ボクは伝説に恋をしました。   作:0.1tトラック

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長いので、ご注意を。


第4話

(なんで、こうなったんだ・・・)

 

 

ボクは鼻までお湯に沈ませてブクブクとしていた・・・。

せっかくの疲れを取るベストタイミングだったのに、今では隣にいるレアスさんによって打ち砕かれていた。

 

 

「ふん、貴様だけ良い思いをさせる訳にはいかんでな。それより・・・」

 

 

レアスさんはカコンっと竹で出来たコップを鳴らす。

 

「この酒というものは良い!実に美味だ!そこの獣、次の酒を持って来い!」

 

 

あれから機嫌を悪くしていたレアスさんは、ボクにひときしり説教した後に温泉に浸かっていた。

ちなみに周りのハンター達は、レアスさんのあまりの機嫌の悪さと威圧感で押されたのか、ボクが説教を受けている最中にコソコソと温泉から逃げ出していた。

 

そんなレアスさんから何か面白いモノはないのかと聞かれ、すぐ目の前にあったお酒、達人ビールを勧めてみたところ、よほど気に入ったらしい。

 

なんでも喉を通り過ぎる時が最高らしい。

まだ15のボクにはよく分からない感想だった。

 

値段は500ゼニー。初期は50ゼニーという安すぎる値段だったが、なんでも高騰があったらしく、5000ゼニーという高額になった。だがその余りの高額により在庫が処理しきれず、普通の値段になったらしい。

それをもう10杯以上飲んでおり、レアスさんの顔は少し赤くなってきている様にも見えた。

 

 

 

「お、お姉さん・・・。そこまでにしておかないと酔いが回りすぎて大変ニャことに」

 

 

「・・・我は我だ。我のことは我で決める」

 

 

「ニャ、ニャ~・・・」

 

 

睨みと凄みでアイルーを追い返した。ああ、耳が下がってとても可哀想に見えてくる。

 

 

どうしたものかと考えていたら、ある事を思い出す。

 

(試してみようかな・・・)

 

レアスさんには悪いが、これ以上ココに留まるのはまずいと思い、ボクは意を決してレアスさんに言う。

 

 

 

「れ、レアスさん!」

 

 

「なんだ・・・今良い気分だ。貴様の指図など」

 

 

「早く着替えて!部屋に行くよ!!!!!」

 

 

 

「んな!?き、貴様・・・!?」

 

 

力を込めるように言うと、レアスさんはゆっくりと立つ。グギギと抵抗するようにしているが、それでも身体は動いていく。

そして脱衣所で服を着た後、集会所を出て行った。出る際にボクを恨めしそうな目線が飛んできたが。

 

 

(ほ、本当に効いた・・・。よし、今度からここぞという時に使おう!)

 

龍の祝福。それはボクが手に入れた力の一部。その能力に、『龍を言霊で従わせる』というのがあり、それをボクは実行してみた。

レアスさんにはとても申し訳ないけど、そろそろ移動したかったし、長く居座ると不味い雰囲気が漂っていたからだ。

ボクも急いで服を着てレアスさんを追っていった。

 

 

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「貴様、いつか泣き叫ぶほどの罰を与えてやるからな・・・」

 

 

威圧感を漂わせるその目線の主、レアスさんは案の定機嫌を悪くしており、ベットを占領していた。

 

「ご、ごめんなさい・・・。あまり使いたくはないんだけど、あれ以上は不味いと」

 

「ふん!人間はつまらん生き物だな、やはり!その場の空気を気にしなきゃならんとはな」

 

「色々と不味いんです、色々・・・」

 

「まあ良い、酒を知っただけでも収穫はあった。今度から貴様は我に酒を貢げ」

 

 

「え!?た、確かにボクでも買えますけど、なんで」

 

 

「よ い な ?」

 

 

 

「・・・はい」

 

 

レアスさんは初めて会ったときはとても誇り高くて怖いモンスターだと思っていたが、人になると表情は色々変わり、そして愉快そうにする。

機嫌はすぐ損ねてしまうが、ボクを助けてくれた恩人でもある。

 

 

「貴様は、何のために狩人になった・・・?」

 

 

レアスさんはベットに座って真剣な声で問いかけてきた。

 

 

「ど、どうしたんですか突然?」

 

 

「答えよ。なぜ貴様は狩りをするのだ・・・?」

 

 

目に鋭さが増す。なぜレアスさんがここまで真剣に聞いてくるのが不思議だったが、ボクもそれに応えなければならない。

 

 

「ボクは・・・」

 

 

「貴様はなぜ生命を奪う?」

 

 

「それは・・・生きるためとしか」

 

 

