東方憑依華が面白くてつい……(龍が如くシリーズのプレイしていたり、ラブライブ!にハマり始めたりもしていましたが……)
まだ読んでくれる方がいるかどうかはわからないですが、たのしんでいただけたらと思います。
バカと月の訓練計画
「吉井明久とサグメはいるかしら?」
客としてやってきたのは依姫である。
とっさの対応に清蘭と鈴胡の二人が出る事にしたようだ。
「ふ、二人ならまだ寝ていますが・・・」
「そう…… なら私は出直そうかしら? 別に今後の吉井君の事を考えて訓練でも施してあげようかと思っていただけだし」
そう言って依姫が取り出したのは謎のマシンガンである。 一体何の訓練を始めようと言うのだろうか……
「そ、そうですね…… もしよければ私からサグメ様にお伝えしておきましょうか?」
「あら、いいのかしら?」
「そうですよ! 吉井のアホには一番必要なものだと思います! じゃなかったら、サグメ様がダメになっちゃう……」
「なんか小声で聞こえたような気がするけど……」
「き、気のせいですよ!」
「そうですって! 依姫様がお越しになっていたと言う事はしっかりとお伝えしますからご安心ください!!」
「……?? と、とりあえずちゃんと伝えてね?」
二人の慌てながらの対応に依姫は疑問を感じたが、そのままサグメ邸から出て行った。
「「……ふぅ~」」
どうにか特に問題が起こる事も無く出て行ってくれたことに安堵する清蘭と鈴瑚。
「よかった…… 依姫様にあんなサグメ様は見せられないよ……」
「監視カメラ、依姫様が調べまわっている様子無し。 後はどうにかしてサグメ様を起こすだけね」
清蘭と鈴瑚の二人がとっさに対応した理由。
それはサグメと明久のせいでもある。
「あ、開けるよ?」
「う、うん」
サグメの部屋の前に到着した二人は息を飲みながら扉を開ける。
「……すぅすぅ」
部屋にいるのはクィーンサイズの大型ベッドの上でパジャマ姿になって眠っているサグメ。
そして……
完全に抱き枕にされて苦しんでいる吉井明久の姿であった。
なぜこうなっているのか? それは明久が清蘭の着替えを除いた罰として弾幕で気絶させられた後の事である……
『今日は吉井は私の部屋でやすませる』
そう言って明久を抱きしめたまま放さないサグメ。
「え? ……でもサグメ様? 吉井君にはなぜか穢れがほとんどないですけど、一応地上の人間なんですから、用心の為に吉井君の面倒は私か清蘭が……」
『鈴瑚…… あなたは凶暴な野獣と化した清蘭に吉井君の面倒をみれるとでも?』
サグメが目を向けた先には杵を持って素振りを繰り返している清蘭。
その目は血走っているかのように赤く、彼女を一人にして明久の面倒をみさせようとしたならば、事故を装って殺されても不思議ではなかった。
「……はい、サグメ様以外に面倒をみれる方がいないですね」
苦笑いで返す鈴瑚。
パートナーであるはずの彼女でも今の清蘭は止められないようだ……
『それに私くらいじゃなければあのスキマ妖怪には対抗できない。 鈴瑚には悪いけど、今日は清蘭の事をお願い』
そう言ってサグメが明久の事をお姫様抱っこで部屋の中に入る。
その後で明久に着せた服になぜか涎掛けとおしゃぶりのようなものまでついていたことに疑問を感じながらも追及したら殺されそうだった鈴瑚が何も知らないふりをして部屋を出たのが最後だったはずである。
「ねぇ? なんで吉井の服に……」
「清蘭…… 何も言わないであげよう…… 吉井君は何も知らない方が幸せなんだ……」
一方、吉井明久と稀神サグメの二人は夢の世界で大変な事になっていた。
「ディア・マイ・ドゥタァアアアーッッ!!」
「イヤアアアア!! さっきからドレミーさんがトチ狂ってるせいで大変なことになってるんですけど!!」
