欲しいな」

 

何この子超可愛い。

 

「あ、ああ。分かった後で教えるよ」

 

ありがとうと言って笑うアスナの笑顔が眩しすぎて直視出来なかった。そんなやり取りをしているとディアベルが近づいてきた。しばし考え込む様子を見せてから爽やかに言った。

 

「君達には取り巻きコボルドの潰し漏れが無いようE隊のサポートをお願いできるかな」

 

「重要な役目だな、分かった」

 

「ああ、頼んだよ」

 

キラッと白い前歯を見せ、噴水の前に戻って言った。戻っていくディアベルを横目にアスナが訴えてきた。

 

「何が重要な役目よ。ボスに1回も攻撃出来ずに終わっちゃうじゃない」

 

「2人しかいないからな、しょうがないよ」

 

そう言いながら辺りを見回す。アイツらしき人は見当たらなかった。

 

「ねぇ、彼はいたの?」

 

「・・・いや、ここにはいないみたいだ」

 

アイツなら来ると思ってたんだが、読みが外れてしまった。

 

「それじゃあ今日はこれでおしまい!ボス戦は明日の正午に決行する!明日はよろ「ちょっと待ってくれへんか!」

 

ディアベルが締めの挨拶をしようとした時、キバオウが割って入ってきた。

 

「まだ何かあるのかな、キバオウさん」

 

「すんまへんディアベルはん、ここにいる奴等に聞きたいことがあんねん」

 

ディアベルに謝りを入れ集まったプレイヤーの方を向き叫んだ。

 

「こんなかで《レンジ》っちゅうヤツを知っとるのはおらんか!そいつはワイのパーティーやったんけど、1ヶ月前に行方不明になっとんねん!行方不明で終わっとったらよかったんけど、黒鉄宮の剣士の碑を確認したしたら行方不明になった日に、誰かに殺されとんねん!」

 

辺りがざわめき出す。殺された、HPが全損したら現実でも死んでしまうこの世界で殺人が行われた。その事実にざわつくプレイヤーの中に1人、顔を青くするプレイヤーがいた。

 

「なんか知っとる奴がおったら教えてくれや!」

 

 

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