【オーバーロード】食事処もふキッチン【二次創作】(完結) 作:野神 汰月
今回は最終回の前編になります。長いですがお付き合いのほどよろしくお願いします。
それではもふキッチンYGGDRASIL編閉店…終わりの始まりの始まり
多機能フォームで入力を行っていたところ何かしらのバグで話頭のところが繰り返されてるのを教えていただき修正しました。(2025/07/18/0:09)
アースガルズの山々に囲まれた巨大な湖アームスヴァルトニル湖、その中央に浮かぶ島リングヴィにある食事処もふキッチン。主に可愛い骸骨でお馴染みモモンガの所属するギルド、アインズ・ウール・ゴウンのメンバーがよくおしゃべりに来りバフを貰いに
「……え?」
AOG襲撃事件から6年の月日が流れ、AOGのメンバーもリアルの事情から引退する者が続出する中…久々にもふキッチンに訪れたモモンガに待ち受けていたのは―――
「すまんな、モンちゃん。俺も引退するときが来たようだ…」
そう申し訳ないと謝るもふキチだった。
今日はもふキチに呼ばれて来店したモモンガであったが、ほとんどのギルメンが引退してナザリックから去ってしまった今残ったメンバーともふキチだけがモモンガの心の支えとなっていた。
だがしかし、そのうちの一人であるそのもふキチをもが今引退すると宣言している。
「なんで…どうしてですか?
自分でも無茶苦茶なことを言っていると解っているモモンガはどんどん言葉がしりすぼみになっていく…。そんなモモンガに、もふキチは
「すまないが
頭をがりがりとかきながらもふキチはなるべく明るく、諭すような声音でモモンガに言葉をかける。
「俺は……いや、儂はもう長くはないんじゃよ」
もふキチは言葉の途中で今までつけていたボイスチェンジャーを解除して
「…え?今の声って―――」
「儂な、本当は高齢のおじいちゃんなんじゃよ( ^ω^ ;」
いつものようにエモーションアイコンをぴょこんと表示させながらもふキチは語る…。
「それとなぁ…モンちゃんに話さにゃならん事がある。この後リアルで迎えを寄越すでな、一緒に来てほしいんじゃ」
もふキチはそれだけ言うとモモンガを強制退店させ、ログアウトしていってしまった。
店の前で突然の言葉に唖然としながら、モモンガもナザリックの自室に戻りログアウトをした。
※※※
―――突然だった。急にそんなこと言われても頭がついていかない。ひとつきほど俺はもふキチさんに会いに行けなかった。ギルドを維持するためにいろいろとやっていたから…。
今ではもうほとんどのギルメンが残っておらず、今いるのはたっち・みーさんとウルベルトさん、茶釜さんとペロロンチーノさん姉弟にへろへろさんに餡ころもっちもちさん。それと皆辞めてしまったからとたっち・みーさんの奥さんであるテル・ミーさん最近加入してくれて、小学生になったばかりのたっち・みーさんとテル・ミーさんの娘さんが遊びに来てくれている。
娘さんはキャッチ・ミーちゃんといって、ギルドの方針的にギルド加入条件に満たされてないから加入はしていないけどよく「モモおじちゃん♪」と言ってよくなついてくれてるとは思う。ペロロンチーノさんの視線がなんか怪しいけど、茶釜さんに折檻されているので大丈夫だろう。
そんな少ないメンツでギルドを維持するのは結構大変で…久々にもふキチさんから連絡貰って会えないかって言われた時はすごくうれしかった。あまりもふキチさんから誘われることはなかったから…。
みんなリアルの事情で辞めていってしまった…。年齢だったり仕事上でのトラブルだったり、身体を壊してしまった人、結婚して家庭を持った人…。個人的には家庭を持ったとしてもたっち・みーさんみたく続けられるだろって思ったけど。そんないろいろな事情でみんな去ってしまった。みんなで作り上げたナザリックを…アインズ・ウール・ゴウンを。
そんな中でのもふキチさんからの誘いだ。嬉しくないわけがなかった。ルンルン気分でワールド間を移動し、アームスヴァルトニル湖にアクセスするポータルを潜ってもふキッチンに足を踏み入れたのに……もふキチさんはずっといてくれるって、そう思っていたのに―――
「裏切られた……」
最初そう思った。けど、もふキチさんが明かしてくれたことによるともふキチさんはたいそうなお爺ちゃんだそうで…。
確かにあのしゃがれた声は高齢の人のそれだと思った。でも、それもボイスチェンジャーで買えているのかもしれない。
いやでも以前から俺はもふキチさんが時々高齢のおじいちゃんのように感じていた。でも、それも演技かかもしれない。だって以前リアルであったもふキチさんは―――
「そうだよ、昔テル・ミーさんの懐妊祝いで会った時もふキチさんは五十くらいのおじさんだったじゃないか…」
……いや、あの時たしか一人様子がおかしかった人がいた。もしかして何か知ってるのか?
