今回の話、これまでの警告とは別でこちらの警告も加えようと思います。
・能力の誇大解釈
それでもいいという方はゆっくりしていってね!
「黒谷、ちょっと聞いていいか?」
「なんや? 遠慮なく聞いてもええで?」
「ここ、本当に”あの”星熊の奴が経営している店なのか?」
黒谷達に案内されてついた星熊の店「スターライトベアー」……
ネオンの光で輝いている看板をぶら下げたその店に入って真っ先に出迎えたのは、スーツを着こなしたイケメン野郎の集団。
……中には鉄人並みに体格がいいおっさんも混じっていたが、不細工と言う訳でもなく、一言で言ったら「ダンディーなおじさま」的な印象を受ける。
そう、星熊が経営する店というのは”ホストクラブ”だったのだ。
「ちょっとキミ……」
やはりと言うべきか、未成年の入店には問題があるのか、出迎えていたホストの一人に呼び止められる。
「面接の希望かい? だったらウチのスカウトマンから話を聞いているだろう?」
「俺みたいなガキでも働けんのかよこのクラブは!? つーかスカウトマンって誰だよ!? そんな話、聞いてねぇよ!」
「なんだ違うのか…… 冷やかしなら出て行って……」
「そっちから勘違いしておいてどういう言い草だよコラ! 星熊のやつからこの店で待ってるように言われただけで……」
「……え? マジですか?」
「マジだよ」
さっきから偉そうな態度だったホストの顔が凄く青ざめている。
彼の先輩らしき別のホストがヤマメの元に確認に向かっていった。
「支配人の客人とは知らずに大変失礼なことを! 申し訳ありません!!」
「あ、いや…… 特に気にしてないから頭をあげてくれるか?」
「その寛大なお言葉、ありがとうございます!! 黒谷お嬢様の元に案内しますのでどうぞこちらへ!!」
ホスト達に大慌てで奥に案内される。
その奥の扉には「VIPルーム」と書かれた扉があり、その扉の前には厳つい黒服の警備員のような男が二人……
「ようこそいらっしゃいました。 どうぞ中へ」
黒服の男が扉を開けると、その先の世界は外の街の様子からは想像もつかないような世界だった。
どう表現していいかは分からないが、目に着くのはまず内装の豪華さと人の多さだろう。
所々に金のような輝かしくありながらも落ち着きもあるバランスのとれた装飾が施された内装、老若・美醜問わずにホスト達によってちやほやされて楽しむ女。
そんな金持ち女を相手にいやな顔をせずに臨機応変に対応して見せるホスト達。
中央のステージのようなところで様々な音楽を奏でる音楽団員。
「こりゃすげぇな…… 夜の街の店ってこんなにもスゲェ所ばかりなのか?」
「さすがにここまで活気がある店はホスト業界ではここくらいだと思うけどね~。 取り敢えず私たちの席に案内するからついてきてよ。 ちょうどいろいろ飲み食いしながらお喋りしていたところだし」
子供同然の姿からは想像もつかないくらいに店に慣れているキスメ。
反応に困りながらもおとなしくついていくことにした雄二。
「おーい、坂本ー! コッチだよー!!」
「黒谷お嬢様! 危ないですから、シャンパンの瓶を振り回さないでください!」
「前にその件で支配人から怒られていたでしょう! 少しは自重なさってください!!」
「うわぁ~…… すでに出来上がってるね」
「しかもタチの悪い酔っ払いみたいになってるし。 どんな飲み方してんだよ」
「大した量飲んでないわよ~。 せいぜい2本くらい浴びるように飲んだだけなんだからぁ~」
ホストの連中が頭抱えて困り果てている。
さっきまで対応していたホストとは別の男がキレイに盛られたフルーツセットや銀色のラベルが張られた新しいシャンパンを5本ほど置いてそのまま下がっていった。
「俺の知らない間に何やっていたのかは知らねぇけど、少しはおとなしくしとけよ。 いくら支配人と知り合いだからって言って、あんまり迷惑をかけるとどうなるか分からねぇぞ?」
「ぶ~!」
ブーたれながらもおとなしくしてくれたヤマメ。
友人の店とは言ってもそれなりの礼節はわきまえるべきである。
「いったいどんなメニュー…… ブフォッ!?」
坂本はあまりの値段の高さに思わず吹いてしまう。
最安値だと思われるシャンパンが一本1万(現代相場10万相当)などと表記されていれば驚くのも無理はない。
