バカと幻想と舌禍の女神   作:閻魔刀

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うう…… 投稿が予定より遅れてしまって申し訳ありません。

サブタイがなかなか決まらなかったり、転職のチャンスが来て面接の相談とかがあったのです_| ̄|○
あと能力設定などに関しての修正もしていました……
あ、挿絵にMMDを利用できないかと模索中でもあります。

詳しくは後書きに記載したいと思います。



前回の坂本編

「地底旧都」に到着→入って早々にトラブルに巻き込まれ続け、その際に大金を手にする→買い物を済ませて脱出しようとしたら地底の鬼「星熊勇儀」に襲われる→が、そのまま気に入られ、弾幕ごっこを教えて貰えることに……




俺と妖怪と今後の予定

「あ? なんだ、ここは……?」

 

 俺は確か星熊とか言う鬼から弾幕ごっことやらについて教わっている所だったはずだ……

 それがなぜこんな花畑にいるんだ?

 

「なぜこんな花畑にいるのかは分からねぇが、とにかくここを早く出た方が良さそうだ。 しかし、なんだ…… こう、この世のものとは思えないほどに綺麗な……」

 

 辺りを見回していると、大きな川が広がっているのが見えた。

 一瞬海かと思ったが、海特有の潮風のにおいを感じられない。

 それなら自然と川だと推測するべきだろ?

 

「つーか…… 花畑に川、弾幕ごっこと言う名の決闘…… それによく見たらこの花、蓮の花じゃねぇか?」

 

 そう…… 喩えるなら、ここはまるで、あの世へとつながる世界のような――

 

「だとしたらヤベェ! ここは引き返さないと本気で死ぬじゃねぇか!?」

 

 まるでどころか本当に三途の川じゃねぇか! 俺、死ぬ寸前だって言うんか!?

 

『おいでー。 おいでー』

『怖がることはないよー。 こっちはいいところだよー』

『美味しい物もたくさんあるし、楽しい事がいっぱいのテーマパークなんだよー』

 

 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 呼んでる! 対岸からなんかよく分かんない奴らが俺を手招きしてやがる!

 つーか、よく見たら一番右の方は小学生の頃の俺にバカにされた逆恨みで陰で翔子を虐めまくって、最後に事故で全身をバラバラにして死んだいじめっ子じゃねぇか!? ダメだ! アレの言う事を聞くのは危険すぎる!

 更に目を凝らしたらあのいじめっ子の取り巻きとか、中学の時に喧嘩に明け暮れていた俺をバカにしておきながらエンコーの不祥事がバレたのを最後に失踪したクソ教師までいやがる!?

 俺を恨みながら死んだ知り合い大集合じゃねぇか! こんな所、さっさと引き返して……

 

『怖がることは無いよ雄二。 こっちはこっちで楽しいところなんだよ? 一緒に実況プレイ動画を作ってYo〇T〇beに投降して遊ぼうよ?』

『明久と一緒に”龍〇如く6・命の〇”の実況をしたいのじゃが、雄二がおらんと盛り上がらんのじゃ』

『……雄二は冴〇が好きだと言っていた。 ……今、その辺で止めている』

 

「って、明久に秀吉にムッツリーニ!? なんでそっち側で手招きしてんだ!? ゲームをしてぇならお前らで勝手にやってろ! 俺は戻る!!」

 

 つーか、龍〇如くの6作目はまだ出てねぇよ!?(2016年12月発売。 編集当時、同年10月) その地点で大嘘だってバレバレなんだよ!!

 

『はっはっは。 そう怖がることは無いのじゃ雄二よ。 この通りわしらは元気じゃし、何も心配はいらんぞい』

『だからこっちにきて一緒にタのシモうヨォゥ……』

「おい明久、お前悪霊化しているっつー自覚あるか? イヤ、あのバカにそんな自覚持てねぇか……」

 

 そもそもあいつの嘘はいろんな意味で穴だらけでしかも態度にも出てるから簡単に見分けが付く。

 俺を騙すなら、そんな明久のキャラクターまで真似るべきだったな! まあ、本当に明久だったとしても話なんて聞きやしねぇけどよ!

