バカと幻想と舌禍の女神   作:閻魔刀

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投稿です!

……って前の投稿から2週間以上も経ってる!?

編集データが一度消えたのが痛い……
まあ、皆のスペルカードをどうしようかと考えていたって言うのもあるんですけどね?




幻想入り2日目
注意:深夜1時現在、ムッツリーニはまだ寝ていません!!


小悪魔side

 

 私の名前はこあ……

 紅魔館内でパチュリー様が管理している大図書館の司書悪魔です。

 パチュリー様からの命で、この館の主である”レミリア・スカーレット”様を探し回っていたのですが……

 

「……シツレイシマシタ」

「「言い訳をさせて頂戴!!」」

 

 今のお嬢様を見たらいろんな意味で期待が出来ないので、仕方なくそのまま戻る事にしました。

 だって…… お嬢様のお部屋を無礼と思いつつ、ノックもせずにパチュリー様からの緊急事態の報告をしようと中に入ったら、「全裸で何してんの?」って言いたくなるような状況だったんですよ?

 これでも結構表現としては控えめで、これ以上の事を書くとR-18のタグが付いても仕方が無いんですから……

 

「こちらは緊急事態で大騒ぎな中、メイド長様とお嬢様はラブラブで羨ましい限りですよ」

「緊急事態なのに気が付けなかった事に関しては謝るわ。 こあ、その様子だと外来人騒ぎか妹様が脱獄したって言った所かしら?」

 

 あ、一瞬で着替えた。 お嬢様も先程までの痴態から立派なお召し物に着替えさせられていますし。

 さっきの痴態を見せられて、よく簡単にスイッチを切り替えられますね?

 

「厄介な事に両方なのですけどね? パチュリー様が言うには外来人が妹様の部屋に入り込んで、妹様が地下室の扉を結界事まとめて破壊して脱獄したとの事です」

「そうですか…… なら急ぎましょう…… お嬢様たちの食料として提供されたわけでもない外来人を傷付けたら、あの紅白巫女との騒ぎが面倒になりますからね」

 

 ああ、たしかこの幻想郷においての外来人の扱いは大まかに分けると4種類いるんですよね。

 

1.まずはこの紅魔館の様にスキマ妖怪や幻想郷そのものに受け入られて引っ越してくるケース。 こちらの方は私達の様な外に適応できなかった妖怪達にあるケースですね。

2.何かしらのきっかけで幻想郷に迷い込んでしまうケース。 この場合はその原因を取り除いてしまえば後は勝手に解決するので、博麗の巫女の元に押し付けてしまえば大抵は大丈夫です。 

3.お嬢様達吸血鬼などの人間を食料とする妖怪用に食料として提供されて誘拐されるケース。 このケースで幻想入りした人間はどうしようもないクズしかいないので、最初から何の慈悲も無く殺せる分、ストレスの発散にはいいんですよね。

 そんな事を言ったら、パチュリー様から叩かれますから絶対に言いませんけど?

4.幻想郷に何かしらの危機が迫っていて、その能力を見込まれてヘッドハンティング(勧誘)されて幻想入りするケース。 これは私達が幻想入りする前にあったようですね? 詳しい事は分かりませんけど……

 

 多分、今回の外来人は2番のケースに近い状況だったのでしょう。 そうでなければいきなり妹様の部屋に入り込んでしまうなんて起こり得る筈がありませんし?

 

「フラン一人ならいざ知らず、外来人まで関係している状況で取り押さえるにはパチェだけでは厳しいわね……  運命「ミゼラブルフェイト」!!」

 

 おおっ! レミリアお嬢様もやる気ですね!!

 運命「ミゼラブルフェイト」!! 変幻自在な鎖を敵に叩き付ける為のスペルカードですが、”鎖”と言う性質上、対象者を拘束して追撃をかける事も出来る万能スペルを出すとは!

