バカと幻想と舌禍の女神   作:閻魔刀

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最近、友人に誘われて「恐竜世界で生き残る」と言うサバイバルゲーム『Ark(アーク)』と言うゲームのPS4版をプレイしていて投稿がまたしても遅れてしまいました……
別にドラクエ11とかソロプレイ前提のゲームなら時間の融通が利くのですが、オンラインとなると友人と時間を合わせて協力しないと……

結果ですか? ユタラプトルと言う恐竜に5回食い殺されましたよ……






バカと修行と妖精大戦争

another story 蔵雲Side

 

 

 みんな寝静まっている夜。 こっそりと古ぼけた通信端末を取り出して誰かと話す者が一人……

 

「そう……うまく潜入出来たようねクラウンピース」

「はい! あたいが兎耳をつけていると言うだけでみんな都合よく騙されてくれました!!」

 

 クラウンピースの背中から小さな半透明の羽が生えてくる。

 その羽の輝きはまさしく妖精のかわいらしさを物語る小さな光だった。

 

「だけど戦争中だと言うのにのんきなもんですよ月の都の連中は。 ま、だからこそこうやって簡単に潜入出来たんですけどね」

「油断しないのクラウンピース。 もしかしたらこの会話も聞かれているのかもしれないのだから……」

「今は大丈夫ですって。 住まわせてもらってる屋敷の連中は暗殺できるんじゃないか?ってくらいに爆睡中ですし…… あ、この通信の前にサグメって言うお姉さんが隣の部屋で寝ていたバカなお兄ちゃんを運び出していましたけど……」

「何それ…… ちょっと怖いわね」

「しかもなぜか無駄にキラキラした服も持っていたのが気になりますけど、たいした問題ではないかと思います」

「いや! それ……バカのお兄ちゃんさんが本当に危ないわよ!!」

「多分、バカのお兄ちゃんがコスプレ趣味があるとかだと思います」

「いやいやいや! それはそれでそのバカのお兄ちゃんとやらがかなり頭おかしい子って事になっちゃうよ!?」

「え? でも実際に着せてみたら似合いそうだと思うんですが……」

「似合ってるいない以前にいろいろとおかしいわよ!?」

 

 電話の先にいる人物も驚きを隠せないようだ。

 

 

「と、とにかく上手く潜入出来ているならそれでいいわ。 引き続き潜入工作を頼めるかしら?」

「心配はいりませんよ友人様。 首尾よく事が進んだら合図を送りますので、本隊の準備をお願いしますね」

「ええ、健闘を祈るわ。 ……コレが月の都の最後だ」

 

 

 

 

 

 

another story end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝。 明久達は依姫の待つ訓練場に来ていた。

 

「す…… 少しだけ聞いていいかしら?」

「なんですか、依姫さん?」

 

「なんで清蘭とサグメちゃんはあんなに苦しそうなのかしら?」

 

 依姫の視線の先には腹を抑えながら寝込んでいる清蘭とサグメ。

 

「あ…… いや、朝にこんなことがありまして……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

another story

 

「サグメ様! 清蘭先輩、鈴瑚先輩! 朝ごはんの用意が出来てるですっ!! はやくおきるです~!!」

 

 翌朝、珍しく早起きの明久と先日居候する事となった蔵雲の二人が3人を起こしに行く。

 因みに今の明久の格好はラブライブ、「僕らは今のなかで」にて星空凛が着ていた衣装を模した服の上から可愛い子猫がデザインされたエプロンを装着している……

 最初着ていたパジャマや文月学園の制服から着せ替えられている件に関してはもうツッコミを入れるつもりもないようだ……

 

「わざわざありがとう蔵雲ちゃん」

 

 そう言って蔵雲が明久と出した料理達…… パエリアやピザ、大量の揚げたてのチキンに数種類のサラダ。 カルボナーラのようなクリームスパゲティ、ドリアにビーフシチューにキッシュ……

 

「バカなお兄ちゃんといっしょに頑張って作ったですっ!」

「……いや、吉井が料理出来るって話は聞いていたけどさ?」

『これだけ重い料理を朝起きてすぐに食べろって……』

 

 大食いの鈴瑚は喜んでいるが、普通の胃袋しか持ち合わせていない清蘭とサグメにとっては拷問に等しいのだろう。

 あまりに多すぎる朝ごはんを目の前に顔が青ざめている……

 