 

『マッテよォ…… 雄二ダけ助カるのはナッとクいカナインダよォォォ……』

「くそっ、この野郎はなせ! ぶっ殺してやる!」

 

 明久達じゃねぇってなら話は別だ!(明久に限っては躊躇なくぶん殴ってやるんだが……)

 そっちに引きずり込もうとする気だって言うならこっちも殺し直す気でやってやる!

 ……と考えながら、使い慣れていない霊力をどうにか込めた拳で殴りかかろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 薄命「余命幾許も無し」

 

 瞬間に突如現れた女が、大鎌を振って悪霊共を両断した……

 

「おい、アンタ等何やってんだい?」

 

 江戸っ子気質な口調で悪霊をけん制する……

 そこから放たれた殺気は助けられた側であるはずの俺でさえ怖いと思える程の物で、それを直接向けられた悪霊からしてみれば恐怖以外の何物でも無いだろう……

 

「大人しく向こうで待ってな。 このバカ騒ぎの件、映姫様にも報告させてもらうよ」

 

 そう言った女が手を軽くあしらう様に振る。

 

 それだけだ……  それだけでさっきまでの悪霊共が川に叩き付けられた。

 これは…… 能力バトル物でよく見かけるテレポートか? いや、自身以外の物なら触れていなくても一瞬で移動させる事が出来る”アポート”ってやつかもしれねぇ……

 どっちの能力なのかは分からないが、助けたからと言って味方とは限らない以上、警戒しているに越したことはないだろう。

 

「なぁ…… あんた、もしかして”死神”って奴なのか? ……俺を地獄かどこかに連れて行く為に来たって事か?」

「あっはっは! まあ、死神だっていうのは正解だけどね。 あたいはその死神でも三途の川の船頭を担当している死神だから、まだ”生きている”アンタに対してはどうこうする力も権限も無いのさ」

 

 さっきの悪霊への睨みを効かせた時と一変させて明るく話しかけて来た。

 敵意は無いって事を示したいんだろう。 悪霊を両断した大鎌を近くにあった木に立てかけている。

 

「ああ、自己紹介が遅れたね。 あたいの名前は”小野塚小町”。 三途の水先案内人をやっている死神さ」

「って、事は死んだ俺を閻魔大王様の元にでも連れて行く気か? それともアンタが閻魔大王と同じ役割も勤めているのか?」

「あはは、いいから話を聞きなって。 まだ生きているって言っただろう?

 それに、こんなにも可愛らしい閻魔大王様なんているわけないじゃないか? さっきも言ったけど、あんたはまだ完全に死んじゃいないよ。 残念ながらね……」

 

 なんでそんなに残念そうな顔をしてんだよ…… あ、腰に下げてる巾着から小銭の音が……

 さっきの悪霊や船を渡る為の幽霊から小銭でも取ってんのか?

 たしか、三途の川を渡るのには6文くらい払わないといけないらしいが……

 

「”驚いたふり”なんかしなくてもいいじゃないか。 あんたに目覚めた能力ならそうそう死ねない事くらいは自分自身が分かっている事だろう?」

 

 おーい…… アンタなんでオレの能力について知ってんだよ……

 

 another story  地底side

 

 

「ヤバイ! このガキ、心臓が停止してるぞ! 早く心臓マッサージを!」

「姉御の方も右足がグチャグチャになってやがる! 大急ぎで医者を呼んで来い!」

 

 一方、地底の旧都では大騒ぎに発展していた。

 能力に目覚めたばかりの外来人”坂本雄二”と怪力乱神の鬼”星熊勇儀”による弾幕ごっこ講座が旧都の中央で開催されていたのだが……

 

「くそっ! 姐さんの足がここまでボロボロになるなんて…… 一体何をどうやったらこんな挙句になるんだよ!!」

「おい、私の事は後回しでいい! あの人間の方を先に……」

「もうすでに医者の方に運んでいます! 後は姐さんの足の治療だけです!」

 

 少し離れた所で救急車が止まる。

 少しボロボロだが、さとり曰く『かつてとある町で一般人によって病院に寄贈されたが、寿命が近づいたのを機に処分されるところで幻想入りし、それを旧都の医療機関に回せないかと引き取った物』らしい……