 

「どこで戦っているのか案内しなさい。 一分でケリを付けるわよ」

「は、はい! 今パチュリー様は図書館内の地下室前のドアで迎撃態勢を整えております!」

「ならもう戦っている頃ですわね…… 私の”時間操作”を使います。 二人共、私の手に!」

 

 そう言われ、私とお嬢様は咲夜さんの手を握りました。

 それとほぼ同時に図書館前の扉に戻りましたが……

 

「相変わらず凄まじいですね、咲夜さんの”時間操作”……」

「感心するのは後にして欲しいですわね…… それにしても妙に静かです…… まるで嵐の静けさのような……」

 

 

 あれ? 咲夜さんの言う通り妙に静かですね? まさか、パチュリー様の身に何かあったというんですか?

 とにかく中に急ぎましょう!!

 

「パチュリー様! 御無事です……」

 

 先程パチュリー様と別れた場所に戻って来てみると、そこでは予想外な展開が繰り広げられていました……

 

「こあ? 悪いけど少し待っててもらえるかしら? このバカ二人にオシオキするのに忙しいから……」

 

 オシオキと言っていますが、傍から見たら虐殺後みたいですよ?

 少なくとも、パチュリー様が全身血まみれで、フラン様は白旗みたいなものを持ったまま水の牢獄の中で震えてて、外来人らしき少年はパチュリー様に胸倉を掴まれながら鼻から大量の血を吹いている光景を見せられたらパチュリー様が一方的に少年を叩きのめしたようにしか見えません……

 

「兎に角、お嬢様と咲夜さんも来ていますから、そろそろやめた方が……」

「パチェ、大丈……ぶ?」

 

 ほら…… お嬢様も固まっていますし……

 

「取り敢えず、一体何がどうなったらこんな挙句になるのか説明してくれないかしら?」

「この少年に対して私がキレた」

「いや、何があったのか分からないから何とも言えないけど、わけも分からずにこの場で処刑なんて真似したら事情を聞けないじゃないの……」

「違う…… 確かに今私は怒っているけど、まだオシオキが済んだわけじゃないわ。 フランは水符「ベリーインレイク」で動きを封じているだけだし、この子に至っては勝手に自爆して鼻血を噴きだしただけよ?」

「「「鼻血ってこんなに血が出る物じゃないですよね(じゃないわよ)!?」」」

 

 パチュリー様が全身血まみれになる程の鼻血って……

 その出血量だと人間なら死ぬんじゃ……

 

「とにかく話を聞いてちょうだい。 こあが図書館から出た後の事なんだけど……」

 

 

 

 小悪魔side end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パチュリーside

 

「……来た」

 

 私はここで日符「ロイヤルフレア」の陣に魔力を込める。

 扉を開けた瞬間に痛みを感じる間も与えずに決着を付ける為だ。

 

 

 

 

 

 

 3・2・1……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫だ、話せば分かってくれ……』

 

 

 

 

 今よ!

 

「日符「ロイヤルフレア!!」」

 

 扉がわずかに開いた瞬間を狙って、魔法陣の中心で収束させた光のエネルギーを叩き付けて大爆発を引き起こす。

 その破壊力は吸血鬼どころか生物である限り、存在を保てなくなってしまうほどに強力なモノ。

 

 

 

 

『うおっ!!』

『キャアアアアアアア!!』

 

 まあ、フランならこんな単純な攻撃なんて防いでしまうでしょうけど……

 

 あ、外来人らしき侵入者の事をすっかり忘れて……

 

「ふうっ、危なかった。 予想以上の火力だったな」

「ムッツリお兄ちゃん…… 本当に人間なの?」

 

 え…… なんで無傷なの? フランが防いだって言うなら納得がいくのだけど、当のフランの方が驚いているし……

 

「……いきなり何をする! ……俺達じゃなかったら死んでいる!!」

「地下が騒がしくなったと思ったから魔法で調べさせてもらったけど…… やっぱりネズミが入り込んでいたのね……」

 

 まあ、殺すつもりで撃ったから当たれば死ぬんだけど……

 って、あの黒服の子は見てみる限り人間よね? ただの人間じゃなかったら一体何者なのよ?