そのシャンパンを坂本が来る前に2本は飲まれてて、ヤマメがもう一本持っている。
しかもさらに5本追加……
「軽く8万(現代相場80万相当)位は持ってきてるじゃねぇか!? まさか星熊の奴、いい金づる見つけたとか思ってんじゃ……」
「オーナーはそんな姑息な事はしませんよ。 こちらの飲食代はすべて黒谷お嬢様がお出しになるそうで……」
「おい、こっち来る前に金の使い道がないとか言ってなかったか?」
前回の発言と矛盾する話を聞いた坂本は疑うようなジト目でヤマメを見る。
「なんか怪訝そうな顔をしてるけど、問題ないよ~。 ヤマメちゃんは少し前に起こった事件を勇儀と一緒になって解決した立役者の一人で、その時にもらえるはずだったお金を全部受け取っていないだけだから。
だから『その礼金分を超えない限りは好きに飲み食いしても文句を言うな』って古明地のお姉さんの方と勇儀から言われてるの~」
「それ自分でどんだけ使ってるのか把握できてんのか? いつか底を尽かせそうな勢いでいろんなもん頼みまくってんだが!?」
「少なくともその時のお金は人間だったらどんな贅沢をしても一生使いこなしきれないだけの金額だから……」
「マジかよ……」
聞いているだけで頭が痛くなってきた坂本。
とにかく話題を変えたくて別の話を振ろうとする。
「それにしたって8本はやり過ぎだろ? 一体何をどうやったらこれだけの量の酒を注文するってことになるんだよ……」
「それはね~?」
another story キスメside
坂本が門前で足止めを喰らっていた時の事だった。
「相変わらずすごいわね。 このお店は。 地上との不可侵条約が緩和されてもしばらくの間閑古鳥が鳴くくらいに人気が無かったのに」
「いまでも支配人たちには感謝していますよ。 一部の地上の連中が温泉目当てに入り込んでくるようになってからトラブル続きでこの店ももうつぶされると思っていたのに……」
「助けを求められた支配人がこの店を経営するようになってから、信じられないほどの活気を取り戻してくれたんですからね」
「そうなんだよねぇ~。 あの博麗の巫女が地底に突っ込んでくる前のこの店ってデカいだけが取り柄みたいなゴミ屋敷みたいな感じだったのを勇儀が経営した途端にどんどんきれいになっていったんだから、纏める存在が違うだけでこうも変わるものなんだってつくづく思い知らされたよ~」
「何言ってるんですか? あなたたちもいろいろとやってくれたって聞いていますよ? 新人の引き抜きからなにから、ちょっとここでは言えないような事までやってくれたじゃないですか?」
『あ…うん。 それ、やったのはパルスィの方。 私たちがやったのは裏方の方だったなんて言えないよ~』
「ま、とにかく今日は久々に来てくれたんですから、遠慮しないでゆっくり楽しんでいってください」
そう言われて、キスメ達はVIPルームのなかでも最上級の客にしか回されない特別な席に案内された。
問題の会話はここからだ。
「なんか坂本が門前で足止め喰らってるけど…… とりあえずシャンパンからいっておこうかな?」
「はーい! シャンパンお願いしまーす!!」
『おい、ここのどこが問題なんだよ?』
『話はここからだってば~……』
「あ、でも後でパルスィの奴も来ると思うし…… 坂本の奴もただのシャンパン一本だけで後はお喋りして”はいお終い”だとか、地底の妖怪はケチ臭いとか思われそうだね?」
「そうかもしれませんが…… だとしたら何本注文なさるおつもりですか?」
「そうだねぇ~…… ここは潔く来る予定の人数分頼もうかな?」
「でしたら8本になっちゃいますよ!?」
「アンタらの分もかい!? ま、いいや。 とりあえずシャンパン8本適当に見繕って持ってきてー!!」
another story キスメside end
「……とりあえず分かった。 アンタらが俺がいた世界とは常識がまるで違うってことがな!!」
「なるほど、なかなか見かけない服を着ている方だと思いましたが、坂本様は外来人でしたか。 ならこの異常な景気のよさにも驚いたでしょう?」
「ああ、俺がいた世界で昔あった”バブル”って呼ばれてる超好景気時代の時の話そのまんまだわ」