 

「とにかく心肺蘇生に全力を注ぐんだ! 意地でも死なせるな! 自分の命を助けるつもりで、それ以上に大切なものがある奴はそれと同じ存在を助けるつもりでやれ!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!! 班長、”あの女”が……”地殻の下の嫉妬心”の暴走を止められません!!」

「くそっ、こうなったら増援を呼べ! 最悪、地霊殿に増援を要請してでも彼女を止めろ! ”絶対に近寄らせるな”!!」

 

『ガ、アアアアアアアアア!!』

「なんて力だ! 総員、絶対に放すんじゃないぞ!! 放した瞬間、オレらを含めたこの場の全員が皆殺しにされるぞ!」

「やめなってパルスィ! アンタが暴れたって勇儀の足が治る訳じゃないだろう!?」

「ねぇヤマメ、あの人間…… 助からなかったらこのまま食べちゃってもいいかなぁ?」

「キスメ! アンタもこんな状況でのんきな口調で何言ってるのさ!?」

 

 星熊勇儀の負傷に怒り狂っている橋姫少女、”水橋パルスィ”。

 のんきな口調で坂本を食べるなどとんでもない事を言い切った釣瓶落としの幼女、”キスメ”。

 そんな彼女らにツッコミを入れたり、どうにか暴走を説得で止めようと試みているいる土蜘蛛の少女”黒谷ヤマメ”。

 

 彼女らはそれぞれの用事で旧都に来ていたのだが、勇儀の騒ぎを子供たちから聞きつけた彼女らはその光景を見た瞬間、驚きを隠せなかった。

 地底旧都における最強戦力を誇る鬼であるはずの勇儀が片足を抑え、倒れ込んでいるのだからそれも仕方ない反応だろう……

 

「ヤマメお姉ちゃん…… あのね……」

 

 ヤマメの幅広のスカートを引っ張りながら話しかけて来た少年は赤髪の外来人と勇儀が戦っている一部始終を見届けていた子供の一人である。

 一度落ち着いたヤマメは子供と目線を同じ高さに合わせながら、刺激しない様に優しく事情を聞きだした。

 

1・意外にも一部の大人から”地底の脳筋アル中”呼ばわりされていた勇儀の弾幕ごっこ指導は的確で、わずか10分で坂本もジャブの要領で拳を突き出しながらだと霊力の弾を撃つことが出来た事。

2・外来人の目覚めた能力を確認するべく、勇儀が妖力を簡単に叩き付けながら調べ上げようとした結果、適当にばらまかれた通常弾幕が全て外来人に吸い寄せられるように当たった事。

3・しかし、それでも全く無傷なのを気にした勇儀が能力の限界を調べようと、実践訓練と称した弾幕ごっこを挑む。

 その間、外来人が勇儀のこれまでに出されたスペルカードを全て受け切るという異常事態に驚き、彼女は四天王奥義「三歩必殺」をゼロ距離で叩き付けてしまう。

4・その結果、本来非殺傷仕様であるはずのスペルカードルールの弾幕を全て胸の一点で集中して受けてしまう事になった外来人が流石に倒れてしまい、奥義を直接足で叩き付けた勇儀本人も足を衝撃の反動でケガをしてしまい倒れた事……

 

「……その話が本当ならまさしく最強の矛と最強の楯の激突……”矛盾”って呼ぶにふさわしい戦いね」

「じゃあ結果は引き分けかなぁ? 勇儀も足を怪我しちゃったし、あの外来人も死に掛けだし?」

「いえ、多分この様子だと矛盾せずに矛が勝ったことになるわ。 あの人間の方が明らかに重症なんだし」

 

 救急車に乗せられる外来人。 その胸部には勇儀が履いていた下駄と同じサイズの青痣。

 少年の話の通りなのだろう……

 それでは勝負に応じた外来人もスペルカードルールとは言え勝負を挑んだ勇儀も責める事など出来ない。

 これはあくまで”決闘”であり、両者が承知の上で戦った正当な勝負なのだから、ここで事故で死人が出たとしても日常的に喧嘩や乱闘が勃発する旧都においてはそれによる結果に対してだれも文句は言えないのである……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、危なかった…… あの小町って死神に助けられなかったらマジで死んでやがった……」