 

「貴方がどうやって避けたのかは知らないけど……」

「パチェ!」

「フラン、そこで大人しくしていなさい。 水符「ベリーインレイク!!」」

 

 フランにこれ以上暴れ回られたらたまったものじゃない。

 今はあそこのネズミの相手をしていたいから、仕方ないけどこの水の牢獄の中に閉じ込めさせてもらうわ……

 

「……おい、一体どういうつもりだ! ……まさかフランが暴れるからなんて言う馬鹿げた理由で……っ!!」

「火符「アグニサンシャイン」…… 馬鹿げた? 此方の事情も知らないネズミにそんな事を言われて黙っていたくはないけど、お前のような外来人を不必要に傷つけると後が面倒になるのよ」

「……そう言うワケにはいくか!! ……いきなり変な裂け目のような物に落とされた上に、地下で殺し合いに発展しそうになって、更に勝手な都合に振り回されて火炎弾の標的にされ、最後にはどことも分からない場所に放り出されるだと…… ふざけるな!!」

 

 全く……本当に厄介なネズミね。 こいつの言い分通りだとするなら、多分、あのスキマ妖怪の逆鱗に触れてスキマにいきなり落とされたのね。

 まあ、ほぼ無傷なのを見てみる限りあのフランを言葉だけで説得できたのでしょう……

 そこに関して”だけ”は称賛に値するけど、これ以上ははっきり言ってこっちにとっても迷惑なのよ………

 

「私達はこの後フランの封印部屋の修復で忙しくなるし、レミィの食料として提供されたわけでもないただの人間を相手に取って食ったりもしないわ。

貴方は十分凄い事をやったの。 どうやったのかは知らないけど、あの気がふれているフランを簡単に大人しくさせ、更に味方に付けてここまで上がって来たのだもの…… 人間にしては上出来よ? だけど、もうこれ以上あの子に関わろうとする理由も無いでしょう?」

「……何が言いたい?」

「この辺り一帯の地図と私の印を刻んだ書状よ。 見逃してあげるからこの二つを持ってさっさとこの部屋から出て行きなさい。 この館の内部にいる者達が相手ならその書状を見せればある程度の面倒を見てくれるわ……」

 

 

 この子は十分凄い事をやってくれたわ。

 あのフランをどうやってねじ伏せて説得したのかは分からないけど、これ以上はただの人間に関わらせる訳にもいかないし、外来人関係の余計な仕事は増やしたくないのよ……

 これは半分以上は彼にとって都合のいい口実。 この後で予想されるだろう修羅場から離れさせるために用意された逃げ道。

 ただの人間である以上、余計な危険を回避できるメリットしかないこの言葉に乗らない手はないはず……

 

「……クックックッ。 ……あっはははははは!!」

「恐怖でおかしくなったのかしら? 大丈夫よ、私の後ろ側に走って行けば廊下に出られるから、別に怯える事も……」

「……人間をなめるのも大概にしろ!!」

 

 そんな風に思っていた私もバカだったわ…… この黒服の少年はただの人間じゃない……

 何かの為となったらどんなムチャでも厭わない、生粋の正真正銘の大馬鹿な人間だった。

 

「……できるなら話し合いで解決したかった。 が、はっきり言ってお前とは戦って取り押さえた方が手っ取り早そうだ!!」

「ちょっ! ムッツリお兄ちゃん!!」

「……フラン、少しそこで待っていろ!! すぐに終わらせる!!」

 

 人間と言うのはどうして少し下手に出たらこうも調子に乗るのかしら?

 少しだけ自分が正義そのものであるかのような状況にすぐに酔って、まともな判断もしようとせずに簡単に流されていく……

 その証拠にその両手にあるのはわずかな電気を生み出すのが良いところの小道具と小刀一本のみ……

 私も舐められたものね……

 

「はぁ~っ……」

「……あ、あれ?」

「さすがはただの人間…… 魔法や能力が使える訳でもないのに、そんな小道具二つだけで私をどうにか出来ると思っているなんて、妄想もそこまで行くと見事なものね……」

「……何だと!?」

 

 あの子、意外と感情的なのね。 覆面をしていても見ただけでキレてるってわかる位だから……

 

 

「人間、私が現実を見せてあげる。 さっきまでのお遊びとは違う、お前の一生を注ぎ込んでも到達できない境地の世界があるという事を……

そしてそれに達しえる程の時間と努力をつぎ込んでも変えられない事もある現実と言う名の絶望をね!!」

 

 もうただの人間と言えど容赦しない! 殺す気は毛頭ないけど、それ以外ならなんだってやってやるわ!

