刻の召喚士   作:jnsto

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第6話「カレーライスの女」

さて、クイズの答えはわかったかな?

正解はそう。勇者の剣だ。どうせ試すなら一番いいやつで試さないとなー

 

目の前にあるのは教会。敷地に入るための門は今日が祭り事の日というのもあり硬く、高く閉ざされている。

教会ってなんか日本人からすると考え方の押し付けみたいな感じがして少し怖いが、この教会はそういう腹の中どう考えているかわからない怖さじゃなくて純粋に見た目怖い。

 

なんで柵が槍状なんだろうか。なんでその槍状の柵は真っ黒に磨き上げられているのだろうか。なんで敷地内には落ち葉一つないのだろうか。教会自体はなぜ

 

「狂信者か、あるいは徹底的な管理下なのか。どうにもこうにもこの世界の宗教はどれも怖いね」

 

勇者の剣を保存している教会と謳いながら、その実、勇者の剣を封印もしくは守っているのだろう。

 

「ま、そんなことはどうでもいいか」

 

槍に刺されないように身長に柵を登っていく。こういう門って警備が厳重になるほど子供の観点を無視してる気がするんだよな。確かに大人にとっては上りづらく入りにくい構造だけど、子供の俺にとってはこれくらいはむしろ足がかけやすい部類に入る。厳重だからこそ、子供の想定を抜かしたんだろうな。

 

「リッカ君…なにしてるの…?」

「…おお、君はいつぞやの…」

 

ちょうど柵を乗り越え着地したところ、まるで牢屋の鉄格子かのような堅牢な守りの向こう側に、まるで囚人に面接しにきた恋人のような雰囲気の女の子がいた。

 

あー…思い出した。褐色白髪民族衣装のかわいこちゃんじゃないか…!周りの目もあるから1回話したことがある程度だけど。…遺憾なことに、彼女は両親共に奴隷の身分だ。今日の写身も受けられない。なんと嘆かわしいことか。でも…これは油断していたな、去年も一昨年も写身のときは奴隷の身分の人も全員参加のはずだったのだが。今年は違うのか…?

 

にしても殺人的に可愛いなこの子は。いや、元々褐色の女の子って健康的で好きなんだけど、彼女はもうほんと、両親ののために必死に働いてる女の子的な?健気な感じ?

 

衣装もどこか…インディアン?と思わせるような格好だし。頭に羽生えてる。あほ可愛い。羽だけじゃなくて狐耳も生えてるけど。たまらん。インディアンの女の子って頭にリボンつけててもピンク色の髪をしたヒロインなんかより絶対似合うわ。お下げの長い髪をさらっさらしたい。

 

ていうか白髪って卑怯じゃない?褐色に白髪だよ?もうカレーみたいなもんだよ。セクシーじゃん。日本人皆大好きだよ。食べたい。その家庭的な味を噛み締めたい。

 

そしていけないことをしている友達をなんとかしなきゃだけど思ったように口に出ないその姿もほど良いスパイスになって意地可愛い(造語)」

 

「あれ、どこから声に出てたんだ?」

「…『ちょうど柵を乗り越え~』からだよ、リッカ君…」

 

なんと、最初からか。これは焦るな。でもなんとか話をそらさないと。ちょっと勇気出そうとしてる顔出しな。いい子なんだろう。大人たちから怒られないように俺を諭そうとしてくれてるのだろう。だが俺はそんな君の期待に全力で応えない。今しかないんだ、乗るしかない、このビッグウェーブに。

 

「いやあ、おなかを壊しちゃってさ、教会の人に薬を貰おうかと」

「…今日、教会の人噴水広場に集まってるよ…?」

 

「「…」」

 

「1人位はいるかもしれないしさ…」

「…こんな危ない柵を登る元気はあるのに…?」

 

「「…」」

 

あれ、この娘こんな当たり強かったっけ?前会ったときはこんな娘じゃなかったんだけどなーお父さん悲しいなー…仕方ないか…

 

「…ごめん、嘘だ。ここに入りたくて写身も抜け出して柵を越えてここにいる。さっき王国の騎士団長様の話を聞いてたらどうしても勇者の剣を見たくなってさ。こんな俺を止めに来てくれて凄く嬉しい。だけど今しかないと思うから、何を言われても俺は行くよ」

 

こういう時は逆に誠実に攻めてみる。彼女の思考はおそらく

 

・こんなことしちゃ駄目だ

・大人に怒られてしまう

・奴隷は一般人に口答えなんかしてはいけないけどかわいそう

・止めないと!

 

みたいな感じだと思う。だが【大人に怒られる】というのは27歳にもなった俺には屁でもない。でも、だからこそ俺はそれを利用する。【大人に怒られてもいいくらいに決意した事柄である】っていうのは子供には反論しづらいだろう。だって何を言われても戻る気はないのだから。

 

そして誠実な受け答えには誠実な言葉使い、ある程度の真実、ちょっとの嘘を交えることで、自己評価ではあるがこの返答は100点満点だと言える。この娘が何も言葉を理解しようとはせずただ感情や一般常識を展開するだけの面倒なタイプでなければ

 

「…嘘。さっき広場で『飽きた』『そろそろかな』って言ってたの、ボク聞いてたよ」

 

彼女への評価を変更しなければならない。まず一つはボクっ娘であること。ここまでは100点満点中120点だったが、170点に変更しておこう。もう一つはこの年で大人の意見に対してちゃんと自分の言葉で反論できること。これは200点上げちゃおう。計370点。そして彼女が存外以上に面倒なタイプということだ。

 

このカレーライスの女は。

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