「まあ、ここ数日忙しいからと言って外食で済ませていたことが原因で放置されていた食べ物を全部使ったからね。 自然と量が多くなって……」

「『それをこんな朝ご飯作るタイミングでやる!?』」

 

 余程期限の近い食材が残っていたのだろうか? 明久と蔵雲の二人が見せた冷蔵庫の中にはほとんど食材は残ってはいなかった。

 

『確かに食材を買っておきながら期限切れにして捨てるのももったいないけど、料理しても食べきれなかったら結局もったいない事には変わらない気が……』

 

「「……しまったあああああぁぁぁぁぁ!!」」

 

another story end

 

 

 

 

 

「で? 結局頑張っても食べきれずに残したって訳?」

「うん…… それで結局食べきれなかった分は保存用の容器に入れて冷蔵庫に入れておいたけど……」

 

 夜に食べようと思っても味に飽きて食べきれないパターンだろう……

 

「はぁ…… 一応、あなたは動けるのよね?」

「全然大丈夫ですけど?」

 

 

 

「そう…… ならさっそく……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ねぇ! 吉井明久ああああああああああ!!」

「「またですか!?」」

「うるさい! 人気投票でまだ上位にいるサグメちゃんや投票に関係のない明久君はいいわよ!! 私なんて今回でさらに10も下がって99位なのよ! もう少しで3桁台に突入しそうなのに、それでヤケになるななんて言えるの!!」

「分かった! 分かりましたから、そろそろ4の字固めから解放してください! 本当に足の健が悲鳴を上げているんです!!」

『私も今回の人気投票で28位に順位を下げてる……』

「それでも上位にいるだけまだいいですよ…… 鈴瑚なんて100位ですからね?」

「そういう清蘭も97位だよね。 まあ、わたしは順位とか気にしてないからいいけど」

 

 「尤も…… これ見よがしに上位である事をひけらかしている奴がいたらさすがにムカつくけど」と言いながら、鈴瑚は持ってきた水筒の水の中に砂糖と塩を混ぜ合わせていく。

 明久が無事休憩のために戻ってこれたら飲ませる為のドリンクだろう……

 

「あ、鈴瑚先輩。 あたいも手伝うですっ」

「そう? ならそこにおいてあるレモンを絞ってくれる? 今作っているドリンクに使うから」

「はいですっ!」

 

 鈴瑚の指示で蔵雲はレモン絞りを始める事に……

 その一方で明久は依姫と一緒になって訓練と称したキャッチボールを行っている。

 時速175キロを超えたボールが明久のグラブの中に入っていくが、一般的な地上人の能力が基準ではあまりにも速過ぎるボールを取ることなど出来るはずもなく、ボールはグラブごと彼方の先へと飛んで行ってしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

another story

 

 

 

 

 

「ふぁ~ぁ…… 全く、昨日は散々だったよ……」

「ほんとよね~。 侵入してきた妖精の軍団が暴れた後の処理で忙しかったのに、それから休みなしで門番させられるなんてやってらんないわよ」

 

 彼女たちは月の都の門番を務める駐屯玉兎。 先日の妖精との戦いの件でせっかくの休みを無かった事にされた上にほとんど休憩らしい休憩もないまま門番をさせられている哀れな奴隷階級である……

 

「まあまあ、とりあえず豊姫様がピーチパイの差し入れしてくれてるから、休憩がてらに食べてきなよ。 ちょっと予定より早いけど、門番は私達が変わるからさ」

 

 むしろ丸一日休みが欲しい位だが、事情が事情故にそれが出来ない事を知っている門番二人は特に文句も言えずに詰め所に戻っていく。

 

「まあ、昨日あれだけの軍勢で暴れまわってるんだし、昨日の今日で連続でやってくることなんてないでしょ」

「そうだよね。 だったらこんな仕事さっさと終わらせた後で逆ナンにでも行きましょうよ」

「それいいわね。 最近、サグメ様の元で保護されているって言う地上人が珍しく穢れてなくてしかも凄く可愛いって話だし、うまい事誘って酒でも飲ませてみましょうよ」

「そうよね。 全く……他の玉兎連中は強引に襲うからメンヘラ痴女扱いされて逮捕されちゃうのよ。 うまい事誘いだして酒で酔わせてから合意の下でずり降ろして思いっきりヤッちゃえばなんの問題もな……」