 そんな思いで私は、火金符「セントエルモピラー」 を発動させたわ。

 ロイヤルフレア程の火力は無い代わりに速攻性に優れていて、対人用において確実にトドメを刺すのに使える魔法だったのだけど……

 

「……加速」

 

 それに対してあの子は躊躇なく前に突っ込んできたの。

 驚いたわ。 普通に考えたら自殺行為でしかないのよ? いくら”倒す”程度の火力に抑えているとはいえモロに喰らえば失神は確実、下手したら数週間は永遠亭に入院されてもおかしくない程度の火力は込めていたのだから。

 もし、この技を殺すつもりで撃っていたらあの子は消し炭も残らなかったでしょうね……

 

 

 

 

「なっ!」

 

 だけど、あの子は信じられないことに超スピードを発揮して見せ、簡単に躱し切って見せた。

 念の為に同じ火炎弾を数発程連射させて見たものの結果は同じ。 炎球の隙間を通り抜けるように簡単に回避して見せた。

 だけど、私もバカじゃない。

 ここで普通なら距離を取る所。 遠距離への火力以外の魔法が不足している私にとって殴り合いなんて無茶にもほどがある。 けど、近寄られた時の事を考えた魔法もいくつかは持っている。

 

 金木符「エレメンタルハーベスター」

 歯車のような形をさせた回転のこぎりを自身の周囲にいくつも展開させる事が出来る緋想天ルール限定のスペルカード。

 このスペルカードを使いながら上に飛んで、逆に超高速で突っ込んでくるこの子を交差方気味に掠めてダメージを与えてあげる。

 

「……加速」

 

 また超高速移動? どうやらこれがあのこの能力のようだけどもうその能力はなんの意味も成さないわ。

 金の刃にわざわざ突っ込んでくる狙いが分からないけど、この回転のこぎりで意識を刈り取ってあげる。

 上から追い込むように飛び込んで、私の周りで飛び回るエレメンタルハーベスターを押し付けようとした……

 

「……「不落要塞」」

 

 え? あの子今なんて……

 いつの間にか取り出していたナイフのような物でエレメンタルハーベスターの軌道をそらしながら下をスライディングでくぐり抜けて……

 

 

 ブシャアアアアアアアア…………

 

「「……え?」」

 

 イヤアアアアアア!!! まって! ありえない!! 一応、この魔法はスペルカードルールの仕様にしてあるから、当たっても血が出たりとかはしないはず……

 仮に運よくあのネズミに当てていたんだとしても血が噴水の様な事にはならないはず……

 

 

「……すまないフラン。 ……俺は先に逝く…………」

「ムッツリお兄ちゃああああああああん!?」

 

 え? もしかして、鼻血? なんで? さっき物凄い速さでスライディングしていったはずだけど!!

 私は触れてもいないし、フランが何かしたという訳でもないみたい……

 だったらなんで?

 

 

「……黒ガーター。 ……大人のいやらしい下着」

 

 ちょっ! この子まさか!!

 

「見たわね…… 私の下着……」

「……何のことか分からない」

「とぼけないで正直に答えなさい? って答えなくてもその鼻血が良い証拠でもあるんだけど……」

「……何のことか分からない。 これは誤って頭を床に打ち付けただけ」

 

 ヘタな言い訳にもほどがあるわよ!? 私の服(特に下着)を血まみれにして、へんな勘違いされたらどうなるのよ!!

 そんな気持ちであの子の胸倉を掴んでから慣れない掌底アッパーを顎に叩き付けてあげようとしていた時だったのよ。

 

「パチュリー様、御無事で……」

 

 あ…… どうしよう…… こあ達になんて説明したらいいのかしら……?

