この話までは広告兼ねて即投しますので、ゆっくりと楽しんで下さい。
「所で、ここはどこ?」
『ココは綿月姉妹と言う私と同格の為政者が住んでいる屋敷。 貴方の件で報告を入れたら君に直接聞きたいことがあるそうだから直接彼女らがいる部屋へと案内する』
って言う事があって、いきなり政治家の執務室みたいな場所に連れてこられた。
”綿月豊姫(わたつきとよひめ)”さんとその妹さんの”綿月依姫(わたつきよりひめ)”さんって言うらしいけど……
はっきり言ってしまうと清蘭さん達といた時の方がマシだったかもしれないと思い始めている……
だって……
「なら、もう一度聞く。名前は?」
「吉井明久」
「なら吉井明久、あなたの出身は?」
「日本……」
「……この都に来た目的は?」
「目が覚めていきなりここだったから分からない」
「………ここまで、どうやって来た?」
「前後の記憶が無いから、それも分からない。 裂け目のような物が迫って来たと思ったらなぜかあの荒野にいたんだ」
「……レイセン」
「依姫様、結構痛い程度の拷問にでも掛けましょうか? ショックで記憶が戻るかもしれません!!」
「何このチビッ娘!? 何気に怖い事言わないで!! だ・か・ら! 拷問されようが何されようが、今言った以上の事は分からないし、知らないんだってば!!」
さっきからこの調子だもん。 何この苦行、いい加減僕も怒りたいんだけど!!
いくら言ってもなかなか信じて貰えないし、本当に埒が明かないな……
「あら? この菊の彫刻綺麗ねぇ~。 これは、あなたが作ったものなのかしら?」
お姉さんの方はのんきに僕の持ち物を漁っているし、妹さん(それでも僕より少し年上っぽいけど……)の方はさっきから正直に答えているのに全く信じてくれないし……
「いや、これただの百円玉……お金だし」
「お金? その割には、見た事も無い貨幣ね。 ……その日本と言う国はどこにあるの?」
「それはこっちが聞きたいよ。 そもそもここ、どこの国なの? 日本でも中国でも漢字圏ですらないなら、モンゴルとかインド辺りなのかな? 東南アジアとは違うよね?」
この部屋に連れられて来るまでに、サグメさんと少し街を回ってご飯もおごってもらったけど(ここしばらく砂糖と塩しか食べてないと言われたらなぜか憐れむような目で見られたんだよね……)あの料理は間違いなく中華系の料理だったよ? 街並みとか見ても明らかに昔の中国風の雰囲気だったし、これで中国じゃなかったら一体何処が中国なんだ? とでも言わんばかりに中華風の物ばっかり! お土産を持って帰りたいくらいだよ全く!!
でもみんなの名前とか聞いていたら日本人っぽいネーミングだし…… もうわけわかんないよ。
「あなたねぇっ! こちらが下手に出ていたらのらりくらりとワケの分からない事ばかり……!」
「依姫も落ち着きなさい、そもそも下手に何時出たのですか?」
「で、でもお姉様……」
「それに、大体の予想は付けられましたわ。 それを説明したいから少し静かにして貰えないかしら?」
え? どういう事? 被害者である僕でさえ訳が分からずにいる事に対して予想が出来たって……
しかもあんな僕でも滅茶苦茶に思えるような事に対して……
このお姉さんの方、どれだけ凄い人なんだ……?