「ちょっと、いったいどうしたのよ?」

 

 

 

 明久の貞操がピンチになりそうな事を言い出している玉兎だが、何かに気が付いたようで、会話をとめてしまう。

 その視線の先にあるのは謎の砂煙。

 

「ちょっと…… 何なのよあれ!?」

「なんか変なTシャツ着ている妖精軍団がバイクやらトラックやらで突っ込んでくるんですけど!?」

 

 双眼鏡を片手に砂煙の正体を確認する門番玉兎。

 『welcome hell』と書かれた変なTシャツを着ている妖精達がバイクやバギー、挙句の果てに大型トラックなどで隊列を組んで月の都に近付いてくる。

 

「ちょっ、これマズいんじゃ……」

「急いで警報を鳴らして!! それと、対妖精用の兵器をありったけ持ってきて!」

「もう持ってきてあるわよ! 豊姫様が近くにいて助かったわ!」

 

 城門の上から「はろはろ~」と朗らかな笑顔で門番玉兎達に手を振る豊姫。

 そんな彼女の迅速な対応に感謝しながら、用意された武器の配布や兵器の設置を急いで行っていく。

 

「ほらほら、ぼさっとしてるんじゃないわよ!! 兵舎で休んでる奴らも全員叩き起こしな!!」

「今、兵舎で休息を取っていた駐屯玉兎隊の皆も向かっているそうです! 対妖精用収束荷電粒子砲のチャージも今行っています!!」

「隊長! 敵軍が視認できました…… 何ていう事だ……予想以上の規模です!」

「どれだけの規模なの?」

「200……いや、500は確実に超えています!!」

 

 玉兎隊の面々が迎撃兵器の稼働を急ぐ中、豊姫は敵陣の中心にいる謎の女性の存在に気が付く。

 

「あの変なTシャツに加えて変な星のような物を乗せている女は一体……」

「ああ…… あれが敵勢力の代表の一人、『ヘカーティア・ラピスラズリ』です」

 

 ヘカーティアと呼ばれた女性は陣の中央で輿のような物に乗りながら金属バットを片手に堂々と腕を組んで構えている。

 そんな彼女が組んだ腕をほどいたと思ったその瞬間、いきなり月の都をバットで指しだした。

 

「豊姫様! 妖精軍のトラックが2台先行してこちらに突っ込んできます!! なんていう速さだ!!」

「なっ!?」

 

 どうやらあのヘカーティアの奇妙な行動はトラックへの指示だったようだ。

 先行した2台のトラックはむしろスピードを上げ、月の都を守る壁を突き破らんばかりの勢いで突っ込んでくる。

 

「不味いわ…… 荷電粒子砲のチャージを中断! 門の前にいる皆は私が救援します!! みんな一時撤退しなさい!!」

 

 そう言った豊姫が門の前に飛び出した瞬間に指示を受けた玉兎隊は一斉に奥へと逃げ出していく。

 

「くっ…… 間に合って、『海と山をつなぐ程度の能力』……発動!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……正門が爆炎に包まれた。

 

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「ちょっ! なんか向こうの方から爆炎が上がってるんだけど!!」

『……あそこは正門の方!!』

「全く! 昨日といい吉井君の訓練を始めている最中になんでこんな事件が起こるのよ!!」

 

 別のグラブとボールを持ってきてプロ野球の最高速度を超えたボールによるキャッチボールを再開していた依姫は、悪態をつきながらもレイセンに預けていた日本刀を取り出す。

 

「今日の訓練は中止! サグメちゃん、悪いけど清蘭と鈴瑚の二人を借りるわよ」

『分かった。 私は明久を連れて避難している』

「「いや…… わたし達は依姫様についていくとは言ってないですからね!!」」

 

 昨日は前線に出て行ったのにも関わらず、何を思ったのか一転して今度は全力で依姫から連れられることを拒否しだした清蘭と鈴瑚。

 

「命令拒否するなら、厳罰として……」

「「……厳罰として?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「吉井君から兎の尻尾を延々とモフられても文句を言えないの刑に処す」

「「ふざけんなオイ!! 玉兎最低最悪の凌辱の一つじゃねぇか!?」」

「僕にそんな事をして喜ぶ趣味は無いから!?」

「上官への暴言…… 厳罰として最前線であなたたち二人の体に爆弾をテープで巻きつけてあげるから覚悟しなさい!!」

「「生かして帰す気が無い!?」」

 