 

 

 パチュリーside end

 

 

 

 

「っていう訳なのよ」

「はあ~っ…… 本当に下らない決着…… 結局そのねずみ小僧はパチェの下着を覗いて自爆。 フランはあのねずみ小僧のおかげで信じられない位に大人しくなって隅っこで振るえているだけ……」

 

 

「お嬢様、一応彼を客室へと運んでおこうと思うのですが……」

「いや、まずは永遠亭に連れて行きなさいよ。 明らかに彼の出血量が致死量ギリギリじゃないの……」

「それが…… かれの荷物を調べさせてもらったのですが……」

「咲夜は本当にマイペースね…… それで?」

「いくつかよく分からない機械類が大半を占めていましたが、その中にいくつか輸血用と書かれた血が数パック程ありまして……」

「なんでそんなものが都合よく入っているのよ!? この子よく血を吹きだしているの!?」

「それは分かりませんがお嬢様の言う通りの可能性が高いですね。 他の道具も揃っているようですし、客室のベッドまでお運びした後ですぐに輸血を行います」

「ええ、任せたわ……『お姉さま! ムッツリお兄ちゃんを離して!!』……フランの事、すっかり忘れてたわ」

 

「レミィ、取り敢えずフランもそのムッツリとか呼ばれている子と同じ部屋に置いといてもらってもいいかしら? 地下室の修復と結界の再構築に時間がかかりそうでその間ずっとフランを水牢獄に閉じ込めておくのにも限界があるのよ……

それにフランもなぜかあの子と一緒だとすごく大人しいから、あの子が起きるまでフランに面倒でも見させておけば余計な結界を張らなくても暴れる心配もなさそうだし……」

「え…… 本当に大丈夫なの? 水の中に閉じ込めたから仕方なく大人しくなったって言うワケじゃなくて?」

「ええ、今回は本当にフランは一回も暴れていないの。 もしあの子が神経が狂っている状態で脱獄してきていたなら能力を使って水牢獄なんて簡単に抜け出して見せたでしょうし」

「確かにそうだけど…… まあ、パチェはこんなことで嘘なんて言わないし……」

 

 数分程レミリアは悩んでいたが、いつの間にか咲夜が客室のベッドへと運んで輸血の準備を済ませていたのもあって、仕方なくフランを解放して土屋が運ばれた部屋へと押し込むことにした。

 フラン自身土屋の事が心配で出歩く所では無くなったので、都合よく土屋の客室への誘導に成功。

 当初は念入りに結界を張っていたが、あまりにもフランが大人しかったのもあり、仕方なく封印結界を解くことを決断した。

 その頃には過剰な警戒心が原因で逆にレミリアたちの落ち度によって問題を起こしそうな状況に陥っているのだから仕方ないとも言えたが……

 

 

 

 

 

おまけ

 

一方、紅魔館門前では……

 

「くっ…… 何なのですか、この機械兵のような奴は!? 私の能力では機械相手だと殆ど役に立たないというのに!!」

 

 紅魔館内部が土屋とフラン関係で大騒ぎになっている頃、紅魔館の門番「紅美鈴(ホン・メイリン)」はいきなり現れた謎の機械兵との戦いに苦戦していた。

 中で暴れている外来人に用があるといきなり訳の分からないことを言って来たことを理由に追い返そうとしたのだが、相手が強引に突入しようとしてきたのを機に戦いへと発展。

 「気を使う程度の能力」は生物が相手だとそれなりに強力な力を発揮する能力である。

 だが、”気”そのものが無い機械が相手となるとこの能力は一転して最悪な能力と化してしまう。

 気をソナーの要領で周りに拡散させることで敵を感知しようにも、相手に気が無いので一切反応が無く、また生物が相手ではないので気を拳に収束させて叩き込んでも気だけではダメージを与える事が出来ず、思っていたほどの効果も上げていないのである。

 

「ここまで…… ですか……」

 

 邪魔者は排除って訳ですか…… 敵がチェンソーを振り下ろしてくるって言うのに一歩も動けない……

 こんな調子じゃ、門番なんて引退するべきなんでしょうかね?

 

「わはー!!」

 

 なっ! あの子はよく氷の妖精達と遊びに来る妖怪……

 このままじゃあの子まで巻き添えに!!