確か、当時の政府や銀行が行った景気刺激策が原因で異常な経済の発展が起こった時代だった。
その波に乗れた資産家や投資家達の元には大量の金が流れ、その影響で大金持ちが現代では考えられないくらいに増えて行った時代だそうである。
最も、その金持ちの大半はバブル崩壊と呼ばれる時代の終わりとともに弾けてしまったらしいそうだが……
「しかし、こんだけ人が集まるってなると大変だろうって思うぜ?」
確実に100席はあるだろうこの大部屋はほぼ満席。 そのうえでツーマンセルが基本となっているこの手の店ですべての客にホストがきちんと対応して見せているというのは見事と言う以外の言葉はないだろう。
「そうなんだよね。 支配人もトラブルがあるたびに頭を抱えたりするんですよ。 ”またその手の話か”って……」
「星熊の奴も苦労してんだなぁ……」
「それでも完璧にやり遂げて見せるのが勇儀なんだけど。 遅れてきた私を置いて先に始めて、しかも盛り上がっているなんて妬ましい……」
勇儀をスタンガンで沈めて誘拐した女”水橋パルスィ”が急に会話に入ってきて席に座ってきた。
「あ、パルスィ! パルスィお気に入りのシャンパンとデザート、取っておいてあるから早く座りなよ」
「ヤマメのそういう何気ない気遣いが妬ましい…… ……ありがと」
席に座ったパルスィの元にグラスが置かれ、すぐにホストの一人が入って来てはシャンパンをグラスに注ぎ始める。
「あ、パルスィお嬢様!」
「パルスィお嬢様だ!!」
「パルスィお嬢様! サインしてください!!」
「パルスィお嬢様! 握手してください!」
「オレ…… パルスィお嬢様に手を握ってもらえたその日は恐れ多くて手を洗えなかったぜ……」
パルスィの存在に気が付いた周りのホスト達がパルスィの元に集まっている。
「(つーか最後の奴、手はむしろ洗え! 汚いにもほどがあるわ!!)」
「だれがお嬢様よ! 姫様と可愛がってくれていないあたりが妬ましい!」
「「おおっ! パルスィさんの妬ましいコール、キタァ~!!」」
「喜んでる!? ゲス共ね!」
パルスィの妬ましいコールに反応した周りのホスト達(接客中のホスト達はさすがに行きたい気持ちを抑えて接客に徹しています)がパルスィを姫のように担ぎ上げていく。
その対象となったパルスィはなぜこうなったのか全く自覚が無いまま困惑するばかりである。
「ま、パルスィには自覚が無いけれど、あの時の事件がきっかけでパルスィの人気は本人の意思に反して急上昇しているからね。 条約の壁を越えた人気投票の際にはパルスィのランキングが29位と結構好成績だったし、そんな慕われてる立場で嫉妬心を振り回されてもねぇ」
第13回東方project人気投票の結果では水橋パルスィのランキングは185人中”29位”と言う好成績を収めて見せた東方project内でも屈指の人気キャラである。
少なくとも、妬みまき散らしても全く説得力がなくなるくらいには順位がたかいのも事実である。
「はいはい、そこまでだよ。 さっさと待機室に戻って指名が入ってもいいように準備してな」
そんな彼女の周りに集まってきたホスト達を星熊が止めに入ってきた。
別れを惜しんでいたホスト達だったが、これ以上は本当にパルスィにとって迷惑になると分かっているために”仕方なく”待機室に戻っていった……
「星熊、お前いつ戻ってきたんだよ」
「ついさっきさ。 パルスィはここにきてすぐにヤマメの元に行くって言っていたから、私は一度仕事着に着替えてからココに来たって訳さ」
確かに、よく見てみたら星熊の服がオーナーホストが着るようなしっかりとしたスーツになっている。
星熊は高身長で、力強さからくる凛々しさもある為、一部の女子には相当受けるだろう。
などと言った事を雄二が考えている間に星熊が立ち上がった瞬間だった……
「ちょっ、落ち着いてください! 一体どうなさったんですか?」
「何よ何よ! ちょっと可愛くて人気があるからってえええええ!! そんな風に周りに見せつけて人気者は楽しいでしょうねぇ? ええ??」
少し下の階で怒鳴り散らしているのは酒瓶を振り回しているのは40代位の女性。
その隣には頭から血を流しながら店のボーイたちに介抱されているホストの姿だ。