『ドレミー、お願いだから吉井君に手を出さないで!!』
「ディア・マイ・ドゥタァアアアーッッ!!」
全く言葉が通じなくなっているドレミー。
どうやらその攻撃対象の全てが明久に向けられているようだが……
『いい加減にして… いくら大切な友達のドレミーでも吉井君に手出しはさせない』
明久とドレミーの間に割って入ったサグメはすかさずドレミーの攻撃を捌いてみせる。
その後ドレミーの足を蹴って体制を崩し、彼女の服の襟をつかみながら振り回す。
最後に腕を極めて動きを封じて見せた。
どう考えてもこの瞬間にサグメが勝った…… 普通ならそうとしか思わないだろう。
だが、ドレミーは発狂していることで暴走している力をフルに発揮して強引な力業でサグメの拘束を振り払ってしまう。
『吉井君、遠慮はいらない。 私に合わせてドレミーの後頭部に蹴りを入れて』
「いやいやいや!! それ友達にしていい事じゃないよね!?」
明久がツッコミを入れてる間に発狂ドレミーはスペルカード、超特急「ドリームエクスプレス」を発動。
超特急電車のような幅広く素早い弾幕が明久の元に襲い掛かってくる。
「イヤアアアア!! このままじゃ本当に死んじゃうよ!!」
「コロス!!」
弾幕ごっこ経験者ならば幅広い弾幕に圧倒さることなく、簡単に回避してしまうだろう。
だが、吉井明久は試験召還戦争の訓練はしていても弾幕ごっこの経験は一切ない。
『吉井君、危ない!!』
サグメもすぐに明久を助けようとするが間に合わない。
普通ならこの幅広い弾幕を防ぐ事も躱すこともままならないまま轢かれて終わるだろう。
「ええい!」
とっさに両手を前に出して弾幕に触れる明久。
その瞬間、ドレミーが発動していたはずのスペルカードは強制的にかき消され、スペルカードの発動も強制的に止められてしまった。
「そうか、吉井明久。 そこまでして私の可愛い可愛いサグメちゃんを寝取りたいのね…… ダケドワタシノイトシイサグメチャンハワタサナイ。 オマエヲコロシテサグメチャントノジュンアイヲハグクムノハコノワタシヨ」
「どう見てもドレミーさんの目が死んでるんですけど!? なんで包丁なんて持ち出してるの!!」
明久とサグメはそもそもなぜドレミーがそこまでトチ狂っているのかが分からないのである。
会話も成立しないので話し合いも出来ず、サグメと共に力ずくで止めるしかなくなっているのだ。
『そんなものを持ち出すなら、実力行使……』
包丁を片手に特攻してきたドレミーを前にサグメが装備したのは最初に出会った時に吉井を拘束した手錠である。
その手錠をメリケンサックのようにはめて拳を構える。
「ディア・マイ・ドゥタアアアァァァーッッ!!」
『ふっ!!』
明久を狙って刺そうとした包丁が誤ってサグメの元に向かってしまう。
それすら想定していたとでも言うのか、サグメはその振りかぶられた包丁を的確に殴り飛ばす。
それを何度も繰り返し、その勢いに乗せて拳を何度もドレミーの腹に叩き込む。
「ウグッ!!」
苦悶の表情を浮かべながらも耐えきるドレミー。
しかし、サグメはその隙にスペルカードを構えていた。
玉府「神々の光輝く弾冠(かみがみのひかりかがやくだんかん)」
明久を守るように抱きかかえるのと同時に発動させたスペルカード。
膨大な量の珠が放たれ、そこからさらに逃げ場を奪う様に弾幕を張り続ける。
「ディア・マイ・ドゥタアアアァァァーッッ!!」
結局、発狂したドレミーが止まった(気絶)した間にその身に受けた弾の数は108発。
しかもこのスペルカードの発動時間中に止まることは無く、もう一つのスペルカード「白翼の白鷺」を使ってようやく止まったのである。
「で、サグメさん…どうやって起きるの? さすがにそろそろ夢の世界から起きないと鈴瑚さんが心配するんじゃ?」