 

「うわあああああああああ!!」

 

 間に合って! 関係の無い子まで巻き添えにする訳には……

 

「何をしているんですか! なんで急に……」

 

 無邪気な笑顔を向けるその子が手に握りしめていたのは、先程少女と一緒に飛んで来た花だった……

 この子は命がけの戦いが行われている中、何も考えずに花の一点しか見ていなかったのだ……

 周りの状況なんて気にも留めていない。 少女はただ自分の小さな世界しか見ていなかった。

 

「あはは…… こんな状況で何やっているんですか……?」

 

 そう言えば幻想入り前に拳法を叩き込んでくださった師匠が言っていましたね……

 

 『他人と比べる事は無い。 キミはキミらしくあればいいのです。 もし何かの壁にぶつかった時に思い出しなさい。 ”強さ”でも”才能”でもないのです。 ”自分の世界”…… それを見据えながら己を高めていきなさい。 そしたらきっと、たどり着けるかもしれませんよ?』

 

 たしか、あの子が飛んで来た花を捕まえた時は…… こう、ゆっくりと手を伸ばすように…… 潰さないように優しく握りしめる!!

 

 

 パァン!!

 

 

 ……え? 今の何かがはじけるような感覚は一体?

 気のせいでしょうか? しかし、この謎の高揚感と自然との一体感は本物……

 

 「極彩「彩光乱舞」!!」

 

 え? 軽く放っただけなのにあんな簡単に吹き飛んで……

 もしかして、これが”悟り”……と言うものでしょうか? 今まで以上の膨大かつ純度の高い気を引き出しながらも、それに飲み込まれる事無く使いこなして見せている。

 いや、これほどのレベルの高い気を解放しておきながら、怖いくらいの落ち着きすら感じています。

 

 その一方で、相手にも心があったのでしょうか? 今の一撃を機に激怒したかのような猛攻を繰り広げてきます……

 

 虹符「烈虹真拳」!!

 

 凄い……手数を増やして乱打を試みても十分な威力になってます! 怒涛の拳打が全て的確に敵に叩き込まれて敵を後退させて見せました!!

 先程まで激怒した咲夜さん以上の悪魔に見えていた相手も、今では怖くありません。

 私があれほど恐怖を感じていた存在も、世界から見ればこんなにも小さい存在だったのですね!

 見えます! 見えますよ師匠! いえ、見えるというよりも世界を感じているのです!!

 これならきっとみんなを守る事が…… 

 

 「がっ! な、なぜそんな所から爆発が……」

 

 しまった! 相手はたしか爆弾を発射する銃を持っていました。

 一度弾を避けたとしても足元で爆破されたら意味が無いですよね……

 なんて厄介な…… それに……

 

 敵が祈るようにその両手を合わせたとたん、私が到達した境地を簡単に真似て見せています……

 相手は一体何者だというんですか? もうわけが分かりませんよ……

 

「うあっ……!!」

 

 一瞬で距離を詰めて来たと思ったら、先程とは比にならない速度でチェンソーを振って来ました!!

 一度距離を取るように回避しましたが、その後に襲って来た衝撃波だけで雑魚は一瞬で倒されてしまうでしょうね……

 私が何十年とかけて修業した事で到達できた境地を相手は”見ただけで”真似て来るなんて……

 どんな事をすればそんな事が出来るというのですか?

 

「ですが関係ありません!! 極彩「彩光乱舞」!!」

 

 だからどうしたと言うのです!! ここで退くつもりはありません!!

 敵を打ち上げて、そこから”敵が動かなくなるまで”怒涛のラッシュを叩き込むだけの事です!!

 

 

 気符「星脈弾」!!

 

 

 

 そう…… 私の戦いはこれからだ!!

 

 




結局パチュリーさんとは戦う展開になりました。
最初は戦いの意志を示さずにパチュリーさんが一方的に攻撃してくる展開にしようとしていた気がするんですが、それだとパチュリーさんがただの悪人になりますし、ムッツリーニ君の能力の描写も入れられないと思ったのもありましたので……
その時のイメージは「電〇教師」に出て来た「武〇桃太」の改心後みたいなイメージですね。
正直ぱっちぇさんをクズっぽく書きたくなかったのです(今回のも大概な気もしますがwww)

だけど……やっぱりムッツリーニ君はムッツリーニだったよwww

次を投稿するのは誰になるだろう……
明久sideのストーリーも進めたいからそっちから投稿しようかな?
あえて置いといて土屋編を続けるのもいいかな?
ああ……とても迷います……
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