「「……は?」」

 

 先程まで暴走していたパルスィでさえ目をきょとんとさせて困り果てている。

 ついさっきまで白目を向いて死に掛けていた男が急に眼を覚ましたのだから当然と言えるのだが……

 

「「え……ええええええええええええええええええええええええええええ!?」」

「ウソだろ…… ……蘇生した? そんなバカな……」

「さっきから一体何なんだよ…… 確実に心臓は止まっていたのに……」

 

 another story 地底side end

 

 

 

雄二復活の前に三途の川近くではこんな事があったのである。

 

「なるほどね。 だとしても運が良かったね。 聞いた話でしかないけど、地底に住む鬼の奥義を直接踏みつけられた奴は魂ごと完全に消滅させられてしまうとまで言われているからねぇ…… それが鋼鉄の肉体を誇っていようとね」

「いや、この状況は実質死んでるも同然……」

「まあ、あんたの場合は直接のダメージよりも全身を裂かれそうになった際の激痛の方でショック死しそうになった為に、体が無意識に魂と肉体のリンクを強制的に解いて切り離したってのが妥当かね? 細い糸をはさみで切るようにスパン!……とね」

「いや、だからこの状況、実質死んでるのと一緒なんじゃ……」

「ま、今この一件についてはもう考えなくてもいいと思うよ? 起きたらどうせあたいとは会う機会なんて無いんだし」

「いや、俺はまだあんたに聞きたいことが……」

 

 質問しようとする俺を指一つで静止する小野塚。

 答えるだけの猶予が残されていねぇって事かよ……

 

「もういいから今回は肉体に帰りなよ。 あんたの能力に関してはさっきの怨霊の対応が遅れたお詫びも兼ねて、あたいがすこしだけ使い勝手を良くしてあげるからさ」

 

 小野塚が俺の額を軽くつついた瞬間、少しだけ体が何かに締め付けられたかのようになる。

 それから数秒後、どこかに引っ張られるかのように飛ばされていく……

 そして最後に小野塚が何かを言ってくれていたような気がするが、はっきりとは聞こえなかった。

 その時、少しだけ聞こえた言葉は……

 

『今度はきちんと死んでから来なよ。 老いたあんたが大切にしている女と一緒に来れたなら、成仏記念に映姫様からパクって来たお酒でお祝いでもしてやるよ』

 

 と言う、遠回しに励ましともとれるような言葉だけだった……

 

 ……あ、なんか変な棒を持った頭堅そうな女が小野塚の奴に関節技を決めてやがる。

 酒をパクったって話がバレたんだろう。 なら自業自得だし、気にする必要もねぇか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っつー事があってよ。 それで見事復活できたって訳だ」

「いやぁ~、本当にすまなかったねぇ」

 

 頭を掻きながら謝って来る星熊。

 片足にはギプスのような物を付けており、緑色の瞳をした女の子に支えて貰っている。

 

 結局、俺達の騒ぎが原因でやって来た医者連中は俺の事を軽く診断した後で異常なしと判断し、すぐに別の現場へと向かって行ったようだ。

 かなり適当な診察だったが…… やっぱり少しだけ金を残しておいて、地上に出た後でも念の為に病院で事情を話して検査してもらった方が良いかもしれねぇな……

 

「いや、こっちも承知の上でやった事だし気にしてねぇよ」

「ちょっ…… アンタ確か坂本って言ったかい? あんな風に殺されかけて気にしてないって…… アンタもしかして人間の皮を被った妖怪なんじゃないの?」

 

 いきなり、クモの腹みたいに膨らんだスカートを着ている女から人外疑惑を吹っ掛けられた。

 

「あ? 一応言っておくけど、俺は正真正銘ただの人間だぞ? ……まあ、あの能力使った後で言われても信じられないだろうけどよ……」

「「トップクラスの大妖怪でもまともに喰らったら即死するって言われている勇儀の奥義を喰らっておきながらピンピンしてる地点で人間やめてるとしか思えないって」」

 

 クモっ腹女の隣にいる桶女も同時にツッコミを入れて来る。

 仕方ねぇだろ…… 実際に俺はただの人間なんだからよ……

 だがまさか、俺に目覚めた能力があんなガチガチの防御型だったとはな。

 って、知らなかったとはいえそんなヤバい技を喰らってなんで無事だったのか分からなくなって来たんだが?

