ハガネな使い魔   作:Out Lazy

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箒職人に引き続き、やらかした感のあるOut Lazyです。ランキング見たのが運の尽きでしたが、後悔はありません。


プロローグ→闇より深き融炉から来たハガネな使い魔

人間、死ぬ時はアッサリと死ぬもんなんだなと思わされた昨日の朝。事故現場で漂いながら、俺は供えられた花束を眺める。

 

(…………マジで死んじゃったんだよなぁ俺)

 

平野鋼汰(ひらのこうた)…………まあつまり俺のことだが、昨日の朝、登校中にトラックに轢かれて死んだ。まあ、女の子が轢かれそうになっててそれを助けるなんていう、笑っちゃう程ベタな展開だ。それが例え、本来なら逃げ切れた筈なのに、足が攣って動けなくなって、結果轢かれたのだとしても、世間からの目はそういうことだ。

 

で、結構未練があったらしく、俺はこうして成仏もせずに事故現場でゆらゆらと漂ってる様だ。他人事の様だが、ぶっちゃけ処理が追いついてないので、自分のことなのにどこか他人事に思えてしまうのだ。

 

さて、気分転換に、自分の未練について考えてみよう。

 

家族と別れることになったこと…………あるな、うん。仲良し家族だったし、父母弟、揃って号泣してんでやんの。止めてくれよこっちだって悲しいんだから。父さん母さん、立派な姿を見せられなくてごめんよ。哲二、偶に理不尽な兄貴で本当に済まなかった。

 

情けない最期だったこと…………いや、情けないとは思ってはいない。いやまあ、攣って動けなくなるのは間抜けだろうが、目的は達成できたし。でも、あのトラックの運転手には悪いことしたな…………俺の間抜けの所為で人を轢く羽目になるなんて…………この後のこともあるし、夢枕に出られるなら、家族の枕元で『俺は気にしてないから〜』と囁き続けるしかないな。それで追い詰めることが無ければ幸いだ。

 

あとは、ラノベを読み切れなかったことか…………。

哲二に薦められて、『アスラクライン』っつーラノベを一気読みしようと決意して、纏め買いをした翌日にコレである。なんでも、ロボに悪魔が出てくる学園モノだったらしいのだが、それを知る前にこんなことになってしまった。

 

哲二曰く、

 

『何と言ってもね、凄いのは【(ハガネ)】だよ! 完全な空間制御能力に、機巧魔神の完成形故にほとんどの追加機能をデフォルトで持って尚且つ高い性能!! 最終的に敵方になっちゃったのが残念だけど、アレはどの、どんなロボの頂点にも立てる最強さんだよ!! …………まぁ実はその上に機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)が出てくんだけどね』

 

言ってることの大半が意味不で、多分ネタバレのオンパレードな発言だっただろうし、作品のメインは学園モノってポイントなんだろうと思うんだけど、その『どのロボの頂点にも立てる最強さん』という言葉に惹かれたのだ。あと自分の名前の中に『鋼』って字が入ってたことも理由だけど。

 

別に無理を通してでも読みたいとは思わないが…………一目だけでも、その噂の鋼を見たかったなぁ…………。

 

 

 

 

「成る程、それが君の望みか」

 

 

 

 

どこからか、声が聞こえた。

 

「ふむ、一つ目の願いは遺書と家族への夢への干渉で叶えてやれる。二つ目は…………そうだな、定番のアレをやることで叶えてやろう」

(ちょっと待て、願い? 叶えてやる? もしそうなら生き返らせてくれよ!!)

 

なんだか分からないが、1番叶えたいのはそれなんだからよ!

 

だが、知ったこっちゃあるまいと、声だけのそいつは、さらに言葉を発した。

 

「やーなこった。安易なハッピーエンドはつまらんのだよ! もし、生き返りたいのなら…………」

 

瞬間、透けていた自分が何かに吸われ始める。まるで掃除機に吸い込まれる空気の様に…………ってぇぇえええッッ!!?

 

「自分で勝ち取るこった! 大丈夫、魂は幾ら擦り減らしても元に戻る様にしておくからな!」

 

そうして俺の意識は、消えていくが、その時に、ヤケに耳障りな、歯車が噛み合う様な機械音で、呪文の様なセリフが聞こえてきたのだった。

 

 

 

 

『闇より深き融炉より出でし─────其は、科学の槌が鍛えし玉鋼』

 

 

 

 

…………そして、真っ黒になった意識が戻ってきたと思ったら。

 

 

 

 

「……………………何、これ?」

 

 

 

 

シミひとつない青空。昨今お目にかかることができない草原。学校の制服みたいなのを見に纏ってるたくさんの人間。そしてそれを見下ろす(・・・・)俺に、俺を見上げるピンク髪の女の子。

 

見下ろす? 言っちゃあなんだが、俺は身長172㎝。で、今の俺の視線は…………最低でも3m程はある。

 

腕、脚、胴体…………顔は見れないが、騎士甲冑の様な意匠が見られる機械仕掛けのソレ。

 

(なな、なんじゃこりゃァァァアアアアアッッッ!!!?)

「ギュ、ギュルアアアァァァァアアアアアッッッ!!!?」

 

俺の魂の叫びは、口と思わしき部分から、歯車の擦れ合う機械音の咆哮として響き渡った。

 

 

◇◇◇

 

 

「あっはっは! 中々面白いことになったじゃない?」

「さて、これより始まる物語は!」

虚無(ゼロ)の魔法使いが、鋼の使い魔を喚び出したが故に起きたドタバタ騒ぎについて語るモノであります!」

「ではでは『ハガネな使い魔』、始まり始まりー!」

 

 

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