「貴方がこの月の都にいるのは、恐らくですが”幻想郷”と呼ばれる所にいる通称”スキマ妖怪”『八雲紫(やくもゆかり)』の仕業とみるべきでしょう」
「八雲紫?」
「彼女は”境界を操る程度の能力”と呼ばれる力を持っています。 彼女の手によって貴方は私達や幻想郷の者達の言う”外の世界”から連れてこられたとみるべきでしょう」
「境界を操る程度の能力? 結局はどういう事?」
「そこに関しては後ほど説明しましょう。 つまり、貴方はそのスキマ妖怪によって外の世界から拉致された。 だけどなにか彼女に取って計算外な事態が起こり、幻想郷へと入るはずだったにも関わらず……」
「この裏世界みたいな所に入り込んでしまったと……」
なるほど、いくら僕がバカでもここまで言われてしまったら分かってしまった……
つまりここの人達にとって僕は……
「あの……豊姫様? 結局どういう事なんですか?」
「だからレイセンちゃん。 ここの人達にとって僕は外の世界って言う場所からやって来た”異世界人”って事になるんだよ」
何かの目的で幻想郷と呼ばれる場所に連れていかれる筈だった僕がなぜか異世界で遭難……
ゲームかマンガでしか聞いた事の無いような展開だけど、豊姫さんの言葉を聞いて今までの僕に怒った理不尽極まる出来事の大半はきっちりと嚙み合わせる事が出来た。
「ですけど信じられません…… 幻想郷の連中の都合で連れてこられた者がまさか私達、月の都の元にたどり着いてしまうだなんて……」
「あら? 私だってこうだと確信している訳ではありません。 でも私の能力を使ったわけでもない、吉井君が余計な拾い物をしたわけでもないのにあの子がこんな所に来てしまうというのは、こうでも考えないと辻褄が合わなさすぎるのです」
「え? 豊姫さんも世界を渡り歩く能力を持っているんですか?」
「そうですね…… まあ、彼女とは違った方法でですが……」
そう言った彼女はいきなり扇を取り出し、それを軽く振るう。
それと同時に、先程まで明久達がいた部屋は一瞬で消え去り、代わりに明久にとって見慣れた景色へと変わっていく。
「へっ?」
「あの……豊姫様? ここは……」
「ここは文月学園っていう学び舎の屋上よ? 吉井君の話を元に部屋との点とこの学園の点を合わせてつないでみたのだけど…… この場所で大丈夫かしら?」
「は、はい……」
正直、唖然とするしかなかった…… これまでの事が実はリアリティがあるだけのただの夢だったんじゃないかって思える程にあっけなく、簡単に終わってしまうなんて……
「ね……ねぇレイセンちゃん、豊姫さんの能力って一体どういう能力なの? これ幻覚とかじゃないよね?」
「え…ええ、間違いなく現実に起こっていることです。 豊姫様の能力は”海と山をつなぐ事が出来る程度の能力”と言いまして、海は私達が住む”月の世界”の事を…山は”地上や幻想郷”の事を指しているそうです。 その海と山の空間の点同士を合わせて一瞬で移動できる能力なんです」
な、なんてチート能力…… で、でもこれでもうあんなワケの分からない”非日常”的な事はもう終わりなんだよね! 月の都の皆にお礼を言った後で普通に帰って砂糖と塩を食べた後でぐっすり寝てこれからも普通の日常に戻っても大丈夫なんだよね!?
「やったー! ありがとう豊姫さん!! サグメさんにもありがとうって伝えて貰っても……」
「……別にあなたがお家に帰るのは構わないけど、それで本当にいいのかしら?」
「……え?」
ドユコト? もう僕も普通に学校に戻れたんだからそれでハッピーエンドじゃないの!?
なんで思いっきり感謝の言葉をさえぎられているの!?
「もし、八雲紫という女が私の予想通りの妖怪だとしたら、こんどは幻想郷なんかに飛ばされることになるわよ?」
「あ…あの、言っている事がよく分からな……」
「分からないなんて言わせませんわ。 もし、八雲紫が何かの目的で貴方を幻想入りさせようとしたというのであるならば、私達が月に帰った後でまた同じことをしようとするでしょう。 こう言う事に関してはあの女は本っ当にしつこいですからね」
「確かに、一度私達姉妹でわざわざ叩きのめしてあげたのに、性懲りも無く仲間を集めて攻め込んできたぐらいですからね……」
この二人が溜息を付くほどに面倒臭いって、その妖怪さんどんだけしつこいんだよ!? 粘着ストーカーかよ!!