「茶釜さん…もふキチさんのことお兄ちゃんって呼ばなくなったのってあの時以降だ……」
そう、茶釜さんはいつももふキチさんのことをもふキチお兄ちゃんじゃなくて
「やっぱりあの時何かを知った?―――茶釜さんは人気声優。もしかしたら話し方とかで違和感を?分からない…分からないけど」
きっと彼女は何かを知っているはず。そう思って彼女に連絡をしようと携帯端末を手に取ろうとして
ピンポーン―――
と部屋のインターフォンのチャイムが鳴り響いた。そう言えばもふキチさん迎えを寄越すって言ってた……あれ?そういば
なんで
もふキチさん
俺の住所
知ってるの―――?
※※※
とあるアーコロジー内にある大型の総合病院の入院棟、そのVIPルームにもふキチこと如月 凰翔(きさらぎ おうしょう)はベッドに横になり窓の外を見つめていた。
そこに映るのはアーコロジーの夜の街の明かり。世界が重金属の雲に包まれ大地や水が汚染され、こうして宇宙コロニー用の技術で作られた眉の中でしか安心して生活できなくなって久しい…。もふキチの思考は過去絵と遡る。
彼は
彼は一種のギフテッドとして生まれ、幼少の頃からあらゆる知識を湯水のように吸収しては新しい概念を生み出してきた。そのため周りからは二極端に扱われる。忌避と嫌悪、称賛と畏敬。両親はそんな凰翔の為に何でも与えてきた。書籍に当時最先端のパソコン、実験をやるための材料。決して安くはないそれを愛情と共に与えてくれた。間違ったことをしたらそれはもう厳しく怒ってくれた…。
だから凰翔は驕らず、腐らずに色んなものを作り出しては世に放ってきた。そうして彼が二十代の頃、現在の如月財閥の前身にあたる如月工業を一代で築き上げたのだ。
如月工業は小さなものはマイクロチップなどの半導体から大きなものはロケットの製造まで幅広く取り扱ってきた。最終的には宇宙コロニー建造計画の中枢にかかわるまでとなり、幾多の会社を吸収合併して最終的には財閥と呼べるまでに成長した。
二十代半ばで結婚しすぐに子宝に恵まれ、孫が生まれひ孫もできた…。最近では玄孫が小学生にまで成長し嬉しい限りだったのだが―――
「やはり年には勝てんのぅ……」
ぽつりとか細く呟く彼の御年一〇七歳。この時代においておそらく最高齢の人間であろう。
最近何かと身体の自由が利かなくなってきていた。ある程度体を鍛えて年齢に似合わず生活できていたのだがある日眩暈で倒れこんでから身体を動かすことが難しくなった。
検査の結果はニューロン・ナノ・インターフェイス(サイバー技術とナノテクノロジーの粋を終結した脳内ナノコンピューター網)の高負荷が原因による脳へのダメージだった。高負荷になるまで使用したのには訳がある。自分のこの脳内にある知識や記憶を継承するためスキャニングによる自分の複製AIをここ数年少しずつではあるが制作していたからだ。それも最近完成したと報告が上がっている。
これで大丈夫だ。子供はもう先に旅立ったが後を託せる孫もひ孫もいる…。後は最後の心残りを解決すればいつ旅立ってもいい―――いや…
「もっとあの世界を楽しみたかったのぅ…」
あの世界に残してきたものは多い。それを想うと自然と彼の頬に涙が伝った。その時、VIPルームの扉がコンコンコンとノックされる。
インターフェイスに接続されたコンソールから網膜にドアの外のカメラからの映像が映し出される。そこには彼が呼んでほしいと言った人物全員が映し出されていた。凰翔は頬を濡らす涙をぬぐうとゆっくりとした動作でドアのロックを解除する。
「
そう言って深く頭を下げて入室してきたのはたっち・みーの妻であり
「よく来てくれた。急なことで申し訳ないのう…」
凰翔は全員の顔を見て優しく微笑んだ。彼のことを知っているであろう幹久と輝美、そして何故か裕子と淳司は驚かなかったが他全員が凰翔を見て驚いた。
「改めて名乗ろう。儂がもふキチこと如月 凰翔じゃ…。以前は騙してすまんかったのう」
以前…つまり輝美の懐妊祝いパーティの件だろう。代役を立てたことについて凰翔はまず謝罪した。そしてベッドに横になった状態で済まないとも…。
「儂はな、あまり外に姿を出すことが難しい立場でな…」
そして語るのは大きくなった事業、その中で敵を作りすぎたのが原因だった。財閥といえば富裕層の中では最上位に位置する…それは敵が多いだろう。そして一代で財閥を作り上げ現在総裁として組織の頂点にいる彼を消したいところは多いはずだ…。まあ、今の凰翔を消したところでもう何もかもが遅いのだが―――。
凰翔の知識をコピーしたAIは完成している。それがあればもう彼が財閥に居続ける必要もない…。だからこそ今までとある場所で
「そしてそれを完成させてくれたのが、そこの眞山君じゃ。ご苦労だった…」
「いえ、もふキチ…いえ、凰翔さんに拾っていただいたご恩もありましたので」