「ちょっ……なんかやばい雰囲気じゃねぇか!?」
はっきり言ってあの怒鳴り散らしている女の剣幕に引き気味の坂本だが、その一方でヤマメ達はこの事態そのものに対しては何一つ動じてはいない。
むしろけが人が一人もいなかったら欠伸をしながら普通に酒を飲んでいそうだとすら思えそうなほどに落ち着いている。
「大丈夫でしょ? この程度ならすぐに収まるって」
「なんでそんなことが言えるんだよ!?」
「だって~、勇儀がもう動いてるんだよ? ほかの店ならいざ知らず、よりにもよってこの店で騒ぎを起こしたんだからさ~?」
坂本が気が付いた時には既に騒ぎの中心に向かっている星熊の姿。
「お客様、本日はお越しいただきありがとうございます。」
暴れる女性に優しく話しかける星熊。
さっきまでヒス起こして暴れていたババアもいきなりの事にキョトンとした顔になってしまっている。
「な、なによアンタ。 アンタも私にケチをつけようってクチなの!?」
「よく、そういった事を言われてしまいます。 ですが、違います」
「だったら何なのよアンタ?」
「申し遅れました。 私(わたくし)当店の支配人をさせてもらっております。 星熊勇儀と申します」
自己紹介をしながら名刺を差し出す星熊。
「お客様、恐れ入りますが、当店に限らずお店での暴力行為は他のお客様にとってご迷惑となりますのでどうかご遠慮願います」
昼の英雄の姿とはうって変わっておとなしい対応であることに驚いている坂本。
……だが、よく考えたらただの人間相手に鬼の拳なんて振るったら100%死ぬだろうという事実を身をもって思い知っている坂本は対応がおとなしい理由をなんとなく悟ってしまっていた。
「はっ! その頭のツノ、アンタ鬼の妖怪でしょ? だったら力づくで来てみなさいよ! その妖気、こけおどしかしら!!」
「そういう訳にはまいりません。 当店において”お客様は神様”……ですから」
いい心構えではある…… だが、客からしてみれば、星熊のこの対応は調子に乗る口実でしかない。
実際にそのババア(ここから先、女性と呼べないくらいに酷いことをしだします)も何を思っているのか別の酒瓶をもって星熊に近づいたとたん……
「だったら”コレ”、わたしのおごりよ? 神様からのお恵み、た~んと御飲みなさいな?」
流し込むように星熊の頭に大量の酒を浴びせ始める。
その下種な笑顔は星熊を見下すかのような気味の悪い顔だった。
「どうかしら? ”神様”からのお恵みは? アハハハハハ!!」
「あのババア! もう我慢ならね……」
「坂本! アンタは動くんじゃないよ!!」
「黒谷! どこから出してんだよその糸!? ってそんな事はどうでもいい。 あのババァ一遍ぶち殺してやる! さっさと放せ……」
「まあ、見ていなよ~。 勇儀の言った通り、ここでは”お客様”は神様なんだからさ」
ヤマメとキスメの言っていることの意味が分からずに困惑している坂本。
だが、この後で彼は星熊のオーナーとしての実力を思い知ることになる。
「ありがとうございます。 私はこの酒を浴びるように飲んでみたかったのですが……
おかげで夢が叶いました!」
「この女…… いい度胸してるじゃないのよ!!」
「キェェェ!!」
奇声をあげながら空になった酒瓶を振り回すババアだが、星熊もそれを見切っていて、顔色一つ変えずに簡単によけて見せる。
「キャああああああああ!!」
「でりゃ!!」
そんなことも分かっていないババアは何度も酒瓶で襲い掛かるが、星熊もそれをすべて読み切って完璧によけて見せる。
「お客様、重ねて申し上げます。 そろそろ、お引き取り願えませんでしょうか? もし、これ以上営業妨害を繰り返されますと……」
「営業妨害が何だって言うのよ! ええ!?」
「はぁ~…… 仕方ないね」
星熊がため息をついた瞬間、彼女がまとっていた空気そのものが変わったのがはっきりと分かった。
黒谷達もそれが分かっているのか、先ほどまでの緩んだ態度が消し飛び、背筋が凍った時の人間のようなひきつった笑顔になりながらもしっかりと見届けている。
「おう! ここいらで景気いいのをやりな!!」
星熊が号令をかけた瞬間、舞台で演奏していた音楽団員達が営業中の時とは全く違う躍動感に満ちている曲を流しだす!