「兎に角、今のまま吉井君がこの世界に帰るのはむしろ危険ですわ。 貴方を今すぐ月の都に送り返します。 レイセン、月に戻り次第、すぐ月兎の者達に遷都を急げと伝言を……」
『あら? 私がそんな真似させると思っているのかしら?』
「「!?」」
あはは……この短期間で色々とあり過ぎて、もう何があっても驚かなくなってきている僕がいるよ……
どこから聞こえたのかは分からなかったけど、良く見たら貯水槽の上に見覚えのある大量の目が詰まった穴のような物がある。
多分、異端審問会って名乗っていた人達から逃げた時に見えた目はあの穴の中の事だったのか……
「だけど予想外だったわね…… まさかこの子を抱いて運んでいこうとしていたら、いきなりへんな服着た変人共が錯乱して暴れてしまう物だから手元からポロリっとつい落としてしまって……」
「それで僕が落ちた先が月の都? って、その異端審問会と言うのはまさか!?」
「はい、あなたを追いかけまわしていた子達は全員叩きのめして病院送りにしました♡」
『主にやったのはわたしと橙ですけどね……』
さっきから空きっぱなしの穴から別の妖怪が出て来た。
キツネと猫又かな? 九本も尻尾があるみたいだからもしかしたら妖怪物でよく出て来る妖狐だと思うけど……
「らんしゃまー、あの気持ち悪い人たちはてつじんさんって言う人におねがいしてきました。 ”きゅーきゅーしゃ”って言うのを呼んでおくからもう大丈夫だそうです」
「ありがとう、さすが私の愛猫、橙!」
「にゃはは! らんしゃまー、くすぐったいですー!!」
あの二人って一体どういう関係なんだろう……
姉妹……なのかな? 猫耳尻尾の娘が嬉しそうにしているから多分ただの上司と部下の関係じゃないとは思うけど……
「ああもうかわいいよ、写真に収めて、ツイートなうツイートなう!!」
「藍? あんたその箱みたいなのでいきなり何やってんのよ?」
「箱言わないで下さい! これは”ケータイ電話”って言って電話したり、外の世界の情報を集めたりできる優れモノなんですから!!」
いや、色々とツッコミたい所だけどまずは仕事しろよ!
って、言いたいけどココでツッコんだら間違いなく叩きのめされるだろうからやめとこ……
これはアレだ。 あのキツネさん、ただの”親バカ”だ。 しかもモンスターペアレント(通称モンペ)とか呼ばれるレベルの……
多分ツ〇ッター辺りで写真を載せてるんだと思うけど、絶対幼女にコスプレさせて喜ぶ変態だとか言われてるだろうな……
「……もういいかしらスキマ妖怪」
「言いたいことがあるなら無視して続けて頂戴…… 藍の育て方間違えたかしら……」
あ、あのスキマ妖怪とか呼ばれたBBA……お姉さんも頭抱えてるよ…… あの妖怪も苦労しているんだね。
「なんで吉井君を幻想入りさせようとしたのかしら?」
「なんでって?」
「とぼけるなスキマババア! あの変な異端審問会とかほざく連中から助けてくれたのは感謝しているけど、なんでそっちの世界に僕みたいな普通の人間を入れようとしたんだ!!」
そうだ、はっきり言って僕は普通の人間だ。 ほんのちょっと窓ガラスぶち割って下の階まで逃げようとしたり、ドイツ語を覚えようと必死だけどなかなか島田さんに通じなかったり(実際に覚えているのはフランス語)鉄人に没収されたゲームや本を取り戻そうとした際に間違って鉄人の本を古本屋に売りさばいたりして観察処分者にされたりとかしているけど、たったそれだけの普通に生きる普通の人間なんだ!
はっきり言って妖怪なんかと殺し合いなんて出来る自信なんてこれっぽちもない……
「はっ!」
ここで気が付いた。 妖怪の中には人間を食べる妖怪もいる事を……
つまりこれらの状況も合わせて推察すると……
1.八雲紫は妖怪
2.幻想郷には彼女のような妖怪がたくさんいる。
3.八雲紫はワープなんて手を使ってまで外の人間である僕を捕まえて来た。
4.八雲紫はBBAで僕は男……
「僕を餌づくりの為の道具にしようとするとはこの外道! 恥を知れ!!」
「「「いや! なにをどう考えたらそんな結論にたどり着くんだ!! まずはアンタ(貴方)が恥を知りなさい!!」」」
な……外しただと…… この僕の完璧な推理が……
「はっきり言って吉井明久”本人”はどうだってよかったの」
「え?」
「私の目当ては吉井明久自身に宿っている能力。 そして、吉井明久の操る召喚獣の力だけが目的だったの」
「あっはっは! 僕自身に宿ってる能力? そんなの持っているわけないのにボケちゃったのかなこのおばあちゃんは……」
ひゅっ!←カッターを投げる音
ぱしっ!←依姫が明久の足にカッターが刺さる前に見事キャッチする音
「次そう言ったら、今度は脇腹か腎臓に行くわよ?」
「今度は急所狙い!?」
なんて妖怪なんだ!? まるで僕の事をその辺の道具ぐらいにしか思ってないじゃないか!?