『どうやるもなにも、夢の世界をつかさどるドレミーがこの調子じゃ出るに出られない。 念のために鈴瑚には10時になっても起きなかったら起こしに来るように伝えてあるけど……』
サグメの反応から察する限りでは期待薄なのだろう。
ドレミーのせいで夢の中なのに疲れ切ってしまった明久はサグメと共に適当な部屋にあったソファに座りながらジュースを飲むことにした。
「って言うか、現実じゃないならジュースなんて飲んで意味あるの?」
『ドレミーが言っていたけど、夢の中で休息をとっているときは「今、心で抱えている問題を忘れて休みたいと思っている時間なの。 だから思いつめて間違った方向に行くことが無いように現状を見つめなおしなさい」とか……』
なんで夢を介した相談事にはこんなにも丁寧に教えてくれるのに、エッチな事や明久がサグメと一緒にいるときにはブチギレるのかが全く分からずに考え込んでいると……
「お待たせしました。 カルボナーラとチキンドリア、エビフライにコンソメスープ。 シーザードレッシング入り海鮮サラダ、デザートに焼きプリンとフルーツ盛り合わせを二人前分お持ちしましたー!」
いつの間にかサグメが頼んでいたのだろう。
謎の玉兎が持ってきた膨大な量の食事をサグメが受け取っていった。
「サグメさん、その大量の食べ物は一体……」
明久の知る限り、サグメは大喰いではなかったはずである。 先日の食事量から考えたら 一般女子の平均摂取量より少しだけ少ない程度のはずである。
それなのに明らかに一般女子どころか男子の摂取量を超える量を注文している。
夢の世界とは言え、これだけの食事を食べきれるとは思えない。
そのはずなのに、なぜかサグメは何かに追われるように大急ぎで食べているようだ。
「さ、サグメさん? なんでそんなに注文して……」
『あ、あれ?』
どうやらサグメも無自覚だったようである。
『夢占いだと、夢の世界でがつがつと急いで食事を食べる夢を見るのは「体力や気力を消耗している」時らしい。 吉井君、教えてくれてありがとう』
そう言ってサグメは食べきれない分を捨ててしまった。
明久としては発狂しそうなほどもったいない気持ちだったが、夢の世界の食べ物を現実に持ち込むことはできない事もあって残したまま放置よりはいいと思って諦める事に……
「あれだけのご飯…… もったいなかったなぁ……」
『これは夢よ…… これは夢…』
無駄に頼んでしまった食事の事に対しての後悔を引き摺っていると急にサグメの姿が消えてしまう。
それから遅れて10秒で急に明久の視界がぼやけてきた。
「サグメ様、いい加減起きてくださいよ」
「吉井、いい加減起きないと、その汚い口におしゃぶりでも咥えさせるわよ」
明久が目を覚ます。 その目の前にあったのは……
「やだ、まだ寝る。 あと22時間経ったら起こして」
抱き着いているサグメの胸だった。
清らかな乙女特有の優しい香りが明久の鼻をくすぐり、急に眼が覚めるが……
「ぷっ! なんでサグメさんがベッドに…… って、すごい力強い!! サグメさん、お願いだから離して下さ……」
「……いや。 抱き心地がいいからもうちょっとだけだっこさせて」
余程起きたくないのか、より力強く明久の頭を抱きしめるサグメ。
普通の健全な男子ならこの状況だと『どんなご褒美だよ!!』とか、『リア充爆死しろ』的な事を思い浮かべてもおかしくはないだろう。
だがこの時、吉井明久と言う男の子は……
(ギャアアア!! 頭蓋骨が! 頭蓋骨が割れそうなほど痛いいいいいい!! あ、でもサグメさんが抱きしめてくれてるから甘い香りと美波よりは出てる胸の柔らかい感触が…… それでも痛い痛い痛い!! このままじゃ死んじゃうよぉぉぉ!!)