人間だけじゃない。この世界の生き物達は常に他の生命を奪いながら生きている。

草の生命を虫や草食モンスターが。それらのモンスターをさらに喰らうモンスターが。

いつも誰かの生命を奪って、自分達が生き残っている。そして時には自分達の生命が奪われることもある。

それが世の理だ。

 

 

 

「それは当然だ。貴様自身の答えを聞いているのだ。生きるためというのは答えになっておらん」

 

 

「答えに・・・なってない?」

 

 

「そうだ。生きるために狩りをするのは当たり前だ。だがそれだけで狩りをしている人間はいないはずだ」

 

 

レアスさんの言うとおりだ。ハンターをやっている人たちは、誰もが必ず生きるためと違う答えを持っていた。

 

世界一のハンターになりたい。英雄になりたい。全ての脅威を無くしたい。ただ殺したい。

色んな、様々な理由が、答えがある。

それならボクにも、1つだけ、答えがある。

一呼吸置いて、ボクはゆっくり話し始める。

 

「・・・ボクは、ある人にまた再会したいために、ハンターになりました」

 

「・・・・・・」

 

レアスさんが静かに聞いている。そのままボクは答えを話し続ける。

 

 

「小さい時に、ある人と出会ったんです。そしてその時、きっとまた会えるって言ってくれました。ただ、ボクは村にいるだけでは再会できる事は可能性が低すぎると考えたんです。そしてボクは考えました。ハンターになって、世界を旅すればきっとどこかでまた会えるって思ったんです。それがボクの、ハンターになった理由です」

 

 

また会うために。あの時の、10年前の白い髪の人に会うために。

 

 

「・・・それが貴様の答えか。なんとも・・・物足りんな」

 

 

「物足りない?それはどういう・・・」

 

 

「貴様は本当にそれだけか?ではその奥底にある思いはなんだ?お前は他にもあるだろう?他の人間とは違う、誰もが考えたことも無い、想いが」

 

見透かされていた。この事を言うと、誰もが変な目で見てきた。苦笑されてきた。馬鹿にもされた。

それを話すのが怖くなって、馬鹿にされたくなくて。だけどこの人は感じていたのだ。

ボクが考える、もう一つの理由。

 

 

「・・・もう一つは、ボクは古龍が、大好きだから、です」

 

 

 

「その古龍にも会ってみたいと言うのか?死ぬぞ?」

 

 

「それでも、ボクはこの目で見たい。確かめたいんです」

 

自分が大好きな古龍を。

 

それがボクの、大事な思いだ。それだけは誰にも負けはしない。譲りもしない。大事な想いだ。

 

 

「・・・ならば、次はとても堪えるものになるぞ?」

 

 

「え?」

 

 

ボクは疑問が浮かぶ。いったい、何が堪えるのだろう。ボクは分からずにいたら、レアスさんが暗い空を見る。

 

 

 

「我も見届けてやる。その戦いに、貴様はまた、新たな答えが生まれるだろう」

 

「新たな、答え?」

 

 

「そう、貴様だから考えれる、答えだ。そして貴様は強くなる。絶対にな」

 

 

いったい、彼女には何が分かるのだろうか?次はどんな事が起きるのだろう。そして新しい答え。

疑問が頭を埋め尽くす。

すると、レアスさんがボクを見ながら口を開く。次は何が起きるのか、答えてくれると期待していたが・・・。

 

 

「早く寝ろ。我はこの寝床で眠る。貴様は床で寝ておけ」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、ボクはずっこけそうになった。しかも、ボクが床で寝ることになっていた・・・。

 

反論しようとしたが、すでにベッドで横になったレアスさんはすでにスースーと寝息を立てていた。

 

 

「・・・はぁ。仕方ないかぁ」

 

 

何日ぶりかの柔らかいベッドで眠れると期待していたが、彼女に奪われてからはどうすることもできない。

ボクは適当な場所でガウシカの毛皮でできた毛布を掛けた後、眼を閉じた。

 

 

 

「貴様は優しい。だが、それには強さを兼ね備えなければならんのだ・・・」

 

 

誰かの声が聞こえたが、もう既に疲れていたボクは意識が遠のいていて、確認することが出来ず、眠りに着いた。

 

 

______________________________________________

 

 

 

ざわざわと人の騒ぐ声が聞こえてくる。何かが走る音、子供が不安で泣く声。

そしてドタドタと振動と音と共にやってきた女性に起こされた。

 

「ハンターさん!起きてください!!今すぐこの村から避難してください!」

 

 

「・・・え?避難!?」

 

「詳しい説明は村長さんに!お連れの方も起こしてくださいね!」

 

 

女性がドタドタと去っていった。避難?どういうことだろうか?