「そう、彼の操る特別仕様の召喚獣と彼の中で眠ったまま腐って行く一方の能力…… ”異常を生……”」
「『火雷神(ほのいかづちのかみ)』よ!七柱の兄弟を従え、この地に来た事を後悔させよ!」
「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」」」
うわああああああ!! なんかバカデカい火柱がスキマババアに向けて叩き付けられてる!?
ちょっ、依姫さんいきなり何してくれてるんだ!? 僕だけならまだしも豊姫さんとレイセンちゃんも唖然としてるよ!?
ここは普通あれでしょ? 悪の女王が事件を起こした動機などを高らかに語りだすシーンじゃ……
「つまり本来のあなたの計画通りに事が進んだなら、何かの恩を無理矢理にでも着せて、借りを返させることが出来る口実として私達の幻想郷への遷都を邪魔させようとしたのね。 吉井君の正義感とバカさ加減を利用して自分の箱庭を守りうる時間を稼ぐための捨て駒、あるいは”人柱”と言った所かしら?」
「死なせるつもりまでは無かったのだけど……なぜわかったのかしら?」
「思い付きが流石に低俗過ぎるのよ。 あなたの事だから敢えてこんな物語ならありきたりな手を使うことで貴方への容疑の目を向けられないようにする為なんでしょうし、他にも作戦があるのでしょうけど…… もうちょっとひねった方が良かったんじゃないかしら?」
そうだ、そうだ! いくら何でも僕の事をバカにし過ぎだぞスキマババァ!!
…………ごめんなさい、見栄張っちゃってました。 本当は依姫さんの言った通りになってたらものの見事に引っ掛かって月の兎の皆を傷付けてたと思う……
「だとしたら吉井君にとっては災難だったわね。 今、私達はある事情があって月の都はさっき話した幻想郷への遷都の為に準備をしている所なの。 だけど、そこのスキマ妖怪が『数千は軽く超えるだろう月の民を受け入れる受け皿はない』って言って私達の使者を叩きのめして追い返したの……」
あれ? なんか雲行きがおかしくなって来たよ?
そう言えばさっきから聞きたいことがあったんだけど……
「ねぇババ……八雲さん、一つ聞きたいんだけど?」
「今一瞬ババアって言おうとしなかったかしら?」
「ソンナコトナイデスヨ? ウン、イッテナイ!」
「なんでカタコトになっているのよ? ……本当に一つだけよ?」
よし、八雲さんから言質は取ったぞ! さっきから分からない僕にとって重要な質問!
「”遷都”って何?」
「「「…………はぁ?」」」
あ、あれ? 僕、何か可笑しな事聞いた?
「…………吉井君、遷都と言う言葉に関しては部屋に戻った後でサグメにでも聞いて置きなさい。 とにかく今のあなたの立場は分かったわ。 ここはなにがなんでもあなたを月の都で保護します。 レイセン……」
「そんな事させると思っているのかしら? 橙、あなたは吉井君を取り戻しなさい! 藍!橙成分とか言うワケの分からない物の補給は済んだでしょう? 藍は妹の方を殺りなさい!」
あれ! あのスキマババア、やりなさいの方が”殺りなさい”ってなってたよ!?
あの二人の事をどんだけ逆恨みしてんだ!!
「二度も攻めておきながら簡単に降参した貴方に一体何が出来るというのかしら?」
「二人共どうやら勘違いしているようね。 ……あの時素直に降参したのは私達が弱かったからではない」
「一度目の襲撃時には依姫一人に簡単に叩きのめされて泣きながら逃げたのに?」
「なっ、泣いてないわよ!? 変な言いがかりをつけないで!!」
あれ? なんかどっちが悪い側なのかが分からなくなって来たんだけど?
一応、スキマ妖怪が”悪”で月の皆が助けてくれた”善”のはずだよね?
「2度目の戦いで私が素直に降参したのは…………」
「幻想郷の皆を巻き込みたくなかったからよ……」
終わりじゃありませんよ?
「俺たちの戦いはこれからだ!」的な意味ではありませんからね!?
その証拠として、次の話の一部を載せたって良いんだからっ!!
まあ、載せちゃったら興が削がれそうだから載せませんけどね?
次の投稿は二週間位は後になると思います。