まるで、アクションゲームのBGMのような…… いや、この曲にはその程度の表現ではすまされない荒々しさも刻まれている。
例えるなら…… ババアのキチ行動に内心キレていることを表現して見せている怒りの咆哮と呼ぶにふさわしいだろう。
秀吉だったらより詳しいことが分かるかもしれないが、音楽や演劇に詳しいわけではない坂本ではこれ以上の事は理解できなかった。
……が、この後の展開は容易に想像が着いてしまった。
「お客様がそこまでお望みなら…… 僭越ながらこの星熊、僭越ながらお相手いたしましょう。 ただし、この星熊からは一切手出しは致しません。 何しろ……」
『お客様は神様』ですから……
その後の展開? タダの酔っ払いババアが伝説級の鬼の相手になる訳が無い。
なんど襲い掛かっても避けられたり、捌かれたり、転ばされたり……
真後ろを取って氷砕く針みたいなやつに持ち替えて襲い掛かっていったのにも関わらず、簡単にぶん回された挙句に「危険だから此方の方は回収させていただきます」とか言われながら肩の関節を外されていた。
ここまでやられたらもはや一種の公開処刑でしかない。
「このくそババァ!」
「地底流の制裁、徹底して叩き込んでやる!!」
本来なら礼儀正しくあるべきホストですらが汚い口調で暴言を吐き、客もそれを気にすることなく、むしろ「いい気味よ」「ザマァ!」「よくもケイ君に…… アンタ五体満足で帰れると思ってんじゃないわよ!!」なんて暴言が飛び交う始末……
気持ちそのものは分からなくもない坂本だったが、流石にこの空気のまま営業を再開するのはまずいのではないかとも思い始める。
「お静かに!」
ババアへの暴言が飛び交う中、星熊がそれを止める。
客とホストの方はなぜ止めたのかが分からずに困惑している。
「ごらんのとおり、こちらのお客様は当店での違反行為を繰り返すに飽き足らず、暴力行為でけが人まで出す騒ぎを起こしてしまい、お客様にまでご迷惑を重ねてしまいました。 本来ならば地底の法に則った制裁を加えて妖怪の餌となり果てても何の文句も言えない立場でございます」
あまりの刑罰の重さに対してさすがに本気で絶句する坂本。
異端審問会を名乗るキチガイ集団でさえそこまで容赦のないことをする存在では無かったからだ。
改めて、この地底旧都が危険地帯だったのかが思い知らされる。
「ですが、それだけはご容赦願いえませんでしょうか?」
「「……え? どうして?」」
「こちらのお客様、このまま地底の法だけで処理してしまおうとすると、幻想郷全域における食糧事情を崩壊させてしまう危険がございます。 一時の気の迷いを理由に幻想郷を崩壊させる。 それでは彼女にとっても本意ではないでしょうし、報いとするにしてはあまりにも酷ではないでしょうか? そこで、お客様にご提案がございます」
「わ、私に……?」
「はい、地底の法に従ってしまえばあなたの死は免れません。 ですが……当店の流儀に従っていただけるのであれば酒での失態を酒でそそいでいただきたいのです」
星熊の言い分を要約するとこうである。
1.別の形できちんと償ってくれているのならば、地底の治安維持の関係者も問題にし難いと言う事でもある。
2.幻想郷において非常に希少な塩や海産物を取り扱う大問屋の旦那様の元に嫁がれている正妻ともなれば、動かせるだけの権力と金も相当な物である。ならば、金での謝罪位は容易であるはずだ。それで償える用の店とけが人への謝罪の為の代替え案がある事
4.お客様を犯罪者にしたくない。 しかし、他のお客様にも変わらずに楽しんでいただきたい。 本当ならこれは、すべて、星熊のワガママでしかないため、最悪断られたならそれを受け入れようと思うと言う事。
「どうか皆さま、私の提案を聞き入れてはくださらないでしょうか!!」
いきなりの客に向けて星熊からの土下座。
その見事な土下座にある種の感動すら覚えてしまう。
「提案っていったい何なのよ?」
「今回の一件でけがをしてしまったホストへの慰謝料と治療費の全面負担と地上にあるとお聞きしている診療所”永遠亭”への手配。 本日における全てのお客様の代金を御馳走なさっては下さらないでしょうか?」