 むしろなんで軍隊と言う規律の塊のような組織内で上官に暴言を吐いてなんのお咎めもないと思ったのかが分からない……

 それでも普通は日本刀で斬り捨てられると言う”粛清”が真っ先に思い浮かべられそうなものだが、まさかの自爆特攻命令と言う太平洋戦争時の日本軍並みの無茶ぶりに明久もドン引きしている……

 

「サ、サグメ様…… お願いですからサグメ様からもなにか言ってくださ……」

 

 救いを求めてサグメに懇願しようとする清蘭と鈴瑚の二人だが、その懇願も無駄に終わることを悟る……

 

 「頑張って」と言わんばかりの優しい笑顔で手を振って見送っているだけの存在が、間違っても二人を庇い立てするとは思えない。

 

「さあ、最前線での戦いよ。 月の都の為にも最後まで戦い抜けることを誇りに思いなさい!!」

「「絶対にいやだあぁあァァァァー!!」」

 

 清蘭と鈴瑚の二人を何かと一緒に縄で縛り上げた依姫は瞬間移動したかのような速さで正門に向かっていく。

 

『明久君と蔵雲ちゃんは私について来て』

 

 そう言ったサグメは蔵雲に荷物を持たせ、明久を首から肩にかけて腕を回しながら上半身をやや上に起こしながら抱きかかえる……

 いわゆる”お姫様抱っこ”を明久にしていた。

 明久が朝からずっとアイドル衣装を着せられている事もあり、僕少女がお姉さんに抱きかかえている姿にしか見えない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、都の正門前は大パニックに陥っていた。

 

「なんてことをするのよ…… 妖精の頭がオカシイって事は知ってはいたけど、流石にこれは気が狂っているとしか言いようがないわよ!」

 

 都の正門だった防壁は完全に破壊されて炎上。

 豊姫のとっさの指示と行動のおかげで今のところの犠牲者が出てはいなかったが、今回の妖精軍の攻撃によって正門が破壊されていると言う光景によって兵達に動揺が走っている。

 その隙を突くようにトラックの中にいた妖精の軍勢が月の都の中になだれ込もうとしている。

 

「総員正門前で迎撃!! 奴らがなだれ込む前に食い止めなさい!!」

 

 豊姫の指示に従った玉兎隊が雄叫びを上げながら防衛陣を組んでいく。

 

「申し訳ないけど防衛陣の指示を任せてもいいかしら? 私は依姫にこの事態を伝えに行かないと……」

 

 現場を離れようとした豊姫の前に飛び降りる依姫。

 彼女の背中には6振の日本刀が羽のように顕現している。

 どのような神様を呼び出したのかは分からないが、手持ちの日本刀を合わせて7刀流で戦えそうである。

 

 

「お姉さま、何なんですかこの状況は!?」

「妖精軍の奴ら、本当に気が狂っているわよ。 トラックに何を仕込んだのか、猛スピードで正門に突っ込んできて、後はごらんのありさま」

 

 都の正門だった場所を見て驚く依姫。

 しかし、すぐに切り替えて刀を構える。

 

「分かりました。 正門の防衛は私が指揮します。 お姉さまは逃げ遅れている一般人の避難をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「ええ、気をつけなさいね。 どうやら今回は敵の方も大将自ら攻め込んでくる気の様だから」

「敵の大将が…… 分かりました。 お姉さまの方もお気を付けて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明久達はパニックに陥っている月の都の中を必死になって走り回っていた。

 サグメは明久に対してお姫様抱っこを続けてパニックに陥っている都の中を走り続けている……

 

「ちょっ!? サグメさん、流石にこれは恥ずかしいから降ろして!!」

『大丈夫、下に落としたりなんてしないから』

「そういう問題じゃないんだってば!!」

 

 抱きかかえられた明久の顔が恥辱にまみれて真っ赤になっているが、そんな事を気にしていられるほど余裕はないとでも言わんばかりにサグメは避難所に向けて走り続ける。

 

「あはははははははははははは! バカなお兄ちゃんの扱いが完全にメインヒロインですっ!!」

「ちょっ…… えっ!? そんな…… ……もうお婿にいけない」

『お嫁の間違いだと思う』

「いえ、お婿さんで間違いないと思うですよ?」

 