 

「人間のクセに勇儀とまともにやり合えるなんてなんて妬ましいのかしら……」

 

 星熊を支えている女が”パルパル”とか言いながら物凄い恨めしそうな視線を向けている。

 なんか油断したら後ろから刺されそうな恐怖を感じるんだが…… 

 

「よしなってパルスィ。 確かアンタ、あのカツアゲ君から巻き上げた金を使いきりたいって言ってたよね?」

「ああ、そんな事も言ったが……」

 

 正直な話、今回の騒ぎのせいでかなり金が飛びそうなんだよ。

 だからもうその辺に関しては大丈夫な気がしてるんだが……

 

「よし、良かったら今日はもう遅いし私が経営してる店の一室を貸すから泊まっていきなよ。 そこでマネーロンダリングでもしていけばいいじゃないか?」

「……あ?」

 

 突然の提案につい間抜けな声を出してしまった……

 この調子だと俺のツラもかなりアホ丸出しな顔になってんだろうよ……

 

「よーし、その顔見る限りだと来る気満々って事でけってーい!」

「ちょっ、俺はまだ泊まるなんて言ってな…… それにマネーロンダリングって一体あんた普段は何をやって……」

「そんな赤い顔するなって。 意外とウブなんだなぁお前さんは」

 

 ヤバイ、あの一件で力が強い事は分かっていたが、まさか人間の範疇なら最強クラスを自負できるくらいの力は持っていたはずの俺を簡単にお姫様抱っこして見せるとは……

 

「……おい! コレ、男ならだれでも恥ずかしいに決まってんだろ! 分かった! 分かったから降ろせ!

つーか足はどうしたんだよ!? さっきまで大変な事になってたんじゃねぇのか!?」

「もう治ったよ」

「「マジか!?」」

 

 つーか鬼ってスゲェな!? 流石にガキンチョからヒーロー視されてる妖怪なだけはある……

 さっきまでの騒ぎの様子だと確実に粉砕骨折していたように見えたんだが……

 

 

「ああもう妬ましい、妬ましい、妬ましいイイイイイイイイイ!! 人間の分際で勇儀の事をそこまで心配できるなんてええええええええぇぇぇぇぇ!!」

 

 おおおおおおおおおおおおおぉぉいぃっ!? さっきのパルパル女が血の涙を流しながらハンカチ噛んで引きちぎってやがる!?

 

「星熊、頼むから本当に降ろしてくれ! このままだと嫉妬であのパルパル女にぶっ殺されてしまう!」

「大丈夫だって。 パルスィは意外と常識人だし、理性で自制を掛けられるタイプだから、大したことはしな……」

 

「勇儀…… 浮気は許さない……」

「ちょっ、パルスィ!? ちょっ、ストップ! 話せば分か…… アババババババババ!!!」

 

 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! 星熊の奴が…… 星熊の奴がスタンガンによって沈められたアアアアア!? 

 

「ゆーぎの姐さんとパルスィお姉ちゃんって本当に理想的な仲の良いカップルって感じだよねー」

「お互いの意見を言い合える関係って素敵だわー」

 

 ガキンチョ共、どんだけ羨ましがってんだよ!? 特に乙女連中!!

 あれ絶対に理想的なカップルじゃねぇって! 星熊の奴が一方的に束縛されてるだけだろ!?

 

「な、なあ…… あのさっきから俺の事睨んで星熊の奴を連れていった女って一体誰なんだ? アンタらの事も含めて教えてほしいんだが?」  

「あはは…… あんたからしてみればいきなり変な女に絡まれて色恋沙汰に巻き込まれたぐらいでしかないからねぇ」

 

 クモっ腹女の方も反応に困っているし…… これは結構ガチでヤバい奴か?