仮に受け入れたとしたら確実に数千万、もし客が調子に乗って客が遠慮なしにシャンパンなどを頼みまくれば確実に数億は軽く飛ぶほどの弁償代である。
それに治療費やらも合わせると…… 想像もしたくないために坂本は考えるのをやめる事にした。
「わ、分かったわ! 本日のお代、全額こちらで持ちますし、彼へのお詫びもすべて出させてもらいます。 皆さんがそれで許して下さるいうんでしたらの話ですが……」
「こちらのおばさまはこうおっしゃってくださいました! 皆様はどうでしょうか?」
頭を下げながらも暴れたババアをあくまで”客”として対応しようとする星熊。
その寛大でありながらもきちんとけじめを取らせる対応に客から笑顔と拍手が送られる。
坂本も星熊の対応のすごさに対して拍手を送ってしまっていたが……
「皆様、ありがとうございます! 勇気ある決断をなされたこちらのお客様にも拍手をお願いいたします!!」
星熊の言葉に驚いていたババアだが、そんな奴にも拍手が送られ、ババアの方もバツが悪そうな顔になってしまっている。
「では、引き続きお楽しみください」
ぺこりと頭をさげてその場から出て行った星熊。
暴れていたババアも荷物を抑えられ、酔い覚ましも兼ねて離れた別席に移動させられていった。
完全に落ち着いたら、支払いの請求とか慰謝料とか弁償などで大騒ぎになりそうである……
「しかし、星熊の奴もすげぇな…… 本当に強い奴って”暴力に頼る必要もない”って事なんだろうな」
昔の自身の弱さを思い出した坂本は内心嫉妬に近い思いを抑えながら拳を握る。
「もし自分にあれだけの強さがあったなら幼馴染の少女を守れただろう……」そう思わずにはいられないほどに……
「それは違うよ坂本」
そんな坂本の言葉を否定したのはヤマメだった。
「なんだかんだで勇儀も暴力を使うときは使うよ。 さすがに強盗が相手だったら”客”じゃないって理由で躊躇なく拳を叩き込んで地底流の666制裁の一つを加えるし」
「そうなんだよねぇ~。 坂本がやってくる数か月前にトチ狂った強盗がこのクラブに突っ込んできたんだけど、そいつへの制裁として地底666制裁の一つ”焼き土下座30秒”を強引に実行させてムショに送り付けてるし」
”あのババァ、金の事でごねたりしないだろうか?”さすがに心配になってきてしまった坂本だった。
その後は特に問題もなく話が進み、慣れないシャンパンに挑戦したり、キスメが一気飲みと称して持ってきたシャンパンの内の一本を一気飲み。
ヤマメがコギャルのようなメイクを決めてから一本30万(300万相当)の酒を賭けて野球拳をやるなどとバカなことを雄二に吹っかけてきたり(雄二は顔を赤くして拒否)、パルスィの元にやってきた新人と思えるショタホストをおもちゃにして遊んでいたり……
滅茶苦茶に騒ぎまくった後、営業が終了したクラブの別室に案内された雄二は簡単なベッドがある部屋とシャワールームを案内された。
……案内していた店長ホスト曰く「幻想郷どころか地球上でもっとも安全安心な寝室」らしい。
ヤマメ達の悪乗りに振り回されて疲れ切っていた坂本はベッドに突っ伏して眠ることにした。
坂本雄二の地底生活はまだ始まったばかりである……
いやね? 実際にパルスィちゃんってパルパルって呼びたくなるくらいに可愛いと思うのですよ?
嫉妬心ふりまくキャラとして有名なのに人気投票で30位以上に入れるんですよ?
能力の解釈をこういう意味で振りまくしかないと思っていたら衝動的にやってしまっていたんです……
嫌われたら嫌われたで自身の嫉妬心で被害が大きくなる。
かと言って人気者になってしまったら一部の被害妄想系のババァが嫉妬しだして狂いだす……
しかもその被害は自身を慕う存在に向かっていくともなれば、パルパル言って他人になかなか心を開けないんじゃないか?
そんなことを考えながら書いていたら、なぜかこうなっていたのです……
皆さんはどう思っていますか?
感想待っています!