サグメの女神としての強すぎる力のせいで生と死の境を彷徨い始めていた。
そんな中でも女子の胸の感触を味わえる辺り、意外と余裕もありそうだが……
「そんなこと言わないで起きて下さい!! 先ほど、依姫様がいらっしゃってましたよ。 なんでも吉井君に話があるとかで……」
『無視でいい。 それよりも朝ごはん食べたい』
「いやいやいや!! 吉井君の今後の事を考える為の話らしいんで、ちゃんと行ってあげてください!! それなら朝ごはんくらいは用意します!!」
鈴瑚に言われて渋々と言った顔で『”午後に依姫の所に行く”と伝えて』と鈴瑚にコメントを残してそのまま起きるサグメ。
夢占いの通り疲れているんだろうか? その足取りはとても重かった。
午後になって明久達は依姫が待つと言っていた場所に向かったのだが……
「よし、これから吉井君の為に私が組んだ訓練を開始するわよ」
マシンガンを片手にいきなりの訓練開始宣言をする依姫。 明久達は状況を把握できずに困惑する。
「あの…… 依姫さん、どうしてもやらなきゃダメですか?」
「敵前逃亡は許さないわ! 上司の命令は絶対よ!!」
「上司って…… 朝起きてなかったから腹いせとでも言わんばかりに思いっきりぶん殴られそうな気がするんだけど……」
「・・・・・・・・・」
「分かりましたよ。 よろこんでお受けいたします」
不機嫌な顔で無言を貫く依姫相手に明久が折れた。
「いい子ね。 まずは私と一戦交えてもらおうかしら」
「急に体調が悪くなったので訓練は後日と言う事で……」
敵前逃亡は許さない。 有言実行とでも言わんばかりに依姫が逃げ出そうとした明久を一瞬で捕まえてしまった。
「い、いやだ! 刀で切り殺されたり炎で焼き殺されたくなんて無いんだ!!」
「安心しなさい、ちゃんと手加減するから絶対に死ぬ事はないわ。 私の能力である神卸しのスキルは使うつもりは無いし、私の身体能力も地上の人間の範疇にとどめておくから」
「本当ですか?」
一応の手加減をしてくれると言う事で安心している明久。
最も、依姫がどれだけ手加減してもオリンピックの金メダルを大量獲得できる人間並みの力は出てしまうので明久にとっては充分強敵なのだが……
「ただし、戦力の調整も兼ねてこのマシンガンを装備……」
「体調が悪いので訓練は後日と言う事で!!」
「鈴瑚、吉井君を捕まえたらお昼に好きなだけ団子を贈呈することをここに誓うわ」
「捕まえました!!」
「モガ……モガモガ……!!」
猿ぐつわを掛けられながら捕まえられた明久。 その時間、依姫の誓いから0.4秒。 その時に明久は鈴瑚から200メートルほど離れており、やはり彼女も妖怪であると言う事実を認識させられてしまう。
その目には涙を溜めており、もがき続ける姿はまさしく拷問にかけられる直前の捕虜のようだ。
「つーかズルいでしょ、マシンガンとか!! しかも僕は素手なんでしょ? 十分反則だって!!」
「安心しなさい、このマシンガンの銃弾は霊力でできているから絶対に痛い思いはしても死ぬ事は無いわ。 キレた神様による理不尽に比べたら充分手加減しているのだからありがたく思いなさい!!」
「あーそうですか! ありがとうございます、こん畜生!!」
こうして月の都警備隊長、綿月依姫による直々の訓練が行われることになった。
「やっぱりいやだああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
やはりと言うべきか・・・ マシンガン相手に突っ込めるはずもなく明久は近くにあった岩場に隠れてしまった。
そこに弾を乱射し続ける依姫と言う光景はもはや一方的ないじめでしかない。
「だけどサグメ様? あんな滅茶苦茶で吉井君の何を測れるって言うんですか?」
「別に吉井なんてどうでもいいけど、壊れたらさすがに捨てるのメンドクサイです…… お願いですサグメ様、今クビになったら実家からも勘当されそうなんで……」