 

「まあ、週一でやらかす事だから気にしなさんな。 私は黒谷ヤマメ。 まあ、さっき”人間の皮を被った人外”とか言っちゃったけど、どっちかって言ったら私等みたいな妖怪の方が合っているセリフだったね……

 私は感染症などの病気を操る程度の能力を持った”土蜘蛛”なんだ。 良かったら覚えて行ってね」

 

 軽くウインクをしながら笑顔で話しかけてくれる黒谷。

 小野塚とは違う意味で明るい性格のようだな。

 

 

「私の名前はキスメー。 一応釣瓶落としって紹介しておくねー」

 

 今度は内気なのか黒谷とは打って変わって桶の中に閉じこもりながら上目遣いで自己紹介してくるチビッ子……

 こいつ、名字を名乗らなかった辺り、この中の誰かと家族の可能性もあるな……

 いや、種族は違うようだから名字が無いだけかもしれねぇが……

 

「んで、あのさっき勇儀と喧嘩してそのままどこかに連れて行った女の子が”水橋パルスィ”。 まあ、予想はついていると思うけど、基本的にはいい娘なんだけどさ、結構嫉妬深い性格してるの…… それだけならまだ可愛いもんなんだけど……」

「あ? なにか問題でもあるのか?」

 

 言うべきかどうか迷っているのだろう。 黒谷は何かに対して迷っているかのように頭をひねりだしている……

 

「ま、いいか。 一時間もすればケロッとした顔して出てるし」

「それ本当に大丈夫なのか?」

「心配いらないって。 話を戻すけど、あのパルスィの能力と好みに問題があるんだ」

「気になるな。 一体どんな能力を持っているんだ?」

 

「……嫉妬心を操る程度の能力」

「人心掌握系かよ…… 俺の能力と相性悪いじゃねぇか……」

「っていうか、多分地上に出るまでの妖怪の大半があんたの能力との相性は悪いと思うよ?」

「へ?」

 

 一体どういうことなんだ?

 

「まあ、その変については後で説明するわね。 能力の方だけなら嫉妬心だけしか弄れないから嫉妬される要素が無ければいいんだけど…… 特に問題は好みの方なのさ」

「いやいやいや、嫉妬心を操るって言う能力も周りを巻き込んだら最悪殺し合いになりかねんだろ!?」

「その辺は後でじっくり教えてあげるとして…… パルスィってば、勇儀と何があったのかは分からないけど、勇儀に相当惚れ込んでるのよね。 まだ付き合っている訳じゃないけど、酔った勢いで愛の告白決めて勇儀に抱き付いたり、さっきみたいにスタンガンを叩き付けてどこかに連れて行こうとしたりなんてするのなんて週に一回くらいに頻度である事だし……」

「俺、星熊の奴と妙な親近感が湧いて来たんだが?」

「アンタも似たような目に合ってるのかい?」

 

 翔子から三日に一回くらいの頻度で変な牢屋の中に閉じ込められるなんて事があるんだよ……

 

「あ……うん、アンタのその青ざめた顔見ていたら想像ついたから言わなくてもいいよ。 アンタも苦労してんだねぇ」

「ねぇヤマメ。 とりあえず勇儀の経営しているお店に案内する?」

「そ、それもそうね…… まあ勇儀なら大丈夫でしょ。 店もある事だし、一時間もすれば帰ってくるわよ。 ……多分」

 

 ああ、大体のオチは読めたわ。

 ……死ぬなよ、星熊。

 

 

 星熊が引きずられた道の先に敬礼を向けた後で案内すると言ってくれる黒谷に大人しくついて行く事にした。

 俺の考え着く限りでは、星熊の特徴を元に夕方以降になって開ける店って言われたら真っ先に思いつくのは”居酒屋”だろう。

 ……あれ? 居酒屋に人が泊まれるような部屋なんて作るものか?

 俺の予想通りだとしたら寝床ないんじゃないのか?