淳司が凰翔のことを知ったのは懐妊パーティの後のことだ。彼から紹介された会社で彼の複製AIを作るにあたって自己紹介したのが始まりだ。本当は凰翔は淳司に自分がもふキチであることを明かすつもりはなかった。だが、AOGの面々が次々と離れていくにあたって彼は自分の正体を明かしとある依頼をしたのだ。それは―――
「驚きました。凰翔さんからモモンガさん…鈴木さんの側にいてやってくれと頼まれるとは思いもしなかったので」
「え…っ?」
「ああ、それ私も頼まれた。モモンガお兄ちゃんの側にいてやってくれって…だからこの愚弟も巻き込んでみんな辞めていく中、ギルドに残り続けたんだけどね」
「あ~…なんか急に管理責任者になったと思ったら仕事量増えるどころか減ってきっちり規定時間で帰れるようになったからって姉ちゃんにYGGDRASILやめんなよって脅されたのそういうことかぁ」
淳司と後藤姉弟はそう語る。だが、何故もふキチが悟を気にかけるのかがわからなかった…。その疑問に、凰翔は―――
「初めに結論を言うと、悟君は儂の親族……まあ、はっきり言うとひ孫にあたるんじゃよ」
と、少し声を震わせながら言った。
しばし部屋を静寂が支配する…。
「…はえっ?」
しばしの静寂の後、たっぷりと間をおいてそんな気の抜けた声を漏らしたのは悟本人だった。
「悟君のご両親は父は鈴木 敬臣(すずき さとおみ)、母は千尋(ちひろ)で合ってるね?」
「え、ええ。そうです…おれ、いや私が小学校卒業するころにはなくなりましたが…」
悟のご両親は彼が言うように彼が小学校卒業するとほぼ同じくして亡くなっている。ただ、遺産はかなりの額残してくれなのと、両親の遺言に従って高校までは出ている。
「君の母、千尋は旧姓如月 千尋と言って儂の孫娘に当たるんじゃよ。そして父親の敬臣君は如月家の料理人だった…。まあよくある話の身分差恋愛による駆け落ちという奴でなぁ」
そこから凰翔が語るのは双方のすれ違いによる悲劇であった。
誰も二人のことを引き裂こうとも思っていなかったし、なんなら応援するつもりでいたのだ。千尋の両親も、周りも…もちろん凰翔も。如月家はなんなら全員が全員恋愛結婚だったし。
しかし、なにを勘違いしたのか二人はきっと自分たちの仲を認めないだろうと思い、【探さないでください、私たちは遠くで幸せになります】とこれまたベタな書置きを残して駆け落ちしてしまったのだ。
「それからずっと探しておったのだが、これが中々見つけられなんだ。戸籍はブロックされておったから追跡はできんし、探偵を雇って探させても見つからなんだ―――が、輝の懐妊祝いパーティでこやつが君の顔を見て千尋の面影を感じたそうでな」
そして悟のことを調べていくうちに、自分の孫娘の子であることが分かったのだ。
「本当は明かさずにいるつもりではあった。だが、悟君がギルメンが次々と去って行って心を落ち込ませていると聞いてなぁ…。きっと自分は天涯孤独で、けどゲームで繋がったみんながいるから寂しくないと。でもそんな仲間たちが去っていく。そこでまた寂しさに縛られて壊れていくことも十分あり得たでな、輝を通してちょいといつもの仲いいメンツを君の側に残せればと。ただ儂…というかもふキチのこともこやつら並みに好いてくれておったのが想定外じゃった」
だから名乗り出ることにしたのだとそう言った。
「じゃあ…本当にもふキチさん―――凰翔さんが」
「うむ…まあ、悟君からしたら曾祖父にあたるかの?」
優しくそう答えて手招きをする凰翔…。その動作にひかれて悟はゆっくり……ゆっくりとその目にジワリと涙を浮かべながら近づいていき、
「……う、うわぁぁぁぁぁっ!!」
最後に号泣しながらベッドに横たわるもふキチに抱き着くのだった。
―――後編へ続く
ということで切りがいいので前編はここで。やっともふキチの正体出せました。
後編ではまだ出し切れてないもふキチの設定と異世界編につながる箇所を明かしていきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
後編はなんとか今週中に出せたらと思いますのでどうかお気に入り登録してお待ちいただければ幸いです。
それではまた次回、最終話(一応)の後編でお会いいたしましょう…See you next story,バイバイ(*´Д`)ノシ
追記:できれば評価、感想いただけますと嬉しいです☆
もふキッチンを多作品と関係させることは
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ダメ。オーバーロード一本で
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いいよ。好きな作品とかかわらせちゃえ!