 サグメは明久を何だと思っているのかは分からないが彼を降ろすつもりは毛頭ない様だ。

 蔵雲も蔵雲でお姫様抱っこで抱きかかえられている明久の事を指さしながら笑い転げている辺り、ツッコミこそいれど本気でサグメを止めさせようと思いやる気もないのだろう。

 

 

「ヒャッハー! このアマ、イチャついてんじゃねぇぞ!」

「ヤッちゃうよォ~! 徹底的にヤッちゃうヨォ~!!」

「イ~ッヒッヒッヒ……」

 

 突如家の屋根から妖精がバットを片手に不意打ちを仕掛けてきた。

 

『しまった…… 依姫のハードトレーニングの疲労が残っているだろうと思って明久君を強引に抱きかかえたけど、両手がふさがっていたら”捌き”が使えない……』

 

 捌きが使えない状況の為に仕方なく明久の抱きかかえ方を変えながら転がるように回避する事にしたサグメ。

 明久にけがは一つもないが、かなり無茶な避け方をした為にサグメも体制を崩してしまう。

 

「ウホッ、イイ男♡」

「純弧様が喜びそうな感じの可愛い男の娘じゃないの。 この女ボコった後に拉致るとでもしますかな」

「いいね、いいねぇ! さいっこうだねぇ!! こういう男にある菊の花はうめぇってしってるかぁ?」

 

 穢れた妖精の手から明久を守るべく臨戦態勢を取るサグメ。

 最後の男子妖精の言っている意味は理解できてもしたくないだろう…… 鉄人とも八雲紫ともFB玉兎とも全く違う恐怖を目の当たりにした明久はすくみ上ってしまう……

 

「ほう? この妖精軍の第13班班長『ピロリ』軍曹様を相手にやりあおうとはこの女、いい度胸をしておる。 こういう気の強い女を屈服させて拉致った後が楽しみだからこの仕事はやめられ……」

『明久君の純潔は渡さない。 あの子の純潔は私が破る。 お前のような恋すら知らない汚物に性を語る資格はない!!』 

 

 急に現れたこの班長と呼ばれた妖精の言葉が続くことは無かった。

 サグメの拳のラッシュを叩き込まれ、両腕を粉砕骨折させられた上に、その折れた両腕と顔面を何度も踏みつけられる…… なんてマネをされたら今後真っ当に生きていられるかが怪しいレベルの重症になるのは間違いないだろう。

 

「ヒ…… ヒィィィィィ!! 能力を使う前にピロリ軍曹が瞬殺された!?」

「能力を持たないオレ等じゃ敵わねぇ! 友人様から純化の儀式を受けた少尉クラス以上の方々をお呼びするんだ!!」

 

 何かしらの通信端末らしきものを取り出した妖精の行動を阻止するべくサグメは妖精の顔面を殴り飛ばす。

 その時の衝撃のせいで妖精は通信端末を落としてしまい、その通信端末はサグメの足によって粉々になるまで踏み壊されてしまった。

 

「ヒィィィィィ! みんなの事は助けたいけど、アタイ等ではあの女にはかなわないから素直に逃げさせてもらう事にするよ!!」

「い、命だけは御助けぇぇぇ!!」

 

 

 妖精を二人ほど逃してしまったが、これ以上の深追いは危険と判断したサグメは再び吉井をお姫様抱っこで抱きかかえようとした。

 ……が、全力で拒否されてしまい、しょんぼりと落ち込みながら明久の手を引いて道の先にあった避難所の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……扉を開けようとした途端、FB玉兎と化してしまった玉兎たちがゾンビのように襲い掛かってきた。

 




最後の方…… なんでこうなった?


……Arkをやる前はゾンビ映画辺りを見ていた影響が出ていたのかな?

鈴瑚「因みにほかにも何かやってなかった?」

 ……ゾンビ映画の「ファイナルエクスプレス」・「アイアムアヒーロー」
 ゲームの方は「龍が如くシリーズ」・「天華百剣‐斬‐」・「Ark(アーク)」・「ドラクエ11」……

サグメ『遊びすぎ! 少しは更新しなさい』

 くっ…… 拠点作りと恐竜のテイムがうまくいけばこんな事には……
 ボイチャなんて初めて使ったけど遠くの友達と一緒に話しながらゲームをするのが楽しすぎて……

 

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