『多分、無駄に終わる。 前に玉兎新兵隊の初教導で「開かない扉を開けろ」って宿題を出してその翌日に新兵達になんて答えたと思う?』
「私は受けた事なくて分からな…… もう明久様をぞんざいに扱ったりしませんから話しながら解任書を書き上げるのをやめてください! ほんとに悪かったですから!!」
『「開けられないなら力ずく壊せ」…… 天然にしたってこれは酷い』
「よくそれで戦技教導官を務められますね。 わたし受けなくてよかった…… って、本当にお願いします! ここまでやめさせられたらもう帰る場所がないんです!! 書状のハンコを押さないでくださ・・・・・・」
『あ、吉井君が別の岩場に隠れた。 依姫は気が付いている様子が無いから、たぶん反撃に移ると思う』
書き上げた書状を捨てながら解説するサグメ。
捨てられた未完成の書状を拾って破りながら見学に戻る清蘭。
「うおおおおおおおおおお!!」
咆哮しながら依姫に突撃をかけた明久。
顔を殴るのにはどうしても抵抗があるのか、腹に狙いをつけて右拳で殴り掛かる。
「もし、奇襲をかける気なら可能な限り気配を殺しなさい。 いくら奇襲をかける事が出来ても無手の基本を心得ている人間が相手なら簡単に捌かれる」
スウェイバックで後ろに下がるのと同時に明久に銃口を向ける依姫。
躊躇なく弾切れになるまで銃を乱射し続けた……
とっさに顔を庇おうと左手を自身の眼前にだしてしまう明久。 もしこの銃の弾が実弾だったなら左手を貫通する為、即死は避けられなかっただろう。
……霊力弾が左手に触れたとたん、弾が砕け散った。
一発の例外もなく、左手に触れたすべての霊力弾が粉々に砕け散って消えたのである。
「な…… なにこれ?」
「八雲紫の言っていた能力の意味ってこういう事だったのね。 まさか本当に、異能の力が消せるなんて」
先ほどの霊力弾の全てを防ぎ切った明久が一番驚いていたのだが、そんな明久の事を無視して考察を続けている依姫。
何を思ったのか、先ほどまで使っていたマシンガンを清蘭に預けて何かの魔法陣のような物を書き始める。
「吉井君、動かないでね。 と、言うより動いたら死ぬわよ」
そう言った依姫が日本刀を一本、地面に差し込んだ。
その瞬間、刃の檻が明久の周りに飛び出す。
「うかつに動けば、触れた刃によって切り刻まれる」と、言う事なのだろう。
「『女神を閉じ込める祇園様の力』、本当なら人間相手に使う必要なんてないんだけど……」
「なんでそんな危険な力で動けないようにするの…… って、うおおおおおおおおおお!! 斬れた! たまたま二の腕に刃が触れたけど、うっすらと血が出てきたよ!!」
あまりの切れ味の良さに動けないながらもツッコミを入れ続ける明久。
「その祇園様の力で生み出した刃の檻。 吉井君、その刃に触れてみなさい」
「いやだ!! 絶対に指の4・5本は切り落とされるに決まってるって!!」
「大丈夫。 もし私の見立てた通りなら吉井君がこの刃に触れても怪我なんてしないだろう。 むしろその刃の檻から脱出して私に詰め寄る位造作もないはず……」
「ほんとに斬れたりしない?」
「大丈夫よ。 私があなたを裏切った事なんてあったかしら? 少しは私を信じなさい」
「そんな事を言っておきながら躊躇なく僕をだまして使い捨てにしようとする友人を一人だけ知っているんだけど……」
「それって本当に友達なの?……」
明久の言うその友達とは言うまでもない、幻想郷の地底でショッピングを楽しんでいたタテガミライオン的風貌の親友である。
そんな友人に不幸が舞い降りて来てくれるように祈りながら、しぶしぶと言った顔でゆっくりとその手で刃に触れる。
「やはり……こうなったわね」
結論から言うと、明久の手が"触れた刃"は一瞬で粉々に砕け散って消えた。
とは言っても、”触れていない刃”の全てが明久にめがけて襲い掛かろうとしてきた為、あくまで”触れた”異能の力でないと明久の能力は発揮されないようである。