 

「・・・やはり、こうなったか」

 

「レアスさん、起きてたんですね・・・」

 

レアスさんがスクッとベッドから降りて立ち上がる。

 

 

「村長とやらに会いに行くぞ。貴様の出番だ」

 

 

「はぇ!?出番ってどういう・・・」

 

 

「いいから行くぞ!早く仕度せい!!」

 

朝から怒鳴られてしまった。出番とは何のことなのか。その疑問が未だにあるが、レアスさんをこれ以上怒らせないように、ボクは急いで支度をした。

 

 

________________________________

 

 

 

「嵐龍!?」

 

ボクの驚きの声に、ユクモ村の村長は頷く。

 

 

「はい・・・。古龍が村の近くまで接近しており、被害が広がる前に避難せよと通告が来たんです」

 

 

「古龍・・・。だから皆さん慌ててたんですね・・・・」

 

街を見る。荷車が激しく往復しており、親子連れの家族は子供を手で繋ぎながら去っていく。

行商人達も忙しそうに荷物を纏めていた。

 

 

「ハンター・・・。他のハンターさん達は!?」

 

「それが・・・ほとんどの方がもう村を去っており、腕利きの4人さん達も、今は渓流でジンオウガの狩りをしているはずです・・・」

 

 

「そんな・・・」

 

 

最早絶望的だ。ほとんど多くのハンター達はいない。腕利きの4人組も今は他の狩猟でいない。

古龍を撃退や討伐だけでもかなりの実力が求められる。その4人組が値する実力を持つかどうか分からないが、

このままでは村が壊滅になるのは時間の問題だった。

 

そんな時、とんでもない一言をレアスさんが言い放つ。

 

 

 

「貴様が狩れ」

 

 

 

その一言にボクは頭が真っ白になる。ボクが・・・嵐龍を・・・狩れ?

 

 

「え・・・なん・・・」

 

 

「貴様も狩人だろうが。喋っているだけでは滅亡するだけだぞ」

 

 

「い、いやでも・・・!」

 

 

「貴様・・・古龍に会ってみたいのだろう?」

 

 

レアスさんがにやりと笑う。

そんな笑える状況ではないのだが。

 

 

「良いか、村長とやら?こやつが嵐龍を狩るそうだ」

 

 

「ええ!?で、でもハンターさんは」

 

 

「よ い な ?」

 

 

レアスさんは脅すような口調で村長に詰め寄る。そんな村長は涙目になりながら「は、はいぃ・・・」と了承をしていた。

 

(いや、ボクの意見は!?)

 

そんな心の叫びを完全に無視して、レアスさんはボクに向き直る。

 

 

「許しも出た。よし、今すぐ武具を受け取って狩ってこい」

 

 

「いやいや・・・!ぼ、ボクは」

 

 

「今は貴様しかこの村を救える者はいないのだ。それ見てみろ」

 

 

そう言うとレアスさんは先ほどの家族を指差す。

 

子供が急に立ち止まる。その事に慌てる両親。子供は顔を俯かせたままだ。

 

「ボク・・・嫌だよ・・・村を捨てるの」

 

「今はそんな事を言ってる場合じゃないよ坊や!もうすぐ古龍が近づいて・・・」

 

「それでもイヤ!!」

 

 

ついに子供は泣き出した。両親は泣き止ませようとするが、子供は泣きやむ気配がない。

 

 

「貴様に助けを求めている。直接ではないがな・・・。それでも、貴様は見捨てるつもりか?」

 

 

 

 

この村を。

 

 

子供の大事な居場所を。

 

誰もが笑いあう、この優しい村を。

 

 

 

ボクには、特殊な能力はある。だけど、戦闘経験はあまりない。ましてや、古龍と闘ったことなどない。

大好きな古龍を・・・・。

 

 

 

だけど、不思議とボクの身体の底から湧き上がるこの気持ちは何だろうか?恐怖でもない。自分を突き動かそうとする、この衝動・・・。

 

 

守りたい。

 

救いたい。

 

誰もが愛する、この村を。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ならば、今すぐ武具を用意せい!」

 

 

 

 

その言葉にボクは頷いた後、工房に走る。

 

 

 

「・・・やはり、あやつは我が気に入っただけはあるな。ふはははは!!!」

 

 

 

ボクは今日、これから大好きな古龍を、村を救うために、狩りに行く。

 

 

 

 




お疲れ様です。0.1tトラックです。

投稿間隔が大きくなってしまい、申し訳ありません。

今回の話は難産で、ここまで書くのにとても苦労してしまいました。

次回ですが、前編と後編に分けることになると思います。

もしかしたら一つに纏めれるかも知れませんが。


そしてお気に入り登録50人以上の方、本当にありがとうございます。
ひっそり誰かに読まれるだけで良いと考えていたので、とても嬉しいです。

長い小説ですが、これからもよろしくお願いします。


それでは、ここまで読んでくださった読者様、ありがとうございました。
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