 

 

 

 

 番外編 赤髪少年移動中……

 

 

「いってぇなぁ、何しやがる!」

「ちょっ、アンタが勝手にぶつかって来たんじゃないのよ!!」

 

 黒谷に案内してもらっている中、いきなり人間にしたら30代前半位の男が数人、黒谷に絡んできた。

 

「オイオイ、ウチのアニキが骨折したみたいじゃね~か? こりゃー慰謝料モノですわなぁ?」

「ヒヒヒ! こりゃぁ数十万じゃ効きやしませんぜ、お姉さんよォ? ま、その体でお支払いするって言うなら話は別……」

 

 うわっ…… 今時こんな絡み方して女攫う商売とかしてる連中とかいるのかよ。

 何黒谷が躊躇してんのか分からねぇが、ココは助けに入るか……

 

「いい加減にしとけ。 この女、星熊の奴がケツ持ちしてる女だぞ?」

「おいコラ! そう言うのはウチのアニキをボコボコにしてから言うんじゃねぇよ!!」

 

 ったく、仕方ねぇだろ? こいつらの事をどうにか話し合いで止めるべく拳から始める交渉術に始まり、追い打ち踏みつけに繋げる交渉術を使わないといけなかったんだよ。

 

「そのアニキとやらはお前らを置いてそのまま逃げて行ったみたいだけどな?」

「なっ! ま…待って下さいよアニキィ~!」

 

 ま、結果として俺が叩きのめした分以外のケガは全くなかったって証明にはなったみたいだし、星熊の名前も使ったからこれで黒谷にからもうって気にもならなくなっただろう。

 

「姐さんの友達とは知らずにすみませんでした! 今大したものは持っていませんがどうにかこれで勘弁してください!」

 

 男が何かを取り出して俺達にいくつもの品を渡してくれた。

 どうやら慰謝料代わりのつもりらしいが…… 男はこれ以上関わり合いになりたくないのか大慌てで逃げて行った。

 

 坂本雄二は「怪しい注射×5」「注射の間違った扱い指南書(著:ヤゴコロ)」「1万5千円(現代相場15万相当)」を手に入れた。

 

「金なんて貰っても……」

「旧都からも離れた所で暮らしている私達には使い道が無いさね」

 

 そう言った黒谷とキスメは貰った金を近くにいたホームレスみたいな連中に全額あげてしまう……

 焼いてしまうよりはマシな使い方だとは思うが、本当にそれでいいのか?

 

 

 それからもこんな調子でヤクザみたいな連中やチンピラに絡まれ続け、黒谷曰く何事も無ければ5分で着くはずの道のりを30分もかけた末にようやく星熊の店に到着した。

 

 番外編 end

 

 




……あれだけ待たせておきながら弾幕ごっこの講座パートの丸々カット。
代わりに能力について全て語りたかったのですが、幻想郷に流された三人は能力を二つ持ちにしようと思い、設定の変更などをしていたらもう一つの能力について書いている余裕を失ってしまい……
せっかくなので、今回は坂本雄二の設定についてある程度公開してから投稿しようと思います。

名前:坂本雄二

プロフィール:明久の悪友にして元不良。 二つ名は"悪鬼羅刹"
明久達との一件で喧嘩に明け暮れることは無くなったが、その期間が短いこともあって不良としての行動パターンが抜けきっていない。
むしろ幻想郷において相手が妖怪である上に絡みまくって来てウザいからと言って更に容赦を無くしいる。

能力:「身代わりになる程度の能力」
自身の肉体の超硬質化と呪いや弾幕などの遠距離攻撃を引き寄せる体質に変化させることが出来る。
また、彼が死に得るほどの痛手が被りそうであった場合、受け止めきれない分を跳ね返したり受け流したりすると言った現象が起こる。
もし彼に目覚めた能力がこの能力で無かったら、旧都中央は誰も近寄れない更地と化し、子供達も何人か巻き添えとなっていただろう……
因みに元ネタはドラ◯エモンスターズの「身がわりメタル」の戦術から。

能力2:???

この能力は坂本に限らず、ムッツリーニと秀吉も持っている能力。
ヒントとして、この能力程バカテスらしい能力は存在しないだろうと言える能力にするつもりです。


PS:次の話もMMDに挑戦しながらの編集になりますので少し時間がかかると思います。
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