「やっぱり騙されたよ!!」
「吉井君、本当に騙されやすいんだね」
一歩間違えたら全身を切断されかねない状況に漏らしている明久の姿を見てケタケタと笑い転げている鈴瑚と清蘭。
依姫がどうにか祇園様の力を止めているから無傷で済んでいるが、一歩間違えたら本当に即死だっただろう。
「大体吉井君の能力の特性は分かったわ。 明日には本格的な訓練メニューを組んでおくから朝にはここに来なさい。 徹底して吉井君の為だけの護身術を叩き込んであげるから」
そう言われて明久はサグメの元に帰された。
清蘭と鈴瑚の二人の頭に大きなたんこぶが二つ重なるように出来上がっていた事にツッコミを入れながら帰りに担々麵や胡椒餅(フーチャオピン)などを食べてから家に帰ることに。
明久が風呂から出た後で謎の玉兎2匹が明久が着ていたシャツのにおいをかぎながら体を震わせていた事に恐怖を覚えながら今日も”念の為”サグメの部屋で保護して貰いながら寝る事となった。
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「それで? なぜ貴方達は吉井君のシャツやパンツの匂いを嗅いでいたのか説明してもらおうか?」
今依姫が尋問しているのは訓練後の明久の服のにおいを嗅いで発情しかけていた玉兎二匹である。
この二匹、未だ興奮が収まりきっておらず、最初は優しく事情を聞こうとしていた依姫も業を煮やして威圧的な対応に切り替えざるを得なくなっている。
「確かにあの子が最初に月の都にやってきた日に見かけてとてもかわいい子だなって思ったのは本当です」
「でも、流石にいきなり襲おうとか来ている服を盗みたいなんて思ってはいなかったはずなんです……」
バツの悪そうな顔で目をそらしてしまう玉兎二匹。
どうやら最初に明久に襲い掛かって投獄されたメイド玉兎とは違って多少の自制心は持ち合わせていたようである。
「でもあの子の事で『すごく可愛い子だったね』とか『あんな良い子とお付き合い出来たら一生幸せにしてあげたいな』とか『あ、でも子供とかできたらその子供ばかり可愛がられて嫉妬してしまいそう』みたいなことを話していただけでその時はあんなことを考えたりなんてしていなかったんです」
「ならなぜそんな事を?」
「なぜかその後の記憶が全く無いんです!! 本当です! 信じてくださいよぉぉぉぉぉ……」
本気で泣きついてくる玉兎二匹。 普通なら泣き落としだとしか思わないが、依姫にはこの二人の懇願があまりにも鬼気迫るものがあり、どうしても嘘には見えなかった。
「どうみますかお姉さま?」
「……この子たちは一度こちらで保護しましょう。 レイセン」
「はい! この子たちにはペットとして礼儀と言うものを徹底的に叩き込んであげま……」
「それはいいから半分囚人、半分客人位のつもりで対応しなさい。 しばらく外には出してあげられないけど、うちの仕事と家事の面倒を見てもらえれば釈放してあげるつもりだから……」
そう言った豊姫が見つめる先にあるものは……
放置された洗濯物の山。
溜まった洗われていない食器の山。
異様なまでに汚れにまみれた部屋……
「……私達の中で一人でも家事ができるのなら」
「それは言わないで頂戴。 女子として由々しき問題なんだから」
「それならしばらくお二人の秘書を休んで掃除に専念……」
「「それはそれで仕事が回らないからやめて!!」」
完全に汚部屋と化してる……
3人とも家事は出来ないのか、最初こそ笑って誤魔化していたがはっきりと言って汚い。
連行された玉兎二人もこの光景にはドン引きである。
今日、沖縄では沖縄コンベンションセンターという場所で「おでかけライブIn沖縄」と言うイベントが行われていました。
ついつい財布の紐が緩んで8000円もする特大タペストリーを購入してしまった…… (サグメ様が美し過ぎたんじゃい!!)
もう少ししたら家に帰ってiPhoneに音楽を入れないと……